ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

35 / 67
10話 リアス・グレモリーチームの真価

「イッセー様! こちらにいらしたのですね」

 

「ああ、さっき着いたところだよ」

 

レイヴェルに声をかけられ、そう返す俺。

 

ヴィーザルさんとアポロンさん―――――次期主神の二人という超大物の電撃来訪の後、俺はヴァーリ、匙と共に冥界にあるレーティングゲームの会場に来ていた。

 

その理由は試合を―――――リアスのゲームを観戦するため。

釣りを止めて、試合会場に足を運んだのはリアス達の応援というのはもちろんあるのだが、少し前にとある情報が入ったのだ。

 

レイヴェルと合流した俺は関係者用の入り口から入り、専用の観戦ルームにたどり着く。

席に座り、俺はレイヴェルに訊いた。

 

「リアスが例の『兵士』を使うんだってな?」

 

「はい。つい先程、公開された情報なのですが、既に各方面から注目を集めています」

 

リアスの本来の『兵士』は俺だが、今は一人の『王』として大会に臨んでいるため、リアスの『兵士』には別の者がついている。

今大会では本来の眷属以外からもメンバーを募り、大会に参加している悪魔もいるし、そこは問題じゃない。

だが、大会が始まって以降、リアスの新たな『兵士』に関して多くのチーム、評論家から物議を醸していた。

 

『リアス・グレモリー』チーム『兵士』の駒価値―――――8。

 

この神々が参戦する大会において、その駒価値がどれだけ脅威的なことか。

その駒価値だけ見れば、下手な神クラスなどよりも遥かに超越した力を持っているのは間違いない。

 

だが、リアスはこれまでその『兵士』を出場させてこなかった。

それを、遂に披露するというのだ。

ここまで謎とされていた『リアス・グレモリー』チームの『兵士』がついに秘密のベールを脱ぐ―――――。

 

ゲーム開始のブザーが鳴り、試合が始まる。

対戦相手のチームは最上級悪魔の『王』が率いる強豪チームだ。

『王』もそうだが、その他のチームメンバーもかなり地力が高い。

 

今回のフィールドは広大な海上。

以前、俺達が経験した小島が多いフィールド(チートおじさんを射出した時のやつ)ではなく、ただ海が広がるフィールドだ。

特殊なルールがなく、地形を活かした戦術もできないとなると、ガチンコの力比べになる。

 

そう思っていると、リアスチームから先行して飛び出す者が目に映った。

黒いコートを着た長身の男性だ。

黒と金の入り交じった髪をしており、身に纏うオーラも同様の色をしている。

 

「マジかよ………ッ!」

 

驚愕した俺はつい言葉を漏らしていた。

 

フィールドでは、男性が海上を進んでくる相手チームに対して手を突き出す。

掌には尋常ではないほどのオーラがたぎりだし始めた。

圧縮に圧縮を重ねた濃密過ぎる力の塊。

 

男性を見て、アナウンサーが叫ぶ。

 

《な、なぁぁぁぁぁんと! これまで謎に包まれていたリアスグレモリーチームの『兵士』ミスターブラックの正体が、まさかまさかの、クロウ・クルワッハだったぁぁぁぁぁぁぁ!》

 

男性―――――クロウ・クルワッハが突き出していた手から、オーラを放つ。

次の瞬間、奴のオーラが前方の景色を丸ごと覆い、全てを破壊し尽くすレベルの大爆発が生じる!

今の一撃により、レーティングゲームのフィールドを覆う特殊結界は壊滅的打撃を受ける。

爆発による閃光が治まると、フィールドの所々に大きな穴が空き、次元の狭間が見え隠れしているほどだった。

大会では神クラスがとんでもない一撃を放って、ゲームフィールドを覆う結界すらも壊してしまうこともあったが、クロウ・クルワッハが放ったものは正に神クラスのもの。

無論、今の攻撃により、相手チームの選手は為す術もなく、一気に五名がリタイアの光に消えた。

 

アナウンサーが吼える。

 

《フィ、フィールドが消し飛ばされましたぁぁぁぁぁぁぁ! 神クラス………それ以上と言っても過言ではありません! ドラゴンと言えば、兵藤一誠選手によるあの凄まじい砲撃が思い起こされます!》

 

俺の砲撃………イクス・バースト・レイ、か。

そりゃあ、威力だけなら今大会に出場している選手、神々を含めてもダントツの威力になるだろう。

なんと言っても、あの魔法には最強の女神様が一枚噛んでるからな。

 

