鉄血もグリフィンも争わない平和な世界を死に損ないが満喫するだけ   作:葉桜さん

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ついに毎日投稿、途切れる……!
今回は妹たちのお話。


温和日常VII:末妹たちの家族談義

 

 

グリフィン・鉄血合同宿舎。

もはや俺の私室かどうかもわからない部屋。

 

 

 

「私のお姉ちゃんたちが一番なのー!」

「45姉と40姉だって負けてないよ!」

「鉄血のみんな(お姉ちゃん)が最強って言ってるでしょー!?」

 

 

 

3人の人形が激しく火花を散らしている。

かたやAR小隊の末妹。

かたや404小隊の末妹。

かたや鉄血ハイエンドの末妹。

 

 

 

話題は、「自身の姉」。

ここにいるのは全員一番下の妹。

さらに言えば、姉が大好きな人形筆頭だ。

妹達による姉自慢対決が、幕を開けていた。

 

 

 

 

 

「俺の部屋は多目的ホールじゃ無いんだぞ!?」

 

 

 

 

 

分かってはいたが、悲痛な叫びは虚空の彼方へ消えてった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「M4お姉ちゃんはすごく礼儀正しいし、AR-15お姉ちゃんは仕事がきっちりと出来るでしょ?M16お姉ちゃんは……かっこいい!」

 

 

 

最初に自慢を始めたのはM4SOPMODIIだった。

誰でも思いつきそうな良い所だが、それを口に出すのは良い事だ。M4が礼儀正しいのは合っているし、AR-15が書類仕事の腕がいいのも事実だ。M16は……仕事モードの時は確かに格好良い。

 

 

 

「ふふふ……甘いねSOPちゃん。45姉は仲間にブラックジョークをかましながら場を盛り上げることはできるし、臨機応変に色々なことが出来るのです!リーダーとしてもすごく頼りになってかっこいい!あと、40姉の前では凄いしおらしくなっちゃうのが1番の魅力だよ!」

 

 

 

UMP9は完全にプレゼン口調だ。

何でもいいから45が大好きということをアピールしたいんだな……あと、ブラックジョークに関しては物によるだろう……

でも、確かに色々な意味で45が優秀であることは間違いない。あと、40の前でそうなるのはしょうがない。俺は知っているんだ。

かなり熱く語っている。

シスコンとは言わないが、あまりに大好き過ぎやしないか。

続けて40のことに関してもマシンガントーク。

ダメだこの家族。

 

 

 

「あ、アルケミストはクールでかっこいいし、雑魚なんて蹴散らしちゃうくらい強いし、何より甘えさせてくれるし……他のみんなだって個性いっぱいですごいんだからね!」

 

 

 

負けじと言うはこの前アルケミストがわしゃわしゃと頭を撫でたり抱きしめたりしていた溺愛の対象……デストロイヤーだ。彼女の姉自慢に至ってはもう幾度となく聞いている。ああ、また妹が大好きな姉のことを語っているとほっこりした気分になる。他にも代理人やスケアクロウのことなども話しているが、やはりアルケミストが一番のようだ。

 

 

 

SOPMODはむー、と頬を膨らませてうなっている。

どうしても自分の姉が1番という事実を思い知らせたいらしい。9はそんなこと知らない!とりあえず45姉を好きになれ!と言っているかのような意図を感じる。デストロイヤーも自分の姉が凄いことを知らせたいらしいが。上手く言えなかったり、先に言われた要素だったりで上手くいっていないようだ。

 

 

 

こんな所を姉共がみたら多分まぁまたやばい事になるだろう。45やM16やアルケミストが妹が可愛いと騒ぎ出す。

……最近、何かしら止める役しかしてないな俺。

俺が胃薬の世話になる日も近いだろう。

いや、もうなっているな。

 

 

 

「ねぇねぇ、リオンさんは姉とか、お兄さんとかはいたの?」

 

 

 

