鉄血もグリフィンも争わない平和な世界を死に損ないが満喫するだけ   作:葉桜さん

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非常に遅くなってすみませんでした!!
体調悪くしたり疲れてたり、サボってたりしました……(小声)

誤字修正と少し文を変更致しました。(2019/09/23 00:29)


状況訓練II:精鋭達の仮想戦場

 

「……行動、開始!」

 

 

 

指揮官のその一声によって、廃墟は精鋭達の戦場と化した。AR小隊は一斉に行動を開始した。

規則正しく、陣形を崩さず。前線には敵を引きつける役のM16A1と、唯一のSMGであるRO635が陣取る。

その後方には、主に敵に打撃を与える役であるSOPMODIIと、的確に敵を減らしていく役のAR-15。

そしてその中心には、この小隊の中枢となる人物……M4A1だ。

 

 

 

彼女達は、この基地におけるエリート達だ。正面戦闘において確実に彼女達の実力は他の人形のよりも頭一つ抜けているだろう。彼女達は、彼女たち自身が引き連れているダミー以外の個体を持たない……唯一の特別な人形たちだ。

故にその戦闘能力、作戦遂行能力が高いのだろう。

 

 

 

《クリアリングをしっかり、誰かが攻撃を受けた際は直ぐにカバーに入れるようにして》

 

《了解、周囲に注意しつつ前進します》

 

《後ろは任せるからな、2人とも》

 

《任せて、鉄血の人達を見つけたらすぐどーん、だね!》

 

《SOP、声を小さくして。敵に勘づかれるわ》

 

 

 

その理由は、彼女達が16Labの直属だからだ。

16Labは、人形達の生みの親とも呼べる技術者……ペルシカが所属している。このAR小隊の人形達も、彼女の手によって生み出された存在と言っても過言では無いだろう。

ペルシカの他にも優秀な技術者が揃っている所で生まれた者達だ。戦術人形としての性能は比べ物にならない。

 

 

 

M4A1も、普段の彼女とは打って変わっている。

任務の時や戦闘の時は隊長らしく振る舞い、確かな実力を持ち合わせているというところを見せてくれる。

それに合わせるかのように、他のメンバーも動く。

AR小隊の中核は、間違いなく彼女だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、AR小隊は最高の戦闘力を持っている部隊だ。……彼女達の力を過信している訳じゃないが、彼女達の今回の訓練における具体的な目的ってなんだ?」

 

「今回のAR小隊への口実としては……ほら、彼女達は正面切っての戦闘は確かに得意だ。だが……相手が必ず正面から来るとは限らないからね。奇襲への対策や、罠などの対処を学んでもらおうかなって事さ」

 

 

 

クラウスが言うには、彼女達は正面戦闘が強い故に相手は奇襲を仕掛けることが多くなるだろうと踏んでいるらしい。

その為、室内戦闘での周りへの警戒や索敵、もしも奇襲を受けてしまった際の対処などを想定した訓練のようだ。

 

 

 

確かに相手はそういった知略や、奇襲、闇討ちが得意なタイプだ。そうすると、正々堂々行く彼女達にとっては不利になりがちだろう。そこの対処に関して実践を通じて学ばせようということか。

 

 

 

「……さて、別チームの映像も見てみようか」

 

 

 

そう言うと、別チーム……現在AR小隊の相手となっているチーム、鉄血ハイエンド達の視点が映し出される。

予想通り、全く見覚えのない場所だ。

彼女たちは最初から別々の場所に招集されており、そこからいきなり始められたのだ。

わざわざそんなことをする必要があるかと疑問に思う。

されど、コイツの考えることだ。

まだ、黙って見ているとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

《……ビットで偵察をしてみましたが、敵影はありませんわ》

 

《なんだよ、まだお預けってことか?》

 

《焦るな処刑人。無理に仕掛けても負ける》

 

《簡単に倒してもつまらない。多少頭を使う程度がいいって事さ》

 

 

 

5人のいかにも強者らしいような雰囲気を出す小隊。

本来は小隊ではなく、個人個人で動いているのだが。

彼女たちが噂の鉄血ハイエンドだ。

 

 

 

《痕跡もなし、音もそこまで聞こえません……まだ近くにはいないと思われます》

 

 

 

周りの状況を調査しているのはスケアクロウだ。

周りに浮いているビットはどうも攻撃だけでなく索敵にも使える様子。しかし、成果は得られず。

この建物は広いのか、手掛かりがない。

彼女もこれには手を焼いているようだ。

 

 

 

《そろそろ始めたいところなんだけどな》

 