だが、あれは使えても一日一発が限度。

一撃必殺と言えば聞こえは良いが、使えば俺は一気にガス欠になる。

モーリスのおっさんが言うように、外せば終わりの欠陥技だ。

 

ドライグが言う。

 

『クロウ・クルワッハめ。わざとフィールドを消し飛ばしたな。先日の相棒の戦いに感化されたか』

 

ヴァーリが笑う。

 

「クロウ・クルワッハ自身の演出か、それともリアス・グレモリーの提案か。いや、どちらもあるのだろうな。兵藤一誠、あれは彼からの挑戦状だ。君や、この大会に出るありとあらゆる強者に見せつけたんだよ。フフフ、面白いじゃないか。これでこそ、この大会は盛り上がる」

 

俺への挑戦状ね。

 

ドライグはどう思う?

俺はあいつと戦えると思うか?

 

『万全の相棒ならば問題はないな。あの姿になれば、無限のオーフィスやグレートレッドすらも超える。変革者やその上の領域、英龍化出来れば、この世界において相棒の右に出るものはいないだろう。だが―――――』

 

あの力が使えれば、の話ってことだな。

 

『そうだ。今の相棒では真正面からまともに撃ち合っては勝ち目はないな』

 

ハッキリ言ってくれるぜ。

まぁ、実際にはその通りなんだけども。

 

クロウ・クルワッハには下手な小細工は通用しないだろうし、かと言って、今の俺じゃあやられるのは目に見えてる。

 

ドライグが言う。

 

『リアス・グレモリーが奴を勧誘したのは間違いなく、神クラスや二天龍対策だろうよ。無論、ギャスパー・ヴラディとの関連性もあるのだろうがな。強者との戦いを求めるクロウ・クルワッハとしても勧誘は願ったり叶ったりというわけだ』

 

互いの利害が一致したってことだな。

 

ったく、リアスもやってくれるぜ。

流石は我らが『王』だ。

 

苦笑しかない俺にレイヴェルが言う。

 

「イッセー様、クロウ・クルワッハも脅威ですが、リアス様のチームは彼だけではなく―――――」

 

「ああ、わかってる」

 

俺は静かに頷いた。

 

確かにクロウ・クルワッハの登場に頭を持っていかれていたが、リアスのチームはそれだけじゃない。

リアスのチームがこれまで勝ち続けてきたのはどうしてだ?

そう、あのチームにはあいつらがいるからだ―――――。

 

《フィールドが漆黒の闇に包まれていくぅぅぅぅぅぅ! こちらも出ました! 伝説の魔神バロールの力を宿したギャスパー選手による超広範囲に及ぶ闇の領域だぁぁぁぁぁぁぁぁ!》

 

アナウンサーの声と共に黒い魔獣と化したギャスパーが闇を広げ、海上を包み込んでしまう。

相手チームの攻撃は全て闇に呑まれてしまい、ギャスパーに届くことはなかった。

そして、相手選手の攻撃は全く通じないまま、数名が闇に消えていった―――――。

 

次に映るのはゼノヴィアだった。

デュランダルとエクスカリバーの二刀流で、相手チームの剣士と激突している。

相手は最上級悪魔の眷属ゆえ、相当な実力者だ。

しかし、そんな相手をゼノヴィアは圧倒的なパワーで追い込んでいた。

振り下ろされたデュランダルを受けきれず、弾き飛ばされる相手選手。

相手選手が悪魔の翼を広げて空中で体勢を整えようとした瞬間、聖なる波動が相手選手を呑み込んでいった。

 

―――――クロス・クライシス。

デュランダルとエクスカリバーから十字に放たれた聖なるオーラは瞬く間に相手選手をリタイヤさせ、フィールドにその斬撃を刻み込んだ。

 

同じくリアスの『騎士』である木場は禁手の第二階層を展開、騎士王形態となっており、超高速移動で相手を翻弄。

相手は木場のスピードに全くついていけず、動けないでいるところを聖魔剣で斬り刻まれリタイアした。

 

小猫ちゃんは白音モードで火車を操り、相手を燃やし、朱乃は巨大な雷光龍で相手の『女王』を叩き伏せる。

ロセは後方でアーシアの護衛をしつつ、魔法のフルバーストを放ち、相手の逃げ道を確実に無くしている。

更にアーシアは禁手『聖龍姫が抱く慈愛の園』を展開すると、その絶対的な回復のフィールドにより、チームメンバーを相手の攻撃から守護していた。

 

