茨魔堕天記   作:アルクロ

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第二輪「日常の終わり」

《とある休日:アザゼルの家》

 

「スゥー…………スゥー………」

 

アザゼルの家の中、自分の部屋の床に布団を敷いて寝息を立てて茨郎がぐっすりと眠っていると、茨郎の枕元にある時計がチッチッと音を立てて秒針を進め、長針が12、短針が8を指し示した瞬間、ジリリリリッと喧しい音が部屋の内部を鳴り響いた

 

その音を聞いた茨郎は眉間に皺を寄せつつ目を醒まし、目覚まし時計の上についているボタンを押し込み、目覚ましを止め、ゆっくりと上体を起こし口に手を当てて大きく欠伸をして目を擦った

 

「ファァ…フゥ…もう八時かぁ…早いなぁ」

 

「相変わらず、お前さんが使ってる目覚ましは煩いな。茨郎」

 

「煩くないと目覚ましとしてまずいと思うから、目覚ましが煩いのは正常に動いてる証でしょ?オジサン」

 

「まぁ、確かにな。っと、起きたんならさっさと着替えて顔洗って来い。朝飯だ」

 

完全に起きた様子の茨郎が寝間着のまま布団を畳んで片付けていると、茨郎の部屋の扉が開かれていった、そして、その開かれた扉の先には少し前に起きていたが寝起きでまだ眠たいのか頭を掻いているアザゼルの姿があった

 

アザゼルを茨郎が起きている事を確認すると、茨郎に顔を洗ってから朝御飯を食べるように言い、茨郎はそれを聞いてからいそいそと寝巻きを脱ぎ、服を着替えて顔を洗いに行き、その後すぐに朝御飯を食べようと椅子に座った

 

「んじゃ、食べるとするか。頂きますっと」

 

「頂きます」

 

茨郎とアザゼルは食卓に着くと、アザゼルが用意していた焼き鮭と炊かれたお米、そして、それに納豆か生卵を掛けて、ゆっくりと食べ進めていき、三十分ほどで完食していた

 

「「ご馳走様でした」」

 

そう言い終わると同時に茨郎は食器をさっさと纏めて流し台に持っていき、スポンジに洗剤をつけて一つ一つ洗って、乾燥棚に置いていき、置き終わると同時に出かける準備をし始めた

 

「茨郎、出掛けるんならついでにシャンプーとリンスを買ってきておいてくれねぇか?昨日切れかけてたんでな」

 

「分かったよ、オジサン。それじゃあ、行ってきます」

 

「おう、行って来い」

 

茨郎はアザゼルに行ってきますと言い終わると、紅いスニーカーを履き、そのまま駒王町内へと出掛けていった

 

《駒王町》

 

(えーっと……取り敢えず先にオジサンに言われたお使いから済ませていこうかな)

 

茨郎は自分が履いているジーンズの右ポケットから長財布を取り出して、中に入っている紙幣と小銭を数えて計算しながら歩いていた

 

(よし、これならちょっと寄り道してアレとか買えるかもなぁ)

 

自分の所持金の確認を終えた茨郎は少し気分が高揚したのか鼻歌を小さく歌いながらショッピングモールに入り先に薬局へと歩いていき、アザゼルに頼まれたシャンプー及びにリンスを買って薬局から出てきた

 

そして、そのままショッピングモール内部を散策し始め、服屋の前まで歩いてきて足を止め、服屋の中へと入って行った

 

(後は僕の服も買わないとなぁ……アレを買いたいしなぁ、ちょっと抑えれば足りるかなぁ…)

 

茨郎が予想していたよりもシャンプー類の値が少しだけ高かったようで、茨郎は自分の頬を掻きつつ再度自分の財布の中身を確認し、なるべく値が高くない衣類を選んで購入していった

 

(何とかギリギリ買える……かなぁ?とりあえず行ってみるか)

 

茨郎は再三自分の財布の中身を確認し、苦笑いを微かに顔に出しつつも、玩具が売られている店へと足を進めていった

 

そして、茨郎は玩具店の怪獣の人形が置かれているブースで足を止めて、商品を物色し始め、とあるニ体の人形を手に取った瞬間動きを止めた

 

その人形は全体的に植物の蔦で体が形成され、頭と思われる場所は薔薇の蕾の様になっている怪獣の人形ともう一つの人形はもう一つの人形同様に体が蔦で形成されてはいるが、頭が口が裂けた鰐のようにも見える人形だった

 

(どっちにしようかなぁ……うぅん…ん?)

 

茨郎が2つの人形を握りどちらを買おうかと悩んでいると、とあるのぼりが目に写った、其処には商品2つ以上御購入限定、合計金額から20%offというものだった

 

「…………」

 

茨郎はそののぼりを見ると同時に両手に持っていた人形を片手に持ち替えて、両方の人形の値段を確認し、すぐさま会計へと向かい、財布の中の残りの所持金の殆どを使い切って二体の人形を購入した

 

(ギリッギリだったなぁ……っと、もうこんな時間か。そろそろ帰ろう)

 

欲しかった人形二体を買うことが出来た茨郎はホクホク顔で玩具店から出てきて、ショッピングモール内の時計で時間を確認し、ルンルン気分でショッピングモールの出口へと向かっていた

 

(帰ってから取り敢えず、シャンプーの詰め替えして……あっ、その前に買った服をタンスに仕舞わないとなぁ……この二体どこに飾、ん?)

 

茨郎が帰ってから最初に何をするかなどを考えながら歩いていると、ショッピングモールも出口の向こうに困っている様子の人物が茨郎の視界に写り込んだ

 

(何してるんだろ……ちょっと聞いてみるか)

 

茨郎はその人物の困っている姿が見過ごせなかったのか、ショッピングモールから出ていき、その人物に声を掛けてみた

 

「スミマセン、何かお困りのようですが。何かあったんですか?」

 

「!………」

 

(ん?この人のこの様子、もしかして…)

 

茨郎に声を掛けられた人物はブロンズへヤーが綺麗な高校生位の女の子だった、そして、その女性は茨郎に声を掛けられると反応はしたがアタフタとした様子を見せていた、まるで、伝えたい事があるが、どう伝えれば分からない、と言う様子だった

 

その様子を見た茨郎はもしかして、という勘だけを頼りに、今度はその女性に英語で話しかけて

 

『何かお困りのようですが。どうかされたんですか?』

 

『えっ……っと、実は道に迷ってしまっているんです』

 

『なるほどぉ……目的地が何処かは分かりますか?』

 

『はい、アソコに見えている教会に行きたいんですが。道が分からなくて』

 

『なるほどなるほど…では、申し訳ないのですが。道順をお教えしますので、それで大丈夫ですかね?』

 

『良いんですか?』

 

『大丈夫ですよ。それではお教えしますね』

 

茨郎はスラスラと慣れた様子で英語を喋り、道に迷っていた女性に口頭で女性が目指していた教会への道順を教え始め、大凡五分ほどで教え終わった

 

そして、道順を聞き終えた女性は茨郎に頭を下げた後に教会へと向かって歩き出し、それを見た茨郎も自宅への家路へと付いた

 

(あの人、観光客さんかなぁ……無事に着けてたら良いけど)

 

茨郎がそんな事を考えながら、夕日がギラギラと輝く人気の無い路地をビニール袋を複数個持った状態で歩いていると、突如茨郎が買った衣類が入っている袋に向かって光が走り、その光はビニール袋を突き破り地面にぶつかり軽く爆発を引き起こした

 

そして、その爆発が起きた光が伸びてきた茨郎の後方に人影が一つ現れてきた

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