ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ 作:ヴァルナル
………シリアスってなんだっけ?
休日。
兵藤家の俺の部屋に集まる『異世界帰りの赤龍帝』チームのメンバー。
この集まりは今後の試合について話し合いをするためのものだ。
今、全員の視線はテレビに映る冥界のニュースに向けられていた。
それは―――――ニュースは俺達の紹介となっていたからだ。
始まってもうすぐ二週間となるところで、これまでに行われてきた試合を紹介していくコーナーで名シーンから注目のチーム、選手を取り上げている。
その中には俺達も入っていた。
『冥界のホープ「異世界帰りの赤龍帝」チーム、予選開幕から五戦全てを勝利で飾っておりますが、専門家の間では厳しい評価を受けており―――――』
映し出される試合風景。
俺達は今のところ出場した試合の全てにおいて勝ち星を上げている。
倒したチームの中にはプロのレーティングゲーム選手もいて、評価としては高くなるはずだった。
だが―――――試合内容があまりに酷すぎたらしい。
映像の中で映し出される俺達。
木刀と気合いで相手選手にトラウマを植え付けるチートおじさん。
巨乳の女性選手を集中的に狙うツンデレ女王様。
対峙した瞬間に脳天を撃ち抜いてくる早打ちスナイパー。
何もないところでスッ転んで、相手の女性選手のおっぱいを揉んでしまうおっぱいドラゴン(俺)。
幼女(見た目が犯罪級に幼い女性選手)に興奮し過ぎて、リタイアしてしまうロリコンメイド長。
相手をシスコンの彼方へと誘ってしまう兵藤家の次女。
そして、チームの奇抜過ぎる行為にツッコミを叫ぶ兵藤家長女とフェニックス家のお姫さま。
映像が一段落したところで、専門家が一言。
『ふざけてますね』
「ふざけてないし! 俺達は大真面目だっての!」
映像の向こう側にいる専門家に向けて抗議する俺!
確かにふざけてるように見えるかもしれない!
俺もラッキースケベ連発しちゃってるしね!
でもね、俺達も一生懸命なんだよ!?
そこは分かってほしいな!
そんな俺の想いなど届くはずもなく、スタジオではアナウンサーと専門家のやり取りが続いていく。
『一般的なルール、特殊なルールとルールを問わずに素晴らしい試合を見せてくれているのですが、時折………というかほぼ毎回のシリアル劇場は相手チームを酷く困惑させているようですね』
『彼らは普段からそういった面が強いと聞いています。この国際大会でも変わらないというのは、平常心を保てているということなのでしょう』
『なるほど。ちなみにモーリス選手について、一般的の方からは「笑いながら木刀を振るうのは怖すぎる」という意見もあり、中には泣いてしまったお子さんもいるとか』
『ええ。試合中でもモーリス選手と対峙した選手は半分泣いていましたから。魔法も、魔力も、妖術も何もかもがただの木刀の一振りで無に帰る。このショックにより、試合後、寝込む選手が出たそうです』
アナウンサーと専門家の情報を聞いて、俺達の視線はテレビからモーリスのおっさんへと移された。
当のおっさんはというと、立ち上がって、
「よぅし。そんじゃ、そいつらのところ行って、部屋から引きずり出してくるわ」
再起不能を更に再起不能にしようとしていたので、チーム全員で全力で引き止めた。
それからも俺達の紹介は続くのだが、それはもう酷評………というよりほとんど苦情の嵐。
『胸の大きい女性選手は「異世界帰りの赤龍帝」チームとの対戦を避けようとしているみたいですね』
『巨乳絶対殺すマンみたいなアリス選手がいますからね。加えて、兵藤一誠選手のラッキースケベ症候群が発動して、試合どころではなくなりますから。というか、ラッキースケベ症候群ってなに?』
『知らないです』
専門家の言葉に今度はチームメンバーの視線が俺とアリスに向けられた。
美羽が訊いてくる。
「アリスさん、なんで巨乳の選手ばかり集中砲火?」
「だ、だって、目の前でバインバイン揺らしてくるから………」
続いて、美羽は俺に問いかけてくる。
「アリスさんのは想像していた通りの答えだったけど………。お兄ちゃんはなんで毎回、何もないところで転ぶの? なんで、相手の女性選手のおっぱいにダイブしちゃうの?」
「い、いや、あれは事故でして」
本当に事故なんです!
