ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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お待たせしました!
ついに国際大会開幕です!


13話 開幕、アザゼル杯!

[木場 side]

 

 

四月の下旬に差し掛かった。

今日、この日、レーティングゲーム国際大会の開会式が行われる。

 

僕達リアス・グレモリー眷属が訪れているのは、開会式の会場となる冥界魔王領に新設された大会用のスタジアムだ。

とてつもなく巨大な施設で、東京ドーム十個分の広さを有するとか。

上空ではメディアのヘリが飛び、既に撮影がされている。

スタジアムの至るところにもカメラが設置されていて、冥界だけでなく、各勢力にも生中継で報道されているようだ。

この日のために全勢力から観客が訪れており、この巨大なスタジアムの観客席を全て埋め尽くすほどだ。

 

ゼノヴィアが観客席を見渡して言う。

 

「ここまで人が一杯なのは生まれて初めてだ。バアル戦の時よりも多いんじゃないか?」

 

「あの時とは文字通り規模が違うからね」

 

バアル戦の時も観客の多さに圧倒されそうになったけど、今回はあの時の遥か上を行く。

そして、それは出場する選手達の多さも同様だ。

 

小猫ちゃんが言う。

 

「参加チームは千を超えているそうです。確か、千四十五チームとかって。とはいえ、チームメンバー全員が来ている訳じゃないですけど」

 

そう、この開会式はチームから『王』と『女王』に相当する者、どちらかが出ていれば良いということになっている。

うちはほぼ全員が参加しているけどね。

ほぼ、というのは新しく引き入れたメンバーがこの場に来ていなくて………まぁ、試合になれば姿を見せてくれるだろうけど。

いや、あの性格だと、よほどの強者でない限り、合流しないかも………。

 

さて、ここで大会の概要を簡単に説明しておこう。

まずは参加資格だが、これは特に制限はなく、悪魔は眷属でない者を加えての参加ができる。

確実に登録が必須なのはチームの中核たる『王』。

残りは設定された試合の前に登録さえすれば、人数に制限はあるものの、メンバーを入れ換えるのは可能だ。

しかし、『王』だけは変更不可となっている。

また、選手は二重登録は不可とされており、発覚すれば、その選手は参加資格を失い、起用したチームにもペナルティが発生する。

つまり、この大会に限り、後からメンバーを入れ換えることも、追加することも可能だということだ。

 

次にチーム構成のルールだが、こちらは本家と同様。

『王』と『女王』が一名ずつ、『戦車』『僧侶』『騎士』が最大二名ずつ、『兵士』が最大八名となっている。

先も述べたとおり、チーム構成は自由なため、悪魔としては『騎士』でも、大会では『戦車』の選手として参加しても良い。

駒ランクの特性も試合開始時に発動するようになっているようで、『騎士』で登録した選手は開始と同時に速さを手に入れられる。

駒を使用している悪魔は、本来の駒と違う駒ランクで出場した場合、試合開始と同時にゲーム限定で駒の特性が塗り替えられる。

 

それともう一つ、駒に関して重要なルールがある。

それは駒価値についてだ。

悪魔の駒を複数使用した悪魔であっても、神クラスでもない限り、駒一個に換算されることになる。

 

例えば、『僧侶』の駒を二つ消費して転生した黒歌は、今回のルールでは駒一つ扱いになる。

そのため、ヴァーリは『僧侶』枠に黒歌とルフェイさんを置いたそうだ。

 

件の神クラスは各『戦車』『騎士』『僧侶』にて、一柱で二個扱いになる。

ただでさえ、強力な神クラスがこれらの駒で二枠も取られたら、ゲームバランスが大きく崩壊してしまうだろう。

 