《時が来たら嫌でも働くことになる、今は座して待つべきだ》

 

 

 

潜伏しているのは処刑人とハンター。

彼女達は、特定の1人を追い詰めることに特化している。

しかし、処刑人は近距離での切り込み、ハンターは遠距離や罠を張り巡らせての戦いを得意としている。

凸凹に見えるが、彼女たちの特性はお互いを補うように出来ている点もある故、2人が組むと非常に強力だ。

 

 

 

《1回は奴らと戦ってみたかったんだ……ああ、ゾクゾクしてきた》

 

《アルケミスト。気持ちが昂ぶるのは分かりますが、今はあくまで訓練です。本来の目的を見失わないように》

 

 

 

残り2人はイントゥルーダーとデストロイヤー……かと思っていたのだが、居たのはアルケミストと代理人。

イントゥルーダーは電子戦特化のため、本人の戦闘能力は他のハイエンドと比べると少し低い。

そのため今回は選ばれなかった。

デストロイヤーに関しては彼女の得物が榴弾を使用したグレネードランチャーだ。場所が建物内ということもあって、殺傷能力が他のハイエンドと比べて飛び抜けて高すぎる。更に言うと最悪の場合彼女の放った榴弾が建物の崩壊を招きかねない。

そういった理由で現在はこの場にいないという事だ。

 

 

 

逆にアルケミストは兵装的にも室内で不足なく戦闘が行えるレベルであることから抜擢された。

代理人は言わずもがな、本人が鉄血ハイエンド達の司令塔として動くことが出来る最大の戦力だからだ。

 

 

 

《我々の役割は別れています。各々、自らの性能をよく理解し……相手を的確に追い詰めていきましょう》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前が考えてることが、丸々代理人の口から出たような気がするな」

 

「流石代理人だ。俺の意図をしっかり読みとってる。彼女の言った通り、鉄血ハイエンド達への意図は”個人の特徴を生かした連携”にある。彼女達は確かに優秀だけれど、如何せん皆我が強い所があると思うからね」

 

 

 

鉄血ハイエンドたちは皆、個性が強い。

そして、自我が強い故に衝突も珍しくない。

そんな彼女達に必要とされているのは、スムーズな連携だろう。同じことを想定されていない設計ではあるものの、それを生かした戦いをする事が出来たならば、他の小隊など敵ではない。

その為にも、今回の戦闘訓練を通じて連携を取りやすくさせたい訳だろう。

 

 

 

「……さて、そろそろ始まりそうかな。敢えて404小隊の画面は

伏せておこう。彼女たちの行動が闇に包まれているのは、今に始まった事でもないしね」

 

 

 

そんな風に格好を付け、勿体ぶるように彼女たちの行動を隠す。普通の戦闘訓練ならば、そんなことをしなくてもいいはずなのだが。むしろそうされると俺が困る。

こっちは彼女達の行動の癖を読み取るために来たのだ。

観察によっての治療の効率化を図る以上、彼女達の行動が見れなければ本末転倒ということだ。

奴の意図も未だ分からない。

そんな時だ。

 

 

 

画面はAR小隊へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《目標を発見しました!》

 

《そのまま進んで、相手に攻撃を仕掛け……》

 

 

 

ROの敵発見の合図。

そのまま相手に仕掛けようと思った矢先だ。

 

 

 

《!?危ない、背を遮蔽物に隠して!》

 

 

 

鳴り響く炸裂音。

AR-15が叫ぶと共に、全員が別々に壁へと背を付ける。

彼女が叫ぶ前に描いた直線の軌道は、偶然か否か……誰にも当たることは無かった。

されど、その一撃は彼女達を困惑させるのには十分すぎるほどの1発だ。敵は確かに見えていた。

しかし、今撃たれたのは紛れもなく事実だ。

 

 

 

《嘘でしょ!?ハイエンド達はついさっきROが……!》

 

《落ち着けSOP!焦ればやられるぞ!》

 

 

 

その1発を区切りに、銃弾の風が吹く。

彼女達よりも早い連射。

鉛玉の風は、彼女達を封じ込める。

反撃の隙は見えない。

唐突の奇襲からの混乱。

 

 

 

銃弾の嵐の向こう側には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《……外した……!どうして、私は完璧なのに……!》

 

《落ち込むのは後ー!416のおかげであたい達が動けるんだから今はそういうこと言わないの!》

 

《G11、後ろは大丈夫?》

 

《うん、大丈夫。あとは3人がある程度まで貼り付けといてくれればルート確保するから》

 

《お喋りも後にして、油断したら手痛い反撃がくるわよ》

 

 

 

なりを潜めていた404小隊のお出ましだ。

やはり裏の部隊と言うだけある。

奇襲を真っ先に仕掛けたのは彼女達だった。

しかし、どこか引っかかる。

彼女達は、AR小隊の相手として伝えられていただろうか?