俺もおかしいとは思ってるんです!
大会が始まってからというものの、美女美少女と対峙すると、なぜかラッキースケベが発動してしまうんだ!
何もないところで転んで、おっぱいにダイブしたり、ぶつかった拍子に服を脱がせてしまったり!
すると、実体化したイグニスがテンション高めに言った。
「これぞ、私の修行の成果よ!」
「おまえのせいだったの!? 俺に何をした!?」
「夜寝ているときに色々と。まぁ、元々、ラッキースケベの才能あったし、遅かれ早かれこうなってたわよ」
色々ってマジで何したの!?
そもそも、ラッキースケベって才能と言って良いの!?
ま、まぁ、天界でイリナに発動したこともあったけど!
他にも色々やらかしたこともあったけども!
今まで才能ないだの何だの言われてきたけど、認められた才能がそれって悲しすぎる!
イグニスの言葉に美羽が真っ先に反応した。
「あっ、もしかして………最近、寝ているときのお兄ちゃんが凄いのって」
「凄い!? 俺、寝ているときになにしてるの!?」
アリスが胸を手で隠すようにしながら言う。
「え、えっと………なんかパジャマ脱がしてくる」
レイヴェルもスカートを手で押さえながら、
「そ、それから………全身をその………」
全身をなに!?
脱がした後に何をしてるの、俺は!?
まさかと思うけど、リアス達にも凄いことしちゃってます!?
~一方その頃のリーアたん ~
リアス「ね、ねぇ、朱乃。最近、イッセーの寝相………凄くなってない?」
朱乃「ええ、その………凄いですわね」
凄いことになっていたらしい。
~一方その頃のリーアたん 終~
「………」
「ごめん! 自分が何をしたのか知らないけど、本当にごめん! だから、俺から離れないで、サラちゃん! にぃにを見捨てないでくれぇ!」
無言で距離を取ろうとするサラに泣きすがる俺だった。
そんなやり取りをしている横では、番組による俺達の紹介が続いていく。
録画映像が流されており、それは俺達の三回目の試合だった。
映し出された映像には俺と相手チームの数人が映っている。
俺と相手チームのメンバーは言い合いをしていて、
『赤龍帝! 貴様だけは絶対に許さん!』
『そうだ! 私達はあなたに抗議する!』
『オラは怒ったぞぉぉぉぉぉ!』
怒り心頭といった様子の彼らは俺に告げた―――――
『『『ディルたんから「にぃに」と呼ばれる貴様だけは絶対に許せんんんんんん! 「ディルたん見守り隊」が貴様に鉄拳制裁をしてくれるぅぅぅぅぅ!』』』
たった数回の試合。
その数回の中で、我らが妹はあちこちにファン………というより、シスコンを量産してしまったらしい。
だがな、俺にも譲れないものがある。
絶対に守らなきゃいけない、俺の全てをかけても。
映像に映る俺はフッと笑むと―――――カッと目を見開いて叫んだ。
『上等だオラァァァァァァ! かかってこいやぁぁぁぁぁぁ! 真なるにぃにの力、見せつけてやるわぁぁぁぁぁぁ!』
そこから先は兄としての存在をかけての戦い………というより蹂躙だった。
シスコンパワーを発揮した俺は相手をちぎっては投げちぎっては投げの繰返し。
最終的には自分でも見事だと思えるほどのジャーマンスープレックスで相手を沈めていた。
「フッ、やはり俺が最強のお兄ちゃんだ。美羽とサラは誰にも渡さん。俺こそが二人のお兄ちゃんなのだ………!」
「いや、お兄ちゃんなのは良いとしても、シスコンが悪化してるだけだから。というか、試合中にシスコン発揮しすぎじゃない?」
ニヒルに決める俺にツッコミを入れるアリス。
アナウンサーが録画映像の感想を述べた。
『………これは酷い』
「うるせぇ! これは兄として当たり前だろ!?」
「お兄ちゃん、向こうには聞こえないよ?」
「うん、知ってる! 知ってるけど、叫ばずにはいられなかった!」
ちなみに、専門家はというと、
『ハァハァ………ディルたん』
『よし、あんたも手遅れだ。帰れ』
辛辣な言葉がアナウンサーから放たれていた。
▽
番組中で俺達の紹介が終わったところでレイヴェルが咳払いをする。
「ま、まぁ、これに関しては今に始まったことではありませんので、スルーしましょう」
「していいんだ………」
「気にしたところで、どうしようもありませんから」
アリスの言葉にレイヴェルが諦めが入った表情で答えちゃったよ!
