鉄血もグリフィンも争わない平和な世界を死に損ないが満喫するだけ 作:葉桜さん
非常に長くなってしまったのと、今回の会だけでは終わりそうにないので急遽タイトルも変更しました。
理由はサボりというのがほぼメインですが……
リアル事情で色々立て込んでいたこともあります。
非常に拙い文かもしれませんが、久々の話をお楽しみください。
AR小隊の潜伏から数分。
404小隊と鉄血ハイエンド達の交戦。
状況は404小隊が優位。
何故かと聞かれれば、答えは1つ。
こちらはメンバー全員に対し、向こうは1部のメンバーが居ない。その状況では、人数的な優位を撮っているのは明らかだ。しかし相手も絶妙。
自分たちの反撃を軽くいなす、されど攻撃の手は緩慢だ。
《ちょっとこのままだと埒が明かないし、そーっと本体を……》
一歩進んで一歩下がる戦況にしびれを切らしたからか、少し合図を45に出して密かにスケアクロウの位置を特定しようと動く40。
9にこの場を任せ離れようと歩き始めるが……
《おおっと、何処へ行くつもりだ?》
《ヤバっ、勘弁してよー!》
口では軽く言いながらも、その指は引き金を引く。
幾つもの軌道が目の前の人形へと向かうが、その巨大な腕に握られた刃によって弾かれてしまう。
《冗談きついなぁ……よりにもよって処刑人と出会うなんて》
《ははっ、そりゃあ悪かった。だが、下手に単独行動に乗り出すのは感心しねえな?》
処刑人。1対1において、最強の強さを誇るハイエンド。
よりにもよって離れた時に限って鉢合ってしまった。
その巨大な刃と拳銃による攻撃は1人では捌ききれない。
もしも捌ききれたとしても、彼女に攻撃は通せない。
これじゃあ勝ち目ないんだけどなぁと呟く40。
《いやぁ……こういう時ってあれに限るよね》
《はぁ?》
能天気な彼女の発言に訝しみを覚える処刑人。
その次の瞬間だ。
《にっげろー!勝てない勝負は捨てるに限るもんねー!》
全力で逃亡に走る40。
軽口が抜けないということはまだまだ余裕ということだろうか。追撃を軽々避けながら走り抜けようとするが……
《上手く掛かってくれたな、小さな兎さん?》
《嘘っ、あたいの逃げ道バレてる!》
逃げた先にはハンター。
まんまと手のひらで踊らされていた。
両手に握られた拳銃からも放たれる銃弾。
とにかく逃げまくるしかない。
まるで〇トリックスの様に銃弾を避けながら、何とか包囲を躱そうと動き続ける。
しかし、着々と追い詰められていく。
されど、一筋縄ではやられない。
擬似銃弾が空気を切り裂いた。
ハンターはその切り裂かれた風を確かに受けた。
振り向けば、失態を取り戻そうとする1人。
《誘い込みが出来るのは貴女たちだけと思わない事ね……!》
《面倒なのは早めに対処するに限るよ……》
《っ、いつの間に……!》
遠距離から的確に狙った射撃。
416が先程よりもより正確に狙いをつけ、確かに彼女に向けて引き金を引いた。ハンターも咄嗟に避けようとするが、G11固有の技能によって放たれる数多の銃弾を避けることはほぼ無理に等しい。狩人が、見事に誘い込まれた。さすがに1人退場か。
そう思った瞬間だ。
《悪いが、イレギュラーとは常に連続するものだぞ?》
《やはり見えないと思ったら……!》
アルケミストだ。彼女は両手に持った獲物で銃弾を全て捌ききった。化け物じみている。しかし、それを可能にするのが彼女の実力だ。故に化け物と呼べるのだろう。
不敵な笑みを浮かべながら、2人に急接近する。
416とG11はリロード中。
この状態では……
だが、この戦場は予想外しか起こらない。
《そうはさせません!》
この戦場ではまだ聞きなれない声。
鉄血にとっても、404小隊にとっても予想外の攻撃。
発砲音と硝煙の匂いが更に強まる。
接近したアルケミストに迫ったのは、AR小隊唯一のSMG……コルト9mmサブマシンガン、RO635。
