ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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14話 お土産は買うときが一番テンション上がる

[木場 side]

 

 

国際大会が始まってから十日が過ぎようとしていた。

僕達「リアス・グレモリー」チームは兵藤家の一室に集まり、他のゲームの中継を見つつ、今後の作戦を話し合っている。

 

「今のところは順調ね。一部予想と違う結果もあるのだけれど」

 

リアス姉さんがタブレットを操作しながらそう言った。

タブレットにはこの数日の間に行われてきたゲームの勝敗や映像が記録されている。

既に多くのゲームが行われているが、その結果は大方予想通りといったところで、名のある強者や神々がポイントを稼いでいた。 

リアス姉さんの言う『一部』とは、ルールの相性などにより、本領を発揮できず、敗北しているチームのことだ。

レーティングゲームは実戦とは違う。

実戦慣れしていたとしても、特殊なルールが設けられたゲームではそれを活かしきれずに終わってしまうというのはよくある話でもある。

特にゲーム初心者ではその傾向が顕著であり、ルール違反により、ペナルティを受けた選手も少なくない。

 

僕達のチームはというと、今のところ順調に勝ち星を得ており、ポイントを増やしていた。

 

小猫ちゃんが言う。

 

「私達のレートは全体から見れば上の方ですが、上位に入り込むにはまだ足りませんね」

 

「今はそれで良いのよ、小猫。あまりハイペースでの出場は後に響くわ。今は他のチームの実力を確かめながら、確実に勝ち星を得ていくのよ。大会もまだ始まったばかり。あせる必要はないわ。それに―――――私達はまだ『彼』を出場させていもの」

 

大会メンバーとして『兵士』に登録している新メンバー。

大会では『ミスター・ブラック』という名前で登録しており、「リアス・グレモリー」チーム唯一、単独の『兵士』でもある。

つまり―――――大会ルールでの駒価値が8もあるということ。

これがいかに脅威的であるか、他のチームも気づいているはずだ。

彼は既に神クラスすらも―――――。

 

だが、僕達は未だに彼を出場させずに試合に臨んでいる。

その理由は二つある。

一つは彼が興味を持つようなチームと当たっていないこと。

そして、もう一つは―――――。

 

「これは客観的に見た評価。これまでの激戦を潜り抜けてきた私達の力は既にこの大会においても、高いレベルにあるのは間違いないわ」

 

リアス姉さんはそう僕達に告げた。

 

流石に神クラスで編成されたチームと勝てるのかと問われると難しいところだ。

だけど、戦えないわけではない。

 

今はまだ神クラスと対戦は予定されていないが………倒してみせるさ。

神クラスだろうと何だろうと。

これはチームの意気込みでもあり、僕個人の気持ちでもある。

だって、僕の目標は神などではなく、もっと高みにいる彼なのだから。

 

テレビに映る映像をじっと見ていると、朱乃さんが微笑んだ。

 

「あらあら、祐斗君の頭の中はイッセー君のことで一杯みたいですわね」

 

「もう、祐斗は気が抜けるとすぐにイッセーの試合を見るのだから。気になるのは分かるけれど、今は目の前の試合に集中しなければ、ダメよ?」

 

「アハハ………すいません」

 

リアス姉さんに注意されて、苦笑する僕。

 

うん、自分でもここまで彼に熱中するとは思ってなかった。

ふと気を抜くと、いつもイッセー君のことを考えてしまっている。

 

リアス姉さんが肩をすくめながら言う。

 

「まぁ、そういう私も似たようなものね。やっぱり、イッセーの試合は気になるもの」

 

イッセー君が率いる『異世界帰りの赤龍帝』チーム。

チーム名については、そのままで、適当に決めたとアリスさんが言っていた。

人間界では記憶の改竄が行われていることもあり、超常の存在も含め、異世界のことは完全に隠されている。

だけど、僕達のような裏の世界の存在には知れ渡っており、大会で賑わっている中でも、時おり異世界に関する番組が報道されているほどだ。

といっても、詳細は各勢力の上層部、首脳陣しか知らないので、専門化同士の議論や予想が語られるだけなんだけどね。

その辺りの詳しい説明は省くけど、そういうわけで、イッセー君達のチーム名はなんとも分かりやすいものになっている。

 

