鉄血もグリフィンも争わない平和な世界を死に損ないが満喫するだけ 作:葉桜さん
投稿に間が空いてしまって申し訳ありません!
今回は本文が長めです。
彼はそこに現れた。
『
砕けて散っていくガラスの欠片が、光を乱して私の目に差し込ませる。彼の姿は妙に神々しく見えた。
暗闇の中、陽光が彼を映し出す。
焦燥と覚悟が入り乱れた表情が彼を作る。
助からないかもしれない。
もしかしたら、自分が死ぬかもしれない。
そんな風にも思ったはずだろうに。
彼は、そんな中でもきっとやって来た。
迫り来る恐怖を無理やり払い除けてでも。
……本当に、彼は命知らずだ。
私の事など、捨ておけば良かった筈。
私は、君を殺した張本人なのに。
君を狂わせた犯人なのに。
私は確かに申し訳なく思った。
君に辛い思いをさせてしまうと。
君の友人として、最低だと。
「生きてるか、生きてるな!?」
彼が私に駆け寄る。
あまりにも焦っているようだ。
揺らぐ視界の中でも、それははっきりと見える。
想像以上に私の傷が深かったのか、それとも手遅れになりかねないと彼が判断したからなのか。
私にその真意は分からない。
揺することさえしないけれど、傷口が痛みそうな何かをしてきそうな勢いだ。
こんな彼は、見たことがない。
「息がまだ有る……大丈夫だ、必ず助ける」
焦っていたその顔から一転。
確実に助けてみせるという思いが滲み出ている。
いつもはふざけていたり、笑ったりしているばかりの彼だ。だから私は、彼がこんな焦るなどとは思わなかった。
そして、この場でそんな真剣な表情が出来るとも。
必ず救う。そんな硬い決意が無ければできない表情だと私は思った。生半可な気持ちの物が、こんな険しい顔はしない。ましてや、普段からふざけているものなら、尚更。
「……聞こえるか、こちらは処置を開始する。防衛の援護を頼む!」
耳に指を当て、その向こうにいる人物に声をかけている。
無理矢理の突入だからか、外の状況は変わらない。
そのままではマズいと彼も分かっていたのだろう。
彼が合図を出すと同時に、銃声が増えた。
幾つかは聞き覚えのある音だ。
そんな中、FNCはあることに気づく。
「……!?別の場所から銃声がする!心做しか攻撃の手が緩んでるよ!」
FNCのその一言でFALも。
……確かに、攻撃の手が妙に緩んでいる。
相手のターゲットが一部乗り変わっているような。
所々の相手が、明後日の方向へ向いていることに。
今が好機と言わんばかりに榴弾を装填するFAL。
FNCも少し口を三日月形に歪め、ニヤリと笑った。
二重の意味で有利な行動を取ったのだ、しっかりと活かしてもらわなければ困る。
そんな風に思っていたのだろう。
彼は密かに笑っていた。
「1発お見舞いしてやってくれ、そっからは楽になるはずだ」
「……もう既に入口近くまで詰められているのは確認している。同じ階からの侵入は俺たちが危険なだけじゃなく、あいつらにもリスクを背負わせることになる」
突破口を見つけた後。
俺は具体的に、その作戦を思いついた。
同じ階からの侵入は経路の特定が容易になってしまう。
何せ、こちらが見つかる危険が多い上に追跡がし易いフロアだ。敵も攻撃している部隊の一部分を切り取って向かわせてしまえばいいだけなのだから。
そうなると、平面的に考えるのは良いとは言えない。
立体的に動くことを考えるべきだ。
「……敵に発見されないまま目標の部屋に入ることが第一条件という事でしょうか。その為にはこの階以外から侵入する必要があるということですね」
G36は俺の考えを要約してくれた。
完全に発見されないのは難しいだろう。
だが、大半は合っていると答えた。
敵が経路を特定できず、なおかつ追撃出来ない方法が好ましい。そんな中で良い方法が見つかったのだ。
中がダメなのなら、外からだ。
そんなちょうどいい方法が、すぐ近くにあった。