アサルトライフルに酷似したそれからは、確かに早く鋭い銃弾が何発も放たれた。
鉛と鉄が衝突する音。
散らばる火花。
《おいおい、AR小隊が居るなんて聞いてない……ぞッ!》
並外れた身体能力でも避けられるかわからなかった攻撃。脅威の身体能力を持ってしてどうにか掠める直前程度まで抑えられたようだ。しかし、そこには確かな動揺が見え隠れする。
《私達も、今貴女方が相手をしている404小隊がいるとは知りませんでしたよ……不測の事態を指揮官が作り上げたようですが》
《へぇ……なるほど。つまり撃ってきたあんた達も今は敵ってことだな!》
そんな会話の中、リロードを終えた2人が狙っていたことは既に見えていたのだろうか。右手に構えた銃で2人を、左手に構えた銃でROを捉え器用に攻撃を重ねていく。
しかし、それは本来出せる力を2等分してそれぞれに充てているとも考えられる。
そんな弾には当たらないとダイナミックな動きで回避するRO。その後ろには……
《陽動の時間は終わりです、次へ行くので任せましたよ!》
《はいはい、ありがとうRO。さて……サプライズプレゼントだ、感謝して受け取れ!》
楽しそうに銃を構える。
軽いノリの言葉を発しながらも、その銃口は確かにアルケミストに向いている。
片方だけの瞳が、同じ隻眼を捉えた。
《M16……!どうしてこうも厄介な相手がぞろぞろ……!》
《ヒーローってのは、遅れて登場するものだろう?》
ケラケラと笑いながら、冗談を言ってのける。
本当の主役というのは、狡いことに途中から現れては見せ場を奪って行く。
その狡さこそが、主役たり得る力なのかもしれない。
されど、それまで場を盛り上げていたものからしたらたまったものでは無い。この面倒な事態に、アルケミストも余裕を失いつつある。
《ほら、お前の大好きな戦いだ。楽しまなきゃ損だぞ?》
《本当に変わらない軽い口だな、M16。確かに楽しむのもそうだけど、そこで周りが見えなくなるほど私も馬鹿じゃないんでね》
双方のリロード。
お互いに銃弾を撃ち切り、仕切り直しといった所だろうか。
咄嗟に身を隠し、安全に弾倉を変える。
アルケミストも同じく……少し引き、器用な手ですぐ様装填してみせた。改めて一騎打ち……そう思ったのだが。
《この好機を逃すなんて有り得ないわ、ちょうどよくそこの奴も撃てそうなんだから……!》
もう1つの照準がアルケミストへと向けられる。今度こそは外すまいと意気込む。
自分は完璧だと言い聞かせ、神経を集中させる。
因縁の相手に対して、確かに自分が優れているとしらしめる為に。
《……へぇ。なるほど……ここまで好都合なのもそうそうないな……!》
その真反対、建て直したM16も同じくアルケミストに銃口を向ける。隠された片目が、確かな殺気を溢れさせる。ニヤリと怪しげな笑みを浮かべ、引き金に指を伸ばす。
一斉に双方向から放たれる弾丸。
その中心点にいるのはアルケミストだが……
《(なんだ……?確かに私を狙ってはいるが……)》
あっさりと回避するアルケミスト。
しかし、この2人が狙っていたのはそこではない。
彼女が避けることを最初から想定していた。
彼女達がアルケミストを中継点にして狙っていたのは……
《うっ……!》
《ちっ……!》
その直線上にいる己の宿敵に向けてだった。
上手くアルケミストに注意を向けることによって、もう片方の戦力を的確に削ろうと企てた作戦だ。
すれ違う双方向の力。
一部は衝突し、その方向を変えては跳ね返り。
一部はぶつかること無くそのままお互いの相手の元へとたどり着く。その銃弾に当たるまいと互いに回避行動を取るが……
互いに銃弾が1発だけ命中する。
M16は肩に、416は足に。
この時点で、この2人はアウトだ。
しかし、M16は未だ不敵な笑みを崩さない。
416は味方に何か合図をし、タダではやられんとそのまま外へと抜けていく。その顔はどこか、惜しみながらもしてやったり、と言った顔だった。
