ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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13話 教会ガールズ

朝の修行を終えた俺は、家のシャワーで汗を流してから、一階のキッチンに向かった。

 

「今日はっと………フルーツにすっか」

 

冷蔵庫からフルーツ牛乳を取り出し、豪快に飲んでいると、リビングに客が来ていることに気づいた。

ソファに腰かけている白と黒が混じった髪をアップにしている少女。

名前は確か―――――

 

「えーと、リントさんで良かったかな?」

 

「いえいえ、リントで良いっスよ、赤龍帝のお兄さん」

 

少女―――――リント・セルゼンさんが軽い口調で返してくる。

 

彼女は教会から駒王町に派遣されてきた戦士だ。

イリナやデュリオといったチーム『D×D』の天使メンバーが大会で忙しいため、いつでも動ける人員としてこちらに配置された。

………というのは建前で、チーム『D×D』に入り、経験を積み、見聞を広げることを目的にミカエルさんが送ってくれたそうだ。

なんともミカエルさんらしい。

 

彼女の顔を見ていると、いつぞやの神父を思い出すが、こちらはあいつに比べて可愛いげがある。

 

「君がここにいるってことはイリナに用事か?」

 

「用事ってほどじゃなくて、ただ遊びに来ただけっスよ。あ、言うのが遅くなりましたが、お邪魔してるっス」

 

「ハハハ、いいよいいよ。くつろいでいってくれ。そういや、その格好は………」

 

以前見かけた時には教会の戦士の格好、ゼノヴィアやイリナが着ているような女性用戦闘服という出で立ちだったが、今日はなんと駒王学園の女子生徒の制服を着ていた。

 

リントさんは制服を引っ張りながら言った。

 

「この町を日中動き回るなら、戦闘服より、こっちの方が良いそうっス」

 

確かにな。

あんな格好で日中動いていたら色々目立つ。

ま、まぁ、去年の今頃、戦闘服姿でこの町を闊歩していた二人組がいましたけどね。

路銀が尽きて町中で物乞いまでしていて………あれ?

思い出すと泣けてくるな。

 

俺は別のソファに座り、訊ねた。

 

「確か、ヴァチカンの戦士育成機関の一つ………白髪の戦士を育成しているところの出身だって聞いたけど」

 

フリードや英雄派のジークフリート、他にも教会の戦士達との一件でも白い髪をした人達を見かけた。

いくつかある戦士育成機関の一つに白い髪の戦士を育成しているところがあったと耳にしていた。

今は再編成されたとも。

 

俺の問いにリントさんは頷く。

 

「イエスイエス。フリードのアニキやジークのセンセと一緒でございやす」

 

「あ、いや、フリード達を引き合いに出すつもりはなかったんだが………」

 

しかし、彼女は手を振って言った。

 

「気にしないでくださいな。自分は自分なんで。あー、二人がご迷惑をかけたことは、あの機関を代表して謝ります。すみません」

 

「いいって。もう済んだことだし、君が悪いわけではないしさ。あいつらはあいつら、君は君………だろ?」

 

「ラジャーっス」

 

俺の言葉にリントさんは敬礼のポーズを取る。

 

そこから、無言の時間がしばし流れた。

うーむ、話題が見つからねぇ………。

イリナ達の話でもしようか?

色々勉強してはいるが、教会の話は分からないしなぁ。

 

などと思っていると、リントさんの方から口を開いた。

 

「自分が所属していたのは『シグルド機関』というところでしてね。英雄シグルドの血を引く者達の中から、魔帝剣グラムを扱える『真のシグルドの末裔』を生み出すのが目的だったわけですわ」

 

「ってことは、君はフリードやジークフリードと親戚ってこと?」

 

「複数の遺伝子パターンから作られてるんですけど………まぁ、親戚みたいなもんですかね。あー、フリードのアニキとはほぼ同一の遺伝子なので、同一人物と言えばそうなるのかなー」

 

同一の遺伝子、か。

信徒である教会が神の教えに反するような真似をしていたと。

バルパーって例もあるし、教会にはそういうことを考える奴が何人もいるのかね?