リタイア、リタイア、リタイアと次々とアナウンスが流れ、相手チームはほぼ壊滅状態となっていた。

 

そして、リアスが相手の『王』の前に立ちはだかる。

相手の『王』は先程のクロウ・クルワッハの攻撃により、ダメージを受けているとはいえ、今のリアスを相手にして勝ち目はない。

放った魔力攻撃は悉く、滅びの魔力により相殺、突破されてしまう。

やがて、力を使い果たした『王』は投了し、リアス達の勝利が決まった―――――。

 

試合終了を告げるブザーと共にアナウンサーが興奮気味に叫ぶ。

 

『決まったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! リアス・グレモリーチームの勝利です! 圧倒的! 圧倒的過ぎる! ミスター・ブラックことクロウ・クルワッハによる一撃も凄まじいものでしたが、ゼノヴィア選手を始め、圧倒的なパワーで相手の悉くを討ち取っていきました!』

 

ヴァーリが楽しげに言う。

 

「君が抜けたリアス・グレモリーのチームは脱け殻だなどと評されていたが、これを見せられて彼らは同じことが言えるだろうか? 君が彼女にとっての最大の戦力であったことは間違いないが、そんなものは関係ないと言わんばかりの試合だった」

 

―――――圧倒的。

誰が見てもそのような感想になるのだろう。

クロウ・クルワッハの一撃に目を奪われるが、その他のメンバーが強力すぎた。

圧倒的な火力とアーシアという絶対の防御。

最上級悪魔のチームが手も足も出ていなかったが無理もない。

 

「最上級悪魔程度のレベルじゃ、今のあいつらには勝てんだろ」

 

不意に後ろから声をかけられた。

振り向けば、アザゼル先生が笑みを浮かべて立っていた。

 

アザゼル先生はこちらに歩み寄り、歓声を受けるリアス達を見下ろした。

 

「昇級試験の後、木場におまえの才能は破格だと言ったんだが、どうにも俺の想像力は足りてなかったらしい。あいつらは既にそんな次元すらも越えようとしている。言葉は悪いが、化物クラスの強さに足を踏み入れ始めてるよ」

 

「自分の生徒に酷い言いようだな」

 

ヴァーリの言葉にアザゼル先生は肩をすくめる。

 

「それを言われるとな。だが、事実は事実だ」

 

化物クラスの強さ。

まぁ、アザゼル先生の言う通りなんだよね。

今のリアス達には上級悪魔はおろか、最上級悪魔のチームでも相手にならないだろうしな。

 

アザゼル先生は言う。

 

「この一年、歴史が変わるような出来事が立て続きに起きた激動の年だった。そんな日々とイッセー、おまえがあいつらを強くしたんだよ。おまえが側にいたからこそ、あいつらはここまで来られた。………おまえのこと、強者製造機って呼んでいい?」

 

「卵かけご飯製造機みたいなノリで言わないでくれます!?」

 

途中までしみじみと聞いてたのに最後で台無しにしやがったよ、この人!

 

「おまえのところ、シスコン製造機もいるしちょうどよくね?」

 

「やかましい! サラちゃんから『にぃに』と呼ばれていいのは俺だけなんだい!」

 

どれだけの奴らがサラちゃんの魅力にとりつかれて、シスコン化したとしても、サラちゃんは誰にも渡しません!

うちの可愛い末っ子なんだよ!

 

ヴァーリが言う。

 

「今回の試合、火力で押しきったのはクロウ・クルワッハの出場に合わせたのだろうが、結果的にチーム全体の地力の高さを見せつけるものになったな」

 

「そこが狙いだろうさ。クロウ・クルワッハだけでもインパクトがデカいってのに、ここまで大暴れしたんじゃな。おまえの嫁さんはとんでもねぇよ、イッセー」

 

「ハハハ………」

 

ただでさえ、神クラスの力に恐れおののいている大会参加者から更に気力を削いだってところかね?

