ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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9話 次世代の神々

「釣れるかい?」

 

俺と匙、ヴァーリの三人で釣りを続けていると、後ろから声をかけられた。

 

振り向くと、そこには二人の男性の姿がある。

一人は北欧の顔立ちをしており、歳は二十代くらいだろうか。

白金色の髪に金色の瞳で、無精髭を生やしている。

スラリとした長身で、白のスーツをカッコ良く着こなしている。

 

もう一人は黒い巻き毛のキリッとした顔つきの男性で、オレンジ色の瞳が特徴的だ。

布を体に巻き付ける服装………確か、キトンってやつだ。

古代ギリシャ人のような格好をしていた。

 

「いやいやいや………マジですか」

 

二人の男性に俺は思わずそう口にしていた。

この二名の顔は知っている。

というか、知らない方がおかしいくらいの人物だ!

 

ヴァーリが白金色の髪のイケメンにため息を吐いていた。

 

「………ヴィーザルか。こんなところに来て良いのか?」

 

ヴァーリの言葉に男性―――――ヴィーザルさんは軽く笑う。

 

「おいおい、それが義理とはいえ兄ちゃんに対する態度かよ? 可愛くないねぇ。まぁ、そういうところがあの親父好みなのかもしれないがな」

 

そう、このイケメン、ヴィーザルさんはあのオーディンの爺さんの息子であり、北欧の神の一人だ!

しかも、この人は―――――

 

ヴィーザルさんは俺と匙に手を挙げて挨拶した。

 

「俺はヴィーザル。アースガルズの主神オーディンの息子だ。んでもって、次の主神になることになっちまった………って、知ってるか」

 

そう言うヴィーザルさんに続き、巻き毛の男性も挨拶する。

 

「同じく、私はアポロン。オリュンポスの主神ゼウスに代わり、新たな主神になる」

 

オリュンポスの次期主神、アポロン!

つまり、次期主神となる二柱が揃って俺達の前に現れたということだ!

 

匙は声を震わせる。

 

「あわわわ、ヴィーザル! アポロン! で、伝説の神様が………!」

 

仰天する匙だが、それもそうだろう。

つーか、俺も匙と同じ気持ちだよ!

こんなところで、こんな大物二人に会うなんて誰が予想できたよ!?

 

驚く俺と匙にヴァーリが説明してくれる。

 

「ヴィーザルは北欧の神で唯一フェンリルが恐れた存在。そちらのアポロンは太陽を冠する神であり、芸能、芸術も司る光明神だ。どちらも次代の主神としては申し分ないだろう」

 

ヴァーリの言葉にヴィーザルさんが笑う。

 

「白龍皇が誉めてくれるなんて、雪でも降るのかね? まぁ、俺としちゃ次期主神にはトールの兄貴が相応しいと思ってたんだが、知っての通り、先の戦いでどこの神話体系もズタボロでな。若くて元気のある俺に回ってきたのよ」

 

アセムが起こした全世界を巻き込んでの戦争において死者数はゼロ。

あの絶望的な戦いで、奇跡のような数字だが、これはアセムが自身とトライヘキサ、そしてアセムが作り出した世界を器にして彼らを甦らせたからだ。

しかし―――――そこに消滅した神々は含まれていない。

消滅した神々は甦ることなく、そのままとなっている。

 

なぜ、アセムは神々を甦らせることをしなかったのか。

そのことについて、アザゼル先生はしなかったのではなく、出来なかったのではないかと考えている。

 

神はあらゆる事象を司る特別な存在だ。

力の大小に関係なく、人間はもちろん、俺達、悪魔や天使、堕天使とは在り方が大きく異なる。

 

それに、一人の人間を生き返らせるだけでも相当な力を使うものだ。

あれだけの死者の復活となるとどれだけの力を使うことになるか………。

 

ヴァーリが言う。

 

「信仰が戻れば消滅した神々もいずれ復活するだろうが、どのくらいの年月が必要になるのかは分からないからな」

 

ヴィーザルさんも頷く。

 

「その通り。それに無事に生還した神も力をほぼほぼ使い果たしている者もいてな。そちらも回復までには少し時間がかかる。………ってなわけで、早々に回復した神に神話を仕切ってもらおうってなったんだが………」

 

心底嫌そうにため息を吐くヴィーザルさん。

よっぽどやりたくないんだな、この人………。

 

アポロンさんがヴィーザルさんの肩に手を置いて言う。

 

「それは言っても仕方がないだろう? それに元々、オーディン殿も引退を考えていたそうじゃないか。先の戦いを期に、他の神話でも神々の代替わりを検討していると聞く。古き神々が我々、若い世代に次を託そうと言うのだ。光栄に思って、慎んで主神を務めるのだな」

 

「はぁぁぁぁ………一々言われなくても分かってるっての」

 

ガックリと肩を落とすヴィーザルさんだが………この光景、見覚えがあるんですけど。

まるで山積みの資料を前にしたうちの『女王』みたいなんですけど。

 

