ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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今回もほのぼのと


4話 新しい嗜好

入学式から数日が経った日のこと。

 

「今日の授業はここまでです。お家に帰ったらしっかり復習してください。ここ、テストで出しますからね? それから、皆さん、ちゃんと将来のことは考えないとダメですよ? 今のうちから、自分がやりたいことを深く考えて、それに向けて勉強しましょうね」

 

今日の授業範囲を終えたロセが教室を見渡して、そう言った。

そこでちょうとチャイムが鳴り、今から昼休みとなる。

 

教室を離れ、屋上に場所を移した俺達はそこで弁当を広げていると、

 

「将来のことかぁ」

 

美羽が春の空を見上げながらそう呟いた。

 

ロセの言っていた将来のことというのは、大学卒業後の進路のことだ。

俺は既に上級悪魔に昇格した身だ。

近い将来、グレモリーの領地を任されることになると思うから、それに向けて勉強しておこうとは考えている。

だけど、余裕が出来たら、他のことに取り組んでみるのもありだろう。

悪魔の生は長い。

まぁ、俺の場合は先の戦いで相当生命力を使ってしまったため、ちょっと問題があるのだが………それでも、治療を続けて回復すれば、人間よりも遥かに長く生きることになる。

アザゼル先生なんて、趣味で釣りに時間を費やしていたこともあったらしいし、最近では自分で蕎麦の店を出そうか、なんてことも言っていた。

俺の趣味の一つにプラモデル製作があるし、いっそのこと冥界にプラモデル屋でも出してみるか?

冥界は元々、娯楽が少ない。

プラモデルなら安い趣味だし、凝ったらとことんまで作り込める。

案外、流行るんじゃないだろうか。

 

そんなことを考えながら俺は美羽に訊ねてみる。

 

「美羽は何かやりたいことあるのか? あ、俺の手伝いとかは別にして」

 

俺の質問に美羽は頬に手を当てて、うーんと考え込む。

 

「マンガ家さん………かな?」

 

「マンガ家?」

 

「うん。ボクがこっちに来てから、日本のマンガには感動させられたからね。読むのはもちろん好きだけど、今度は自分で書いて誰かに読んでもらうのもありかなって」

 

なるほど………。

こっちの世界に来てから、美羽は日本のマンガにハマった。

最初は俺から借りて読んでいたのが、今ではちょっとした本屋を開けるくらいの本が、美羽の部屋にはある。

それを将来は読む側から書く側になりたいのか。

 

「そういや、たまにマンガの絵を模写してたりしてたな」

 

「ボクって、特に絵のセンスがあるわけじゃないからね。ああやって、上手い人の絵を見て練習してるんだ。いつかはオリジナルのキャラクターとか書いてみたいけど………まだまだかなぁ」

 

「ハハハ、時間はたっぷりあるんだ。焦る必要もないさ。美羽なら実現できそうだし、俺も応援するよ」

 

こっちに来たばかりの時は電化製品が全然ダメだったのに、今じゃ料理、洗濯、掃除と家事全般をこなせるまでになったんだ。

唐揚げも絶品だしな。

美羽なら他のことでも成し遂げられると思う。

 

今度は隣に座るアリスが指をモジモジさせながら、恥ずかしそうに言った。

 

「私はその………小料理屋とか………良いかなって」

 

アリスが小料理屋!

マジでか!

 

「イッセーのお母さまに料理習っている内に自分でも楽しくなってきて………。それに誰かに美味しいって言ってもらえるのが嬉しいから………」

 

顔を赤くしながら、段々小声になっていくが………。

そっかそっか、そういう風に考えてたのね。

昔は城のキッチンでボヤ騒ぎを起こして、ワルキュリアから追い出されたあのお転婆姫が………。

 

「なんで泣いてるのよ?」

 

「いや、なんかこう可愛い夢だなって。昔を知ってるだけに感動で涙が」

 

「ふ、ふんだ。笑いたきゃ笑えば良いじゃない」

 

「笑わないよ。アリスの料理の腕も上達してきてるのは知ってるし、アリスの作った肉じゃが、俺は好きだぞ?」

 

俺がそう言うとアリスの顔がパァっと明るくなって、

 

「うん、ありがと………。また作ってあげる」

 

ぐっ………そんな可愛い表情見せられたら、色々と抑えきれなくなっちゃうだろうが!

抱き締めたくなるだろ!?

つーか、抱き締めて良いですか!?