もう俺達は手後れと!?
レイヴェルはそんな表情から一転、真剣な言葉で俺達に話していく。
「しかし、今のところ余裕を持った試合を出来ています。個々の実力もさることながら、咄嗟の対応力に優れているのは流石です。実戦とゲームは似て非なるもの。しかし、実戦で培われたものはゲームでも活きてくるのもまた事実」
特殊なルールをつけられるとやりにくいというのはある。
だけど、対応できないほどじゃあない。
それに、フィールドに罠が仕掛けられていたりしても、すぐに突破できているからな。
レイヴェルが言う。
「このチームの基礎能力はハッキリ言って異常です。本選に出場することも可能でしょう。ですが、体力気力マックスで予選期間全てを戦い抜くことは厳しいでしょう。今回の大会で重要になるのは勝ち星ではなく、レートのポイントです。予選突破をかけた時期を見定めて、稼げるときに一気にポイントを獲得する。無理な戦いは極力避けた方がいいでしょう」
無理な戦い―――――特に神クラスとの戦いだ。
大会のシステム上、当たったら仕方がないのだが、次の試合を見越して、ある程度温存できるようにはしておきたい。
ま、その辺りは状況次第だな。
モーリスのおっさんが言う。
「試合ペースに関しちゃ、おまえらに任せるよ。無理だと判断すれば止めれば良いし、行けると思ったら行けば良い」
おっさんは基本的に俺達の作戦に口を出してこない。
会議の時も横で俺達を眺めているくらいで、作戦に関しては俺達に一任してくれている。
おっさん曰く、
『若い連中に年寄りがあーだこーだ言うのも問題だろ? なにより、俺が指示を出してたら、おまえらが育たん。相談には乗るが、基本、俺はおまえらの指示に従って動く』
更におっさんは俺に対してこう告げていた。
『それから、このチームの大将はおまえだ。俺じゃない。大将だったら、最終的な判断はおまえがしろ』
とのことだ。
なんだかんだで、俺達のことを考えてくれてるらしい。
おっさんからしたら、俺達はまだまだ未熟ってところなのかね?
………ま、まぁ、試合中は誰よりもはしゃいでるけど。
ゲームの時も、俺達の中でも一番テンション高いし。
俺はチームメンバーに言う。
「ほどほどに、のんびり行こうぜ。こいつは命懸けの戦いじゃない。祭りなんだから。でも―――――試合に出る以上は勝ちに行く」
アリスが親指を立てて、頷いた。
「ええ。無理のない範囲で、だけど全力でやるわ。お祭りは楽しまないとね」
ミニドラゴン化しているボーヴァが平伏して言う。
「某、全力であなた様に勝利を届けまする!」
これまた大袈裟なリアクションだが、これにも少し慣れてきた。
見学期間を設けたはいいけど、それによってボーヴァの俺の臣下になるという意思は益々強くなってしまったらしい。
そんな大したことはしてないんだけどね。
特別にやったことと言えば、軽い修行に付き合ってもらったくらいだ。
結局、眷属ではなく、臣下として側に置くことになった。
一応、この件についてはタンニーンのおっさんには報告済みだ。
俺はボーヴァの肩を叩いて言う。
「おう! 頼むぜ、ボーヴァ!」
「ハッ!」
「めり込んでる。頭、床にめり込んでるって」
更に頭を下げるボーヴァへの美羽からのツッコミだった。