ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ 作:ヴァルナル
悪魔の仕事に加え、大会の試合をこなす中で、駒王学園での日々も進んでいく。
教壇に立つのは、三年B組の担任―――――ロスヴァイセ先生だ。
「というわけで、球技大会が迫っています。クラス対抗戦は負けられませんよ!」
気合い満々のロセは進級した俺達のクラスの担任となっている。
クラスの同じ班になった松田と元浜がロセの姿を微笑ましく見ていた。
「ロスヴァイセちゃん、気合い入ってんな」
「初めてクラスを受け持った手前、負けるわけにはいかないんだろうよ」
などと言う松田と元浜。
そう、ロセにとってこのクラスは初めて受け持つクラスになる。
元々責任感が強いので気合いを入れているってのもあるだろうが、教師の仕事が心底楽しいのだろう。
生徒という立場で見ても、今のロセは楽しそうだ。
この三年B組だが、松田や元浜だけでなく、オカルト研究部のメンバーが揃っている。
つまり、去年のメンバーに木場がクラスメイトとして加わったんだ。
これは有事の際、すぐに集団で動けるようにと学園側―――――主にアザゼル先生やロセが手を回してくれたおかげだ。
グレモリーに縁のある三年を一ヶ所に集めたのだ。
ちなみに、C組には匙をはじめ、シトリー眷属が集まっている。
隣の席のいる美羽が言う。
「クラス対抗と部活対抗、どちらも負けられないね。新生オカ研としては特に」
俺の後ろの席に座る木場が頷く。
「そうだね。僕達の世代になって負けたなんてこと、卒業生に言えるわけないもんね」
木場が張り切り気味にそう言う。
こいつも今ではオカ研の副部長だ。
部長のアーシアを支え、部を引っ張る立場として、今回の球技大会に燃えているのだろう。
そんな木場を見て、俺はフッと軽く笑んだ。
「どうしたんだい?」
「いや、去年のことを思い出してな。前の球技大会の時はボーッとしていたろ?」
ちょうど一年前、木場は聖剣の事件で深刻になっていた。
木場はその生い立ちもあってか、球技大会なんてそっちのけだった。
まだ教会に属していたゼノヴィアやイリナに突っ掛かるわ、あげくの果てにはリアスのもとからはぐれようとするわで結構荒れてたよなぁ。
まぁ、そうなってしまうのも無理はなかったのだが………。
今思うと木場ってしっかりしているようで、色々危なっかしいところがあったよね。
あの時の木場はなんというか………手のかかる弟?
あっ、俺の方が年上か。
泣けるな。
俺の言葉に木場が赤面する。
「………それは言わないでよ、イッセー君。というか、なんで、そっちがダメージ受けてるの?」
「気にするな、木場。ちょっと根本的なところを思い出して泣いてるだけだから」
「いや、それっていつものことだよね?」
うるせーよ。
俺だって毎回毎回、同じことで泣きたくなんてないんだよ。
近くの席のゼノヴィアが済まなさそうに言う。
「私は生徒会チームで出るからな。申し訳ない」
ゼノヴィアはオカ研に所属したままだが、現生徒会長だ。
生徒会長が生徒会チームに参加しないわけにもいかないだろう。
そういうわけで、今回の球技大会でゼノヴィアは俺達のライバル的なポジションになるな。
イリナがサムズアップしながらゼノヴィアに言う。
「全然問題ないわ! ゼノヴィアなんて、私が倒しちゃうもの!」
「じゃあ、イリナだけは徹底的に倒すか」
「なんですと!」
火花を散らすゼノヴィアとイリナ。
エクスカリバーの事件でこの二人と出会ったが(イリナは子供の頃に遊んでた仲だけど)、まさかまさか、同じクラスになった上に、片方は生徒会長になるとはね。
あの頃は思いもしなかった。
美羽が微笑みながら言う。
「ライバルになった以上は全力でやらなきゃだね?」
「ああ、こちらも全力で倒させてもらうさ」
不敵な笑みを浮かべて返すゼノヴィア。
「……そうですね、負けられません」
ぼそりとアーシアがそう漏らす。
………なんだか、思い詰めてそうな顔だな。
そういや、最近、家でも学校でも物思いにふけることが多くなっているけど………。
桐生がアーシアのほっぺをむにゅむにゅさせながら訊く。
「アーシア、妙な迫力がついちゃってるけど、大丈夫?」
「ら、らいひょうふれす! う、うちょうれすから、負けられまひぇん!」
よし、とりあえず、今のアーシアの顔が超可愛かったので心のフォルダに仕舞っておこうか。
まぁ、しかしだ。
部長になってからはアーシアも色々と気負ってるみたいだ。
三年生になってからは特にで、最近じゃ、最後まで部室に残って作業するくらいだ。
その時は俺達もアーシアに付き合って、一緒に作業してるけど。
「いいですか、B組ファイトです! 目指せ優勝!」
『おー!』
アーシアについて考えている中、周囲では気合いの入ったロセと若干気の抜けたクラスメイト達が声をあげていた。