まぁ、少し前までは悪魔、堕天使とは敵対していたし、少しでも敵を滅する力を欲して、そういう考えになるのかもな。

自身の欲を満たすのではなく、本気で教会のことを考えて、禁忌と分かっていても手を出してしまう人もいるのだろう。

今はかなり改善されているようで、怪しい研究をしていた機関を解散させており、研究員には別の組織を紹介していると聞く。

 

しかし、それならリントさんがフリードと似ているのも当然か。

同一の遺伝子から生まれた白髪の子供達………。

 

「いわゆる試験官ベイビーってやつっスな」

 

簡単に言っちゃうね、この子!

結構重たい話だと思うんですけど!

 

「ハハハ、同盟組む前は混沌としていましたからなー、ヴァチカンも。教えに反していようとも、天のため、神のためになるのならっていう狂信者、強欲に駆られたお偉いさんがたくさんいたらしいっスわ」

 

ちょっとちょっと!

そんなに明るく教会の闇を語って良いの!?

ミカエルさんが知ったら渋い顔するよ!?

 

そんなことを思っていると、不意にリントさんは遠い目をした。

 

「結果的にジークのセンセがグラムを扱えましてね。その時点で機関の長年の宿願は完遂。ま、ジークのセンセはそのあと意気揚々とヴァチカンからおさらばして、テロりまくっていましたけど」

 

「うん。テロりまくってたわ、あいつ」

 

英雄派で曹操と組んでやらかしてくれましたよ、あのイケメン。

その結果、同じ教会出身の木場に倒されるという結末を迎えたわけだが。

 

リントさんは続ける。

 

「グラムを扱える人が出ちゃったんで、機関は残された自分らに対して方針を変えたんス。『英雄シグルドの子孫がどこまでやれるのか試してみよう作戦』~ドンドンパフパフってね。今じゃ、そのグラムも木場きゅんパイセンに渡っちゃってますけど」

 

木場、おまえ「木場きゅんパイセン」って呼ばれてるのか。

リントさんがふいに人差し指を一本立てる。

すると、指先から紫色の小さな火が出現した。

 

「これのことはご存じで?」

 

「ああ、紫炎だろ? 『D×D』メンバーなら全員知ってるよ」

 

リントさんの指先に浮かぶ紫炎。

それはあのヴァルブルガが持っていた神滅具『紫炎祭主による磔台』だ。

ゼノヴィアかヴァルブルガを倒した後、神滅具は三大勢力により回収された。

聖遺物でもある神器はアザゼル先生が管理して、天界側と今後の使い道について協議していたそうだ。

それがアセム、トライヘキサとの戦いの際に必要になり、ヴァレリーが持てるように調節していたんだ。

まぁ、それはあくまで一時的な処置。

 

『紫炎祭主による磔台』は本来何者かの意思で宿主を渡り歩くそうだ。

次の宿主も神器が選ぶという他の神器とは異なるものだった。

リントさんが扱えるというということは、神器が彼女を選んだということだ。

 

「グリゴリが紫炎を扱える者を探すなかで、自分にも話が及んで、偶然にも、いんや、必然的に自分が選ばれてしまったわけなのですよ」

 

飄々と語るリントさん。

指を一本一本、順に立てていくと、指先に次々と紫炎が灯っていく。

更に掌を上に向けると、五指に灯った紫炎が一つの塊になって煌々と輝き始める。

この様子を見るに既に結構使いこなせるみたいだな。

しっかし、色々と凄いことを軽いノリで言ってくれるなぁ。

 

「ところで、セルゼンを名乗っているのは機関にいた頃に上から与えられたから?」

 

フリードと同じ遺伝子とはいえ、姓まで揃える必要はあるのかね?

フリードといえば、教会を裏切ったはぐれ神父。

その奴の名を名乗れば、周囲から勘繰られたりするだろうに。

 

リントさんは掌の炎を消して言う。

 

「うーん、まぁ、色々な意味がありますな。ま、自分くらいはおっ死んだアニキの分まで生きてやろーかなとか、アニキが悪さした分を自分が償えればなーとか」

 

軽い口調はフリードを思い出してしまうが、心根は優しい子のようだ。

まぁ、アザゼル先生やミカエルさんが神滅具を託すような子だしな。

 

俺は微笑んで言う。

 

「まぁ、気楽にいこうぜ」

 

「うっスうっス。のんびりやっていきますよ」

 