何にしろ、これを見てヴァーリのようにたぎる連中もいれば、試合を辞退する者も増えてくるだろう。

 

アザゼル先生が訊いてくる。

 

「おまえからすれば、色々と思うところがあるんじゃないか?」

 

「そう、ですね………」

 

リアス達と出会った時、俺は皆を鍛える立場だったんだ。

こう言ってしまうのは自分でもどうかと思うが、あの頃の俺とリアス達じゃレベルが明らかに違っていた。

リアス達全員と戦ったとしても、俺が勝っていただろう。

 

それが今、リアス達は最上級悪魔すら寄せ付けない程に強くなった。

ライバルとなった俺を本気で倒そうともしている。

そして、それを可能とする力を身に付けている。

 

俺は掌を見つめ、ぐっと握りしめた。

 

おめでとう、リアス。

でもな、俺だって負けないぜ?

 

リアス達の試合が終わり、満足したのか、ヴァーリは席を立つ。

 

「俺はこの辺で帰らせてもらおうか」

 

「あ、俺も帰るわ」

 

匙もこれに続いて立ち上がった。

 

「二人とももう行くのか?」

 

俺が問うと、匙が言う。

 

「試合も終わったしな。一応、敵チーム同士だし、近々おまえんところと試合もあるし」

 

「それもそうか」

 

俺がそう返すと、匙が拳をこちらに突き出してきた。

 

「兵藤、絶対勝つからな?」

 

「ああ、かかってこい。こっちも全力で勝ちにいくからよ」

 

拳を合わせる俺と匙。

挑戦されたんじゃ、受けないわけにはいかない。

仲間とはいえ、試合は試合。

向かってくるなら、全力で迎え撃つのみだ!

 

ヴァーリが言う。

 

「兵藤一誠、決勝トーナメントで会おうか。それまで負けるなよ?」

 

「そりゃこっちの台詞だ」

 

ニッと笑んで不敵に返す俺。

ヴァーリも笑みを見せると、この場を後にした。

 

ありがとよ、ヴァーリ、匙。

それにリアスも。

おまえ達のおかげで色々と腹が括れたぜ。

 

俺はこの大会―――――負けるわけにはいかねぇな!

 

 

 

 

試合を見届け、帰宅した俺とレイヴェル。

リビングに上がると賑やかな声が聞こえてきた。

木場やギャスパーの声も聞こえるから、祝勝会でもしてるのかね?

ライバルチームとはいえ、仲間だ。

祝いの言葉を言わなきゃな。

 

そう思い、リビングの扉を開けた―――――。

 

 

 

「ロスヴァイセさん………私があげた魔装銃、使ってくれませんね。私、ちょっと寂しいのです」

 

「え、えっと、すいません。最近、使うタイミングが………。わ、忘れてたとかじゃないんですよ、リーシャさん?」

 

「………忘れてたんですね………グスンッ」

 

体育座りしてズゥゥンと落ち込むリーシャと宥めるロセ。

 

「うぇぇぇぇん! イッセーがまた胸の大きい人の本買ってきたぁぁぁぁ!」

 

「まぁまぁ、アリスさん。イッセーだし、ね?」

 

「うふふ、イッセー君はアリスさんのおっぱいも好きですわよ?」

 

机に突っ伏して泣くアリスと、それを慰めるリアスと朱乃。

 

「こいつはな、こう焼くと美味いんだよ」

 

「モーリスさん、料理得意なんですか!?」

 

「い、意外な特技ですぅ!」

 

モーリスのおっさんの隠れた特技に驚く木場とギャスパー。

 

それ以外にもゲームをする美羽と小猫ちゃんだったり(美羽は惨敗している模様)、なぜか腕相撲をしているゼノヴィアとイリナだったり(審判はレイナ)、九重、オーフィス、リリスのロリ三人組に悶えるロリコン(ワルキュリア)だったりと、家の中はワイワイと賑やかになっていた。

 

「あ、お帰りなさい、イッセーさん、レイヴェルさん!」

 

俺達の帰宅に気付いたアーシアが駆け寄ってくる。

 

「た、ただいま………。ア、アーシア、これ、どうしたの?」

 

「え、えっと………」

 

答えにくそうにするアーシア。

すると、ニーナが眩しいくらいの笑顔で言ってきた。

 

「大丈夫! いつも通りだから!」

 

なんか、いつも通りらしいです。

 




~あとがきミニ~

アセム「こ、これはいったい!?」

イグニス「汎用棒型決戦性機エロンゲリヲン―――――通称『エロ』よ!」

アセム「すごい動き方………! 親父が夢中になるわけだ!」

イッセー「おまえら何の話してんの!? つーか、親父って誰!? そろそろ通報されそうなんで、やめてくれませんかね!?」

イグニス「初号機、発射!」

イッセー「発射するんじゃねぇぇぇぇぇぇ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。