『兵士』に関しては他の駒よりも制限が厳しい。

『兵士』の特性であるプロモーションは、大会でも使用可能になっているからだ。

例えば、最上級悪魔クラスが『兵士』に八名配置され、全員がプロモーションで『女王』になったら、ゲームは酷い有り様になる。

それ故に『兵士』枠は大会側が用意した測定器を元に大会用の駒価値を出し、それに基づいて配置することになっている。

 

参加する神クラスは全チーム数からすると、一割にも遠く及ばない極少数だ。

だが、今大会では最も油断できない相手になることは間違いない。

それはこれまで神クラスと戦った僕達だからこそ言えることだろう。

神はその一振りで地形をも変えてしまう一撃を放つ。

そんな存在がチームを組んだとなれば、その脅威は計り知れない。

今までは仲間や数多くの援護があったからこそ、戦い生き残ることができたが、この大会では少数で神クラスのチームと真正面からぶつからないといけない。

果たして、どれだけのチームが神クラス相手に戦えるか………。

 

参加するチームでも特に注目されているのは帝釈天が率いるチームだろう。

帝釈天が参加を表明した時に参加を断念した神クラスも出たほどだ。

 

他には阿修羅神族の王子マハーバリが率いるチーム、初代孫悟空が率いるチーム、更には魔物の王テュポーンが『王』を務めるチームまでいる。

このあたりは神クラスのチームの中でも別格なのだろうね。

 

大会の開催が発表されてから短期間で、これだけの参加チームが集まったのは、大会優勝チームに贈られる『優勝賞品』だ。

 

その内容とは―――――あらゆる願いを可能な限り叶える。

 

グリゴリの研究、天界と冥界の技術、北欧の世界樹なぉ、各神話勢力の神秘を集結させることで、優勝チームの願いを叶えようというのだ。

これが参加者増加の大きな理由なのは間違いない。

当然ながら、世界に混乱をもたらす願いは不可とされている。

 

しかし、本選に出られるのは十六チームと予選に参加するチーム数からすると、非常に狭き門だ。

途中で棄権するチームも出てくるだろうが、それでも本選に進むには険しい道のりになることに違いはない。

 

予選のシステムだが、これは従来のレーティングゲームと同じてあり、勝敗によって得られるポイントで競い合う形式となっている。

大会開催時、各チームは1500という数値から始まり、そこからどれだけ多くのポイントが得られるかで決勝トーナメントに進めるかが決まる。

自チームよりもポイントの高いチームに勝てば、高いポイントが得られるが、ポイントの低いチームに負ければ、数値も下落を強めてしまう。

 

予選でのゲーム参加は各々の判断に任せており、戦いたいと思ったら、運営に登録を済ませることになっている。

そして、同時期に試合をしたいチームとマッチングとなる。

つまり―――――

 

「チーム全体の調整が何よりも重要でしょうね。勝ち星が決め手ではない以上、無闇に連戦をすれば良いというわけではないわ」

 

リアス姉さんがそう言った。

 

そう、重要なのは予選最終日までに稼いだポイントだ。

勝ち星が多くても保有するポイントが低ければ、決勝には進めない。

もちろん勝ち星が多いことにこしたことはないが、無闇に連戦を続けた結果、ポイントが低いチームに敗北してしまえば、大きくポイントを落としてしまう。

なので、チーム全体のコンディションを考慮した上で、試合に臨む必要がある。

 

大会について確認していると、アナウンスが流れた。

 

『まもなく開会式を始めます。参加者は中央に集まり―――――』

 

そのアナウンスにフィールドに散らばっていた参加者がフィールド中央へと移動を開始する。

僕達も移動を始めながら、辺りを見渡した。

 

リアス姉さんが呟く。

 

「イッセー達、遅いわね。もう開会式が始まってしまうわ」

 

開会式には最低でも『王』か『女王』が出席しなければいけない。

しかし、いつまでたってもイッセー君達が姿を見せない。

 

ギャスパー君が心配そうに言う。

 

「何かあったのでしょうか。イッセー先輩の具合が悪くなったとか………」

 

「それはないよ、ギャー君。昨日もイッセー先輩の治療をしたけど、体調そのものは良かったから」

 

と、小猫ちゃんがギャスパー君の言葉を否定した。

 

小猫ちゃんは毎日欠かさずにイッセー君の診察をしてくれている。

その小猫ちゃんがそう言うのなら、その心配はないのだろう。

では、イッセー君は一体何をしているのだろう?

