ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

53 / 67
ジョーカー篇ラスト!



28話 更に向こうへ

 

「いけいけ、そこだ!」

 

「パス回せ、パス!」

 

体育館、グラウンドの各所で応援の声が飛び交う。

今日は球技大会の日。

あらゆる生徒がクラス対抗戦、あるいは部活対抗戦に参加しており、校内は非常に盛り上がっていた。

 

今年の部活動対抗戦はバスケットボール。

俺達、新生オカルト研究部はレギュラーを俺、木場、小猫ちゃん、イリナ、そしてアーシアという布陣。

メンバーは部長のアーシア以外はくじ引きでの選出となった。

で、くじから漏れたメンバーは応援に回っているのだが、

 

「ぶっちゃけ反則と言っても過言ではないわよね」

 

「アハハ……」

 

アリスの発言に苦笑する美羽。

普通の人間と悪魔じゃ身体能力に差がありすぎるからな。

確かに反則みたいなもんだ。

だけど、

 

「目指すは優勝! そして、生徒会に勝つことです!」

 

リーダーのアーシア部長が打倒生徒会に燃えてるんだ!

俺達部員は部長に続くまでってな!

 

オカルト研究部は順調に勝ち進み、ついに決勝戦。

俺達と同様に勝ち進んできたゼノヴィア率いる新生生徒会と相対することになる。

 

体育館の中央、バスケットボールのコートに両陣営の面々が並び立つ。

 

「アーシアちゃん頑張れ!」

 

「アーシアちゃんんんんん! ファイトォォォ!」

 

気合いの入ったアーシアへの応援。

分かりやすかったのもあるけど、アーシアが悩んでいたのはクラスメイトも気づいていた。

だからか、この球技大会でアーシアを応援する声は多い。

 

「木場きゅん!」

 

「木場きゅん先輩ぃぃぃぃ!」

 

………木場を応援する女子の声もずっと多かったけど。

 

「なぁ、木場。おまえはどこに向かってるんだ?」

 

「ハハハ………僕が聞きたいくらいだよ」

 

本人も複雑みたいだ。

 

「アーシアもゼノヴィアっちも気張りなさいよ!」

 

桐生も両チームを応援してくれていた。

 

お互いのリーダーであるアーシア部長とゼノヴィア会長が顔を合わせる。

 

「ゼノヴィアさん、負けません!」

 

「勝たせてもらうよ、アーシア!」

 

あちらのレギュラーはゼノヴィア、匙、百鬼、巡さん、仁村さんと油断できないメンバーだ。

 

匙が俺に言ってくる。

 

「やる以上は負けないぜ」

 

「こっちもだ」

 

つい先日のゲームで活躍してくれた百鬼は今回は相手方ということで、複雑な表情だ。

まぁ、それはそれ、これはこれってことで。

今回のは部活動対抗戦だし、仕方ない。

 

いつの間にか、体育館は観戦に来た生徒でいっぱいになっていた。

 

「皆さん、勝っても負けても悔いのないように!」

 

ロセも応援に駆けつけており、アザゼル先生も体育館の隅っこの方で試合の見物をしていた。

 

審判が一礼を確認し、選手が散らばったのを見て、開始の笛を鳴らす。

開始の合図と共に両チーム動き出すが、もちろん悪魔や天使、異能は使わず、純粋な身体能力のみで試合に臨む。

 

木場が高速でドリブルをすれば、マークについていた百鬼が木場に負けないスピードでくらいつく。

ゼノヴィアが生徒会メンバーへと鋭いパスを回そうとすれば、それをイリナが弾く。

俺にパスが回ってくると、俺をマークしていた匙とのガチンコ対決が始まる。

こちらが点を入れれば、相手チームも負けじとゴールを決めるという展開が続き、得点は拮抗状態となっていた。

 

後半、試合終了の時間が近づいてきた時、小猫ちゃんのアシストによって、ボールがアーシアへと渡った。

 

――――フリーだ。

 

球技大会に向けて、アーシアがシュートの練習をしていたのは俺達は知っている。

リアスのチームでレーティングゲームに取り組む傍ら、夜遅くまで自主練をしていた。

アーシアなら決められる!

