ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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ついにイッセーVSバラキエル決着!


22話 穿て! 究極の力!

[木場 side]

 

 

イッセー君とバラキエルさんのゲームが行われている試合会場―――――アザゼルスタジアムに設けられた関係者用の観戦ルームで試合の行方を見守っていた。

 

「押されているわね。イッセー達も歴戦の戦士が揃うチームだけど、それはバラキエルのチームも同じ。今回はバラキエル達の方が相性も含めて、上手く試合を有利に運んでいるわ」

 

モニターを凝視するリアス姉さんは難しい表情を浮かべていた。

 

バラキエルさんが自分専用の人工神器を作っていたことにも驚いたが、何よりも衝撃だったのは『雷光』チームの『女王』枠であるアルマロスさんだろう。

彼は美羽さんが『オブジェクト』の解析に当たった直後、真っ直ぐ、美羽さんのいる位置を目指して進んだ。

そして、美羽さんと対峙した瞬間に懐からある物を出した。

それは黒い箱のようなものだった。

アルマロスさんはその箱を美羽さんの目の前で破壊して………。

 

ロスヴァイセさんが言う。

 

「最初から………イッセー君達との試合が決まった時点で、美羽さんの魔法を封じる作戦だったのでしょう。どのようなルールにしろ、美羽さんの魔法を封じるだけで、戦力の大幅ダウンになりますからね」

 

ゼノヴィアが言う。

 

「しかも、今回はゲームの仕様上、美羽を封じられるのはかなりの痛手だ。イッセー達にとっては最悪のタイミングだ」

 

両チームの『オブジェクト』の探索はバラキエルさん達がリードしている。

映像で見る限りは恐らく、解析も既に済んでいるようだ。

対して、イッセー君達の解析はまだ済んでいない。

ここで美羽さんを取られれば、破壊した『オブジェクト』の数の競い合いにはほぼ確実に敗北するだろう。

 

イリナが言う。

 

「だからこそ、モーリスさんを向かわせたのよね?」

 

「そうだな。美羽が何とか持ちこたえさえすれば、そちらは大丈夫だろう。だが………」

 

ゼノヴィアの視線はバラキエルさんと戦闘中のイッセー君に向けられる。

人工神器の禁手である鎧を纏うバラキエルの攻撃をなんとか回避しようとするイッセー君。

だけど、イッセー君は既にボロボロだった。

頬や腕には血が伝い、体の表面には火傷の痕も見られる。

衣服は切り裂かれたかのように破けていた。

誰がどう見てもイッセー君は追い詰められている。

それでも、イッセー君が討ち取られていないのは、磨かれた戦闘技術、これまでの経験によるものだろう。

 

「………」

 

二人の戦いを悲痛な表情で見つめる朱乃さん。

愛する人がこうして自分の父親と戦っている。

ゲームとはいえ、ボロボロになりながらだ。

 

バラキエルさんが戦う前に言った言葉は僕達も映像を通して聞こえていた。

バラキエルさんはイッセー君が本当に朱乃さんを守ることが出来るのかを、このゲームを通して確認しようとしている。 

どんな手を使ってでも。

 

「朱乃………」

 

リアス姉さんが口を開こうとしたその時、部屋に一つの気配が現れた。

皆で振り向くと、そこにはアザゼル先生がいた。

 

僕達と目があったアザゼル先生は唇を尖らせる。

 

「なんだ、こっそり入ってきたつもりだったのに気付いたのかよ。前はイッセー以外、気付かなかったのによ」

 

そういえば、そんなこともありましたね。

あれは去年の夏、リアス姉さんが里帰りの予定を話していた時だったかな?

