鉄血もグリフィンも争わない平和な世界を死に損ないが満喫するだけ   作:葉桜さん

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あまりの雑なネタ回。
おそらくキャラ崩壊がいちばんひどい。


温和日常VI:ウォッカもジャックダニエルも同じようなもの

グリフィン・鉄血合同宿舎。

もはや定番と化したいつもの部屋。

 

 

 

幾度となく人形たちという名の襲撃を受け、もうそろそろ落ち着ける時間が欲しいと何度ボヤいたことだろうか。

やっとこさ1人で今日こそぼーっと過ごすんだ……

そんな風にもはや祈りの領域まで達していた。

今日こそは、今日こそは。

こんな荒んだ世界に神はいないと思ってはいるが、さすがに今だけはいると信じさせてくれ。

……我ながら自分勝手な信仰だ。

 

 

 

 

「助けてくれ!リオンッ!一大事だ!いや大惨事だ!」

 

 

 

 

……まぁ、届く訳もない。

哀れな祈りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、恐ろしい勢いで部屋に押しかけた処刑人。

あまりに息が絶え絶えで、明らかに憔悴している。

というか、顔色があまりに悪すぎる。

まるでこの世の地獄を見たかのような様相でこちらへと助けを求めに来た。あの処刑人が。

あのオラオラ系人形の処刑人がだ。

ほぼ色々なことに対してビビることの無いアイツが、ここまで恐ろしくなるものなんてあっただろうか……?

 

 

 

とにかく来てくれ、話はそれからだと腕を思い切り引っ張られる。滅茶苦茶痛い。千切れるか折れる。腕が壊れちゃう!

本当に何があったんだ!?

俺の悲鳴は、届くことなく通路へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっわ酒臭ッ!何だこれ!」

 

 

 

思わず暴言のような一言も吐きたくなるような酷い酒臭さ。ありとあらゆるアルコールを混ぜて気化させたような酷いものだ。理解させようとしている自分の頭の中で何を言っているのか分からなくなるくらいには酷い。

顔を上げて部屋の状況を見ようと思うが、本能がそれを拒絶する。これは……見てはいけない。

恐ろしい何かの予感がする。

連れてこられた以上、見るしかない。

無理無理にでも顔を上げ、その光景を目に入れた。

 

 

 

「ま〜だ飲み足りねぇなぁ〜?酒をもっともってこぉーい!」

 

 

 

 

「……しきかん〜……へへ〜……わたししあわせ〜……」

 

 

 

 

「わたしはかんぺきなのよぉ!!しきかんのいちばんになるのはわたしなのよぉ……えむいちろくもそうおもうでしょぉ……?へんじしてよぉ”ぉ”ぉ”……」

 

 

何コレ。

ここは確か処刑人とハンターの部屋だ。

そんな所に3人も上がり込んだ上にベロンベロンに酔っ払ってこの有様である。

右から飲み足りないようなのに明らかに泥酔しているM16A1、ウォッカの瓶を持ったまま床で眠って寝言を言っているモシン・ナガン、そして当の本人にはあまり聞かれていないのに無理無理M16に絡んでいくHK416がいる。

もう一度言う。

 

 

 

 

 

 

416もいる。

記念されるべきではなかった禁酒令1人目のあの416だ。

本来酒を飲んではいけないと言われた416だ。

 

 

 

 

 

完全に呆れた目で処刑人の方を向く。

 

 

 

「どうしてこうなった?」

 

 

 

「違うんだよ!ただいつものようにM16に飲もうぜって誘っただけなんだよ!そしたらモシンナガンがそれを聞いてて、ウォッカ持ったままこっちに上がり込んできて、いつの間にかM16が416を連れてきてたんだよ!」

 

 

 

つまり処刑人はこう言いたいらしい。

こんなはずじゃなかった。と。

 

 

 

本当はいつも関わっているM16と一緒に飲もうと誘ったらしい。それ以外のメンバーは誘う予定もなかったと話す。だが、偶然にも酒好きなモシンナガンがそれを聞いていたので急遽乱入。そこまではまだ良かった……