 

~一方、その頃のアリスさん~

 

 

アリス「へっくち!」

 

ニーナ「お姉ちゃん、風邪?」

 

アリス「さぁ? 誰か私の噂してるのかも? って、あんたは何してるのよ」

 

ニーナ「え? お兄さんのベッドの下からこんな本見つけたから読んでるんだけど………あれ? お姉ちゃんどこ行くの?」

 

アリス「………ちょっと、あのドスケベ勇者を探してくるわ」

 

ニーナ「この本に乗ってる人達、おっぱい大きいもんね」

 

アリス「………」

 

 

~一方、その頃のアリスさん 終~

 

 

 

「………ッ!?」

 

「どうした、兵藤?」

 

「い、いや、なんか悪寒が………」

 

な、なんだ、今の感じ………?

とてつもない殺気が向けられたような気が………。

 

俺が両肩を抱いて、体の震えを抑えている横ではヴァーリがヴィーザルさんに問いかけていた。

 

「それで、今日はどういう用事だ?」

 

ヴィーザルさんはヴァーリに歩み寄り、親しげそうに首に腕を回した。

 

「そう冷たくするなよ。兄貴が義弟に会いに来ても何も不思議なことじゃないだろう? それに噂のおっぱいドラゴン君にも会いたかったしな。今日は龍王君もいたけど」

 

アポロンさんも頷く。

 

「貴公らとはこれから付き合いが永くなるだろうからな。今のうちに会っておいて損はないと踏んだのだ」

 

次期主神になる二人だし、オーディンの爺さんみたく、俺達『D×D』と関わる機会も増えるだろうな。

二人の口ぶりだと今回は俺とヴァーリ―――――二天龍に会いに来たって感じだけど。

 

ヴィーザルさんはヴァーリから離れると俺達に訊いてくる。

 

「俺達がゲームに参加していることは知っているよな?」

 

「ええ。というか大会に参加していて、知らない方がおかしいですよ」

 

ヴィーザルさんの問いにそう返す俺。

 

大会に参加している神クラスは一通りチェック済みだ。

神々で構成されているチームはいくつかあるが、この二人はその中でも注目されている方だろう。

何て言ったって、この二人は―――――

 

ヴァーリが言う。

 

「オリュンポスとアースガルズの次期主神が同じチームに参加しているんだ、知らない者はいないだろう。一部で問題になっているようだがな」

 

主神ってのはつまり、国のトップ。

普通なら自国の選手に激励を送ったり、観戦する立場だろう。

それがゲームに参加して大暴れしてるって言うんだからあり得ないよな。

まぁ、各勢力の神々が大会に参加している時点でとんでもないことなんだけどさ。

 

それと、この二人が同じチームに所属しているということ以外にもう一つ、注目されていることがある。

 

ヴィーザルさんがそれを口にする。

 

「うちは俺とアポロンを筆頭に神クラスの若い連中で構成されたチームだ。ま、大将はテュポーンなんだけどな。大将は誰でも良かったんだが、あいつが『王』をやりたいって言うもんだから、俺アポロンも譲ったんだよ」

 

「我がギリシャ神話的には長年敵対していたテュポーンと和平を結べたのは良いのだが………わがままなところは変わらずでな。『王』の件については別に気にしていないが」

 

苦笑するヴィーザルさんとため息を吐くアポロンさん。

 

そう、彼らのチームにはあの魔物の王と称されるテュポーンが『王』についている。

テュポーンといえば、各勢力の中でも最強クラス、全勢力でトップ10に入る実力の持ち主。

目の前であの巨体に暴れられたと思うとゾッとするな。

 

人によってはこの大会をある意味、神々の戦争と評しているが、その通りだと思うよ。

帝釈天は四天王をチームに入れてるし、テュポーンとアポロンさん、ヴィーザルさんは同じチームにいるし、試合のバランスが崩壊するくらいの滅茶苦茶っぷりだ。

既に行われている神々の試合では、大雨を降らせて洪水は起こすわ、フィールド全体を火の海にするわで、強固なフィールドを破壊し尽くしていた。

 

「この大会、マジで色々ぶっこわれてるよなぁ」

 

顔をひきつらせる俺だったが、ヴィーザルさんがおかしそうに笑う。

 

「おいおい、おまえがそれを言うのかよ、おっぱいドラゴン。俺から言われるとおまえのチームも大概ぶっ壊れてるよ、色々な意味で」

 

「アハハハ………すいません」

 

ま、まぁ、俺達も色々やらかしてるんで、人のことは言えないんですけどね。

いや、反省はしてるんですよ、割りとマジで。

でも、チートおじさんは相変わらず相手にトラウマ製造してるし、ツンデレ女王は巨乳の女性選手には容赦ないし、ロリコンメイド長はやっぱりロリコンだし。

昔はこんなんじゃなかったんですよ?