それで、その『異世界帰りの赤龍帝』チームの戦績だけど、こちらも全勝だ。

ゼノヴィアがタブレットの記事を目で追いながら言う。

 

「あのメンツだからな。早々、やられはしないだろう。と、というより………モーリスだけで十分じゃないのか?」

 

そう言うと顔を青くするゼノヴィア。

 

………分かるよ、ゼノヴィア。

モーリスさんの特訓は本当にキツかった。

地獄の特訓とはまさにあれのことを言うのだろう。

僕だって今でも鮮明に覚えているよ、あの感覚を。

笑いながら、振り下ろしてくるあの剣を………。

 

「あ、あれ………おかしいな。思い出しただけで、体の震えが………!」

 

「祐斗先輩、どうしたんですか!? 全身が震えてますよ!?」

 

「ちょっと、祐斗!? モーリスは祐斗達に何をしたの!? トラウマ刻まれてるじゃない!」

 

ごめんね、ギャスパー君。

ごめんなさい、リアス姉さん。

この記憶は、あの恐怖は、しばらく消えないと思うんだ。

 

リアス姉さんが目元を抑えながら息を吐く。

 

「モーリス………。分かっていたけれど、彼は何というかもう滅茶苦茶だわ」

 

見ると目元はうすく涙が浮かんでいた。

きっと思い出してしまったのだろう。

僕やゼノヴィアだけではない、リアス姉さんも少し嫌な記憶がモーリスさんにはあった。

それはイッセー君達の初戦のことで―――――。

 

 

 

 

開会式の翌日。

この日から大会はおおいに盛り上がりを見せた。

各チームの真剣勝負、種族を越えたぶつかり合いを見ようと観戦のチケットは売り切れが続出しているらしい。

聞けば冥界では、レーティング・ゲームが観戦できる飲食店があるとのことで、そこは朝から満席だそうだ。

 

僕達「リアス・グレモリー」チームとイリナさん、レイナさんは兵藤家のリビングに集まり、次に始まる試合を見る準備をしている。

テレビをつけて、冥界の番組を流しながら、それぞれが携帯やタブレットで冥界の記事をチェック中だ。

小猫ちゃんが冥界のSNSに書かれている記事を見ながら言う。

 

「やっぱりと言うか、注目されてますね、イッセー先輩」

 

記事のタイトルには『「異世界帰りの赤龍帝」チーム初戦 今夜七時』と書かれている。

記事に目を通していくと、対戦相手のことはもちろん、ゲームルールの予想から、勝敗の予想まで書かれている。

 

ロスヴァイセさんが言う。

 

「アセムとの戦いを終わらせたことで、イッセー君は既に冥界どころか、この世界の英雄的存在になっていますからね。元々はおっぱいドラゴンとしての人気もあるのでしょうが、今では更に注目を集めているようです」

 

ギャスパー君も更にこう付け加える。

 

「イッセー先輩が勝つ方に予想する人が多いですね。先輩のチームは皆さん、地力が高いですし。あの戦いでも大暴れしてましたから」

 

イッセー君を含め、赤龍帝眷属の面々は一人一人の力が高い。

一対一の戦いでも強いのだが、彼の眷属はチーム戦になれば、より高い力を発揮する。

モーリスさんという強力過ぎる前衛にリーシャさんによる後衛からの狙撃。

アリスさんは『騎士』としての特性が高い『女王』なので、高い魔力を放出しつつ、スピードで撹乱できる。

美羽さんの『僧侶』としての能力が非常に高く、アーシアさんほどではないとはいえ、ある程度の回復魔法が使える。

レイヴェルさんはフェニックス故の不死の特性があり、イッセー君の眷属になってからは、彼女自身もメキメキと実力を伸ばしている。

ディルムッドことサラは魔槍と魔剣の特性を活かした戦いが上手く、特に魔力や魔法を霧散させる魔槍ゲイ・ジャルグは非常に厄介だ。

魔槍ゲイ・ボウの攻撃はアーシアさんの能力でも治癒できないので、注意が必要だろう。

今回、チームメンバーとして参加するボーヴァはあのタンニーン様のご子息だけあり、パワーは相当なものだと聞く。

そして、主であるイッセー君だが―――――

 