ここのM16はあまりにも豪快すぎた。

あの酒乱で有名な416をここに連れてきてしまったのだ。来たすぐの時は処刑人とモシンナガンで何とか完全に酔わないようにコントロールするように手を尽くしていたらしいが……

 

 

 

「あのバカ(M16)、二人を煽って自ら滅茶苦茶飲ませるように仕向けやがったんだよ!」

 

 

 

これには呆れを通り越して何かを悟った感覚に陥った。自分が酒を飲めるのをいいことに、酔わないと楽しくないと言い始めた挙句煽って自ら飲ませるように仕向けたとの事だ。

それにモシンナガンが引っかかったのが1番の痛手だ。普段普通にしていれば部隊の良心とも言える彼女が、M16の煽りに乗っかったおかげでストッパーが消えてしまったのだ。

これじゃあこんな大惨事にもなる。

 

 

 

……いや、これは俺にどう止めろと?

俺は生身の人の子、向こうは機械の人形よ?

物理的に沈めるとか無理だからな?

そう言って処刑人の方を向くが、それでもなんとか頼むと言わんばかりの表情だ。

俺に何か出来ることあるのか?

酔い止めを持ってくるか?いや、それは別の酔いだ。

水を持ってくるか……?いや、それはそれで酒が水のようなもんだ!って言いそうな気がするが……

出来そうなことからやるしかない。

 

 

 

「……悪い、俺少し用事思い出した」

 

 

 

「逃げようとするなよ!?俺一人だけじゃこの状況はどうしようもないんだぞ!?」

 

 

ダメだった。

1番の最善手、『にげる』が使えなかった。

 

 

 

こんな時に、あいつが居たらとボヤく処刑人。

あいつとは、彼女の相棒であるハンターのことだ。

不運な事に、ハンターは現在出張中である。彼女なら確かにこの状況でさえ胃薬1つあればなんとか鎮めてくれそうな気がするが……

今では無い物ねだりだ。

 

 

 

酒に溺れるこのポンコツ達をどうしようか……

そう考えていた。

が、魔の手は人形だけでなく……

 

 

 

「よぉ〜リオンの旦那ぁ〜!お前も飲もうぜ〜?」

 

 

 

うわ、こっちにまで絡んできやがった。

と言うより、気づきやがった。

処刑人に対してはどこ行ってたんだよと聞きながらがっしり肩をホールドしている。やべぇ。

416は私のどこが足りないのなんて呂律が回らないセリフを言いながらいつの間にか俺の足元にしがみついてるし。慰めて欲しいのか?そうなのか?

なんというか、言ってる言葉の一言一言が聞いてて辛くなるからなんだかんだ言って頭をポンポンしてるんだが。

よしよし、まずは酒から離れようか。

相変わらずモシンナガンはウォッカの瓶抱えて寝てる。普段の彼女らしくもない。

 

 

 

「……おい、本当にどうするんだよこれ……手のつけようがないぞ」

 

 

「いや、それを俺に言われても困んだって……」

 

 

 

こちらはこちらで小さくもめている。

そんな中、飲んだくれ人形の1人が……

 

 

 

「ほら、遠慮せずにグイッといけよ!」

 

 

 

思い切りグラスにある酒を飲まされた。

俺が受け取ったわけじゃない。

無理無理押し込まれた。

うっわ無理。すごく無理。

気化して入ってくるこの感覚無理。

しかも酒が入ってしまった。

これはまずい。

非常にまずい。

 

 

 

「ぶはっ……ちょ……マジで……やばい、アルコール入った……俺帰る……」

 

 

「は?え、待ておいおい!ついさっきまでしれっと逃げようとしてたのが本気で堂々と帰る姿勢になってんだが!?」

 

 

 

そりゃそうだ。

俺、リオンは酒に弱い。

下手にアルコールが入ったらどんなことをしでかすかわからないのだ。とりあえず帰りたい。

醜態晒す前に帰りたい。

お願いだから帰らせて。

本当にお願いします。

そうは嘆くが肩はがっちりM16にホールドされてるし、足は416に捕まっている。しまいには寝ぼけたモシンナガンが上着を引っ張っている。もう阿鼻叫喚だ。

 

 

 

「とりあえずお前ら、頼むからもう飲むな!後でこの惨状見られる俺の身にもなってくれ……!」

 

