鉄血もグリフィンも争わない平和な世界を死に損ないが満喫するだけ   作:葉桜さん

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本日2度目の投稿です。
今回は紹介回のようなものです。



温和日常II:404小隊とはぐれダイナゲート

……検査完了。

総員、異常無し。

強制スリープモード解除。

順次プログラム起動……

 

 

 

「……OKだ。もう起きられるぞ」

 

 

 

周りにあるベッドに4人が眠っている。

双子の容姿をした2人の人形。片や右目に、片や左目に傷を持つ姉妹だ。傍から見ても、顔は非常に似通っている。モニターには、UMP45とUMP9と書かれている。

別のところを見れば、灰色とも薄い青とも取れるか長い髪の人形。目元に赤い涙のタトゥーが入っていて、非常にスタイルの良い人形が寝ている。彼女はHK416と書かれている。

もう1人、他の人形よりも明らかに色素が薄そうな人形。ほかの3人よりも明らかに幼い容姿で、彼女に至っては起きる素振りすら見せない。G11という名前だ。

 

 

 

ここにいるのは本当は4人ではない。

もう1人形が眠っていた。

曰く、あの姉妹……今しがた起き上がった2人の人形、UMP45とUMP9の姉妹だそうで。

だが、初めの俺からしたら全くそうは思えなかった。

傷はないし、特に顔が似通ってるというわけもなく。

一人称に至っても違う。

それでも彼女は姉妹と言い張る。

……当のUMP45が認めているからそうなのだろう。

 

 

 

まぁ、俺はこの子のことを知っている。

グリフィンに入って、初めて失った相手。

その正体が、居るべきはずだった場所のスパイであって。

自分が、酷い後悔を残すほどの相手だった。

忌まわしい『蝶事件』。

そこで失った、一番最初の犠牲者。

UMP40だ。

 

 

 

「ふわぁ〜……おはよー、45、9」

 

「うん、おはよう〜、40姉。45姉も早く早く!」

 

「待ってよ……なんで2人はそんなに早く立ち上げが終わるのよ……」

 

 

 

UMP姉妹が揃うことなど見た事がなかった。

ちなみに一応、上から40、45、9となっているらしい。

40は2人のことを非常に可愛い妹として溺愛している。

それこそ姉の方がダメになりそうな程だ。

だが、やはり1番上の姉だ。

時には45や9の拠り所になって、姉の一面を見せる時もあれば、時に激励して2人を焚き付ける等、流石は姉だと言えるような人物だ。

 

 

45は最近になって今のようにしっかりした性格になったらしいが……ここでも昔は非常におどおどしていて自信が無い様だった。今は全くで、9を引っ張って言ったりなどもするが……40の前ではどうしても昔のように弱音を吐いてしまいがちになるらしい。それだけ姉が好きで、信頼できるのだろう。

 

 

9は末っ子と言うだけあって3人の中でも1番子供らしい性格をしている。姿は全く子供ではないのだが。でも45や40を献身的に支えたりしている所や、しっかりとした面もみせるために出来た妹だとつくづく思わされることが多い。

 

 

 

「検査は終わったわよ、さっさと起きなさいG11」

 

「……すやぁ…………」

 

 

 

残るもう2人。

こちらは姉妹と言うよりかは、親子の方が近い気がする。

いつも何かとつけて寝ようとするG11を無理やり引っ張り起こしたり、悪態をついたりする割には意外と面倒を見てやっているという印象が強い。

なんだかんだ言っても、ここに来る前でも416がG11を見捨てたりはしなかった事からも何だかんだで大切に思っていることが分かる。今も全然起きようとしないG11を起こそうとしている真っ最中だ。

 

 

 

「お・き・な・さ・い・!」

 

「いたい!痛いよ416……もっと優しく起こしてよ……」

 

 

 

まぁ、方法は少し荒っぽいのだが。

そこは眠ったらなかなか起きないG11だから仕方がない。

いやいやそうに漸く起き上がった。

45が周りを見渡して全員起きたことを確認した。

うん、全員起きたわよとこちらを向いて伝えてくれた。

全員がこちらを向く……訳ではなく、代表してこちらに結果を聞きたいらしい。

 

 

 

「ああ。全員問題無しだ。損傷もほぼ無し、メンタルモデルも安定してる。プログラムのエラーやら何やらも全部OKだ」

 

 

 

この5人に対して、検査を行っていた。

それの結果を彼女は聞きたかったというわけだ。

何せ、任務の帰りだ。

さらに言えば彼女らは普通の部隊ではない。

 

 

 

AR部隊と対を成す、裏のエリート部隊。

 

404 Not found。

 

通称404小隊。

 

 

 