「高火力に加え、武神のもとで鍛えられた武術。更には籠手によるサポートもできる。私達もイッセー君の力には何度も助けられましたわ」

 

パワー、スピード、テクニック。

加えてサポート。

彼の力はどれをとっても超一流の部類だ。

弱まっているとはいっても、十分な実力―――――最低でも最上級悪魔クラスはある。

 

今挙げた理由により、イッセー君のチームが勝つという予想をする人は多いようだ。

しかし、逆の予想もある。

 

「問題は特殊なルールやフィールドに制限がかけられた時に対応できるかということね。実戦とレーティングゲームは似ているようで違うもの。実戦経験が多い者ほど、ルールに戸惑うことはよくあるもの」

 

「専門家の意見にもそれを示唆する人はいるようですね。プロの経験があるレイヴェルさんがいるとはいえ、彼女以外は未経験。主のイッセー君もバアル戦の一回だけなので、お世辞にも経験豊富とはいえませんね」

 

リアス姉さんとロスヴァイセさんの言葉に僕達は頷いた。

力だけではレーティングゲームは勝てない。

果たして、彼はどんなゲームをするのか………。

 

そうこうしている内に、試合開始時間が来る。

テレビでは、観客で満員になっているスタジアムを背景に、実と解説の人が映し出されていた。

実況の人がテンション高めに言う。

 

『注目の一戦が今始まります! 冥界の英雄! 皆のヒーロー! 大会の初戦はどんな試合を見せてくれるのか! おっぱいドラゴン率いる「異世界帰りの赤龍帝」チームの入場です!』

 

スタジアム西側の門が開くと、派手な演出と共にイッセー君達が姿を見せた。

特徴的な赤い長羽織を着たイッセー君を先頭にチームの面々も堂々とした歩みを見せてくれている。

彼らの入場に観客席は大きく盛り上り、立ち上がり声援をあびせる人も目立つ。

 

今夜イッセー君達と戦うのは上級悪魔が率いるチーム。

解説が言う。

 

『対戦相手が現役のプロということで、ルール次第では厳しい戦いになるかもしれませんね。そこをどう乗り越えるかがポイントに―――――』

 

そう、今回の対戦相手は現役のプロが率いているんだ。

しかも、ランキングでは上から数えた方が早いという、間違いなく高い実力を持ったチーム。

試合数もイッセー君達とは比べ物にならない程にこなしてきた、ベテランとも言える相手だ。

解説の言うようにルール次第では、苦戦を強いられる可能性もある。

 

両チームの入場により、盛り上がるスタジアムでは、今回の競技が開示される。

 

『おおっと! 今回における競技の種類は「ダイス・フィギュア」! ダイスを振るって出た目の範囲内で選手を出して戦う、いたってシンプルなものですが、どのタイミングで、どの選手を出すかが非常に重要になる競技です!』

 

ダイス・フィギュア!

イッセー君が初めて出場した時のルールじゃないか!

まさか、このルールがいきなりくるとは!

 

リアス姉さんもこれには少し驚いたようで、

 

「これも運命なのかしら? 上級悪魔になって初めての試合がこの競技だなんて………。でも、面白そうではあるわね」

 

あの時はリアス姉さんの眷属として、今はチームを率いる者として。

こんなにも分かりやすい比較ができる競技は他にない。

 

ダイス・フィギュアは両チームの王がダイスを振り、出た目の合計で出せる選手の基準が決まる。

そして、その基準の範囲内で出せる選手を互いにぶつけ合うものだ。

駒価値は『兵士』が1、『騎士』と『僧侶』が3、『戦車』が5、『女王』が9であり、『王』は事前に審査委員会に出された評価によって、出場できる数字が決まる。

基準の範囲内であれば、出せる選手は複数でもよく、今大会であっても、この競技にルールの変更はないようだ。

 

スタジアムのスクリーンに今回の競技における両チームの『王』の駒価値が発表される。

相手の『王』は駒価値8、イッセー君は―――――駒価値12。

 

小猫ちゃんが言う。

 