それにしても、この2人は特定の獲物になると周りが見えなくなるらしい。集中しているといえば聞こえはいいが、外部からの攻撃を受けては負傷しかねない。
その当たりは不安要素だろう。
そんな分析をするが、まだ状況は終わらない。
《……呆気に取られてちゃ、すぐやられるよ》
静かに大人しく。
気だるげな銃手が引き金を引く。
つい先程蚊帳の外に回されたアルケミストに向けて。
無理やり外へ投げ出されたと言うのに、今度は無理やり引き込まれたということだ。
そんな緩急の激しいペース。
彼女は自分の調子に引き込み相手を蹂躙する。
アルケミストはついてこれるか……
《私だってハイエンドだ……簡単にやられると思うな!》
そこはエリートの意地か。
その急襲さえも、なんとか凌ぎきってみせるが……
《はーい、今日は晴れ時々銃弾の日だから気をつけてー!》
そんな幼い声が響くと同時に無差別に飛び交う銃弾。
アルケミストを狙っているでもなく、G11に向けられているでもなく。そのトリガーの行く末はどこでもない。
辺り一帯全部を壊さんとする勢いだ。
《うぇ……SOPMOD……よく読めないから苦手なんだよね……逃げよう》
SOPMODの戦い方……いや、戦い方と呼べるかどうかすらも危うい。彼女は戦闘となると直感3割、命令追従3割、トリガーハッピー4割位だ。つまり、考えることは苦手で、常に本能のままに戦っているようなタイプだ。
有難いといえば有難いのだろうが、俺からしたら非常に危なっかしくて不安になる。そんなタイプのSOPMODは常に相手の行動の裏を掻くような彼女達にとって厄介極まりない相手だ。
《取り敢えず撃てるところはどんどん撃てー!あはははー!》
特に、今の状況ではもう1人のアサルトライフル使いである416がM16と相討ちになってしまっている。そんな状況でメインの攻撃主であるG11が離脱してしまっては後が辛い。
そう言ったところまで瞬時に考えを巡らせ、彼女は引いた。どうせ自分が手を下さずとも、消耗したあの状態なら……飛び交う銃弾の中、遂に。
《っ!嘘だ、よく狙われていなかったのに……!?》
あの広範囲の弾丸の雨を捌ききれるわけが無い。
半ば、彼女は確信を得ていた。
アルケミストは確かに戦闘能力は非常に高く、特に機動性や反応力に置いては他の追随を許さないレベルだ。
されど、それは同時に消耗が激しいという事でもある。
自分の体力やキャパシティをよく理解することが、彼女の性能を活かす一番の近道ではないだろうか。
アルケミストはルールはルールだものなと呟き、名残惜しそうにその場を後にした。
しかし、今だ大人しくなった訳では無い。
もう片方はもう片方で、さらなる火花を散らしていた。
《あーもー、2対1とかずるいでしょ!あたいは1人なんだよ!》
《これは訓練だ、実戦じゃないだけまだマシと思うべきだろ?》
《処刑人、お喋りはいい!このチャンスを逃がすな!》
奇襲に行った40、処刑人とハンターの戦い。
40も流石の手練れと言ったところだ。
ハンターの銃弾を避けに避けまくって、処刑人しえもなんとか相手にしている。攻撃のタイミングが見つかりはしないが、なんとか残ることは出来ている。
《なかなかやるじゃねえか、なぁ!》
《お褒め頂き光栄です、ってね!》
思い切り刃で薙ぎ払う処刑人。
しかし、その振られた刃を思い切りジャンプで踏みつけて空に舞う40。かなり楽しそうな声を上げながら、確かに相手の疲労を誘っている。されど……
《人数差までは、埋められないだろう!》
《そりゃそうでしょ!あたいだって限界あるんだよ!》
仲のいい会話だ。
しかし、そこで繰り広げられているのは一瞬の油断も許されないシビアな戦い。そんな中で余裕を持てるのは確かにありがたいが、同時に不安とも思える。
そして、こちらにも別のチームの影が現れ始める。
《皆聞こえる?戦闘中だろうから一方的に話すね……AR小隊もこっちに乱入してきたから、恐らくかなりめんどくさいよ……その警告だけ。今から改めて援護に向かうよ》