やはり存在していたのだ。

しかし、やはり俺のいた頃の404小隊とは違うらしい。

本来、他の人形たちは404小隊のことを知らない。

同じ任務に向かったとしても、その部隊は404小隊に関する記憶を全て消去されてしまう。

いわゆる、人間の指揮官しか知らない『暗部』のような物だ。この場所でもそれは変わりはないのだが……

 

こちらのグリフィンでは情報操作が行われていない。

404小隊という表の部隊の名目で動いている。

しかしその裏は表向きにすることが出来ない破壊工作や、奇襲作戦、夜間作戦等を専門に行っている部隊だ。

皆が『404小隊』の事は知っているが、『404 not found』については何も知らない理由がこれになる 。

 

 

 

表のAR小隊と、裏の404小隊。

 

ここのグリフィンの2大主力部隊だ。

 

 

 

で、丁度良く404小隊が任務を終えた所だ。

念の為、任務後は必ず損傷のチェックやメンタルモデル、プログラムに異常がないかどうかを検査する。

特にAR小隊と404小隊は念入りに行う。

主力だから、何か問題があったら面倒という事だ。

まぁ、主力であろうが無かろうが、そう言ったことは必要不可欠だ。

 

 

 

「いつもありがと、私達も助かってるわ」

 

「礼はいい。俺の仕事だし、詳しくやるのは俺の性分だからな」

 

 

 

45が隊長として、こちらに礼を言う。

別にお前たちが戦ってくれている分、こちらがメンテナンスやらなにやらに精を出すのは当たり前の対価だ。

それに、そうしなければ申し訳が立たない。

人形に携わる者として当然だ。

 

……ところで。

ひとつ聞きたいことが。

 

 

 

「……なぁ、9? 」

 

「うん?どうしたのリオンさん」

 

 

 

なんで末妹さん、わんちゃん(ダイナゲート)抱えてんの?

あまりに自然でわからなかったけど検査中にも普通に抱えてた。まだ膝に乗っけてるし。

当のダイナゲートは完全リラックス。

前足も後ろ足も伸ばしてスリープ中だ。

メインカメラも余裕で閉じている。

完全に実際の犬と変わりない。

というかお前か!検査中に何か色々とエラー吐いて対処面倒だったんたぞ!本人に問題なくて良かったけど!

 

 

 

「私たちのヘリに間違って乗ってたのよ、そいつ」

 

「おかげであたい達、もー大混乱でさ」

 

 

 

416とUMP40がその経緯を話す。

どうやら、任務に向かうヘリに偶然迷い込んでしまったらしい。本来は別のヘリに小物を運んでいたみたいなのだが、何かしらのエラーで間違えてきてしまったのだろう。

いち早く気づいたのは9だったらしく、今回の作戦ではダイナゲートが斥候(スカウト)のような役割を果たしてくれたおかげで非常に任務が楽になったそうだ。

 

それからか、404小隊のメンバーによく懐いてしまった。

特に9の膝の上で寝るのがお気に入りらしい。

その様子を見ていた416がまるでG11ね。と呟いて通称『ミニG11』とまで呼ばれるようになってしまった。

そんなダイナゲートだが、元は別の場所の子。

どうせなら……そんな目で9がこちらを見てくる。

 

 

 

「この子、404に引き抜けないかな〜……なんて……」

 

「私としても、この子がいてくれる助かるかな。任務の成功率が上がるし……何より可愛いからね」

 

 

 

9のお願いに便乗する形で45が言った。

確かに、話に聞く限りこいつはかなり優秀な働きをしていたようだ。サポートとして迎え入れればさらなる任務の円滑化が進むことは間違いないだろう。

話の中心にされてるダイナゲートは自分の話とは知らずに未だに寝こけている。

こりゃ私以上だね……と、小さくG11が言った気が。

そんなダイナゲートを優しく9が撫でている。

やめてくれ、この平和な空間は俺に効く。

そんな雰囲気だったが、416が口を開いた。

 

 

 

「元々は別の部隊の子よ、引き抜きなんてそうそう出来ないわ」

 

「……まぁ、確かにね……プログラムもまた少し変える必要があるから、難しいんじゃないかな……」

 

 

 

部隊に勤める鉄血の量産人形たちは、自分の所属をはっきりとさせるためにプログラム内に所属部隊を識別するためのプログラムが入っている。

今回の件ではあくまで他の部隊のダイナゲートが迷い込んできただけであり、それを引き抜くとなると手間も掛かってしまうだけでなく穴埋めをしなくてはならないなどの面倒も起きてしまう。なかなかに現実的ではないだろう。

 

 

 

「そこをなんとか!ほら……ここには私たちをメンテナンスできる天才さんがいるでしょ?」

 

「……あー、なるなる!そういうことかぁ!」

 

「……なんで俺の方見るの?」

 

 

 

つまり、俺に交渉してきてくれと。

というか、プログラムの書き換えとかしてってこと?