 

僕はアザゼル先生に問う。

 

「先生、運営の方は良いんですか?」

 

「今日はオフなんだよ」

 

ロスヴァイセさんがジト目でアザゼル先生を見る。

 

「とか言いつつ、抜けてきたんじゃないですか?」

 

「相変わらずそっち方面、信用ねーな。つーか、俺がいなきゃ、大会が回らないわけでもないんだ。多少、抜けたところで問題ない」

 

「「「この人、どっかでサボろうとしてる!」」」

 

この場にいたメンバーの心は重なったようだ。

 

あまり歓迎されないまま入室したアザゼル先生はモニターに目を移すと、やれやれと息を吐いた。

 

「ったく………バラキエルのやつも心配性だねぇ」

 

「アザゼル先生はこのことを知っていたんですか?」

 

僕が問うとアザゼル先生は苦笑しながら答えた。

 

「まぁな。この大会が始まってからすぐだったよ。自分専用の人工神器を作ってくれなんて頼んできやがった。イッセーと当たった時のためにあいつは準備していたのさ」

 

そう言うとアザゼル先生は朱乃さんに話しかけた。

 

「バラキエルがここまでしたのは朱乃、おまえのためだ」

 

「それは分かっています。でも………」

 

じっとモニターを見続ける朱乃さん。

 

モニターに映るイッセー君は両手に気を集中させて、連続で気弾を放っていた。

 

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!』

 

一発一発が重い一撃なのはモニター越しでも伝わってくる。

しかし、そんなイッセー君の攻撃をバラキエルさんは悉く撃ち落として、イッセー君に迫る。

閃光のごときスピードで距離を詰めたバラキエルさんはイッセー君の腕を掴むと、持ち上げ―――――力のまま地面に叩きつけた!

 

『ガッ!』

 

苦悶の声を漏らすイッセー君。

そこへバラキエルさんの蹴りが、イッセー君のボディーへと撃ち込まれる!

宙に浮かび上がったイッセー君に対し、更に雷光を纏った拳と蹴りを叩き込まれていく!

バラキエルさんの攻撃は目を背けたくなるほど、苛烈だった………。

 

朱乃さんが声を震わせて言う。

 

「父様は………ここまでイッセー君を痛め付ける必要があるのですか? 今のイッセー君は以前のように戦えないのに………それを知っているのに、こんな………!」

 

朱乃さんの言うことは最もだ。

ここまでするなら、もうバラキエルさんの最大の一撃で、トドメをさした方がイッセー君も楽になるだろう。

実際、それが可能な力の差があるのだから。

でも、目の前で行われているのはバラキエルさんのラッシュがイッセー君を滅多打ちにしている光景で………。

 

アザゼル先生が言う。

 

「あいつはな、朱乃。本当におまえが大切なんだ。そして、ああは言ったが、イッセーならおまえを守れると確信もしている」

 

「だったら、なんで………!」

 

「だからこそだよ」

 

朱乃さんの言葉を遮るようにアザゼル先生は言葉を続けた。

 

「今のイッセーの状態は既に世界中が知るところだ。各神話勢力の神から英霊、その他の戦士達までな。もし、仮にだ。今後、おまえ達に害意、敵意を向ける者が現れたとする。イッセーはチーム『D×D』の中核的存在。それが容易く討ち取れるとなれば………」

 

「私達にちょっかいを出してくる者が増えると?」

 

リアス姉さんの問いにアザゼル先生は頷く。

 

「先のアセムとの戦いで、イッセーはあれだけの力を示した。それは希望であり、あいつを危険視する者からすれば、脅威だ。討つなら今と考える奴も出るかもしれん。だが―――――」

 

アザゼル先生はイッセー君の戦いを見つめる。

 

バラキエルさんの猛攻から脱出したイッセー君はアスカロンを抜き放って応戦する。

籠手の力で身体能力を高めて、バラキエルさんと激しい戦いを繰り広げていく。

恐らく現状で高められる目一杯まで上げているはずだ。

そんなイッセー君の攻撃を神器を纏ったバラキエルさんには通じていない。

 

そんな中でもアザゼル先生はどこか確信を持った声で言った。

 

「今の弱ったイッセーでも力を―――――神すらと屠れる力や手段を持っているとすればどうだ? そいつらは認識を改めざるを得なくなる」

 

アザゼル先生は続ける。

 

「バラキエルはこのゲームを通して、世界に示そうとしてるのさ。たとえ、弱体化していたとしても兵藤一誠は健在であり、おいそれとちょっかいを出して良い相手ではないとな」

 

激しい撃ち合いの末、後ろに吹き飛ばされるイッセー君。

彼は空中で姿勢を整え、地面に着地を決める。

 

すると、小猫ちゃんが僕の隣で呟いた。

 

「イッセー先輩が………笑ってます」

 

「え?」

 