「流石はイッセー先輩………と言いたいところですが、これはこれで厳しくなりましたね」

 

「そうだな。イッセーは単独でしか出場できないのに対して、相手は複数の出場が可能。あの時の逆だな………」

 

ゼノヴィアが過去を思い出すように言った。

 

バアル戦ではサイラオーグさんが駒価値12で、僕とゼノヴィア、ロスヴァイセさんの三人で戦うことになった。

あの時は腕一本を切り落とすのが限界で、僕達三人は敗北してしまったが………。

 

ロスヴァイセさんが言う。

 

「しかし、イッセー君のチームは個々の実力が飛び抜けていますからね。しかも、大会仕様で複数の駒を使用した者の制限が緩くなっています」

 

最後の一言に僕達は体をビクッと震わせた。

今回の大会では、悪魔の駒を複数使用した眷属悪魔でも駒を一つとして扱われる。

『兵士』に関しては異なるが、このルールにより、「異世界帰りの赤龍帝」チームは―――――

 

 

・王    兵藤一誠

・女王   アリス・オーディリア

・戦車   モーリス・ノア

・戦車   未登録

・騎士   ディルムッド(リングネーム)

・騎士   ワルキュリア・ノーム(本来は『兵士』)

・僧侶   レイヴェル・フェニックス

・僧侶   兵藤美羽

・兵士『5』 リーシャ・クレアス

・兵士『3』 ボーヴァ・タンニーン

・補欠   ニーナ・オーディリア(兵士『1』だが、登録のみ)

 

………お気付きだろうか。

一名ほど、納得がいかない人物がいることに。

 

「なんで、モーリスが駒一枠なのよ!? 神クラスは駒複数分じゃなかったの!?」

 

リアス姉さんが涙目で叫んだ!

キャラなど忘れて!

駄々っ子のように嫌々と!

 

でも、気持ちは分かる!

分かってしまう!

だって、あの人はもう神クラスでも良いだろう!?

『戦車』の駒二つ分じゃなければ、おかしいだろう!?

あのチートおじさんが駒一つで済むと、大会運営は本気で思っているのか!?

 

小猫ちゃんがボソリと呟く。

 

「これが現場を知らないということですね」

 

「酷い! 酷すぎるわ、こんなの! 私、運営に抗議してくる!」

 

「マスター・リアス! 私も行くぞ! これはあまりにおかしい! あのような存在が許されてなるものか!」

 

「リアスお姉さま、ゼノヴィアさん、落ち着いてくださいぃ!」

 

「止めてはダメよ、アーシアさん! 私もミカエル様になんとか修正してもらえないか聞いてみるわ!」

 

「イリナさん!?」

 

駒の一つや二つでここまで荒れることがあるだろうか?

いや、普通はない。

でも、こればかりは認めたくないのだ。

絶対に譲れないものがそこにはあるのだ。

だから、僕は、僕達は願う。

 

 

―――――今からでもいいので、あのチートおじさんに制限をつけてください! それも厳しく!

 

 

僕は切にそう願いながら、レイナさんに聞いてみる。

 

「このこと、アザゼル先生はなんと?」

 

「………無言で返されちゃった」

 

「………そう、なんだ」

 

「………ゴメン」

 

両手で顔を覆うレイナさんに、何も言えなくなった。

 

あまりの理不尽、摩訶不思議な現象(?)に嘆いていると、リビングの扉が開いた。

 

「ふぅ、なんとか間に合った!」

 

ドタバタしながら、部屋に入ってきたのはニーナさんとイッセー君のご両親。

彼女達は買い物で外出していて、ちょうど帰ってきたところだった。

 

ニーナさんがこちらに駆け寄ってくる。

 

「えっ、もう始まってるの?」

 

「ルール説明だけね。試合は今から始まるところよ」

 

テレビではちょうど、それぞれの王が台の前に立ち、審判の掛け声を合図にダイスを振っているところだった。

 

出た数字は―――――イッセー君が5、相手の『王』が4。

つまり、合計は9だ。

この場合、『女王』を出すことも出来るし、『戦車』一名と『騎士』一名のように駒を組み合わせて、複数名出すことも出来る。

作戦タイムに入ると、両陣営が作戦漏洩防止用の結界に覆われ、更にスタジアムの大型スクリーンには各選手の口元に読唇術防止策として暈しがかかっていた。

作戦タイムは五分。

 