「うーん、若いなぁ」
「やめろ、また泣きたくなるだろうが」
アーシアやロセを見て、しみじみと呟くアリスに俺はただ涙した。
▽
「あ、そっちでも影響出てたか」
一日の予定を終えて帰宅後、俺は最近のアーシアの様子について、リアスと話していた。
家や学校でも考え込んでいたアーシアのことだ、悪魔の仕事でも何かしら影響が出ているのではと思った俺はリアスにそちらの話を聞いてみたのだが案の定だった。
リアスは小さく息を吐くと、何枚かの用紙を手渡してくれた。
それはアーシアの仕事ぶりに関してのアンケートだった。
「この頃、アーシアへのお客様からの評価があまり良くないの。まぁ、内容は不満ではなくて心配の声なのだけど。アーシアが依頼を受注中に難しい表情で考え事をしていたり、無理な願いを聞き入れて失敗してしまったりで、普段のアーシアには考えられないような失敗もあるらしいの」
リアスの言葉を聞きながら、俺はアンケートに眼を通していく。
リアスの言うように、アンケートに記された内容は、どれもこれもアーシアを心配するものばかり。
中にはアーシアを気づかって、暫くは召喚を控えようとする人も見受けられる。
アーシアに依頼する人達の中には、アーシアに癒しを求める人も少なくない。
そのアーシアが今の調子ではこうなってしまうのも仕方がないだろう。
俺はリアスに訊ねた。
「このことはアーシアに?」
「いいえ、伝えていないわ。あの子のことだから、余計気にして、悪い方向に向かってしまうでしょうし」
確かに。
アーシアがこのことを知れば、悪い意味で気合いが一層入ったり、意気消沈してしまうだろうな。
家の生活でも、オカ研の活動中でもアーシアは妙に気合いを入れている。
今日、行った球技大会の部活対抗戦についての話し合いでも鬼気迫るものがあった。
「負けません!」「勝ちます!」と、アーシアらしからぬ力の入り方だった。
最近、オカ研の部長として、必要以上に力みすぎているように思える。
リアスが言う。
「部長としての振る舞い方、部活動の在り方を模索しているのでしょうけど………」
リアスの席を継ぐことに、自分自身にプレッシャーをかけてるってことか。
アーシアは責任感の強い子だ。
任された以上はやり遂げたいと思っているはずだ。
でも、いざ部長の席についてみるとどっと、不安が押し寄せてくるのだろう。
本当にこれで良いのか、リアスならもっと上手くやれるんじゃないのか………なんてことを考えてしまうんじゃないかな?
リアスが訊いてくる。
「もしかして、アーシアは私と自分を比較してしまっているんじゃないかしら?」
「そうだな。時々、そういう面が見られるよ。でも、自分でも何か違うって思っているみたいだった」
リアスは自分とは違うオカルト研究部の在り方、『リアス部長』ではなく『アーシア部長』が率いる部活にしてほしいと思っている。
そこはアーシアも理解しているのだろう。
そのためか、時々見せるリアスのような振舞いをしてしまった時は、ハッとなって、自分で抑えようとしている。
俺は小さく息を吐く。
「まぁ、こればかりはな。フォローは出来ても、最終的に気付くのはアーシアだ。自分らしいやり方なんて、早々見つけられるもんじゃないし、周囲から言われて身に付けるものでもないさ」
俺の言い方が気になったのか、リアスは不思議そうに訊ねてくる。
「あら、身に覚えがあるの?」
「まぁね。今だって自分らしくやれてるのか分からないくらいだ。それが合っているのか、間違っているのかなんて特にだ。そこは周りの評価を見てみないとな」
俺は背伸びをしながら言う。
「自分らしいやり方なんて、最初は誰も分からないよ。失敗して、学んでの繰り返し。その積み重ねが『自分らしいやり方』ってのを段々と構築していく。そんなもんじゃないかな?」
最初から出来るやつなんて、そうはいない。
何かしらの指標があり、それをこなしていく内に、段々と自分なりのやり方が見えてくるものだ。
リアスも身に覚えがあるのか頷いた。
「そうね。そうかもしれないわ」
「アーシアも最初は分からないことだらけだ。だから、今は分かる範囲で自分なりのやり方を模索すれば良いと俺は思う。そうすれば、いつかは『リアス部長のオカルト研究部』が『アーシア部長のオカルト研究部』になるんじゃないかな? まぁ、この考え方が正しいのかってのも分からないけどね」
そう言って俺は苦笑する。
ただ、実際にアーシアに何かを伝えるのはちょっと難しい。
先に言ったように、下手にアドバイスをすると、余計に気合いが空回りしたり、意気消沈してしまうかもしれない。
以前、ロセにも人生相談っぽいことはしたけど、あれはただの受け売りだ。
それを伝えることも大切とは言うが、この場合には適していないだろうし。
うーむ………人の悩みを解決するのって難しいよなぁ。
俺にもっと人生経験があれば!