《りょーかい!ダッシュでお願いね!》
そんな通信が終わった直後……
《お楽しみに割り込むようだけど……私たちを忘れないで頂戴!》
正確に狙われた一撃。
命中を狙うのではなく、明確な隙を作り出すためにに撃ち込まれる。確かにそれは、目の前の獲物に夢中になっている処刑人の足元に散る。
《新手か!悪いハンター、あの鼠は任せた!》
《分かった、1対1で遅れを取るなよ!》
そう言って、今なお逃げ続ける40を追う処刑人。
ハンターが目をやるその先には……
《そうか。相手を弱らせ、確実に勝ちを掴みに行く……AR小隊で私と同じタイプの考えを持っているのは一人しかいなかったな》
……AR-15。その名前を口にした。
その名を口にするその声はどこか嬉しそうに。
同じ堅実な狩人同士の戦いに思いを馳せる。
《残念だけど私は狩人じゃない。ただの兵士です》
《よく考え動ける兵士など、ひと握りもいないだろうに》
称賛と取れる言葉。それと同時に、二丁の拳銃が火を噴く。
もちろん、直接仕留めては面白みがない。
しっかりと考え突き詰め、確実な勝利を収める。
それこそがハンターの戦いだ。
《獲物は逃がさない……!》
だが、安易にそれに乗らないのが彼女だ。
《牽制射撃というのが見て取れるわ……その程度の脅しに引っかかると思わないで》
言葉を発しながら撃ち続けるAR-15。
少し狙いが恐怖でブレていることを隠すように。
その様子を、目ざとく見るハンター。
これはチャンスだ。
そう確信して追い込みに行くが……
《私たち戦術人形は基本チームで動く……それを忘れたのですか?ハンターさん》
《……そうか、混戦で私もどうやら混乱してしまったようだな……狩人として、まだまだということか……》
後ろに立つのはAR小隊のリーダー、M4A1。
その銃口は確かに頭部に向けられており、戦術人形の持ち合わせるスペックでは動こうとした瞬間に撃たれるだろう。
これが後ろのM4だけならば、ハンターは容易く返り討ちに出来るだろう。しかし、今は2対1だ。
いつどこから、どの敵が現れるかわからない。
今回は運悪く同じ敵チームを引いてしまった。
下手に抵抗しても意味が無いと悟ったか、両手を上げ降参の合図。
《今回は少し運が悪かったわね》
《全くだ、これが先程逃げたG11でもあれば変わったかもしれないがな》
少し悔しげに笑うハンター。
余談だが、疑似銃弾でも当たると結構痛い。
そんなことを知っていたAR-15は取り敢えず痛くないようにちゃんと防御されたところに1発だけ撃ちハンターを討ち取った。当のハンターはそんな止めに少し苦笑いだったが。
《ねぇー!なんでそんなにしつこいのー?》
《お前が早く捕まってくれれば終わるんだがな、そういう訳にも行かないんだろ!》
ハンターが討ち取られた現場にたどり着くのは、それこそ猫と鼠の様相。未だちょこまかと逃げながらも反撃を続ける40と1対1の状況を掴もうとする処刑人だ。
未だにいたちごっこをしていたらしい。
《もう1人も仕留めるチャンスね》
《AR-15、連携を崩さないで》
起動した当初から一緒の2人。
阿吽の呼吸というのだろうか、シンクロしているかのような連携を見ることも多々あった。
今回もそれを見られるだろうか。
そんな期待が高まる。
確かな希望の一手を掴むため、2人はまた別の獲物を狙い始める。
「……交戦が始まってから、というもののかなりの波乱だな」
「そりゃあそうだ。だってそうなるようにしたんだから」
何ら悪びれない指揮官。
後でクレーム付けられても知らないからな。
しかし、こうして改めて見ると彼女達の能力の高さが実際に感じ取れる。エリートという事もあり、確かに実力があるということは理解している。
しかし、共に行動する時は余裕が無い時だ。
こうして冷静かつ客観的に見ることなど、これが初めてではないだろうか?