9が純粋な目でこちらに質問してきた。

兄や姉か……

実はと言うと、自分の家族構成を覚えていない。

幼少期の記憶は一部欠落している。

そのせいで、家族がいたかどうかわからない。

自分が今ここにいるということは、両親はいるだろう。当たり前だ。だが、兄弟姉妹がいたかと聞かれれば、どう答えていいかわからない。

悪いが、覚えていない。

そう答えるしかなかった。

 

 

 

少し悪いことを聞いてしまったと思ったのか、9の表情が陰った。慌てて死んだとか、そういうことじゃないとフォローを入れた。若くして疎遠なだけだと言っておけば、とりあえずはこの場は凌げるだろう。

 

 

 

「でもでも、リオンさんは弟と言うよりお兄さんだと思うなぁ〜。だって、基本的に弟って思うような部分はないし、だけど頼りがいがあるとか、お兄さんっぽいでしょ?」

 

 

 

「確かに……私も間違えてお兄ちゃんって呼んじゃった時あるけど、周りは全く持ってそれであってるっていうカンジに見られてたし……」

 

 

 

SOPの発言から何故か話題が俺にすり変わる。

いや、発端は9か。

何故か自分たちの姉の話から俺が兄貴みたいだという話に完全に置き変わっている。なんで?

ちなみにデストロイヤーの言っていたことは本当だ。たまたま一緒にいた時に間違えている。誰も疑問に思わなかったというのが一番笑ってしまう所だ。

 

 

 

「……リオン兄さん?」

 

「なんだ9、俺を兄と呼んでも何も出ないぞ」

 

 

 

9が悪戯っぽく俺を兄と呼んできた。

俺が呼ばせている訳では無い。

決して呼ばせている訳では無い。

 

 

「甘えたら弱そうだよね」

 

「確かに……身内に弱そう」

 

「家族にはデレデレな感じがするよね」

 

 

 

この妹共散々言いやがって……

俺だって厳しくできるやい。

誰があまあまの溺愛兄貴だって?

ちょっとだけ不満そうに顔を顰めてみせた。

 

 

 

「そんなに怒ったような顔しないでよ〜、お兄ちゃん?」

 

「やめて、そんな顔されても困るから、本当に」

 

 

 

この妹たち、非常にあざとい。

やめて、揺れる、揺れる!

俺は落ち着いていて厳しいクールな人物だ……

だからそんな如きで……そんな……如きで……

顔を……緩めて……たまる……かぁ……!

 

 

 

「あ、ちょっと笑ったよ」

 

「やっぱりこういう風にされると厳しくできないタイプなんだね」

 

「うーん、安定のリオンさん」

 

 

 

ダメだった。

どうしてもこうなると微笑んでしまうのは良い癖なのか悪い癖なのか……多分良い癖だと思いたいが。

というより、もうこうなるのが予想できてたんだな……

なんというか、小っ恥ずかしい。

 

 

 

もうヤダ、誰か俺を叩いて。

願わくば気絶させてそのまま今のことを忘れさせて。

 

 

 

「まぁまぁ、それ程いい人ってことじゃない?」

 

 

 

信用されていることは確かに嬉しい。

でも、なんというか、自分の理想とは違う……

真反対なんだ……俺のキャラじゃない気がするんだ……

俺はどちらかと言うとクールにかっこいい奴になりたかった。だが現実はどうだ!ただの穏やかなお兄さんじゃないか!自分でお兄さん言うのもアレだが!

心の叫びが漏れた。

 

 

 

「まーでも、穏やかなお兄さんやお姉ちゃんの方が私たちとしてはいいかなとは思うよね」

 

「私たちのお姉ちゃん、穏やかじゃないけどね?」

 

 

 

絶対M16とかアルケミストとか40とか、上らへんの方だなと容易に想像がつく。

あいつらはむしろ妹関連になったら暴走しかねない。おそらくあの中で一番穏やかなのがアルケミストだろうからもっと酷い。 正直、考えただけで胃痛がする。

 

 

 

「……なんだろ、急にお姉ちゃん達に甘えたくなってきたなぁ……」

 