簡単に言わないでくれと言いたいようなことをサラッとお願いしますも言わないでそんな上目遣いで見ないでください……本当に、落ちる、落ちる!

ただでさえ人形の笑った顔や喜んでいる姿に弱い人間にそれは大ダメージを与えるからその表情は非常にいけない。

 

 

 

「……ダメ、かな?」

「お願い、あたいからも頼むよ!」

「私としても、お願い」

「……はぁ。私からもお願いするわ。この子をこっちに来れるようにしてくれないかしら」

「……この空気じゃ、流石に止められないよね……手を尽くしてあげて欲しいな」

 

 

 

404小隊総出の総攻撃。

りおんは だいだめーじを うけた。▼

……確かに、ダイナゲートがあそこまでリラックスしているのも珍しい。今いる場所よりも、ここにいる方がいいのかもしれない。……だから。いつの間にか目を覚ましていたダイナゲートの目の前にしゃがんだ。

 

 

 

「……お前は、どうしたいのかな」

 

 

 

聞いてみた。

機械といえど、この子にも思考回路がある。

柄に合わないような優しげな声で、そっと語りかけた。

当のダイナゲートは、それを聞くや否や9の膝から降りる。

えっ……?そんな声が聞こえた。

 

これは残念だが……そう言おうと思った時だ。

 

 

 

ダイナゲートは皆の周りを駆け回り始めた。

ぴょんぴょんと跳ね回って、一人一人のところをぐるぐる。最終的には9の足元に戻ってきて、またいつものポジションに戻ってきた。……ああ。そういうことかと理解するに難くなかった。

 

 

 

「……わーったよ。その子の元の所属調べて交渉しとく。ただ、許可が得られるかどうかは確実じゃないからな」

 

 

 

少し表情が緩んでしまっただろうか。

平和的なこの光景には、さすがに勝てない。

しっかりと確実ではないという釘をさして、交渉してみるという約束を取り付けた。

そういった途端にみながいっせいに喜び始める。

きゃっきゃとはしゃぐ奴もいれば、穏やかに喜んでいる奴もいる。

 

 

 

……これが見たかった。

どうやら、断らないで正解だったな。

やはり、誰かの笑顔に勝るものは無い。

心無しか、ダイナゲートも喜んでいるように見えた。

 

 

 

 

「……さーて、お仕事が増えましたよっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら、迷い込んだダイナゲートは代理人の所の子だったらしい。代理人は、本人がそこがいいと思っているならいいですよと意外な答えを返してくれた。

 

 

 

実は、ぶっちゃけた話を言うとプログラム的に何かしらのエラーで所属が404小隊となっていた。恐らく、エラーが起きた時点でデータが消失し、初めて目視した戦術人形たちが404小隊だったのだろう。その結果、対象の人形が所属している部隊をデータベースから調べだし自動的に書き込んだものなのだろう。自分的には手間が省けたが。

 

これじゃ、選択肢など無かったなと内心苦笑だった。

 

 

 

 




・今回は404小隊が出演しました。ここの世界線での404小隊の扱い等も今回で判明。
キャラ的にどうなっているかこちらでまとめてみましょう。

UMP45:いつもの404小隊の隊長。今はしっかりとした優秀な隊長だけど本編通り元々は結構ダメな方だった。この世界線ではUMP40がいるため時々昔のような一面が見られる。

UMP40:生きてるよ!あたい生きてる!
本当は妹かもしれないけどここではお姉さん。
かなり9寄りの性格だけどしっかりお姉さん出来る人。
本文中で話していたことより、リオンは40を知っている。

UMP9:404小隊の癒し枠。ほとんど性格的には本編と変わりはない。よく動物を拾ってきたりはぐれダイナゲートを拾ってきたりしては引き取ろうという可愛い物好き。

HK416:404小隊の保護者枠。小隊メンバーの中では一番現実的な思考の持ち主で結構落ち着いている方(今のところは)。でもなんだかんだ言ってお願いされると断れない良い子。

G11:だいたい寝てる。世話を焼かれる子供ポジション。1番のマイペースかと思いきや本当はちゃんと周りに合わせてあげられたりするしっかり者。睡眠に関することでなければ。


・いつもながら評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます!頑張って日常のネタをいっぱい書いていきたいと思います!


・次回も誰を出そうかは未定です。
誰かを出して欲しいというご意見などありましたら頑張って考えてみます。(反映がいつになるかは分かりませんが……)


次回もお楽しみに!
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