 

 

 

 

 

 

 

「……どういう事だ、クラウス。アイツらの相手に404小隊は伝えられていなかった筈だが」

 

「わざとだよ。そうでもしないと、不測の出来事なんて起こせないからね」

 

 

 

答えはNOだ。

彼女たちが伝えられていたのは、鉄血ハイエンドが相手ということだけだ。……つまりは、404小隊に関しては何も伝えられていない。敵になると伝えられていなければ、味方になるとも伝えられていない。

なるほど。

お前の意地悪とはこういう事だったか。

”不測の出来事”を引き起こす為に、わざと最初から情報の一部だけを伝えなかったというわけだ。

 

 

 

《ごめん、弾切れしちゃった!》

 

《おっけー、あたいが変わるよ!》

 

《9、私と40が1マガジン撃ち切ったら陽動に出るから準備して!》

 

 

 

UMP三姉妹のコンビネーション。

連射力の高い彼女たちが磔にしていた張本人だったようだ。2人が弾幕を張り、1人が撃ち切ったら控えのもう1人に。

そうすることによって安定して制圧を狙ったのだろう。

 

 

 

《こっちは潜伏完了したよ……眠いから寝てもいい?》

 

《今寝たらストックで叩くわよ。……早くこのナマケモノに餌を上げてやって》

 

 

 

最初に全員を認識させず、ARの2人が別の場所で潜伏している。意図的に相手をおびき出し、的確に仕留めていく算段ということだろうか。

ここで1つ指摘するならば、AR2人が襲われた場合が1番面倒になるだろう。ARは火力、射速共に優秀ではあるが……防御面や耐久性がある訳では無い。

攻撃を引き付け、回避出来るSMGが居ない以上はリスキーな行動となるだろう。

 

 

 

当の2人はコントのようなやり取りをしているが。

416もG11も、ARの人形の中でトップクラスの実力を持つ。そんな彼女たちに奇襲を仕掛けられたとなったら、まず被害は免れない。今回は幸運だったのだろう。

特に、今回は1発でも命中した時点でアウト。

あの1発が命中していれば、AR小隊は更なる混乱に陥っていたかもしれない。

相手を揺さぶるには最適の一撃だ。

 

 

 

《敵の弾幕で下手に身を出せません!》

 

《どうすればいいの!このままじゃ私たち追い詰められちゃうよ!》

 

 

 

SOPの指摘は的を得ていないと思った。

傍観者側からすると、牽制をされているだけだ。

それだけでは追い詰めるには至らない。

 

 

 

しかし、その発言が意外にも的を得ていると知るのはすぐだった。

 

 

 

《……!まずい、聞こえづらいが確かに別の誰かが近づいてきているぞ!》

 

《この状況で……!?今退避できる場所は……!》

 

 

 

牽制されているこの状況の中、他の敵がきたとなれば逃げ場が無い。SOPの言った通り、本当に追い詰められている状況だ。

さらに言えば、今メンバーは2つに分断されている。

通路を跨いでM4とAR-15、ROとSOPとM16という風に別れている。ここで問題になるのは、M4側には攻撃を捌ける人物がいない。

 

 

 

別々に逃げたとして、そちらを攻撃されてしまえば間違いなく2人ともやられてしまうだろう。

この状態ではどう動いていいのか……

そう思考を張り巡らせていたのだが。

 

 

 

 

 

 

 

銃弾の嵐の中、その流れに逆らう一本線。

 

 

 

《うわっ、こっちに弾が飛んできた!?》

 

 

 

牽制射撃を行っていた40が間一髪で銃弾を避けた。

もちろん通りすぎた軌道も少しは見える。

だが、あまりにも突然だったのだ。

 

 

 

《AR小隊は私たちで釘付けにしてたはず……遮蔽物からも顔を出していない……どこから飛んできたというの?》

 

 

 

AR小隊が顔を出した所も、銃身を出したところでさえ見ていない。そんな状態で銃弾が飛んでくるということは、何処かに1人忍ばせているのだろうか?

