ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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14話 後輩との手合わせ

グレモリー領の地下に設けられた広大なトレーニング空間、そこで俺達は各々修行に取り組んでいた。

この空間は以前にグレモリー眷属で使っていたところとは別の場所になっている。

実はつい最近、俺は専用のトレーニング空間を用意してもらっていた。

これまではリアス達と共有で使っていたので、お互いに時間が被らないように調整していたんだけど、リアスのお父さん――――ジオティクスさんが気を利かせて作ってくれたんだ。

 

『ハハハ、義息子のためなら、これくらいお安いご用だよ』

 

笑いながらそうジオティクスさんに言われたんだが………。

そろそろ、俺もジオティクスさんのことを『お義父さん』と呼ぶべきなのだろうか。

バラキエルさんには何度か言ってるしなぁ………。

こういうの、タイミングに迷うの俺だけじゃないよね!

俺、身体的な修行に加えてお婿さん修行もした方が良いのかな!?

モーリスのおっさんにもそんなこと言われたしね!

 

「よっしゃ、いっちょやるか」

 

俺は屈伸をしながらそう百鬼に言った。

今回はチームの新メンバーたる百鬼との手合わせがメインだ。

 

「兵藤先輩、稽古お願いします」

 

「おう」

 

開始前、互いに一礼する。

 

俺はトレーニング用のジャージ、百鬼はアスリート用のロングスリーブシャツにファイトショーツという格好だ。

 

「気合入ってるな」

 

「ええ、兵藤先輩とは前々から拳を交えてみたかったんです」

 

百鬼は体に濃密な闘気をまとい、更には霊獣『黄龍』とも契約しているためか、強大なドラゴンのオーラまで発している。

霊獣『黄龍』は『地』を司る。

大地には龍脈が流れており、百鬼はそこから『気』を借り受け、自身の闘気に加算できるらしい。

その土地の豊かさしだいだが、条件が揃えばほぼ無尽蔵で『気』を借り受けられるとのことだ。

さて、そんな百鬼の戦闘力は―――――。

 

地を蹴って猛スピードで駆けてくる。

闘気で自身の身体能力を引き上げているため、攻撃防御スピード、全てを増大させている!

このスピード、上級悪魔クラスでもついていくのは難しいだろうな。

それだけのものだ。

 

俺へと詰め寄った百鬼はその勢いを乗せた蹴りを打ってくる。

俺はかわすが、その蹴りは―――――地面を大きく破壊し、巨大なクレーターを生み出した!

こりゃ、まともにくらえば結構なダメージを受けそうだ!

 

大きく飛び上がった俺に対し、百鬼は闘気とドラゴンのオーラを混ぜ込んだ波動を次々と撃ち込んでくる!

打撃以外もかなりの威力を持っているな!

 

俺が迫ってきた波動を弾き返すと、百鬼もまた空に飛び上がり、再び迫ってくる。

深く引き、撃ち込まれる拳。

インパクトの瞬間に捻りが加えられており、相手を抉るような攻撃だ。

そんな攻撃を連打してくる。

更に拳打から蹴りにかけての流れるような動きや相手を惑わすフェイント、高速移動による撹乱まで。

良い動きだ。

 

攻撃は十分。

次は―――――。

 

「守りはどうだ?」

 

俺はそれまで徹していた防御を解くと、百鬼の拳を流し、顔面目掛けて拳打を放った。

首を傾げて避ける百鬼。

俺はそこから追撃を仕掛ける。

 

拳に赤いオーラを纏わせて、至近距離で拳の弾幕を張る。

こっちの一撃も衝撃波だけで地面を割るレベルだ。

並の相手ならこれだけでもビビってしまうだろう。

だが、百鬼は拳の弾幕を潜り抜け、冷静に対処して見せた。

俺の拳を、蹴りを難なく受け止め、流し、反撃してくる。

しかも、俺の攻撃をくらっても耐えられるほど頑強だ。

守りも十分だろう。

この歳でここまで鍛え上げるなんてな………!

