《アザゼルの家》
アザゼルは茨郎を部屋で寝かせ終わってからリビングのソファに腰掛け、天井を見上げながらハァーと息を吐いていた
「どうすっかなぁ、茨郎に戦い方とか教えてやらねぇとなとは言ったが、その為にはアイツ等に茨郎を紹介しねぇとマズイしなぁ……ハァー…ん?」
アザゼルが今溜息をつき続ける原因は、どうやら茨郎を部下へと説明する事などを考えていたからという様子だったが、すぐさまその様子は消え、少し警戒しているかのような様子になった
そして、アザゼルがそんな風に少し警戒していると、リビングの扉がゆっくりと開かれていき、リビングの外の空気と一緒に何者かがリビングへと侵入していった
「……何だ、茨郎か、もう起きて」
『久方振りだな、アザゼル』
「……アルラか、確かに久し振りだな。で?なんの用で出てきたんだ?」
『いや何、貴様が茨郎に闘い方を教える、と言っていただろう?故に軽く語らいに来た』
リビングに侵入してきた存在の正体は茨郎だった、厳密には茨郎の身体を使っているアルラだった、そして、アルラがアザゼルに出て来た要件を伝えると、アザゼルは自分の隣に座るようにアルラを呼んだ
そして、アザゼルに呼ばれたアルラはアザゼルの隣に座り込み、ゆっくりと腰を据えて、話し合いを始めようとしていた
「そういや、お前さんなら茨郎がの骨が折られるより前に出てこれてあの程度の悪魔なら殺せてたんじゃねぇのか?」
『あぁ、確かにそれは可能だったが』
「なら、何で茨郎がこんなになるまで、いや、なっても出てこなかったんだ?」
『私が茨郎が怪我をする前に出てきてあの程度の雑魚を片付けるのは造作も無かった、が、それでは茨郎は何時まで経っても己の力に気付けず、自己防衛の手段を取得出来なかったからな』
「だから、茨郎が怪我をして、ボロボロになって神器を出して自分を守れるようになるのを待った、って訳か?」
『そうなるな、人間は痛みや怪我から学ぶ場合も多い故にな』
アルラの言い分を聞いていたアザゼルは肩に力が気付かないうちに入っていき、そして、最後のアルラの言葉を聞くと同時にアザゼルはアルラの首根っこを掴み上げた
『突然何をする?アザゼル』
「テメェは茨郎の見守り役じゃなかったのかよ!」
『確かに私は茨郎の見守り役だ、が、茨郎ももう大概子供ではない、己の身はある程度は己で護って貰わんとな。それに、今回の一件、茨郎が怪我を負った原因の一部はアザゼル、貴様が与えたあの指輪にも有るのだぞ?』
「俺がやった指輪?あの能力の暴走を抑える為の指輪の事か?」
『そうだ、あの指輪の影響で、あの指輪を所持していた間私や神器は一切使用不可となっていたのだ』
「はぁ!?それじゃあつまり…」
『今回の非は私と貴様、その両方にあるという事だ』
アザゼルはアルラから茨郎を護れなかった理由、その内容を聞くと顔の右側に手を当てて大きく溜息をついていた、それを見ていたアルラは口を開き、また喋り始めた
『故に、今回のような一件をもう起こさぬ為に私も茨郎の特訓や戦闘においての教育に一肌脱ぐとしよう』
「………お前が茨郎の教育の手伝い?」
『何か不満か?この力の使い方を現状最も知っているのは私をおいて他には居るまいと思ったが故に、提案したのだがな』
「確かにな」
『が、私は神器の使い方は教えてやれても身体の動かし方までは教えてはやれぬ故に、そちらで頼めるか?』
「あぁ、分かった」
『それを聞いて安心した、では、私は少し眠るとしよう……それではな、アザゼル』
「あぁ、それじゃあな」
アルラはそう言って茨郎の身体の内側へと消えていき、アルラが消え去ると同時に茨郎の身体が力無くアザゼルの方へと倒れ込んだ
それを見たアザゼルは動く事なく茨郎の頭を受け止めて、自分の太ももに置き、そのままゆっくりと眠らせていった
「良く寝ろよ、これからが忙しいからな」
「スゥーッ………フゥーッ……スゥーッ……」
アザゼルは自分の太ももに乗せている茨郎の頭をの髪を掻き分けて、茨郎のおでこを優しく撫でていると、茨郎は心地よさそうに寝息を立てて眠り続けていた
《翌日》
「んっ……ファーァ……いつっ!」
茨郎が悪魔に襲われた翌日、茨郎はあの後何時の間にかアザゼル運ばれたのか布団の上で目を覚まし、上体を何時もの様に引き起こそうとすると、脇腹に鈍い痛みを覚えた
「やっぱり…夢じゃないのか…」
「よっ、起きたか茨郎」
「……お早う、オジサン」
「おう、お早うさん、傷の具合はどうだ?」
「まだ痛いよ…」
「そうか……なら、飯を運んできてやるからちょっと待ってろ」
茨郎が横腹に走って痛みに顔を歪めていると、茨郎の部屋の入り口からアザゼルが入ってきた
そして、茨郎に体の調子を聞いてから朝御飯を取りに行き、お盆の上に朝御飯を乗せて運んできた
「飯を食ってゆっくり休め、そうすりゃ傷の治りも早くなる」
「わ……分かった」
「で、飯を食うついでに俺の話を聞け、お前の今後に確実に絡んでくる」
「えっ、あっ、はい!」
茨郎は運ばれてきたご飯を脇腹に走る痛みを我慢しつつ食べ始め、そして、アザゼルはそんな茨郎に天使や悪魔、そして、堕天使についての話をし始めた
茨郎はアザゼルからされる天使等の説明を聞きつつご飯を食べ進め、食べ終わった頃合いにはアザゼルからの説明も終わっていた
「分かったか?茨郎」
「んっ……うん、まぁ、大凡は分かったよオジサン、つまりは、悪魔とか天使がこれから僕を襲いに来るかも知れないってことだよね?」
「まぁ、そんな感じだな、ついでに言うなら、下手すると悪魔の中にはお前を手下にしようとするやつとか出てくるかもしれないからな」
「………やだな、それ」
「なら、さっさと傷治してこれから強くならねぇとな」
「うん」
アザゼルからの説明を聞き終えた茨郎は自分の中で聞いた内容を纏め、そして、悪魔や天使に殺されないように、負けないように強くなると心に決めた
それが顔に出ていたのかアザゼルは茨郎の頭を撫でてから、茨郎に安静にするように促し、茨郎はその言葉に従い安静にし、傷を治していった