こいつを使うと腰のハーネスを指さす。
「あっ、ラペリングですね?そうなると、上の階から入るんでしょうか……?」
MP5、ご名答。
と言うより、そのくらいしかない。
正直、俺の本格的に活動していた時期は野外の救出が殆どだった。建物内の作戦などほとんど行ったことが無く、こういう方法が取れるということを忘れてしまっていた。
我ながら情けない限りだ。
折角の装備を使わないまま腐らせてしまいそうだったな。相手は正規の装備などなく、裏ルートで手に入れた銃器やら何やらを使っているのだろう。
それなら、追跡することも不可能。
簡単で単純ながら、そこに気づくのに時間がかかってしまった。焦りもと自分の経験の過信が足を引っ張ったようだ。
しかし、これだけではまだ問題がある。
未だ攻撃されている中、こちらは徐々に押されている。
いくら俺たち救助部隊が内部に入ったとして、そこから押し返すのは難しい。殲滅部隊が来るのもまだかかりそうだ。
また、目標の部屋に侵入したことが気づかれれば余計に攻撃の手が激しくなることは間違いないだろう。
そうなると、一部だけでも隙を作る必要がある。
それが実行出来れば、そこを攻めることによって相手を崩すことが出来る。特にFALの兵装には榴弾があったはずだ。それを中心に打ち込んでやるだけの時間を稼げたら上出来だ。
「その為にこいつを預ける」
「スタングレネード?これを使って、相手を撹乱するのですか?」
胸に掛かっているもう一種類の手榴弾……
閃光手榴弾をG36Cに預ける。
さすがに使い方は分かるよなと冗談交じりで話す。
ピンを抜いて、相手にぶん投げるだけ。
簡単だろ?そんな風に何とか余裕を作って見せる。
もちろんですわと彼女から返答が来た。
まぁ、使えないとは思ってはいないが。
作戦はこうだ。
MP5とG36C、2人の
しかし、これはあくまでついでだ。
本当の目的は、その2人にターゲットを向けさせることだ。
フラッシュ投擲後は、フラッシュの影響を受けないようにするためブラインドショットによってさらに注意を引いてもらうことになる。ブラインドショットとは、隠れたまま腕と銃だけを遮蔽物から出して発砲する方法だ。
命中率は非常に悪くなってしまうものの、敵の注意を引くだけならば十分だ。その後、彼女たちには一定時間敵の目を引き続けでもらう。
そうして相手が混乱している所で、俺がラペリングによって上階から侵入する。フラッシュが投げ込まれさらに別の場所から発砲されているとなれば、こちらに気を使う余裕は無くなる。
そうなれば安全に侵入を行え、反撃のチャンスを作り出せる。同時に俺がスケアクロウを治療するだけの時間も稼げるだろう。自分で言うのもなんだが、作戦立案に関しては素人に毛が生えた程度の人物がよくここまで考えられるものだと自画自賛する。……まぁ、大した作戦ではないのだが。
「待って、そうしたら私達はどうすればいいんですか?」
G41は何か行えることがないのかと不安になっているようだ。彼女は作戦に関して非常に真面目て忠実だ。
この中で
SMGの二人は一定時間敵を引き付けた後、俺と同じ方法で目標の部屋に合流する。しかし、その間に敵の追撃が来ないとも限らない。わざわざこちらから喧嘩を売っている以上、追いかけられても文句は言えない。
その際、上階で敵を片付ける役が彼女とG36の2人だ。
合流するSMGの援護と共に、追跡してきた敵を排除する。そうすれば相手は余計に戦力を削がれるだろう。
応急処置後の退却が楽になる。
合流後はSMGとは逆の動きで、目標地点に向かい攻撃している敵部隊を強襲、挟撃する。
「……こういう作戦だ。皆、協力してくれるか?」
全員は一同に頷く。
これは成功させなければならない。
失敗は許されない。
非常に危険な事を任せてしまって悪いな。
そんな風に謝罪した。