「こういう話をしてると、くっつきたくなるよね」

 

「戻ったら構ってもらおうかな〜……」

 

 

 

幸せそうな妹たちだ。

さぞあの姉たちもこんな妹たちがいて幸せだろう。

……何となく、本当の自分の家族が気になってきた。世界線を飛び越えてしまった以上もう何処にいるか、生きているかすら確認するすべは無いが。

それでも、せめて覚えていればと思った。

本当に疎遠になっただけかもしれない。

どこかで死んだのかもしれない。

もしかしたら、自分の手で殺したのかもしれない。

 

 

 

分からないというのは、一番幸せであり、一番不幸なのかもしれない。分からないことで真実は消え失せる。

分からないことであらゆる可能性が生まれる。

それが苦痛かどうか、救いかどうかはその人次第だろうが……俺はどちらかさえ分からない。

……少し、寂しくなってきた。

 

 

 

「……どうしたの?」

 

 

 

「いいや?何でもない……楽しそうだなと思っただけだよ」

 

 

 

この疑問は俺だけのものだ。

幸せなものに不幸を振りまく趣味はない。

基本的にネガティブな考え方が多い俺の考察は、あまり参考になどならない。だから、きっと俺の家族は……

いいや、この話は忘れよう。

今の俺には、彼女たちという最高の仲間がいる。

昔なら違ったかもしれないが、今は平和だ。

それに……失った物も戻ってきた気がするしな。

 

 

 

「なんというかさ、やっぱり……自慢はしたくなるけど、自分の姉が1番なのは皆変わらないよね」

 

 

 

9の言う言葉に2人とも頷いた。

その人にとっての姉とは、その姉しかいない。

だから、その人が1番になるのは当たり前なのだ。

それを自慢したいかしたくないか、そのくらいの違いなのだろう。愛されているな、あの姉共は。

またさっきのように頬が緩んでしまった。

俺も随分と絆されやすいものだな。

まぁ、悪い気はしないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「SOPー!SOPはいるかー!?」

 

「9〜。そろそろそろそろ帰らないと40からまたいたずらの刑食らっちゃうわよ〜?」

 

「デストロイヤー、そろそろご飯だから帰るぞ」

 

 

 

 

姉共降臨。

なんでお前ら俺の部屋に居るって気づいたのさ。

M16は禁酒令が出ていたはずなのにいつの間にか出来ている状態で迎えに来たらしい。

45は早く帰らないと40にいたずら……心配されると言っておきながら本人が心配で来てしまったようだ。

アルケミストは普通にそろそろご飯にするから帰るぞと母親のような理由で戻しに来たらしい。

 

 

 

「うん、私はここだよー!」

 

「まだそんな時間じゃないのに〜。心配症だなぁ45姉も40姉も」

 

「分かったー。今日はどんなものかなー……」

 

 

 

三者三様の返答を返す。

反応はそれぞれ違うが、答えの意味は同じだろう。

姉たちへの思いも。

平和な姉妹だ。

見ているこちらも温かい気分になる。

……どうでも良くなってはいないが、さっきの疑問のことに関しては、今は気にしなくていいと思えた。

今は、こんな温かい空間に居られるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういや……なんでお前らの妹が俺の部屋に居るってわかったのさ」

 

 

 

「「「姉の勘だ(よ)」」」

 

 

 

やっぱりこの姉たちはおかしいよ。

 

 

 




・毎日投稿が途切れてしまい申し訳ありません。なかなかネタが浮かばないのとどういう話の持っていき方にしようかと考えると時間がかかってしまいました。

・今回はほのぼのギャグ……に見せ掛けたシリアス……と見せかけたやっぱりギャグ回でした。妹達可愛いよね。

・未だ緩やかになったとはいえ、UA数やお気に入りが増えていてありがたい限りです……。少しペースは遅くなってもまだまだ書きます!

・次回も未定。
もしかしたら、近いうちにシリアス回が入るかもしれません。
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