 

しかし、アリスが小料理屋か。

和服着て料理するところなんて、様になってて綺麗なんだろうなぁ。

お酒とか注いでもらったりすると、グッとくるのかもしれない。

 

「僕もやってみたいことはあるかな。そのためにはリアス姉さんの仕事を手伝いつつ、資金を蓄えようと思ってる」

 

そう言ってきたのは、俺と美羽よりも少し遅れて屋上に来た木場だった。

実は三年生に進級後、この高等部校舎の屋上は、俺達オカ研メンバー三年生の昼食の場になっていたりする。

木場に続いて、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、レイナとオカ研メンバーが俺の回りに集まり、弁当を開いてく。

 

「資金? 何かやるのか?」

 

俺の問いに木場は両手でジェスチャーをした。

ボウルの中の何かを泡立て器で、かき混ぜる仕草だ。

 

「駒王町にケーキ屋を建てるのもいいかなって。そのためには資金を貯めないとね」

 

ケーキ屋か!

木場がケーキ屋の主人………イケメン店主!

えぇい、女の子がますますキャーキャー言いそうだ!

というか、こいつのケーキって絶品なんだよなぁ。

特にチーズケーキが最高だったりする。

まぁ、木場も料理全般出来るから、他にも色々やれそうだな。

 

今度はゼノヴィアが言う。

 

「私は………何かを教える仕事に就きたいな」

 

ほほぅ、そうきましたか。

意外な答え………のように見えて、そうでもないのかな?

生徒会長目指してからは勉強も頑張っていたし。

 

「進学を目指す生徒のために、塾を人間界や冥界に作るのもありかなと思ってる。まぁ、まだ具体的な案はないんだけどね」

 

ゼノヴィアが塾を建てる!

驚きの野望だが、これまでのゼノヴィアを見ていると、そういう考えにもなるのだろうと思えてくる。

 

四人の将来の話を聞いて、イリナは難しそうに首を捻っていた。

 

「案外、私の回りの同級生って、将来のことを考えているのよね」

 

「イリナさんはどうするの? やっぱり、天界関連?」

 

レイナが訊ねる。

レイナはグリゴリの役職に就くんだろうな。

今も色々と職務をこなしているみたいだし。

その例で考えるとイリナも天界、教会関連の仕事に就きそうなイメージだが………。

 

「駒王学園の大学部には行くけど、その先は教会関連のところに携わるか、それ以外かで迷っているかなーってところね。ミカエル様からは非常時の招集に駆けつければ大丈夫って言われているの。だからと言う訳じゃないけど………その」

 

イリナは先程のアリスのように恥ずかしそうに続けた。

 

「将来、パン屋さんとか良いかなって………」

 

イリナはパン屋ときましたか!

ホームベーカリーを大切にしていたけど、今度は本格的に作りたくなったのか!

 

ゼノヴィアが続く。

 

「イリナの進路希望調査の紙に、そう書いているところを見て驚いたぞ。本気的な店を目指すんだろう?」

 

「ええ。実は最近勉強しているの。リアスさんや朱乃さんに習っているのよ。………食卓に出すのはもう少し待っていてね?」

 

兵藤家にはパンを焼くプロ仕様のオーブンが備えられていたりする。

リアスと朱乃もパンを作れるから、イリナは二人に習っているようだ。

ちなみに、屋上にはピザを焼く釜まで作られて………今更ながら何でもありだな、現兵藤家。

 

ゼノヴィアはイタズラな笑みを見せて、こうも述べる。

 

「ちなみにイリナの第二希望はお嫁さんだったな。すぐに消ゴムで消していたが」

 

「ちょ、ちょっとゼノヴィア!? バ、バラさないでよ!」

 

イリナが慌ててゼノヴィアの顔を抑えるが、

 

「大丈夫だ、イリナ。イリナは俺が嫁にもらう!」

 

俺は親指を立ててそう言った!

そうさ、イリナも俺の嫁なのだ!

誰にも渡さんよ!

 

すると、途端にイリナの顔は真っ赤になって、

 

「イ、イッセー君………そんなに見つめられると、私………堕ちちゃうぅぅぅぅ!」

 

「なんでだよ!? なんで、このタイミングで翼を白黒させてるの!?」

 

「だ、だって………色々思い出しちゃって………」

 

おいおいおいおい!

やっぱ、あの子作り部屋は、使った時よりも使った後の方が問題あるぞ!

思い出して堕天しかけるってどんだけ!?

 

すると、ゼノヴィアが肩をすくめながら、

 

「流石はイリナだ。『性欲のエロ天使』と呼ばれるたけのことはある」

 

「どんな二つ名よ!? せっかく、リーシャさんが『聖翼の清天使』って、格好良くて私にピッタリの二つ名を考えてくれたんだから、変に改造しないで!」

 

聖翼の清天使―――――。

オートクレールの力を纏い、触れるもの全てを浄化するイリナの新形態とも言えるものだけど………ゴメン、イリナ。

俺、『性欲のエロ天使』でもあながち間違ってないと思っちゃったよ。

だって、イリナって結構エロ思考してるんだもの。

よくここまで堕天せずにやってこれたもんだ。

 

「イッセーさん、あーんしてください」

 

アーシアが弁当から、タコさんウインナーを箸でつまんで食べさせてくれる。

以前に右腕が使えなくなった時もそうだったけど、今回もまたアーシアや美羽の世話になっていたりする。

美少女からのあーんは嬉しいし、最高だ!