なんでこうなったの?

 

あれですか、祭りってことでエンジョイしてるんですか?

役職退いて自由になったんではっちゃけてるんですか?

全責任を俺に擦り付けようとしてません?

特にチートおじさんとツンデレ女王様。

 

もうヤダ、うちのチームメンバー。

………そう言う俺も何もないところで転んで、女性選手のおっぱいにダイブしちゃってるから、どうしようもないんだけどね。

これについては駄女神が俺の中をなにやら弄くり回した結果らしいけどね。

 

あれ?

なんだか泣けてきたぞ?

 

「『王』って大変ですよね………グスンッ」

 

「おまえの感じてる大変さは、他の『王』の大変さとイコールじゃないからな? つーか、ベクトルが違いすぎるだろ」

 

匙の冷たいツッコミだった。

 

ヴィーザルさんが言う。

 

「謝るほどのことじゃない。というより、俺としちゃあ、あのデカい舞台であれだけ自由にやれるおまえ達に未知のものを感じるよ。ぶっちゃけ、見てる分には全然楽しいしな。いいぞ、もっとやれ」

 

「他人事じゃん! いや、事実、他人事なんだけども!」

 

これ以上、やったら取り返しのつかないところまでいきそうなんですけど!

どうなるの、うちのチーム!?

なにをやらかすの!?

 

アポロンさんが顎に手を当てて真剣な顔で呟いた。

 

「おっぱいドラゴンだからな………ゲーム中、女性の乳を吸って覚醒するかもしれん。先の戦いでも『乳の宴』とやらで異世界の神を倒していた。この世界は乳によって救われたわけだが………もし、我々がおっぱいドラゴンと戦うとなると、女性の乳を吸わせる隙を作らないようにしなければな」

 

「吸いませんよ!? 試合でそんな状況になるとでも!?」

 

「だが、世界の命運をかけた戦いでも吸っていたのだろう?」

 

「そうでしたね! 何も言い返せねぇよ、こんちくしょう!」

 

「今大会において、他のチームも貴公が女性の乳を吸うことを恐れているほどだ。一部の評論家の間でも議論されているぞ」

 

「なにを恐れてんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

天を仰いでツッコミを入れる俺!

おっぱいドラゴン、ピンチの時には乳を吸うってか!

いや、会ってるんだけどね!

でも、恐れるところおかしくない!?

議論するところおかしくない!?

 

匙が言う。 

 

「ソーナさんもおまえとアリスさんの組み合わせは危惧しているけどな。おっぱいドラゴンとスイッチ姫だし」

 

「ソーナも!?」

 

なんてこった………!

ソーナもそんなところを深く考えているなんて!

 

「味方だと心強いけど、敵に回ると謎過ぎて怖いんだよ、おっぱいドラゴンとスイッチ姫」

 

「「分かる」」

 

匙の言葉にうんうんとヴィーザルさんとアポロンさん!

そんなに怖いのか、俺達が!

 

ヴァーリが呟く。

 

「おっぱいドラゴンと乳………か。やはり、俺もT・O・S(ツイン・おっぱい・システム)を………」

 

「おまえはどんだけT・O・Sに興味もってんの!?  そんなに導入したいのか、あの駄女神システムを!」

 

「強くなれるのなら、俺は試してみたい」

 

「試すな! ここでそんな真っ直ぐな目をするな! まずはおっぱいの素晴らしさを理解してこい!」

 

「なるほど。では、兵藤一誠、またあのビデオを一緒に………」

 

「断固断る!」

 

また、スケベビデオを見ながら解説しろってか!

あの地獄をもう一度やれってか!

誰がやるか、バカ野郎!

 

一連のやり取りにヴィーザルさんが腹を抱えて爆笑し始める。

 

「アッハッハッハッ! おっぱいドラゴン、やっぱりスゲーよ! つーか、ヴァーリ、その手のビデオが見たいのなら、今度うちに見に来るか?」

 

「持ってんの!?」

 

「そりゃあ、健全な男子だからな。そこに人も神もない」

 

なるほど、流石はあの爺さんの息子だ!

エロを求める心は種族を越えるということなんだな!

 

それでも、ヴァーリを誘わないで!

こいつを変な方向に導かないで!

 

ヴィーザルさんが親指を立てて、爽やかな顔で言った。

 

「こういう義兄弟のスキンシップもある」

 

「どんなスキンシップだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 




~あとがきミニ~

アザゼル「イグニス、なにしてるんだ?」

イグニス「んー、ヴァーリ君にオススメのエッチなビデオ探してるんだけど………」

アザゼル「これでいいんじゃね?」

イグニス「ダメよ。ヴァーリ君みたいなピュアな子にはこのあたりのシンプルなエロで―――――」

アザゼル「いやいや、ここはこういう激しいので―――――」

イッセー「だから、ヴァーリをどうしたいの、あんた達は!?」

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