 

 

処刑人も哀れに見えてきた。

悲痛な叫びは全然届かない。

お酒キマっちゃってるから聞こえてない。

そんなアルコールまみれの部屋の中、一番の元凶が更なる火を酒に注いでしまった。

 

 

 

「……なんだ、もうウォッカしかないのか?こんなんじゃ満足できないぞ〜!」

 

 

 

うわ、遂にこいつ酒の種類にケチつけやがった。

それだけならまだ良かったのだが……

 

 

 

「何〜??誰よわたしのウォッカを馬鹿にしたのは〜!!」

 

 

 

なんというタイミングで起きたんだお前。

元々寝てたのかすら怪しいくらいの過剰反応を起こしたモシンナガン。そんなにウォッカを貶されたのが嫌だったのか。

というかM16の煽り癖が酷い。

お前なんかあったのか。

こっち来る前のお前はこんなのじゃなかったぞ。

 

 

 

「真に最強の酒はジャック・ダニエルに決まってるだろ?ほら、早く追加してくれよ!」

 

 

 

「なんですって〜?ウォッカは水と変わりない要領で飲めるんだからこっちこそ最強でしょ〜!」

 

 

 

「ウォッカもジャックダニエルも同じようなもんだろ!いい加減にしろよお前ら!」

 

 

 

 

 

 

 

処刑人。

お前は今とんでもないことをしたぞ。

言うなれば、燃料タンクに火炎放射をかましたようなものだぞ。止めるために水かけたのに間違えて油かけてるのと同じだぞ。

……もちろん、そんなものは聞き捨てならなかった2人。

 

 

 

 

「「何だって?」」

 

 

 

二人分の闘気。

恐ろしいオーラ。

これは完全に地雷だった。

あえて言わないでおいたのに。

哀れ、処刑人。

お前の屍を超えて俺は逃げるよ……

 

 

 

「え、え、ちょ、お前ら……急に豹変するのは止そうぜ……?」

 

 

 

完全ににじりよった2人。

追い詰められた処刑人。

これはもう詰みだな。

さらにもっとやばいことが起きる。

 

 

 

「さっきからみんなうるさいのよ……!だまりなさいよぉ!」

 

 

 

416がついに暴れだした。

うるさいうるさいと叫びながら瓶を振り回している。

ついさっきまで1番騒いでたお前が言うな!

 

 

 

ちょっと瓶が掠めた。

もうさながらこの部屋は戦場だ。

余りにもひどすぎる。

たすけて指揮官。

 

 

……刹那、扉の開く音がした。

 

 

 

「……どういう状況ですか、これは……?」

 

「姉さん……?こんなところで何をしているのですか……?」

 

「わぁーお、乱れてるねー、416」

 

「もうぱーりぃーな状態になってるねぇ……」

 

 

 

すくわれた。

救いの手はここにあった。

英雄の4人。

部屋の状態を見て明らかに青筋が浮かぶ代理人。

姉の暴れた傷跡を見て呆れ返るM4A1。

416の惨状を見てゲラゲラ笑っているUMP45。

そして動じずに平和そうな目で見ている指揮官。

泣きそう。

 

 

 

「……処刑人。これはどういうことですか?」

 

「だ、代理人〜……!」

 

 

 

泣きそうになりながら俺に説明したことを説明する。

それを聞いていた代理人やM4、指揮官はうんうんと納得が行ったように頷く。

UMP45は暴れるだけ暴れて眠り始めた416をつんつんとちょっかいをかけては反応を楽しんでいるようだ。

 

 

 

「なるほど……では、そこの御三方はこちらで話を聞くとしましょう。……周辺から苦情が来ていますよ」

 

 

 

明らかに背中がゾッとするほどの恐怖。

恐ろしい威圧感を放つ代理人が助けてくれた。

ヒーローだけど、めちゃくちゃ恐ろしく感じられる。

 

 

 

「そうだね……はしゃぎ過ぎた罰ってことで、潔く受け入れてちょうだいな」

 

 

 