1歩間違えれば、行動する彼女らが危険になる。
それでも、俺はその決断を下した。
彼女達なら、絶対に……
訳の分からない信用かもしれない。
だが今は、信じるしかない。
戦術人形だからこそ、出来る筈だ。
「……OK、すぐさま行動へ移ろう。まずは全員で一つ上の階へ向かう。その後、SMG二人は逆の階段から相手の裏を取ってくれ。AR二人は俺が降下する部屋で待機を頼む」
「了解しました」
「了解ですわ」
「了解です!」
「了解しました!」
命令を理解した4人。
ここからが本番だ。
……クソ野郎共が、報いを受ける時だ。
静かな怒りを抑えながら、作戦へ乗り出した。
「……こちらG36C、及びMP5。所定の位置に着きましたわ」
「ああ。手筈は覚えてるよな?」
勿論ですと良い返事。
二人は既に目標フロア、敵集団の裏側にスタンバイしている。通信の様子からしても、気づかれている様子は無さそうだ。
敵は手負いを総出で叩くスタイルらしい。
つくづく野蛮で脳味噌が足りてないと思わされる。
だが、そんな奴に遅れを取らされている。
どんな手が来るのか予想がつかない。
警戒は最大限に。
「G36とG41も位置に着きました、行動の開始を」
すぐ近くにいる2人が用意出来たことを伝える。
弾倉の交換、予備の弾薬チェック。
そして遮蔽物の位置や部屋の間取り。
どこに待ち構え、どこで撃つか。
その下見が終わったようだ。
本人たちとしては問題ない様子。
迎撃も十分に行えると答えた。
……よし、すぐに行こう。
ロープを窓枠に引っかけ、外へと出る。
そこから下は奈落とは行かない。
底が見える故に恐怖が煽られる。
だが、不思議と逃げようと思わない。
準備は出来た。あと1ステップ。
通信機をまた強く耳に当てる。
「……始めるぞ。閃光手榴弾の投擲を頼む」
「はい……!フラッシュ、行きます!」
通信の向こうで、微かに音が聞こえた。
備えて、という声が聞こえる。
大きな破裂音。
それと同時に聞こえてくる、様々な怒号。
悲鳴、喚き。
あまりにも耳障りな喧騒が合図となる。
「お前らッ!窓から離れろォォォッ!」
勢いを付け、後ろに振れる。
振り子の原理のように、そのまま前へと身を乗り出す。
目の前にはガラスだ。そんなものは壊してしまえばいい。
ホルスターから取り出したM93R Saverで窓ガラスへと思い切り傷をつける。何発もの銃弾が突き破り、俺がそれを蹴る頃には、もう既にほとんど耐える力は無かった。
そのままそれを勢いのまま蹴り壊す。
ダイナミックで、スリリングだ。
まるで映画のワンシーンのように。
白銀に煌めく相棒を構えたまま、突入した。
どうやら上手くいっているらしい。
見る限り、敵の約半数は向こうに釘付けだ。
G36CとMP5の陽動が上手く効いている。
奴らは現在人数で圧すことしか出来ていない。
そんな奴から頭数を取れば、直ぐに弱点が出る。
こちらを向けば奴らに打たれる。
だが、放っておく訳にも行かない。
嫌な選択を迫らせているというわけだ。
逆襲してやると言わんばかりにFALは自慢の弾薬を装填する。相手の中心に打ち込んでやれば、直ぐに崩壊する。
「好機を逃すな!」
そう叫び、装填していた榴弾を3発。
一気に敵の中心に向けて撃ち放った。
弾丸は空気を裂きながらその場へと向かって行く。
一つ、二つ、三つ。
大きな轟音と共に爆風が広がる。
悲鳴と爆音が入り交じり、正しく阿鼻叫喚だった。
「反撃出来ないほど、コテンパンにしてあげる!」
群がっていた者は恐怖し、纏まっていたはずが散り散りに逃げ惑う。人形など所詮人の道具であればいいと傲慢になっていた輩がここ迄錯乱している所は滑稽だ。
自分たちが舐めていた人形に殺される気分はどうだと聞いてやりたくなる。……そんな余裕は無いし、そんな時間の猶予を与えてやるつもりもないが。