ニパッと笑んだリントさん。

その時だった。

 

「リントさんお待たせ………って、ダーリンも一緒?」

 

リビングにイリナとゼノヴィアが姿を見せた。

二人を確認するとリントさんは立ち上がり、嬉々として話しかける。

 

「おおっと、紫藤パイセンとクァルタパイセン待っていましたぜ。お誘いに甘えて、早速、ガールズトークしに来たっスよ」

 

リントさんはイリナに誘われて家に来たらしい。

そういや、初めて紹介された時も教会の関係者、特に教会所属の戦士ってこともあって、色々話してたっけか。

今年で十七って言ってたし、イリナ達と歳も近いし、女子同士で話に花が咲いたんだろう。

 

俺はイリナに訪ねる。

 

「短期間で随分仲良くなったな。流石はイリナ」

 

「だって、年下だし、ちょいと先輩としても後輩のことを知りたくなっちゃうじゃない?」

 

楽しそうに言うイリナにゼノヴィアが続く。

 

「それに同郷の者としても、話をしたくてね」

 

あ、そっか。

ゼノヴィアと同じ出身だっけか、リントさん。

 

イリナがリントさんに言う。

 

「今日はね、アーシアさんとミラナさんも呼んでるの!  歳の近い信徒でガールズトークといきましょう!」

 

「おおっ! これは自分、トモダチが増える感じですか? いやー、感謝感激っス!」

 

そんなふうにして、イリナ、ゼノヴィアはリントさんを連れてアーシアの部屋に向かってしまった。

 

というか、誰か来てるなと思っていたら、ミラナさんだったのね。

こりゃ、教会トリオが三人組から五人組になったりするかも?

リントさんともう少し話してみたかった気もするが、ガールズトークに混じるわけにはいかないか。

そんなことを思っていると、イリナがドアの向こうからひょっこり顔を出してきて、

 

「混じりたかったら、ダーリンも一緒にどう? ほら、あの性転換銃で女の子になって―――――」

 

「嫌だよ!? さっさとガールズトークしてこい!」

 

なんで女子の輪に入るのに、態々、女体化しなきゃいけないんだよ!?

そもそも入る気ないし!

変な気は使わずに女子同士で仲良くやりなさい!

 

俺がツッコミを入れていると、イリナはペロリと舌を出した。

 

「うふふ、冗談よ♪」

 

「ったく………」

 

そもそも俺の女体化をさせる時、結構マジで来るから冗談に聞こえないんだよ!

なんであの姿がお気に入りなの?

なにが君達を掻き立てるの?

チビっ子化といい、女体化といい、俺で遊びすぎじゃない?

 

「私のオススメは小学校一年生くらいのダーリンかな?」

 

「なんでだよ!?」

 

イリナのオススメは小学生くらいにチビっ子化した俺ですか!

小学校一年生くらいの俺で何をするつもりだ!?

もしや、また着せ替え人形にするつもりじゃあるまいな!?

 

すると、イリナは頬を少し赤く染めて言った。

 

「でね、私もその………同じくらいに小さくなって、昔みたいにダーリンと………イッセー君とまた遊んでみるのもアリかなって」

 

「え?」

 

思いもよらないイリナの返答につい聞き返してしまった俺。

小さくなった俺とイリナで遊ぶ?

 

「ほら、私って小さい時にイギリスに引っ越しちゃったでしょ? だから、再会するまでの思い出がないわけで………だからと言うわけじゃないけど、もし、私が日本に留まっていたら、イッセー君とどんな感じになったのかなーって」

 

「あーなるほどね」

 

そう言われると少し気にはなるかな。

もし、イリナが日本に留まっていたら、ずっと一緒に幼馴染みと過ごしていたら俺達はどうなっていたか。

今みたいに互いに想いを伝え合ったかもしれないし、違った道を歩んだかもしれない。

 

「もしかしたら、ショタイッセー×ロリイリナちゃんという組み合わせがあったかもしれない………そういうことね?」

 

「なんで、おまえが会話に入ってきてんだよ、この駄女神ぃぃぃぃぃぃ!」

 

もしもな俺達の光景を想像していたのに、何をとんでもないことを捩じ込んできてるの、この駄女神!?

