優しい日常的メガテン世界はある……のか?


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目指せ! 優しいメガテン世界

 悪魔。

 一般的にはフィクションの存在。

 一般的にはいるはずのないもの。

 一般的にはいてはいけないはずの存在。

 

 されど、悪魔は存在する。

 

 そも、人からすれば悪魔とは人ならざる者のことを指す。

 それが天使であろうと、妖怪であろうと、たとえ――神であろうとも。

 人間と呼ばれる存在は、自身に害があれば悪であり魔である。

 ゆえに”悪魔”などと呼んでいるのだ。

 

 だが、ことらに対して有効的なものは何と呼ぶ、それは魔の仲間、”仲魔”と呼ぶ。

 友好的な理由は様々だ。

 悪魔の金であるマッカを支払う、何かをささげる、愛や友情を育み信頼を勝ち取るなど様々である。

 さて、これは悪魔と共に世を生きる者の話。

 

 これは、世に仇名すものを打倒する英雄と呼ばれる者の物語ではない。

 これは、法を重視し世に広め十字の神を降臨させる宗教者の物語ではない。

 これは、力によって世を支配しようとする剛毅ある者の物語ではない。

 

――これは、悪魔と共に生きるだけの物語。

 吹けば飛ぶであろう、人と魔の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒトナリー朝だよー」

 

 朝を起きるのは苦手だ。

 だってそうだろう。 心地の良い眠りの海を揺蕩っているというのに、起床という陸に上がらなければいけないのだ。

 

「ヒトナリー」

 

 誰だって好き好んで気持ちのいいところから、気持ちの良くないところへ向かはない。

 なので、このまま眠っていても人間としては何の問題はないわけだ。

 あと五分、なんてちゃちなこと言わない、ここから五時間ぐらい寝てやろうそうしよう。

 自分を呼ぶ声なんて聞こえないし聞こえていたとしたらそれは幻聴だ。

 

「起きろー タダノヒトナリ!」

 

「ぎゃあ!?」

 

 突如、体に死ぬほどではないが電気が走る。

 もちろんここは外ではない、雷の音も聞こえない、うっすらと明けた目で窓の外を見て見てもまさに青天と呼ぶべき空が広がっていた。

 ならなぜ電撃なんてものが体に流れて来たのか。

 それは、自分の目の前で浮かぶ小さな妖精のせいだった。

 

「おいピクシー、起こす為だけに魔法使うなよ!?」

 

 自分がそう言うと、ピクシーは不機嫌そうにこう言った。

 

「ヒトナリが起きないから悪いんでしょう!?」

 

「うっ……でもだからって魔法使うやつがあるか!?」

 

「だってこれが一番早いのよ!」

 

 「「ぐぬぬぬぬ」」

 

 平行線になる自分たち。 だが、外からの声が自分たちの争いを止める。

 

「ヒトナリさーん、起きたなら顔を洗って早くリビングに来てくださーい! 朝ごはん冷めてしまいますよ、それにピクシーも!」

 

 と、優しげな声が自分たちを呼ぶのだ。

 そうすると、ピクシーは決まって

「ごはーん!」

と子供のような声を上げ自分を置いてさっさと行ってしまうのだ。

 寝床にいるのはポツンと置いてけぼりにされた自信のみ。

 

「はぁ……顔、洗いに行くか」

 

 寝床から立ち上がり、朝の支度をしに行った。

 これが、人と悪魔、自分と仲魔のいつもの朝の光景である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっはっは、相変わらずだなぁお前ん家は」

 

 学校の教室で、友人はそう笑った。

 こちらとしては毎朝電撃で起こされるという非道な出来事をねぎらってほしかったのだが、友人にとっては笑いの種だったらしい。

 

「こっちとしては笑い事ではないんだが?」

 

 と、口をとがらせて言ってみれば、友人は相も変わらず笑っている。

 

「愛されてるってことだろ? じゃなきゃ毎朝起こしてくれないって」

 