 

俺は百鬼の拳を受け止めると、ニッと笑む。

 

「やるな、百鬼。ここまでやれるとは思わなかったよ」

 

百鬼もまた俺の拳を受け止めた状態で答える。

 

「いえ、兵藤先輩が手加減してくれているからですよ。兵藤先輩が本気を出せば、俺なんて足元にも及ばないでしょうから」

 

「謙遜すんなって」

 

俺達は弾かれたように互いに後ろに跳び、着地した瞬間、更にギアを上げる。

高速移動しながら、俺達はぶつかり合った。

 

しかし、後輩との打ち合いは楽しい。

前はギャスパーや小猫ちゃんともこういう修行をしていたんだが、大会中は中々、二人と修行ができなくて寂しく思っていたんだよね。

百鬼も肉弾戦オンリーなもんで、同じく肉弾戦をする身としては嬉しいね!

 

俺達から少し離れたところではモーリスのおっさんとボーヴァがこちらと同じく模擬戦………じゃないな。

一方的にしごかれてるよ、ボーヴァ。

 

「なんのこれしきぃぃぃぃぃ!」

 

「おっ! やるじゃねぇか、ボーヴァ! よぅし、一段………いや、三段くらい上げてみっか!」

 

「望むところです! ぬぁぁぁぁぁぁ!」

 

す、凄ぇ………!

あのおっさんに食らいついてやがる!

俺やアリスが数えきれないほど泣かされたあのおっさんへ果敢に向かっていくなんて!

ボーヴァ、おまえは本当に凄いドラゴンだよ!

木刀で殴られて、たんこぶメッチャできてるけど!

ドラゴンの大きな瞳に涙浮かんでるけど!

背負い投げで、綺麗に投げ飛ばされてるけど!

 

百鬼が目元をヒクつかせて呟く。

 

「あ、あれが泣く子はもっと泣き叫ぶというチートおじさん………」

 

「うん」

 

ボーヴァが(泣きながら)頑張っている横では美羽とリーシャが魔法陣を展開して、今後の試合に向けてあれやこれやと術式の改良、開発をしている。

それから―――――

 

「はぁ、はぁ、はぁ………」

 

肩で息をするエルメンヒルデ。

彼女はジャージ姿でただただ走っていた。

 

チーム入りを望むエルメンヒルデだが、基礎体力が足りておらず、今のままでは俺達と並んで戦うのは厳しい。

というわけで、まずは基礎中の基礎。

体作りをメインに頑張ってもらっていた。

メニューはモーリスのおっさんが組んでいるので、とんでもない内容………と思うだろうが、実はそんなことはない。

ま、エルメンヒルデが数日ほど筋肉痛に悩まされるくらいだろう。

 

「ほらほら、まだへばるには早いわよ」

 

などとエルメンヒルデに声をかけるのは同じくジャージ姿のアリスだ。

アリスはレイヴェルと一緒にエルメンヒルデのトレーニングに付き合い、彼女と走り込みをしている。

 

「わ、わかってます! あなたに言われなくたって………!」

 

アリスに言われて、前屈みだった上半身を起こし、ペースを上げるエルメンヒルデ。

どうやら、エルメンヒルデはどこかアリスに対抗心があるらしい。

あれだけ『クマさん』言われてたらそうなるんだが………アリスはそこを利用してエルメンヒルデを発破かけているみたいだ。

なんだかんだ言いつつも、アリスは面倒見が良い。

たまに挑発的な発言もしているが、エルメンヒルデのペースに合わせて付き合ってるみたいだしね。

エルメンヒルデもそんなアリスに文句を言いつつ、今のところ順調にトレーニングをこなしていっている。

少し前の小猫ちゃんとレイヴェルみたいな関係だな。

 

レイヴェルといえば、彼女も日頃から自主トレをしているから、お嬢様ながら体力あるんだぜ?

今となっちゃ俺達のペースに余裕でついてこられているからな。

 

『夜の体力も凄いものね!』

 

黙らっしゃい、駄女神!

今、そういう話してねーんだよ!

レイヴェルはマネージャーは体が資本って言って、有言実行してるんだよ!

俺のために頑張ってくれてるの!

 

『夜のマネージメントも頑張ってるわよね!』

 

だぁぁぁぁぁぁぁぁ!

何を言っても夜に繋がるんですけど!