そう言われて見ると、イッセー君は不敵な笑みを見せていた。

息はあがり、もうフラフラだと言うのに、闘志は消えていないというのか。

 

バラキエルさんがイッセー君に問う。

 

『なにがおかしいのかね?』

 

『結構やれるもんだなって。今のバラキエルさんを相手にここまで良く保ったと』

 

『まるで諦めたような口調だが………その目は諦めてなどいないな。むしろ、私を倒そうとあの手この手を考えている目だ』

 

『ええ。誰が諦めてやるもんですか。言ったはずです。全力で証明してやるって』

 

『ならば………証明してもらおうか!』

 

バラキエルさんの腕にすさまじい力が宿る!

映像越しに見ていても身震いするような、凶悪な光の力!

あれだけの雷光を受けてしまえば、イッセー君は………!

バラキエルさんが腕を横凪ぎに払い、これまでにない規模の雷光を放つ!

 

雷光がイッセー君に迫った―――――次の瞬間。

 

『この時を待ってたんだ!』

 

イッセー君がアスカロンで雷光を受け止めた! 

雄叫びを上げながら、彼は両足で強く踏ん張っている!

 

『ぐぎぎぎぎぎ………! ドライグ、頼むッ!』

 

『任せろ!』

 

周囲に聞こえる声で応じるドライグ。

すると、イッセーが赤いオーラを纏い―――――鎧姿となった!

 

リアス姉さんとギャスパー君が立ち上がる。

 

「禁手! ここで使うのね!」

 

「しかも、いきなり天武(ゼノン)ですぅ!」

 

そう、彼はこの局面でたった一分しか使えない禁手の第二階層を使用したのだ!

籠手からけたたましく、倍加の音声が鳴り響く!

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!』

 

『回れ回れ回れ回れ回れ回れ回れ回れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』

 

自分に言い聞かせるように叫ぶイッセー君。

すると、彼は右足を軸にして、体を回し始め―――――受け止めた雷光をアスカロンで巻き取った!

 

『Transfer!!!!』

 

高めた力がアスカロンに巻き取られた雷光に譲渡された瞬間、

 

 

ドンッ! バチチチチチチチチチチチチッッ!

 

 

力が膨れ上がった衝撃で、フィールドが激しく震え、飛び散るスパークが二人の周囲にある木々の全てを焼き付くしていく!

イッセー君はアスカロンを両手で握って、

 

『ブースト・カウンタァァァァァァァァ!』

 

赤龍帝の力が譲渡された状態で、雷光をバラキエルさん目掛けて放った!

これにはバラキエルさんも予想外だったのか、目を見開き、慌てて回避行動をとった。

バラキエルさんに当たることはなかったが、イッセー君が放った雷光は辺り一帯を滅茶苦茶に………それこそ、神々が放つ攻撃のごとく、地形を塗り替えてしまっていた。

 

誰が想像しただろうか。

今の彼がこれほどまでの攻撃を仕掛けるなど。

いや、誰もいない。

あまりの威力に観客席や実況すらも唖然としていると―――――イッセー君とバラキエルさんのいるエリアが結界で囲まれた。

 

《赤龍帝チーム、「オブジェクト」の破壊を三つ確認。3ポイント獲得です》

 

《雷光チーム、『兵士』一名、『騎士』二名、リタイア》

 

なっ………!?

雷光チームが三名もリタイアした!?

 

ロスヴァイセさんが言う。

 

「リタイアした『雷光』チームのメンバーはイッセー君を囲むように動いていました。そして、今のイッセー君のカウンター攻撃は周囲を広く巻き込む形で放たれていました。イッセー君はこれを狙っていた………?」

 

「だとしても、『オブジェクト』を持っているか分かるなんて………。しかも、こんな荒業で『投獄(インプリズメント)』を狙うなんて可能なの………!?」

 

リアス姉さんが言う『投獄』とは相手チームの『王』を誘導し、『オブジェクト』の破壊エリアによる進入不可能エリア発生を利用して封じるという、『オブジェクト・ブレイク』で使用される戦術だ。

 

そして、今『オブジェクト』が破壊されたのは『a4』『a6』『b5』。

つまり、イッセー君とバラキエルさんは『a5』に取り残される形で行動を制限されたことになる!