 あれが愛情? そうならばとんだ愛情がある者だ。

 

「電撃でもか?」

 

「電撃でもだ」

 

 それがもし本当ならば、ピクシーより我が家で家事全般をしてもらっているシルキーにやさしく起こしてもらいたいのだ。

 朝の朝食なんて絶品そのもので、作ってもらった昼の弁当が楽しみである。

 

「お前ら席に着け―! 始めんぞー」

 

 そうこう話している内に担任が来てしまった。

 笑っていた友人はいつの間にか自分の席に座っていて、自分は慌てて教科書を出す羽目になった。

 あいつ、教えてくれたっていいだろうに。

 

「えー一時限目は我々人間と悪魔についてだったな、そうだなぁ……」

 

 担任がぐるりと目を回す、自分は当てられないように教科書でガードしたが容易く破られてしまった。

 

「よーしタダノ! お前、基礎的な事の復習な、俺が質問するから答えろ」

 

「……はーい」

 

 面倒だがご指名とあらば立つしかない、ゆっくりと立ち上がる。

 あまり覚えていないので気分は少し憂鬱である。

 

「よーし、答えたらほかのやつも当てるからな。 じゃあタダノ、悪魔が仲魔として世界中に広まったのは何年前で、なんという?」

 

 質問は基本中の基本的なことだった。

 これならば、自分も問題なく答えることができる。

 

「ええっと、100年前のデビルバースデイの日……でしたっけ」 

 

「よし、正解だ」

 

「ふう」

 

 思わずため息をつきながら席をつく。

 デビルバースデイ。

 それは、全世界の人間が悪魔と呼ばれる存在を認めた日のことだ。

 当然世界は混乱した。

 それはそうだろう、フィクションの存在に過ぎなかったものが突然現実のものとなったのだ。

 混乱しないはずがない、だが、それに古くから対処してきた者たちが表に出てきたことで流れは変わる。

 日本であるならば葛葉と呼ばれる組織、海外であるならばガイア教やメシア教。

 主にこの3つの組織の活躍で事態は収束に向かった。

 

 

「よーし次! お前、悪魔たちを仲魔にするための契約を代行してくれるものは何だ?」

 

「はい、デビルフレンドというアプリケーションです」

 

「正解だ」

 

 デビルフレンド。

 100年前は悪魔召喚プログラムと呼ばれていたプログラムのことだ。

 悪魔を召喚するには様々な儀式を行う必要がある。

 だが、その儀式という物は手間という物がかかる、ならば何かに代行させて結果だけを得る事はできないのか、という考えの下に葛葉とメシアとガイア三つの組織が協力して生み出したものだ。

 

「よーし次、お前、悪魔の力を犯罪行為に行った者、さらには暴れる悪魔や危険な悪魔を何とかする者の日本での名前は?」

 

「デビルバスターです」

 

「正解だ。 全員基礎はちゃんと覚えているな感心感心」

 

 デビルバスター。

 一般人には仲魔にすることが許可されていない悪魔を仲魔にして治安を守る組織。

 海外ではガイアーズ、テンプルナイトなどとも呼ばれていたりする。

 

「よーし、基礎的なことは覚えてるみたいだから今日の授業は自習とする! 頑張って勉強してくれじゃ、俺ほかに用があるから」

 

 そう言って担任教師は行ってしまった。

 ……自由な人である。

 

「相変わらず自由な人だような先生って」

 

「そうだなぁ……あれで学校一のデビルバスターでもあるってんだから信じらんねぇよなぁ……」

 

 その実力は噂では、結構上なのだとか。

 

「はぁ……眠い……」

 

「お、寝るのか?」

 

「そうする……自習だし」

 

 そうして、眠りの世界へ潜っていくのだった。

 

 

 

 ちなみに次の授業に起きれずたたき起こされた。

 そこ! 笑ってないで起こしてくれよ! 。




続きかけたらいいなぁ……(遠い目)


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