だけど、やっぱり不便なものは不便で………。

 

木場が訊ねてくる。

 

「義手はまだ出来ないのかい?」

 

「ああ。アザゼル先生も作ってくれているみたいだけど、まだまだ忙しいみたいだしな」

 

失われた俺の右腕は、冥界の医療技術を用いて完全に再生される予定なのだが、単に右腕を生やすだけならともかく、ある程度、失う前の状態の腕を作るには少し時間がかかるという。

それまでは義手で過ごすことになっていて、その義手はアザゼル先生が作ってくれているようだが、まだ完成の報告は届いていない。

 

で、今は骨折した時に使うギプスをはめて、周囲からは右腕があると認識されるようにしている。

右腕がないのに、ある時、急に生えてきたら事情を知らない一般人は驚くからな。

というわけで、ギプスで偽装を施しつつ、周囲には右腕を骨折したと伝えてある。

 

おにぎりを食べながらレイナが言う。

 

「ごめんね、イッセー君。うちも人手不足だから、そっちに人を回せなくて………。アザゼル様も、戦後処理以外にも色々と動いてるから、あまり時間が取れないの。でも、そろそろ完成するようなことは言ってたわ。数日中には連絡があるんじゃないかな?」

 

おお、マジですか!

義手とはいえ、やっと右腕が使えるようになるのか。

いやー、それは本当に助かる。

着替えも一人じゃ時間がかかるから、手伝ってもらってる状態だしね。

 

その情報に美羽がボソリと呟いた。

 

「そっか。それじゃあ、ボクもお兄ちゃんの着替えを手伝うことはもう出来ないんだね」

 

「美羽? なぜに残念そうにしてるの?」

 

「な、なんというか、お兄ちゃんの着替えを手伝うの、結構楽しくて。『ばんざーい』とか言いながらお兄ちゃんに服を着せていくのがね。それに、お兄ちゃんの体が………。あっ、なんだか色々と思い出してきちゃった………」

 

「なにを!?」

 

なんで顔を赤くしてるの!?

俺の着替えに何を思い出してるの!?

 

ゼノヴィアがうんうんと頷きながら言う。

 

「美羽の気持ちは分かるぞ。イッセーは良い筋肉のつき方をしているからな。細すぎず、だが、太過ぎでもない。ちょうど良い筋肉の加減が最高だ!」

 

ゼノヴィア、おまえ、筋肉フェチだったのか!

なに、おまえも興奮気味に語ってるんだよ!?

 

そこへ―――――。

 

「僕もイッセー君の体は理想的だと思うな」

 

「木場ぁぁぁぁぁぁぁぁ! そのホモホモしい発言は止めろと言ってるだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

おまえのその発言が学園の腐女子共を刺激してるんだよ!

 

「特に胸から腕にかけての筋肉の流れが―――――」

 

「わざとか!? おまえ、わざとやってるのか!? いい加減にしないと、アグニ撃っちゃうぞ!?」

 

もうヤダ、このイケメン男子!

なんでちょっと頬紅くなってるんだよ!

ぶっ飛ばすぞ!?

 

ぜーはーと息を荒くする俺はアーシアが入れてくれたお茶を飲み干して、深く息を吐いた。

 

「俺の体はそういう風に作られてるんだよ。瞬発力と持久力を兼ね備えた筋肉がつくようにな。師匠が武術の神だけあって、そのあたりは徹底されたよ」

 

うちの師匠は滅茶苦茶な修行内容だったが、そのあたりはキッチリとしていた。

細くしなやかで柔軟性を持ち、かつパワーを引き出せるように、効率的な肉体作りをさせられたもんだ。

普段はただのスケベ爺さんだが、そういう点は流石に武術の神様だけはある。

 

ゼノヴィアがふむと頷く。

 

「なるほど。それでサイラオーグ・バアルよりも細身でありながら、同等以上のパワーを生身で出せるわけか………じゅるり」

 

「今、じゅるりって言った? じゅるりって言ったよね?」

 

「………ゴクリ」

 

「レイナちゃん、今ゴクリって言った? ゴクリって言ったよね?」 

 

「どうしよう。私、堕ちる! 堕ちちゃうぅぅぅぅ!」

 

「なんで、堕天しそうになってるの!? 君達、新しい嗜好に目覚めた!? 目覚めたの!?」

 

「「「「ゴクリ」」」」

 

「なんで全員で喉鳴らしてんだぁぁぁぁぁぁぁ!? 木場、おまえはマジでぶっ飛ばすぞ!?」

 

この時、俺は皆がちょっと怖く見えた。

 

 




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