 

バラキエルさんが問う。

 

『君は最初からこれを狙っていたのか?』

 

肩を上下させながらイッセー君が答える。

 

『最初からじゃないですけどね。俺の回りをそちらのメンバーが囲むように動いていたんで、バラキエルさんの作戦を察したんですよ』

 

元々、バラキエルさんが『投獄』を仕掛けるつもりだったのか。

それをイッセー君は利用したと。

バラキエルさんに追い詰められながらも、周囲の動向を逃さないとは流石はイッセー君。

 

『そうか、君は相手の気を読むことができたな。なるほど、私と戦いながらそこまで探れるとは思わなかったよ』

 

『生憎、乱戦は慣れてるんで。だけど、俺の作戦はまだ仕上がってませんよ?』

 

『なに?』

 

イッセー君の言葉にバラキエルさんが片眉を上げた。

すると、更にアナウンスが流れて―――――

 

《雷光チーム、『戦車』二名リタイア》

 

バラキエルさんのチームメンバー、『戦車』二人が撃破されたことを知らせるアナウンスだった。

 

イッセー君が笑みを見せる。

 

『これでバラキエルさんはこのエリアから逃げ出せない』

 

そうか、イッセー君はバラキエルさんの脱出手段―――――『キャスリング』を封じたのか!

時折、他のメンバーに指示を出していたが、その内の一つが『戦車』の優先撃破!

 

撃破したのはアリスさんとワルキュリアさんだ。

アリスさんは真っ向から倒していたけれど、ワルキュリアさんの方はというと、

 

「罠を張っている場所に誘導してからの撃破。しかも、罠も魔法や魔力の類いではなく、ただのワイヤートラップ。魔法、魔力の戦いに慣れてしまった奴じゃ、不意打ちみたいなもんだな」

 

そう、ワルキュリアさんは敵を罠のある場所まで誘い込んでから撃破していた。

自分を追いかけてきた相手を、木々の間に張り巡らされた極細のワイヤーで絡めとる。

ワイヤーには麻痺毒が塗ってあったようで、捕まった堕天使は完全に動けなくされていた。

ワルキュリアさんはそこを………。

彼女の戦いを見ていて、魔法や魔力よりもあの手の攻撃が一番恐ろしいのではないかと思ってしまったよ。

 

「ワルキュリアさんって戦い方が恐いよね」

 

顔をひきつらせるイリナの一言に頷く僕達だった。

 

次々に手を打っていくイッセー君に、バラキエルさんも苦笑を浮かべた。

 

『やられたな。これで私はこのエリアから抜け出せなくなった。だが、どうする? 君もまたこのエリアに閉じ込められたぞ』  

 

バラキエルさんの言う通りだ。

イッセー君の『戦車』モーリスさんは健在だが、バラキエルさんが『キャスリング』をする時間を与えるとは思えない。

禁手の使用時間は残り僅か。

その中でバラキエルさんを倒すのは難しいはずだ。

『キャスリング』が出来なければ、撃破される可能性が高いのはイッセー君となる。

 

しかし、イッセー君は首を横に振った。

 

『いいえ。勝つのは俺です。仲間が色々お膳立てしてくれましたから』

 

『それは………?』

 

バラキエルさんの視線がイッセー君の左手に向けられる。

イッセー君の左手には赤い………クリスタルが握られていた。

大きさはピンポン玉ほどだろうか。

 

イッセー君が答える。

 

『こいつは俺の血を使って、リーシャと美羽、イグニスが作ってくれた魔術結晶ってやつで………まぁ、触媒みたいなものです』

 

イッセー君が赤いクリスタル―――――魔術結晶をバラキエルさんに向けると、強く握りしめた。

そして、呪文を口にする―――――。

 

『我が身に宿る紅蓮よ。我が剣に宿る真焱よ。真理を読み解き、今、顕現せよ。敵を穿ち、万象の一切を灰塵と化せ』

 

イッセー君が詠唱を始めると正面に何十、何百もの魔法陣が展開していく。

なんて数の魔法陣だ。

しかも、描かれた魔法陣の全てに僕が知っているものはない。

 

ロスヴァイセさんが驚愕の声をあげる。

 

「イッセー君が魔法を!? しかも、なんですか、あの魔法陣は!? あんな複雑で訳の分からない魔法を使えるようになってただなんて!」

 