なんでもかんでもエロエロな方に話進めないで!

エロエロな俺でも困るから!

えぇい、駄女神は無視だ、無視!

今は百鬼との手合わせに集中しよう!

 

『ふんだ、イッセーのけちんぼ。いいもん、ドライグ君で遊ぶから』

 

『イヤァァァァァァァァァ!』

 

ドライグゥゥゥゥゥゥゥゥ!

なんか悲鳴聞こえてきたんだけど!

大丈夫なの!?

 

『『『拝啓、ドライグ様。その面白い姿は忘れません。歴代赤龍帝一同より』』』

 

いや、何があったの!?

面白い姿ってなに!?

俺の相棒はどんな姿になったの!?

つーか、止めろよ、歴代赤龍帝一同!

 

「なるほど、教会から来たというあの女子はそういう境遇でしたか」

 

ツッコミを入れている俺に百鬼はそう話しかけてきた。

そうそう、リントさんについて話をしていたんだった。

ドライグ、後で助けに行くからね!

それまでは、その面白い姿とやらで耐えてくれ!

 

「どこの所属だったかは今度聞いてみるさ」

 

百鬼の腕を掴み、背負い投げの要領で投げ飛ばす。

宙に浮く百鬼の体。

しかし、地面に叩きつけられる直前に両足で踏ん張り、その体勢から反撃まで仕掛けてきた。

本当、よく鍛えられてるな。

 

俺から離れて拳を構える百鬼が言ってくる。

 

「いつもは木場きゅん先輩と模擬戦しているんですよね。凄腕の剣士と聞いています。俺も手合わせ願いたいです」

 

「おー、良いんじゃないか? あいつ、剣の腕も凄いけど、最近は神器の能力をフルで使ってくるから、色々な技に対応する修行になるよ。………それよりさ、その『木場きゅん先輩』ってのは流行っているのか ?」

 

俺は訝しげにそう訊いた。

このあいだ、リントさんも「木場きゅんパイセン」とか呼んでたし。

 

百鬼が言う。

 

「あー、二年女子の間では、なぜか『木場きゅん先輩』って呼ばれてますね。だからか、二年男子からもそんな感じ呼ばれてて、略して『きゅんパイ』とか言われたりもしてます」

 

………なぁ、木場。

おまえの人気はどこに向かってるんだ?

 

近くで槍の稽古をしていたサラが言ってくる。

 

「そういえば、クラスでそう呼ばれてるのを聞いたかも」

 

「………」

 

………うん、木場よ。

おまえはそれで良いのか?

何かしらアクションを起こした方が良いと思うのは俺だけだろうか?

 

百鬼が冗談混じりに言ってくる。

 

「兵藤先輩も『兵藤きゅん先輩』とかどうですか?」

 

「やめてくれ。語呂も悪いし」

 

そもそも、俺は木場みたいに人気ないだろ。

エロ三人組の一人だしな。

 

サラが首を傾げて不思議そうに言う。

 

「にぃに、人気あるよ?」

 

「えっ、マジで!?」

 

俺、人気あるの!?

初耳なんですけど!

 

百鬼が顎に手を当てて思い出すよう煮いう。

 

「そういえば、誰か言ってたような………。兵藤先輩、近所の不良から恐れられてますし。変な人から声をかけられなくなったとか」

 

「あー、そんなこともあったな」

 

一年の時、美羽とクラスの女子が帰宅中絡んできた不良生徒を駆けつけた俺がしめたっけ。

あの時は美羽が魔法を使わなくても済むように俺が出張ったんだが………。

その時にしめた奴らの中に、近所の不良グループのリーダー的な存在がいたとかなんとか。

 

「兵藤先輩って、近所の不良からは『シスコン鬼神』とかって呼ばれてますよ」

 

「えっ、なにその二つ名。恐れてるのか、バカにしてるのかハッキリしてくんない?」

 

「それは不良達に言ってください。まぁ、そんなわけで、うちの生徒が不良達から絡まれる件数が減った理由として、兵藤先輩の存在があるんですよ。駒王学園のシスコン鬼神を相手にしたら五体満足では帰れないって。それで、一部の女子生徒からは前々から人気があるらしいです」