 

しかし、それを理解しているからこそ、ゼノヴィアがさせまいと猛烈にアーシア目掛けて突っ込んでいく。

ボールを放とうとしていたアーシアの前にゼノヴィアが立ち塞がった!

 

しかし――――アーシアがボールを放つことはなく、体勢を変えて、ドリブルを始めた。

アーシアがゼノヴィアのディフェンスを潜り抜けた!

 

ゴールに近づいたアーシアがジャンプして、シュートを放って―――――。

 

 

 

 

「イタタタタ………」

 

「もう、無理しちゃ駄目って言ったのに」

 

部活動対抗戦が終了後。

俺は美羽、アーシアの三人で帰路についていた。

 

俺は美羽に鞄を預けて、片手で謝る。

 

「ゴメンゴメン。匙が思ってた以上にくいついてくるからさー」

 

「いくらお兄ちゃんでも、この間の疲労も抜けきってない状態で匙君の相手は辛いでしょ」

 

この間のレーティングゲーム、限界以上に錬環勁氣功を酷使したから身体中がバキバキなんだよね………。

それは美羽達も似たようなものなんだけど。

 

「今日は悪魔の仕事も休むようにレイヴェルさんから言われてるんだから、しっかり身体を休めること。良い?」

 

「ははぁー」

 

土下座をするようなポーズをする俺。

 

美羽は俺の見張り役ってことね………。

最近、兄妹の立場が逆転してきている気がするのは気のせいだろうか。

まぁ、しばらくはゆっくり身体を休めるとするよ。

また身体に負荷をかけた結果、チビッ子になって、美羽達の着せ替え人形にされるのは勘弁してほしいし。

 

それはさておき、俺はアーシアが手に持っているものに視線を落とす。

 

「同率とはいえ、優勝したな」

 

結局、生徒会チームとの試合は延長戦をしても決まらず、その後はフリースロー対決になったが、それでも決着がつかなかったため、最後は時間切れ。

同率での優勝となった。

 

アーシアが言う。

 

「これでリアスお姉さまに良い報告が出来そうです」

 

同率とはいえ、優勝したんだ。

リアスも喜んでくれるだろう。  

しかし、アーシアがゼノヴィアを相手にあそこまで粘れるとはね。

ゼノヴィアも驚きながらも、どこか嬉しそうだったっけ。

二人の対決が白熱するものだから、チームの俺達もやらなきゃってことで、両チーム一歩も引かなかったんだよな。

フリースローでも決着がつかなかった時は審判と実行委員も困り果てていたくらいだった。

 

部活動対抗戦の感想を三人で話していると、

 

「うわぁぁぁぁん」

 

と、子供の泣く声が聞こえてきた。

声のした方を向くと、公園で、小さな男の子が擦りむいた膝を抱えて泣いていた。

 

アーシアはすぐに駆け寄り、子供の膝を見る。

 

「大丈夫? 男の子ならこれくらいで泣いてはダメですよ?」

 

優しい微笑みと共に、アーシアは神器の力で子供のケガをあっという間に治してしまった。

この光景は――――。

 

「懐かしい光景だね」

 

「あれから一年か」

 

俺と美羽がアーシアと出会ったあの日も、アーシアは今みたいに子供のケガを治していた。

 

「はい、もう大丈夫です」

 

痛みがなくなったことに不思議ごる子供だったが、すぐに頭を下げてお礼を口にした。

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

言うなり男の子はダッシュして去って行く。

男の子の背中を見送りながら、俺は口を開く。

 

「ありがとう、だってさ」

 

「うふふ、今度はちゃんと日本語分かりますよ」

 

そうだな。

あの時は分からなかった日本語も今では理解できる。

 

ふいにアーシアが真正面から俺に言ってきた。

 

「イッセーさんや皆さんと出会えた、神様からの素敵な贈り物ですよ」

 

初めて出会った時、アーシアは複雑そうに自身の能力について語った。

教会の信徒でありながら、悪魔をも癒す力を持ってしまったが為に教会を追放されたんだ。

当時、教会での生活が全てだったアーシアには辛い出来事だった。

 