そろそろ、彼女たちが退却しても良い頃合だ。
こちらも始めなければならない。
こっちは応急処置に取り掛かる。
その一言を区切りに、ほくそ笑んでいた表情を戻す。
すぐさま処置のための道具や医療品を取り出す。
時間が命取りということを分かっているからか、行動に迷いはない。テキパキと、素早く確実に処置が行われる。
少しの間、痛覚を和らげる薬を投与した。
痛覚は生体パーツ故の機能だ。
生体ならば、薬だって十分効いてくれる。
少し触れる、痛いかもしれないが我慢してくれ。
そんな言葉を申し訳なさそうに呟いては、正確に傷の処置を行っていく。これならば、多少は……
そんな風にも意図せず呟いていた。
「すみ……ません……」
「下手に喋るな。今は安静にしてろ」
謝罪の言葉が飛んでくる。
そんなことを言うな。
お前の責任じゃないのだから。
酷い出血の止血、鎮痛薬の追加投与。
また、彼女が気を失わないように繋ぎ止めることだってしなければならない。応急ではあるが、破損した箇所の修復を行う。時期的に置き換えるパーツを取り付け、ひとまずの機能を取り戻さなければならない。
痛みは鎮痛薬でなんとかなっているだろうが、それでも顔を顰めている。……辛いことは分かっている。
それでも、お前を生かすためだと自分に言い聞かせて。
「ーー指定地点への移動を開始します、ARのお2人が挟撃に回るまで、もう暫くお持ちください!」
通信越しに移動を開始したことを告げるMP5。
その通信が入る頃には、今行える処置を終えたところだ。後は彼女たちを連れて退却するだけなのだが……
まだ包囲されている状況が変わった訳では無い。
一人一人外から下ろすにも、こちらの防衛の手が緩んでしまう。やはり、正面に溜まっている奴らを退かすしかないだろうか。つい先程の榴弾である程度片付けたとは思うが、まだ残っている。
「分かった、出来れば急いでくれ!」
急かすようで悪いが、処置をしたとはいえ長く持つ訳では無い。すぐにでもタイミングを見て建物内から逃げたいところだ。だが、その為には目の前の集団だけは排除する必要がある。正直に言えば面倒だ。
それでも俺たちだけではどうにもならない。
とにかく、今は抵抗するしかない。
ある程度の時間が経った。
言えば、5分程度だろうか。
未だに状況は変わらず。
逃げ出したいのは山々だが、キリがない。
さらに銃声が増え続ける。
まだ増援がいるというのか。
本当に、奴らは何者なんだ。
普通の人権団体ではこんなことはありえない。
本当に大規模なテロリスト組織のような……
頼む。早く来てくれ。
「……聞こえますか、こちらは所定位置につきました。直ぐに挟撃に入ります……SMGの2人もすぐ合流致しますので」
分かった。
そう応えようと思った矢先、俺と同じような方法でG36CとMP5が籠っている部屋の中に入ってきた。
ようやく部屋の中の戦力も整う。
そろそろ、脱出に臨めるだろうか。
こちらで応戦しつつ、機会を伺う。
未だにスケアクロウの顔色は悪いままだ。
苦しんでいるように喘ぐ声が聞こえる。
苦悶に満ちた声が、俺の心を蝕む。
聞いていられない。
俺自身も苦しくなる。
頼む。もう少しなんだ。
……この野郎共もしぶとい。
そこまでして人形が憎いか。
お前たちにはそれに値するほどの思いなど無いだろうに。良くもまぁ自分の欲だけでここまでやれるものだ。
怒りや呆れを通り越して、感心する。
……俺や指揮官が殺意を抱くのも、当たり前な訳だ。
外ではG36とG41が攻撃を開始している。
対応するように部屋の中にいるメンバーが応戦を続ける。俺はその間、スタンガンによって動けなかったFive-SevenとFN49を続けて治療する。彼女達は高圧の電流で一部の機能がダウンしていただけであり、簡単に回復させることが出来た。
「ありがとう、私もすぐに加わるわ」