様々な戦場をくぐりぬけてきた彼女ならば、そう思うだろう。相手は隠れているうちに何をしているかは分からない。

ならば、気付かれないうちに回り込まれていたり、近づかれたりしていてもおかしくはない。

 

 

 

そんな仮説を立て、45がさらなる指示を飛ばそうとした時だ。

 

 

 

《45姉!そこに何か浮いてる!》

 

《……ッ!》

 

 

 

9の叫びでなんとか反応出来た45。

そこには確かに浮遊する物体が1つ。

それは殺傷能力のあるプレゼントを渡すには十分な配達屋だ。こんなものを飛ばせるものなど一人しかいない。

 

 

 

《416、G11!作戦変更よ!陽動は中止!想定外の敵から攻撃を受けてるから援護して!》

 

《えぇ……?予想外なの……?絶対危ないじゃん……》

 

《つべこべ言わないG11!今動かなかったら私達が余計面倒になるからさっさと援護に行くわよ!》

 

 

 

素早い対応だ。流石は404小隊の長という所か。

こちらも想定外と言っているあたり、伝えられていなかったのだろう。段々と法則が見えてきた。

 

 

45が9と40に指示を飛ばそうと向きを変えるその時。

 

 

 

《よそ見は禁物ですわ》

 

《やっぱりか、狡いことをするわね!》

 

 

 

聞き覚えのある言葉遣い。

やはり、予想は容易だったか。

当たり前ながら、ビットの持ち主はスケアクロウだ。

もう片方のビットを用いて指示の暇を与えないように上手く立ち回らせる。

 

 

 

狡いとは心外ですわ、と軽口で返すスケアクロウ。

実際俺もズルいと思う。だって遠隔操作とか強いじゃないか。しかし、スケアクロウ本人の戦闘能力は皆無に等しい。ビットを撃ち落とされてしまえば、彼女は無力化されてしまう。

それ故に、扱いや立ち回りは普通の戦術人形以上に考えなければならないところだろう。

 

 

 

さらにそれを守るように現れたのは……

 

 

 

《残念ですが、貴女達の相手は私です》

 

 

 

ハイエンド達の長、代理人。

この混沌の中、動じることなく歩みを進める。

ニヤリと口を歪ませ、確かな敵意を剥き出しにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《……鉄血ハイエンド?なぜ私たちではなく404小隊を攻撃しているの……?》

 

 

 

AR-15の疑問は彼女たちからしたら最もだ。

相手は鉄血ハイエンドと伝えられたのに、彼女たちが攻撃しているのは404小隊だ。

彼女達からしたら、不思議極まりない。

しかし……

 

 

 

《……これはチャンスだな。相手が404小隊に気を取られてるなら、私たちの方から奴らを叩ける》

 

《この状況から脱し、優位に立つチャンスは今しかありませんね》

 

 

 

危機的状況不測の事態。

しかし、向こうにとっても同じことが起こった。

向こうも混乱しているなら、今が立て直す絶好のタイミングだ。

 

 

 

《やっちゃおう、M4お姉ちゃん!》

 

《ええ、皆……改めて鉄血ハイエンドたちへと攻撃を仕掛けます!404小隊も攻撃対象に指定、指揮官の言葉通り……”チームメイト以外は全て敵”よ!》

 

 

 

改めて体制を立て直すAR小隊。

再び、今度は2部隊を相手と改めて認識し戦場に赴く。

ここまで来たら、今度はAR小隊のターンだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど?わざわざお前は三すくみになるように相手を伝えることによって、全員を混乱させる算段だったって訳か」

 

「そういうこと。404小隊は慣れっこみたいだし、あまり効果はなかったかもしれないが……まぁ、柔軟性を鍛える為ってことで」

 

 

 

なんとも取ってつけたかのような言い分だ。

どちらにせよ、今回の奴の狙いは分かった。

あの奇襲で一気に戦場が展開し始めた。

 

 

 

正々堂々と実力勝負を挑むAR小隊か。

知略を張り巡らせて裏より挑む404小隊か。

個々を繋ぎ合わせて押し潰すハイエンドか。

勝者は、未だ予想がつかない。

 

 

 

されど、既に戦いの火蓋は切って落とされた。

さあ、争乱の始まりだ。

 

 

 

 




・今回は開戦から接敵まで。
これ、後編で終わるのか……?という風に筆者でさえ思っております、ええ。(すっとぼけ)


・Va-11 Hall-aコラボ始まりましたね!(激遅)
実はまだ手をつけていませんが、コラボキャラたちも出していきたいなぁとは思っています。ウサギ狩り作戦の時の2人もできれば出したい……(願望)


・明日は少女戦略最前線05ですね。
皆さんは参加されますでしょうか?
筆者はもちろん参加します。
もしかしたら思わぬ所で……なんてこともあるかもしれません。


・次回は接敵からかっこいい戦闘描写出来たらいいなぁ……(遠い目)



次の話もお楽しみに!
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