あれから一年。

アーシアは俺達と激動の一年を送ってきた。

そして今、アーシアはあの時とは比べ物にならないほど、素敵な笑顔を見せてくれていた。

 

そんなアーシアに俺は言う。

 

「強くなったな」

 

あの時は俺や皆が守る存在だった。

だけど今は違う。

アーシアはもう守られるだけの存在じゃない。

 

アーシアは少し照れながら、

 

「ありがとうございます。だけど、まだまだです」

 

そう言うと、アーシアは真っ直ぐに俺を見てきた。

 

「先日の試合を見て思ったんです。私ももっと全力でやってみようって。今はまだイッセーさんやリアスお姉さまのようには出来ないかもしれないけど。それでも、失敗しても前に向かって進みます。そうすれば、いつかは――――」

 

アーシアは満面の笑顔で言葉を繋げた。

 

「隣に並んで歩けるようになれますよね」

 

「――――っ」

 

本当に強くなったよ。

体も、心も。

前から分かってはいたんだ。

でも、こうして改めて見ると、俺が感じていたよりずっと―――――。

 

「アーシア、俺達はまだまだ強くなれる。だけど、焦らずじっくりいこうぜ。なにせ俺達は悪魔だからな」

 

悪魔の寿命は数千年とも数万年とも永遠とも言われてる。

それだけ時間があれば十分だろう?

 

差し出した俺の手をアーシアは取って、

 

「はい!」

 

頷くアーシア。

美羽もそれに続くように俺の手を握ってきた。

 

「ボクだっているんだからね?」

 

「分かってるよ」

 

フッと笑む俺達兄妹。

俺達は互いの手を握り、歩き始める。

 

行こうぜ、まだ見ぬ先へ。

更に向こうへ―――――

 

 

 

「あっ! イッセーの野郎、美羽ちゃんとアーシアと手ニギニギしてるぞ!」

 

「なんだと!? イッセーめ、なんて羨ましいやつ! 行くぞ、松田!」

 

「おうよ、元浜!」

 

「「天誅ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」」

 

「なんで、てめぇらがここで入ってくるんだ、馬鹿野郎共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

帰路につく中、俺は悪友二人に襲われたのだった。

 

 

 

 

部活対抗戦が終わっても、大会は続いていく。

既に決まっている組み合わせは、サイラオーグさんと曹操のチームであったり、俺達とシトリーチームだったり、身内での対戦も増えてきたところだ。

予選は更にヒートアップしており、本選出場の十六枠を巡って各チームが激戦を繰り広げている。

 

今夜は新たな組み合わせが発表されるため、俺達のチームはテレビの前に集まっていた。

次々と試合の組み合わせが決まっていく中、俺達も今後の日程が決まっていく。

今のところ全勝、保有ポイントも高めではあるが、本選に進むにはまだ足りない。

確実に勝利してポイントを稼いでおきたいところではあるが、果たしてどうなるか。

 

今後の試合展開について考えていると、テレビにはある二つの組み合わせが表示される。

その内の一つは――――

 

 

『リアス・グレモリー』チーム VS 『明星の白龍皇』ヴァーリ・ルシファーチーム

 

 

発表された組み合わせに俺は深く息を吐いた。

 

「なるほど。そう来たか………」

 

リアスとヴァーリがぶつかるか。

ルシファーと白龍皇の力を解放したヴァーリは絶大だ。

神を殺す牙を持つフェンリル、猫又であり最上級悪魔クラスの黒歌、孫悟空の子孫である美猴、聖王剣の使い手のアーサー、巧みな魔法を駆使するルフェイとチームメンバーも強者揃い。

『禍の団』時代、各勢力の追手をあしらってきた腕前は確かなものだ。

 

しかし、リアス達が遅れを取るかと言われるとそうではない。

二つの神器を使いこなす木場を筆頭に高い火力を備えたバランスの良いチームだ。

しかも、今はクロウ・クルワッハもいるしな。

 

「こりゃ、どっちが勝ってもおかしくないな」

 

リアスとヴァーリの試合を想像していると、横でレイヴェルがため息を吐いた。

 