大会に参加する意思は示していたし、会場に来れない事情でも出来たのだろうか。

いや、その場合は『女王』であるアリスさんが開会式に来なければいけないが、そのアリスさんの姿もないのだ。

 

「連絡を取ってみましょうか」

 

朱乃さんがそう言った、その時だった。

 

「お、おい! なんだあれは!?」

 

誰かの言葉に会場がざわつき始めた。

周りを見ると、皆が空を見上げていたので、僕達も気になって、視線を空へと向けた。

すると、そこには巨大な物体―――――超巨大な赤い飛行船だった!

一体、何メートルあるのか………。

まるで、ロボットアニメに出てくる戦艦みたいだ。

 

メディアのカメラもそちらを捉えており、スタジアムに設置してある超特大モニターに、船の様子が映し出された。

そこには赤い長羽織を羽織ったイッセー君の姿があった!

 

リアス姉さんが映像を見て叫ぶ。

 

「イッセー!? じゃあ、あれはスキーズブラズニル!?」

 

そうか、あれはイッセー君の使い魔であるスキーズブラズニル!

初めは模型のような大きさだった船があそこまで巨大化するとは!

スキーズブラズニルは所有者の成長率に合わせて進化すると言われている。

今は使えないとは言え、変革者や英龍化と神の次元すら超えたイッセー君ならあれくらいの成長を遂げても不思議ではないのかな?

 

イッセー君が指を鳴らすと飛行船は煙と共に消える。

飛行船から降りたイッセー君達はそのまま降りてきて、スタジアムの中央―――――出場者達が集まるど真ん中に降り立った。

 

イッセー君は僕達に気づくと、手をあげた。

 

「おっす、待たせたな!」

 

軽い挨拶をくれると、こちらに歩み寄ってくるイッセー君達。

 

アーシアさんがイッセー君の格好を見て言う。

 

「イッセーさんのあの服装はもしかして………」

 

黒い上下に赤龍帝の紋章を刻んだ赤い長羽織。

羽織の上からは青い帯を巻くというイッセー君の格好。

もしかして、あれがイッセー君が勇者と呼ばれていた時に身につけていたものなのか………?

その後ろに並ぶメンバー―――――アリスさん、リーシャさん、モーリスさんも向こうの世界で身につけていた服装だ。

つまり、これがかつての勇者パーティの姿なのだろう。

美羽さん、レイヴェルさん、ニーナさん、ディルムッドことサラはイッセー君に合わせた赤いユニフォームだ。

 

イッセー君の近くで片膝を突いているのはタンニーン様のご子息のボーヴァだろう。

こうして彼の近くにいるということは臣下にすることになったのだろうか?

 

リアス姉さんがイッセー君に言う。

 

「もうすぐ開会式が始まる時間よ? 何をしていたの?」

 

その問いにイッセー君が答える。

 

「色々と作業をしていたらギリギリになっちゃってさ。主に書類とか書類とか書類とか………グスッ」

 

「キツかったよぉ………」

 

涙目になる赤龍帝眷属の『王』と『女王』。

よく見ると目元にうっすら隈が出来ている。

 

………こんなギリギリまで仕事してたんだね。

なんというか、お疲れ様です。

この眷属はマイペース過ぎる。

こんな一大イベントでも変わらないのは相変わらずとしか言いようがない。

 

「来たか、兵藤一誠」

 

イッセー君の登場にフィールドのあちこちから、見覚えのある者達が歩み寄ってきた。

まずはサイラオーグさんが前に出てきた。

 