「心配しなくても、私達よりは人生経験あるわよ?」
「なんか、悲しくなる言葉を投げられたよ! しかも、心の声を読まれた!」
「いつものことじゃない」
確かにいつものことですね!
皆、ナチュラルに俺の思考を当ててくるもんな!
えぇい、相変わらず俺のプライバシーは皆無か!
リアスは微笑む。
「アーシアのこともあるけど、そろそろ寝ましょうか。ウフフ、久しぶりにイッセーを独占できる」
と言って、俺に抱きついてくるリアス!
スケスケのネグリジェを着たリアスが密着してくる!
「今日は『フリーの日』。少しズルい気がするけど、ここは一つ抜け駆けさせてもらうわ」
少し前から女性陣の中で俺と寝る順番を決めているようなのだが、寝ている間に一人、また一人と忍び込むためか、朝目覚めた時にはベッドの上が一杯になっていたりする。
というか、寝相の悪いメンバー(主にゼノヴィア&アリス)に蹴飛ばされて、床の上で目覚めたり、寝相の悪さに危うく天に召されかけたこともある。
いや、女の子と一緒に寝られるのは嬉しいし、そうやって向こうから来てくれるのは大歓迎だ。
だが、流石に身が持たない。
パワフル過ぎる女の子達と寝るのは結構、命懸けだ。
ちなみに、リアスが言った『フリーの日』は順番が決まっていない空いた日のこと。
この日には早い者勝ちと言わんばかりに俺の横を確保するべく、女性陣達の争奪戦(?)が行われる。
しかし、今回、リアスは俺と『王』としての大事な話があるということで、皆には二人きりにしてほしいと予めお願いして、部屋に誰も入らないようにしていたようだ。
間違いではないが、リアスのこの表情から察するに………八割くらいはこっちが目的のような気がする。
まぁ、そこまで想われていると思うと、たまらなく嬉しいし、ギュッとしたくなるんだけどね!
リアスの手が俺の寝巻きをそっと掴んだと思うと、顔を俺の胸に埋めてきた。
暫くそのままでいた後、リアスは俺を見上げて―――――
「イッセー………」
「………か」
可愛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
俺は心の中で盛大に発狂した!
だって、そうだろう!
さっきまでは眷属であり、妹分でもあるアーシアを想う姉の顔をしていたのに、今は完全なる甘えモード!
久しぶりに二人きりになったからか!?
ちくしょう、胸の高鳴りがおさまらねぇ!
どうすればいい!
俺はこの可愛いお嫁さんをどうすればいい!
『ここはベッドの上。難しいことは考えなくていいの。―――――ギュッとしてあげなさい』
舞い降りる女神様からのアドバイス。
我らが女神様もこう仰っている。
ならば、俺は女神様に従うのみ。
俺だって、たまには仕事もバトルも、ボケもツッコミも忘れて、女の子とイチャイチャしたい。
俺もリアスも『王』で、眷属を従える立場。
でも、だからこそ、こういう時間が欲しいのだ。
リアスの背に手を回して、体をより密着させる。
すると、自分の鼓動に加えて、リアスの鼓動までもが聞こえてきた。
リアスは静かに顔を近づけてきて―――――
「これが噂に聞くマスターリアスの甘えモードか」
「ええ、このギャップがイッセー君にはドストライクだったのよ!」
「リアスお姉さま可愛いです!」
顔を覗かせてきたゼノヴィア、イリナ、アーシアの教会トリオ!
あまりに突然のことに俺とリアスは声を出せずにいた。
すると、俺の背中に極上に柔らかいものが押し当てられた!
「うふふ、リアスの企みなんてお見通しですわ」
朱乃がこれでもかとおっぱいを押し付けてきているぅ!
しかも、この感触………いつものことながら、ノーブラだ!
朱乃まで登場したことで、我に戻るリアス。
リアスは顔を真っ赤にして、
「もう! 皆のバカァァァァァァァ!」
凛としたリアスも良いけど、こういうリアスも良いと改めて思いました
~一方その頃、ブラコンシスコン妹~
美羽「作文んんんん!? ………なんで、ボクはこんなツッコミを………」
サラ「スー……スー……」
熟睡中の妹の横で何故かツッコミを入れる美羽だった。
~一方その頃、ブラコンシスコン妹 終~
~あとがきミニストーリー~
イグニス「エロの呼吸、参ノ型―――――乳乳舞い!」
イッセー「おまえ、またパクってきやがったな!?」