「イッセー様。リアス様の試合が気になるのは分かりますが、今は自分達の試合のことを考えてください」

 

「うん。ごめんね、現実逃避してた」

 

俺の目に映るもう一つの組み合わせ。

それは―――――

 

 

『異世界帰りの赤龍帝』兵藤一誠チーム VS 『王達の戯れ』テュポーン、アポロン、ヴィザール同盟チーム

 

 

神クラスが相手。

しかも、今大会の優勝候補の一角だ。

 

アリスが言う。

 

「魔物の王テュポーン、オリュンポスの主神アポロン、アースガルズの主神ヴィーザル。これまた荒れそうね」

 

「ハハハ、参りましたね」

 

百鬼も笑うしかないようで、額を手で叩いていた。

 

そういう反応になるよな。

次代の主神が二柱に、伝説の魔物の王が相手だ。

だが、遅かれ早かれこうなっていただろう。

優勝目指すなら、世界でも指折りの強さを持った神々とぶつかることになる。

 

そんなことを考えているとニーナが俺の顔を覗き込むようにしてきた。

 

「現実逃避とか言いながら、お兄さんはやる気満々って感じだね」

 

どうやら見透かされていたようで。

俺は肩をすくめて言う。

 

「どのみちやるしかないしな。ここで逃げちゃらしくないだろ?」

 

俺の言葉におっさんが笑う。

 

「言うようになったじゃねぇか」

 

「俺も色々と負けてられないってことだよ」

 

さて、優勝候補の一角をどう攻略するか。

今の俺達が真っ向からやり合うのは正直、難しいところではあるが………。

 

「リーシャ、あれってもう完成して――――」

 

俺がリーシャに問いかけようとした時だった。

不意にドアがノックされ、俺達の視線はそちらへと集まった。

部屋に入ってきたのは母さんで、

 

「どうしたの?」

 

「イッセーにお客さんよ。悪魔の方だとは思うんだけど、頭に角が生えてるし。イッセー、あんな美人な女性とどこで知り合ったのよ?」

 

そう聞いて、なんとなく思い当たる節があった。

角の生えた美人な女性で、ここを訪ねてくるとなるとあの人だろう。

しかし、理由が分からない。

 

とにもかくにも会ってみようということで、俺達は下に向かう。

降りた俺達を待っていたのは頭部に角を生やした桃色の髪の美女、ロイガン・ベルフェゴールさんだった。

 

「やっぱり、ロイガンさんでしたか」

 

「夜分にごめんなさいね。突然押し掛けてしまって」

 

「いえ、それは良いんですけど………どうしてここに?」

 

こんな美女が訪ねてくれるならいつでも大歓迎ではあるが、どうにもデートのお誘いって感じではない。

ロイガンさんは玄関から外に出ると、無言で指を鳴らす。

すると、家の庭で魔方陣が複数展開し、そこからマントとフードを被った面々が現れる。

 

「この人達は?」

 

「私の眷属よ」

 

ほうほう、ロイガンさんの眷属達ですか。

それでなんで、ここに呼んだんだ?

まさか俺達とレーティングゲームがしたいとか言わないよな?

 

疑問しかない俺だったが、ロイガンさんは真剣な表情で言う。

 

「これは決意表明よ」

 

「へ?」

 

決意?

なんの?

 

俺を含め、レイヴェル達も首をかしげていると、ロイガンさんは俺の正面に立って――――跪いた!

それに合わせるように眷属の皆さんも俺に跪いてくる!?

 

「赤龍帝、兵藤一誠様。この私、ロイガン・ベルフェゴールを臣下に加えていただきたく、馳せ参じました。私の全てをあなたに捧げます。どうか、考えていただけないでしょうか」

 

は………?

え、ちょっと待って?

ロイガンさんが俺の臣下?

 

 

 

「「「「ええええええええええええっ!?」」」」

 

思いもしなかった申し出に、大会の組み合わせのことを一時的に忘れてしまう俺だった。

 




というわけで、リターンズ第二章はこれにて完結!

次の章は……ちょっと色々悩み中なので、投稿に時間がかかるかもしれませんm(_ _)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。