今、そんな雰囲気じゃなかったじゃん!

つーか、どんな組み合わせだ!?

 

イグニスは顎に手を当てて言う。

 

「ショタ化したイッセーと、ロリ化したイリナちゃん。無垢な二人が思い出の場所で………深いわね!」

 

「なにが!? なにが深いの!? おまえのボケか!? それだったらマリアナ海溝よりも深いよ!」

 

「一見、ツルペタな二人にエロな要素はないのかもしれない。でも、そこにある背徳感は無から有を作り出す。そう、そこにはあるのよ、エロが!」

 

「人の話聞けよ!? つーか、言ってることも意味わからないんですけど!」

 

しかし、イグニスは俺のツッコミをスルーして、イリナの肩に手を置いた。

 

「イリナちゃん、諦めなければ夢は叶うわ!」

 

「そんな夢は持った覚えないんですけど!? 私はただ、イッセー君との思い出を―――――」

 

「ええ、思い出はつくれるわ。その上でイッセーとの愛を深めるのよ」

 

「あ、愛?」

 

戸惑うイリナにイグニスは続ける。

 

「二人の体の時を戻し、小学生、中学生、高校生と変化させていくの。そして、あり得たかもしれない二人の時間を想像する」

 

「う、うん」

 

「小学生の時は公園で遊んだ、中学生の時は下校中に買い食いして………。後で作った偽りの思い出だとしても、そんな自分達を想像しながら二人で辿れたら………素敵じゃない?」

 

い、いや、言わんとすることは分かるよ?

体を過去に戻して、もしもな俺達を想像するってのはやってみたい気はする。

だけどね?

 

「なぜに、それがショタ×ロリに繋がる!? もしもな思い出辿るだけで良いじゃん!」

 

「何を言うの、イッセー。ショタイッセー×ロリイリナちゃんもあり得たかもしれないじゃない」

 

「そんなの―――――」

 

「無いって言い切れる? 絶対にそんなことは無い、そう言い切れる?」

 

「うっ………」

 

な、なんだ、その目は………?

なんで、そんなに真っ直ぐな目で見てくるんだ?

 

だ、だが、俺はエロエロだし、イリナも堕天しそうになるくらいエロ思考だし………な、ないとは言い切れない、か?

 

「小さい私と小さいイッセー君………はわわわ!」

 

イリナが何か呟いたと思うと、一気に顔が赤くなっていった!

おいおいおいおい!

 

「おいぃぃぃぃぃぃ! 堕天するぞ、イリナァァァァァァァ!」

 

「ど、どとどどうしよう、ダーリン!? 小さい私達で想像すると、私………!」

 

「いや、なぜにそれで堕天しそうになる!? 微笑ましい光景で良いじゃん!」

 

ホントによく堕天しかけますね!

性欲のエロ天使って言われても無理ないよ!

 

イグニスが親指を立ててイリナに言う。

 

「次の試合、頑張れば私がセッティングしてあげるわ!」

 

「わ、私、次の試合頑張る! イッセー君、負けないからね!」

 

「頑張る理由がそれで良いのか!?」

 

 

 

 

~一方その頃、教会ガールズトークメンバー~

 

 

ゼノヴィア「流石はイリナ、性欲のエロ天使だ」

 

リント「ほほぅ、紫藤パイセンはそういうのがお好みなんスねー」

 

アーシア「イ、イリナさん、まさかそんなことまで考えているなんて………。私も負けられません!」

 

ミラナ「す、凄い………」

 

教会ガールズトークメンバーが扉の向こうから覗いていた。

 

 

~一方その頃、教会ガールズトークメンバー 終~

 

 




~あとがきミニ~

モーリス「イリナ、おまえにピッタリの技を教えてやるよ」

イリナ「ホント? どういうの?」

モーリス「オートクレールの浄化の力を最大限に活かした技だ。その名も『不破舞利髄(ふぁぶりーず)』! あらゆる菌を除菌できる技だ! どうだ、凄いだろ!」

イリナ「私のオートクレールで何しようとしてるの!? 聖剣で除菌ってどういうこと!?」

モーリス「いくぜ! 不破舞利髄(ふぁぶりーず)ッッッ!」

イリナ「イッセー君! ツッコミ! ツッコミィィィィィィ!」
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