普段穏やかなだけに、今の指揮官が不自然に見える。

でも、苦笑いだからまだ彼としては情状酌量の余地ありだろうか。指揮官の審判だけだが。

さすがに代理人の審判で有罪は免れないだろう。

M16は完全に酔いが覚めたように顔を青くしてビビっている。モシンナガンも置かれている状況がわかってきたのか、だんだんと涙目になっている。

416だけは全然起きない。45が頬をふにふにしたり、ペちペちしたり、あわよくばと胸を揉んだりしているが、全然起きる気配がない。隊長にセクハラされてるぞ。

 

 

 

「すみません、うちの姉が発端でご迷惑をお掛けしました」

 

 

 

丁寧に処刑人に謝りに来るM4。

本当に申し訳なく思っているようで、処刑人の方もちょっと困っているようだ。

 

 

 

「M4が謝る必要は無いだろ。ほら、当の本人がやらかしたことなんだし」

 

 

 

妹相手には少し甘くなりがちな処刑人。

あんな風に謝られてはそれは確かにフォローのひとつも入れたくなる。俺だってそうなる。

 

 

 

 

あ、やばい、頭がぼーっとしてきた。

 

 

 

 

「ごめん、そろそろおれたいさん……」

 

 

 

「ええ、すみませんリオンさん。こちらの御三方と、ついでに処刑人には厳しく言っておきますので」

 

 

 

「えっ」

 

 

 

何かを察してくれた代理人。

後の処理は任せてくれと言わんばかりの言葉に泣きそう。クラウスの方も、ちょっと注意が必要かなと少しだけ怒っていた。

ついてきた45は一通りセクハラを終えた後に自業自得だからねと我関せずの体制だった。茶々入れに来ただけかい。

 

あと、処刑人……頑張ってくれ。

今度胃薬に世話になるのはお前かもしれない。

 

 

 

やばい、そろそろ本当に気分がふわついてきた。

かえる。まじかえる。

自室に駆け込んで、さっさと寝よう。

俺の意外な弱点は知られたくない

 

 

 

「おやすみするから〜……」

 

 

 

「まだお昼だけどね。まぁ……なにか察したわ。せいぜい誰かに見つからないようにね〜」

 

 

 

45も察したらしい。

君たちのような察しのいい人形は助かる。

 

 

 

4人の意外な助力を受けながら、なんとか俺はあの地獄を抜け出すことが出来た……。

今日は酒のせいで昼だと言うのにすごく眠い。

まだ休日だったのが救いだ。

今度からはきっとM16も自重するだろう……

そう信じて、ベッドに寝転び目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、約2名が震えながら禁酒をしていたところを何人かの人形が目撃したらしい……

もう1人?元から禁酒令が出てるでしょうに。

 

 

 

 

 

 

 




・違う!妖精が勝手に!な知能指数が低下するお話でした。今回初登場のキャラもいるのに何だこの惨状は!となるようなお話になってしまいました。後悔はしてない。

今回のキャラ紹介。(まだ紹介してないの+初登場)

M16A1:仕事の時はイケメン、プライベートはダメな姉。だいたいバカ騒ぎの原因になる人。仕事は頼りになるのにダメな姉。仕事出来るのにね。よくM4に怒られる。

モシンナガン:今回初登場なのにキャラの原型がない。説明がなければ確実に分からない。本当はもっとしっかりしてる。ロシア勢の良心。本当はこんなに泥酔しないはずだった。

処刑人:M16の悪友。いつの間にか苦労人になってしまった哀れな人。酒飲み勢の中では比較的マナーの良い方でまず暴れないしそんなに酔っ払わない。ときどきM16をぶっ叩く。

代理人:偶然用事があって珍しく来ていた。普段は宿舎に居ない。ほぼ鉄血勢のラスボス。怒らせたらやばい。完全にオカン。

M4A1:AR小隊のリーダー。姉妹では下の方。凄い真面目ないい子。なのだがちょっとは楽したいしちょっとは不真面目になりたいタイプ。姉の責任は自分の責任だと思っちゃう子。


・UA数5000越え……???(震え声)
本当に感想等もありがたく全部読ませていただいております……!自分史上初のこんな伸びでもうやばくてやばくて……(語彙力消滅)


・次回もまだネタ切れです。
この子が見たいなどありましたらぜひご意見下さい。


次回もお楽しみに!
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