『まもなく時間です。試合に出場する選手は専用の魔法陣の上に立ってください。その魔法陣から別空間に用意されたバトルフィールドへ転送されます。なお、フィールドに転送されるまでの間、両陣営の陣地は結界により不可視の状態になります』

 

五分が経ち、アナウンスが聞こえてくる。

こうして見ると、なんだか懐かしい光景にも見えてくる。

バアル戦では僕が一番手として、眷属の道を切り開く立場だった。

イッセー君のチームでは誰が―――――。

 

テレビの映像が変わり、選手が転送されるフィールドが映し出された。

そこは荒廃した町で、廃屋らしきものがいくつも並んでいた。

なるほど、この障害物を活かしながら戦えということなのだろう。

 

フィールドに転送された選手は四名。

相手は『戦車』『騎士』『兵士』を一名ずつと、序盤から大盤振る舞いだ。

リアス姉さんが言う。

 

「イッセー達の行動を予測しての結果でしょうね。イッセーが出すのは………」

 

イッセー君の陣営から出てきたのは―――――モーリスさんただ一人だけ。

 

「イッセー達のゲーム経験が少ない以上、まずは様子見をするはずよ。様子見に出せて、かつ勝利できるような人物となると決まっているわ」

 

「相手もそれを読んだと?」

 

「ええ」

 

確実に相手を倒すために、あえて序盤から数を出したということか。

まぁ、相手がモーリスさんなら、数で押すには戦力不足になると思うけど………。

 

モーリスさんについて、一つ気になることがある。

僕はリアス姉さんに訊ねた。

 

「そういえば、モーリスさんの剣は修復できていませんでしたよね?」

 

アセムとの戦いでモーリスさんの双剣は二本とも折られてしまった。

修復をアザゼル先生に依頼したとのことだったが、まだ修復は出来ていないらしい。

モーリスさんの剣はよく斬れること以外は普通の剣だ。

名刀ではあるが、聖剣でも魔剣でも神剣でもない。

グリゴリの技術ならすぐに修復出来そうだが………。

 

「ええ。なんでも少し厄介なことになってるそうよ。天界の技術者も呼んで、議論していると聞いたけれど」

 

「厄介なこと?」

 

「詳しくは分からないのだけど、修復には時間がかかると聞いたわ」

 

「となると、モーリスさんの得物はなにを………?」

 

まさか素手ということはない………こともないか。

アセムの眷獣を素手で投げ飛ばしていたし。

 

「ワルキュリアの武器じゃないかしら? たくさん持っているのだし」

 

なるほど。

ワルキュリアさんは剣や槍、短剣をメイド服の中に隠し持っている。

どうやって収納しているのかは教えてくれないけど、どれかを借りて出場しているのかも。

 

そんなことを思い、テレビに目を戻す。

そこではモーリスさんが得物を抜き、いつものスタイルで構えていた。

 

「え………ウソ………?」

 

突然、僕の横でリアス姉さんが立ち上がった。

何事かと僕達が首をかしげていると、リアス姉さんは目を見開き、次第に体を震わせはじめた。

 

何が起きたのだろう?

モーリスさんの得物に心当たりでもあるのだろうか?

 

すると、映像の向こうでモーリスさんがハツラツと、元気よく言った。

 

『さぁて、暫くおまえ達には世話になるぜ。張り切っていこうか―――――「熱海」! 「草津」!』

 

モーリスさんが抜いた得物。

それは二振りの木刀。

柄に「熱海」、「草津」と彫られた名入の木刀だった。

 

それを確認した瞬間、この場のメンバーはハッとなった。

その木刀には見覚えがあったんだ。

だって、その木刀は―――――。

 

「イヤァァァァァァァァ! それ、私の木刀ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

 

リアス姉さんがテレビに向かって泣き叫んだ。

そう、あの木刀は―――――リアス姉さんがお土産屋で買い、ヴェネラナ様に廃棄されたはずの木刀だった。

 

 




シリアスになどしてたまるものか
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