「す、すみません……私たちの不注意だったにも関わらず……」
お前たちの不注意ではないと答えた。
後ろめたい奴というのは、必ず気付かれないように動く。特にこの場所では、鉄血との戦争がない分平和ボケしていた部分もあるのだろう。それを入れたとしても、彼女らの責任とは言えないと思っている。
あの抵抗したクズが悪い。
あれは普通では手に入らない違法品を所持しているのだ。幾ら人権団体とはいえ民間人。
普通はそんなものを所持しているとは思わない。
謝りたいなら、無事に基地に帰ってからにしてくれ。
そう言って謝罪を払い除ける。
「このままじゃこちらがジリ貧よ……時間がないって言うのに、援軍はまだなの?」
FALは不服そうに漏らした。
俺もさすがにそれは思う。
そろそろ、流石にこちらも限界だ。
早く来てもらわなくては……
そう思った時だ。
「皆さん、聞こえますか!AR小隊、到着しました!これより敵戦力の排除へ移ります、直ぐに基地への帰投の準備をお願いします!」
M4A1の声だ。
通信の内容にもあるように、どうやら殲滅部隊にはAR小隊が選ばれたらしい。
アイツめ、ここから出せる最大戦力の部隊を投入したか。余程腹が立っているのか、冷静に考えて先程のような異例を危惧して力で捩じ伏せに行ったか。
どちらにせよ、ようやく来てくれたことには変わりない。
これで抜け出すことが出来る。
かなり時間がかかってしまった。
だが、今の状態で俺に出来るのは彼女がどうか耐えていてくれと願うことだけだ。
帰投するまでは、本格的な治療もできない。
苦しいが、何も出来ないのだ。
「……すぐにでも抜け出す準備をするぞ。G36、G41。殲滅部隊の到着後、直ぐに撤退する。その際は合流を早めにしてくれるか?」
了解しました!とG41の元気のいい返答だ。
直ぐに逃げることさえ出来ればいい。
彼女達の身の安全を確保したら、その先はAR小隊の仕事だ。彼女達はこの基地でのほぼトップと言って良いエリート部隊だ。それでいて殲滅命令が出ているということは、相当なヘマをしない限りは必ず成功する。
彼女らに匹敵するのは、404小隊くらいのものだ。
……そんな風に思っていたら。
通信が入ったのはつい先程。
1分経ったかも分からないレベルだ。
部屋の前を包囲している集団の悲鳴が増えた。
増えたかと思えば、途端に止む。
銃声はほとんどしていない。
どういう事だ。
その疑問は、すぐに解決されることになるのだが。
「聞こえる〜?整備士さ〜ん?」
こんな甘えたような飄々とした喋りをする人形など少ない。こんなタイミングで報告もなしにやってくる人物ともなれば、ほぼ確定だ。
「……来てくれてんなら一言位くれよ、45」
噂をすればなんとやら。
どうも、404小隊が若干先行していたらしい。
逃げ遅れちまうだろとボヤくと、45は冗談交じりで元から逃げ遅れてるでしょと返された。
全く持って返す言葉もない。
もう既に目の前の敵集団をほとんど排除している。
三方向からの集中砲火ともなれば耐えれるわけも無い。
榴弾で半壊滅していたとはいえ、補充要員もいた中殲滅するとは、やはり彼女らはレベルが違う。
今となっては頼もしすぎるな。
「撤退ルートはもうあたい達が確保してるから、さっさと撤退しちゃって!」
「残りは私たちとAR小隊でやるから、容態が余計に悪くならないうちに!」
40からはもう既にルートの確保をしているとのことを伝えられる。さらに追撃は404小隊が止めてくれるとの旨も9が伝えてくれた。どれだけ用意周到なのやら。
まぁ、時間がかかった訳だ。
これ位して貰わなければ割に合わないな。
「悪いな、助かる!」
「礼なんていいから早くしなさい、AR小隊が来る前に片付けちゃいたいのよ」
「素直じゃないなぁ……まぁ、416の言う通りにしなよ。1人残さず潰してくるからさ」