「AR小隊はM16を、404小隊は416を……鉄血ハイエンドはアルケミストとハンターを失った。今人数で見れば鉄血は明らかに不利だね」
「各々の役割を重視している分、融通の聞かない面もあるんだろうな……道理で鉄血の技術者達がI.O.P.に勝てないと嘆くわけだ」
正直な所を言うと、鉄血寄りの俺からはなんとも言えない思いだ。確かに個人個人の性能は確実に炊けているはずなのだが、柔軟性が低いと言う点においては難しいところだ。
「でも、やらせた目的は達成したね。いい連携だと思ったよ、あれは」
「まだ終わってないだろうに。残りは15分程度だ……どんでん返しなんていくらでも起きる。実力のある者なら、尚更な」
俺が個人的に応援するならば、やはり鉄血のハイエンドたちに勝って欲しいという思いはある。かと言ってAR小隊と404小隊に負けて欲しいという訳では無い。
自分的には……
場面は変わり、UMP姉妹へと視点が向けられる。
《ねえ45姉!ついさっきから40姉の姿が見えないんだけど!》
《平気!私の姉なんだから生き残れるわよ!》
代理人の下部アームに取り付けられた武器から次々と放たれる銃弾と、スケアクロウのビットによる猛攻をなんとか耐えながら応戦する2人。本当ならG11か416の手助けが欲しいところだろう。
《処刑人は……未だ追いかけっこの途中ですか?》
《40さんが予想以上に耐えているようです、仕方ありませんね》
逆を言えば、こちらもこちらで2人も戦力を失っている。
そんな状態で完全に追い込めるかと言われれば、出来ないことは無いが難しくはなるだろう。
この状態は一見して有利に見えるが……
スケアクロウは至近距離まで接近されてしまえば為す術が無くやられてしまうだろう。敵は今見えている2人だけではないのだから。彼女達としても、援軍が欲しいだろう。
《……聞こえる?G11!今何処!》
《近くだけど……トリガーハッピーが居て下手に動けない……》
G11は未だに猛犬に目をつけられていたようだ。
炙り出し、という意味では有効な手かもしれないが……
弾薬の無駄遣いもそうだが、リロード時が怖い戦法だ。
その時のためにROがついているのだろうが……
どちらにせよ、G11も2対1の状況では下手に動けないのだろう。
《当初の作戦がめちゃくちゃだよ〜……》
《そんな事でやられてたら、私達は今頃スクラップになってるでしょ?だからまだ何とかなる!》
そんな風に言って見せるが、余裕が無いのもまた事実。
お世辞にも拮抗しているとは言えない。
《防戦一方で状況は打破できません……このままでは、私達の勝利という事になるわ》
《まだ奥の手を残しているのなら、早く出した方が良いですよ》
妙に余裕そうな素振りの2人。
実際にその通りだ。
前面には代理人の弾幕が貼られている。
しかし、一定の場所で篭っていては何れスケアクロウのビットに見つかり被弾してしまうだろう。
何でもいい。
この状況がひっくり返るようなことを祈るしかなかった。
途端、スケアクロウのビットが何かを感知した。
瞬時に処理を行い、察知した方向に向けて攻撃を飛ばす。
そこには確かに、相殺された弾丸の跡が。
《……代理人!》
《途中参加でメインイベントを盗りに来ましたか……AR小隊》
即座を目を向けると、そこに立っているのはRO635だった。たった1人、されども怖気付く様子もなく。
明らかに不利な状況に踏み入ったのにも関わらず、堂々と。
《最初からクライマックスでは、盛り上がりに欠けますから》
真面目そうに見えるROだが、かなりノリノリでかっこいいことを言っている。ヒーロー大好きな子だから仕方が無いのか……?澄ました顔をしたROはそのまま構え発砲し始める。
この好機を、今かと言わんばかりに掴みに行く者が。
《行くよ、9!》
《了解!まず狙うは……!》
2人が定めた先は、スケアクロウだ。
ビットを打ち落としさえしてしまえば、彼女は無防備。
それを狙い、まずは邪魔なビットを標的とした。
しかし、その思惑は読まれていたようだ。
スケアクロウは今の一瞬の中で判断を下し、ビットを一時的に引かせる動きを取ったのだ。
今こちらの手札を更に減らされては、打つ手が無くなる。
今は雌伏の時だと身を引いた。
《代理人、今は身を隠しましょう。今はまだAR小隊のメンバーが1人。404小隊は優先的に向こうを狙うはずですわ》
《それに対応するためにAR小隊もこちらの追跡を中止するでしょう。その作戦が現時点では最善ですね……処刑人、聞こえていますか?》
作戦立案を無線を通しながら行う。
もちろん、それは今離れているものにも通じる訳で。
《聞こえたよ。今追っかけてるやつもそろそろ追い詰められそうだ、そっちが終わったらまた急襲を仕掛けるから待ってろ》
時間は刻一刻と過ぎていく。
残された時限が迫るこの勝負。
まだ、波乱の嵐は過ぎ去らないようだ……
勝負を掴むはしぶとく生き残る404か。
不利な形勢から這い上がる鉄血か。
それとも……遅れて登場した主役、AR小隊か。
それが見えるのは、硝煙の晴れた先だろう。