「おまえなら出てくると思っていたぞ」

 

「ええ。色々悩んだり、忠告もされましたけど。また、最高の殴り合いがしたいですよ」

 

今度は曹操だ。

 

「これでリベンジの機会が出来たな」

 

「おう、いつでもかかってこいよ。真正面からぶっ飛ばしてやるさ」

 

そして、次はヴァーリだ。

 

「待っていたぞ、兵藤一誠」

 

「あそこまで言われたんじゃな。とことんまでやろうぜ、ヴァーリ」

 

サイラオーグさん、曹操、ヴァーリ。

加えて、デュリオやライザー、匙君までもがイッセー君の元に姿を見せていた。

ここにいるのはイッセー君に魅せられた者達ばかりだ。

当然、僕も同じで―――――。

 

イッセー君が彼らと言葉を交わしていく中、僕は彼の前に立った。

僕は真っ直ぐに彼と向き合う。

 

「イッセー君、君と真剣にやり合える機会を得た。願ってもないことだよ」

 

僕はフェニックス戦に向けての特訓から、彼に稽古をつけてもらうようになった。

言ってしまえば、イッセー君は僕の師の一人になる。

 

僕はイッセー君に憧れていた。

彼のようになりたい、彼のような強さを身に付けたいと。

でも、異世界アスト・アーデに向かい、彼の過去を知ってからは、少し変わった。

 

―――――いつか、彼の隣で戦える男になりたい。

 

それが僕の目標で、今も変わっていない。

気づけば、僕は胸に秘めた想いを口にしていた。

 

「僕は君に憧れた。君のように強くなりたい、君の隣で戦える男になりたいとずっと思ってる。でも、この機会を得て、もう一つ。―――――僕は君を超えたい。僕はリアス・グレモリーの剣として、君を倒してみせる!」

 

僕の宣言にイッセー君は拳を突き出した。

そして、笑みを浮かべて言った。

 

「こいよ。全力で相手になってやる!」

 

その言葉に、僕も笑みを浮かべて、彼の拳に自分の拳を当てた。

 

そして、開会式開幕を告げるアナウンスが流れる。

 

『時間になりました。レーティングゲーム国際大会『アザゼル杯』の開会式を始めたいと思います』

 

高校生活、最後の一年。

この大会は僕にとって、忘れられないものになるだろう―――――。

 

 

 

 

「悪魔さんにょ」

 

 

 

 

…………え?

 

それはあまりに唐突だった。

聞き覚えのある声。

そして、その声はあまりにインパクトのありすぎる記憶を呼び覚ました。

 

イッセー君がギギギ………と錆びたネジのように首を回転させて、そちらを向くとそこには―――――。

 

「なんで、ミルたんがここにいるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

そう!

あれは正しく、まごうことなく、どこからどう見ても、あのミルたんさんだった!

 

イッセーくんの叫びにミルたんが言う。

 

「ここに来たら魔法少女になれるって聞いたにょ」

 

「なれねーよ!? だって、もう無理だもの! あんた、肉弾戦に特化し過ぎてるもの! つーか、誰だ、あんたにこの大会の存在教えたやつ!? いや、ミルたんなら、この大会で勝ち抜けそうだけども!」

 

「それより、見てほしい技があるにょ」

 

「人の話聞いてます!? とりあえず、帰って―――――」

 

イッセー君が彼女(?)に帰るよう説得しようとした瞬間、ボンッとミルたんが煙に包まれた!

煙が晴れるとそこには―――――

 

「「「「「多重影分身の術、だにょ!」」」」」

 

「ミルたんが増殖したぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? あんた、それ魔法というより忍術じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

数十人に増えたミルたんさんに、イッセー君のツッコミが炸裂した! 

 

 

こうして、僕達の大会が始まったのだった………。

 

 

 




一体、いつから―――――シリアスだと錯覚していた?
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