対抗心むき出しに見せかけて心配してくれる416。
言われた通りにしてと唆すG11。
G11の方は報酬はラムレーズンアイスね……と呟いた。
ふざけんな。いつも俺の冷凍庫漁っては突っついてるだろうが。なんて突っ込んでやりたかったが。
今回は助けられてる立場だ。
1段階くらい良い物をくれてやる。
だから、今はまず逃げる事が最優先だ。
「……分かった、撤退に移る!スケアクロウは俺が運ぼう」
動けないスケアクロウを連れていくのは俺が適任のはずだ。戦闘力で言ったら俺が1番頼りにならない。
連れていく人物は戦闘行動が限られる以上、俺以上の適任はいないはずだ。
肩を貸したところで、上手く歩ける訳では無いだろう。そうなると、この方法が1番良いはずだろう。
そう思い、スケアクロウを抱えた。
所謂、お姫様抱っこの状態だ。
「……似合ってるわ、その状態」
「茶化すな、置いてくぞ?」
こうするしかないんだから仕方が無いだろう。
なにがそんなに面白いのやら。
俺が人形を抱えるなんていつもの事だ。
何故そんなにケラケラ笑ってるんだ。
未だ危ない状況だと言うのに、気楽なものだ。
後ろには404小隊が。
前方にはAR小隊が。
こいつらに勝ち目などもうない。
あとは任せてさっさとずらかる。
そう思い、駆けようと思ったときだ。
何者かが俺の足を掴んでいる。
力強く、倒れ込んだまま。
死にかけのクズが俺を行かせまいとその道を阻んだ。
勿論、全員が撃とうとする。
俺はそれを静止した。
「テメェら……タダで済むと思うなよ……」
「あ?」
今だに口だけは衰えない。
そんな姿に免じて、大サービスを暮れてやる。
面白い奴は最後に殺すと相場が決まっているからな。
少し薄ら笑いを浮かべて……
「……ゴミが喋るなんてな。ゴミはゴミらしく黙ってろ」
大きく火薬が炸裂する音。
掴んでいた腕は思い切り吹き飛ばされ千切れていた。
そこにあったはずの腕が無くなっていることに気づき、もはや恐怖も限界だったのだろう。
そのまま気を失いかけている。
その弾丸を撃ち出したもの。
それは白銀に輝く拳銃ではなく、鈍い黒が光る別の拳銃だ。
通常では扱えない、高火力の弾を使うために作られた物……マグナムだ。銃身には『
44.automag Killer。
相手を殺すことに特化した、最悪の改造拳銃。
どこかで使うだろうと思っていたが、よもやストレス発散の為だけに雑魚に向けて撃つとは思わなかった。
「……お前のやった事の報いだ。潔く受け入れるんだな……ッ!」
思い切り足を上げる。
自分の全体重をかけて、その顔面を踏み潰した。
これでもう立って来ることはないだろう。
周りから見ていたやつからしたら、余りにも狂気じみていると思われるかもしれない。
だが、これは確実に敵を仕留める為だ。
2発もこんな奴に使いたくはない。
邪魔者は居なくなった。
あとは撤退するだけだ。
無事、俺達は支援を受け脱出することが出来た。
スケアクロウの治療を急ぐために、俺はまた単独行動で直ぐに基地へと帰投することに決めた。
スケアクロウ本人やFN小隊、今回救出作戦に協力してくれたGr小隊はヘリで帰投するらしい。
帰ってからが余計に大変だ。
だが……とにかく、手を尽くす。
今回は手こずったぶん、もう治療で時間は食えない。
一刻も早く、修理を行わなくては。
「…………聞こえるか?医務室の手配を頼む。スケアクロウの治療を帰投後直ぐに行う。何人か技術者を貸してくれ。俺だけで手が回るかは分からないからな」
絶対に、見捨てないからな。
・次回で救命行動-Operation Lifesave-編は終了です。
・今回の作戦に協力してくれた小隊のメンバーは全員Grと付くので小隊の名前を”Gr小隊”としました。
・シリアスだけどシリアスしてない気が……
・次回は早めにする予定です。
次の回も、お楽しみに。