イッセー君は魔力や魔法を扱うのは苦手としていたはずだ。

使えるのは転移や通信といったもので、ロスヴァイセさんでも分からないような魔法を使えるようになったとは思えない。

ということは………、

 

「あの魔術結晶とやらが、それを可能にしたってことだろう。しかも、イッセーの血で作ったのなら、あれは完全にイッセー専用の魔法なんだろうよ。つーか、あの女神の名前が製作者の一人にあがっていたよな? その時点でヤバい代物だろ」

 

アザゼル先生が顎に手をやりながら興味深そうに魔術結晶に目を向けていた。

 

『さぁ、魅せよう。我らが輝きを―――――』

 

イッセー君が呪文を唱え終わると、体を赤いオーラが包み込む。

その外側を錬環勁気功の奥義を使った時に現れる黄金の気が覆った。

更にはジェット機のような甲高い音………アグニを撃つときに発せられる音が鳴り響いた。

もう、あれを止めることは不可能だろう。

バラキエルさんもそれを既に察しているのか、動揺する素振りは見せていなかった。

 

イッセー君が語り出す。

それは自分の過去を振り返るようだった。

 

『俺は足りないものだらけでした。力もない、知恵もない、才能もないのないない尽くし。でも、だからこそ、足りないものの補い方を知っている。失わないように、絶対に守れるようにするには自分がどうすれば良いのか。今の俺にはそれが出来る力もある。そして、支えてくれる仲間がいる』

 

イッセー君はバラキエルさんの目を見て言う。

 

『バラキエルさん、改めて誓います。俺は何がなんでも、どんな時、どんな状態だろうと朱乃を、家族を守りきってみせます。絶対に幸せにしてみせます。俺は―――――朱乃が大好きです』

 

真っ直ぐ宣言するイッセー君。

 

展開された魔法陣が更に強い輝きを放ち始め、フィールドを照らしていく。

それは神々しく、見る者を畏怖させる光。

赤と黄金が入り交じった、燃え盛る炎のようなオーラが高まっていく―――――。

 

『こいつはこの触媒に刻まれた女神の魔法、錬環勁気功、そして赤龍帝の力が合わさって放てる究極魔法――――』

 

そして、イッセー君はその魔法の名前を叫んだ。

 

『―――――イクス・バースト・レイッッッッ!!!!!』

 

イッセー君が放った超極大の魔法は前方にあるもの全てを無に返しながら突き進んでいく。

逃げ場を失ったバラキエルさんは成す術もなく呑み込まれていった。

しかし、その表情はとても穏やかなものだった。

 

 

 

《雷光チーム、『王』リタイアを確認。「異世界帰りの赤龍帝」チームの勝利です!》

 

 

 

[木場 side out]

 

 

 

 

[三人称 side]

 

 

兵藤一誠が行使した魔法は大会に関わる者達を震撼させた。

大会開催時には彼は弱体化したと、先の戦いにより神を超える力は失ったと言っていた者達もその認識を改めざるを得なくなった。

 

 

 

なぜなら―――――

 

 

 

兵藤一誠が放った魔法はフィールドの半分近くを破壊し尽くしたのだから。

 

 

[三人称 side out]

 

 

 




~あとがきミニストーリー~

アセム「流石は原初の女神。良いカードを引いてくる。だけどね、僕も負けてられないのさ! いくよ、僕のターン! ドロー!」

イッセー「もういいよ! 長いよ! なんで三回連続同じ流れ!? もう飽きてるから! 皆、飽きてるから!」

アセム「『可哀想な騎士・木場(ツッコマナイト)』を生け贄にして」

イッセー「あぁぁぁぁ! 木場がなにもしないまま消されたぁぁぁぁ!」

アセム「『ケツ龍皇シリビオン』を特殊召喚!」

アルビオン「………」

ヴァーリ「………なにをしているんだ、アルビオン」

アルビオン「ヴァーリ………助けてくれ」

ヴァーリ「………」

イッセー「いや、黙るなよ! 助けてあげようよ!」

イグニス「やるわね。じゃあ、私は『乳龍帝オパイグ』を召喚してあげるわ!」

ドライグ「………グスッ」

イッセー「ドライグゥゥゥゥゥゥ!」




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