 

それ、人気があるんじゃなくて、虫除けアイテムみたいな扱いをされてるだけなんじゃ………。

どうしよう、泣けてくるんですけど。

 

「お兄ちゃん、普通に女子生徒から人気あるよ?」

 

そう言ってきたのはリーシャと魔法の意見交換を終えた美羽だった。

美羽はジャージの上着を脱ぐと準備運動をし始める。

 

「元々、高身長でルックスも悪くないって言ってたよ? エッチなこと言わなくなってからは評価も上がってて、今じゃワイルド系で、いざという時に守ってくれそうな男子ってことで、女子の間でちょくちょく話されてるよ」

 

「なん、だと………!? そ、それじゃあ、エロエロなことを控えていたら、俺って………」

 

「うん。モテモテだったと思う」

 

美羽の一言に俺はその場に膝をついた。

 

俺、自らモテ期を遅らせていたというのか………!

教室でエロ本読んだり、エロトークをしなければ、もっと早くに彼女が出来ていたかもしれないというのか………!

欲が先走って目標から遠ざかっていたなんて!

俺のバッキャロォォォォォォォォォ!

 

い、いや………お、落ち着け、俺!

仮に早くに彼女が出来ていたとすると、今みたいに美羽達とイチャイチャラブラブな生活は送れていないかもしれないんだ。

そう考えるとエロエロでも良かったんだよ。

これからは少し気をつけて、エロは控えめに、女子生徒からの人気度を上げていけば良いのだ!

うん、そうしよう!

 

膝をつく俺の前に美羽はしゃがみこむと、微笑んだ。

 

「大丈夫! エッチなお兄ちゃんもボクは大好きだよ!」

 

「うぅぅぅ………! 美羽ぅぅぅぅぅぅぅ!」

 

なんて嬉しいことを言ってくれるんだ! 

ダメなところも、エロエロなところも、全て受け入れてくれる!

やっぱり、美羽は最高の妹だと思うんだ!

あ、美羽に頭を撫でられるの気持ちいい………。

 

泣きつく俺の頭を撫でながら、美羽は百鬼に言う。

 

「百鬼君、ボク達のこと呼ぶとき名前でも良いんだよ? 『兵藤先輩』だとお兄ちゃんとボクでややこしくなりそうだし」

 

美羽の提案に俺も乗る。

 

「それもそうだな。小猫ちゃんとかギャスパーも名前で呼び分けてくれてるし、百鬼もそれで良いよ」

 

百鬼って、俺達二人を前に話すときフルネームで呼んでたからな。

それだと長いし、少し距離も感じる。

これから同じチームでやっていく以上、名前で呼んでくれた方が分かりやすいし、打ち解けやすいだろう。

 

俺の言葉に百鬼は少し照れながらも頷いた。

 

「えっと………そうですね。それじゃあ、お言葉に甘えてイッセー先輩、美羽先輩って呼ばせてもらいます」

 

 

 

 

ちなみに、

 

「あれ? ニーナとワルキュリアは?」

 

「あっち」

 

美羽に指差され、そちらを見てみると――――

 

「も、もう………げ、限界………」

 

「ニーナ様。たまには運動もなさらないと、将来、太りますよ?」

 

ジャージ姿でへばっているニーナと、そんなニーナを団扇で扇ぐワルキュリアがいた。

ニーナの場合、修行というよりは、運動不足の解消から始めないとな………。

 

 




アセム「おっす! オラ、アセム!」

イッセー「またその口調か!」

アセム「試合に向けて準備を進める赤龍帝チーム。そんな中、彼らの前に現れたのはアドバイザーを申し出る女性だった! 勇者君に近づいてきた彼女の目的は一体………。次回、おっぱいボールZ『新たなおねショタ』! 絶対見てくれよな!」

イッセー「おぃぃぃぃ! 今の流れでなんでおねショタに繋がるの!? しかも、俺、またチビッ子化されるの!? つーか、おっぱいボールZってなに!?」

イグニス「オラ、ワクワクすっぞ!」

イッセー「おまえまで入ってくるじゃねぇぇぇぇぇ!」
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