ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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3話 海賊版を許すな

「何が世界を作り替えてるだ!? ただパクってただけだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

なんでコインが浮いてんだ!

なんで見覚えのあるキノコが生えてんだ!

世界を作り替えるってこういうことだったの!?

 

俺はヴァルスの頭を鷲掴みして言う。

 

「おいコラ。こちとら色々忙しい中、来てるんだぞ? なんでスーパーマ○オ? なんでスーファミの世界になってるわけ?」

 

「い、いえ、それを私に言われてもですね………。まぁ、あれです。いつものやつです。父上の茶目っ気ですな!」

 

「いらんわ、こんな茶目っ気!」

 

「あうっ!? 勇者殿!? あ、頭が! 頭が割れそうです! 誰かヘェルプ! 木場殿!」

 

「なんで僕を指名するんですか!?」

 

「ほら、昨日の敵は今日は味方ってことで! 私達も剣を交えた仲ではないですか!」

 

ヴァルスの言葉に、後ろで黙っていたモーリスのおっさんが反応した。

 

「最終的にやり合ったの俺だけどな。祐斗が倒したのはおまえさんの分身とやらじゃなかったか?」

 

「もう剣聖殿でも誰でも良いからヘェルプゥゥゥゥゥ!」

 

涙目で叫ぶヴァルスに手を差しのべる者はいなかった。

 

とりあえず、スッキリするまでヴァルスを泣かせた後、俺は改めてスーパーマ○オと化した世界を見渡した。

俺達が門を潜って出た場所は小高い丘の上。

ここからは辺り一面を見渡せる。

パッと見は山あり谷あり、草原ありの緑豊かでのどかな場所だ。

昔、ライトに連れて行かれた、あいつがお気に入りの場所を思い出させるそんな光景でもある。

アセムと最後の戦いをした時とは真逆で、あの時のような不気味なおどろおどろしい雰囲気はどこにもなく、ただただ静かな、平和な世界。

これは希望ある未来を望んだアセムの心の内を表したものなのだろう。

だが―――――

 

「マジでふざけてるわね。あの悪神様、一発殴りたいんだけど」

 

俺の隣でアリスが拳を構えて呟いた。

アリスの視線を辿った先には宙に浮かぶ茶色いボックスがあり、側面には『?』と書かれている。

 

美猴が言う。

 

「下から頭突きしたらアイテム貰えんじゃね?」

 

出てきたとしても、ろくなもんじゃないだろう。

 

「アセムの心の内を表した世界、か。これ、あいつの余計な内面も出てるよな?」

 

アザゼル先生の問いにヴァルスが未だダメージが残るこめかみを押さえながら答えた。

 

「そういえば父上は生前、スーパーマ○オにはまっていたような………。父上は最近の映像が綺麗なゲームよりも昔のドット派だったので」

 

「気持ちは分かる………が、それとこれは別問題だろ」

 

「父上は色々なものに手を出していましたからね。それで真相心理にも影響があったのでしょう。えーと、ゲーム、アニメ、映画にプラモデル。あとはネットサーフィンしてそれから―――――」

 

「遊んでばかりじゃねぇか!」

 

あの野郎、こっちが異世界関連の仕事で必死になってるときに遊んでやがったな!?

うちの眷属が忙しくなったの、大半があいつのせいなんだぞ!?

 

俺は拳を構えて言う。

 

「よし、とりあえず一発だけ殴らせろジミー。おまえ、色々と託されたんだろう? じゃあ、このイライラも託されてくれよ」

 

「そんなもの託された覚えがないのですが!? それは父上に言っていただかないと! というかですね、私に手を出したら知りませんよ!? ベルたんが黙っちゃいませんよ!? 最強のロリッ娘の力、再びその目に焼き付けてあげましょうか!」

 

などと言い、ヴァルスはベルの方へと視線を向ける。

ヴァルスの視線にベルは、

 

「しゅぴー………」

 

ヴィーカにおんぶされたまま熟睡していた。

 

ヴィーカが苦笑する。

 

「話が長くて寝ちゃったみたい」

 

「ベルたんんんんんんんんん!」

 

ガクッと膝を落とし、地面を叩くヴァルス。

どうやら、あの長く無駄な回想が災いしたらしいな。

本題に入るまでに時間をかけ過ぎたせいで、最強のロリッ娘は夢の世界に旅立ってしまった。

 

俺はヴァルスを嘲笑うように言う。

 

「フッ、二行で済ませられる話を長々語ったその罰だな」

 

「良いじゃないですか、長々語っても! 久し振りの登場なんですから、私にも語らせてくださいよ!」

 

「最近、ツッコミばかりでもう疲れてんだよ。これ以上、ボケを増やされてたまるか」

 

もうね、これ以上ボケを増やされたら捌ききれないんだよ。

おまえが口を開いても、どうせボケまみれなんだろう?

もう、口にチャックつけて基本は黙っててくれない?

 

「酷い! 私を何だと思っているのですか! 利用するだけ利用して、あとはポイですか!?」

 

「えっ、利用するだけ利用しろって言ったのおまえじゃん」

 

「そうだったぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

「さらば、ジミー。また会う日まで」

 

その後、ヴァルスの悲鳴がこの境域世界に響いたのだった。

 

 

 

 

「さ、さて、落ち着いたところで調査と参りましょうか」

 

涙目のヴァルスを先頭に俺達は境域世界の探索を始める。

作り替えられたこの世界に何が存在しているのかはヴァルスにも詳細は分からないらしい。

 

辺り一面に広がる草原を見渡しながら、アリスが言う。

 

「何もないんだけど。ここ、ホントに重要拠点になり得るの?」

 

ソーナが言う。

 

「いずれ来るという邪神との戦いの場として用意したのなら、逆に何もない方が良いと考えたのかもしれませんね。話を聞く限りでは、先の戦いよりも規模が大きくなるかもしれませんし」

 

「考えたくないわね」

 

その意見にリアスは額に手を当てて、深く息を吐いた。

あの戦いは文字通り、世界中を巻き込んだ。 

アセムが復活の術式を発動していなければ、ここまで平和な日常はなかっただろうし、国際大会なんてものを開催する余裕なんてなかっただろう。

 

熟睡するベルを背負ったヴィーカが言う。

 

「お父様のことだから、何も無いってことはないと思うけれど」

 

「それはシリアスなやつ? ブレイクするやつ?」

 

「どっちもじゃない?」

 

どっちもあるのかよ!

まぁ、俺もそんな気はしてたけどね!

そもそも既にスーパーマ○オな世界だったしね、ここ!

 

「………」

 

「どうしました?」

 

レイヴェルが小猫ちゃんに問いかける。

振り向くと、小猫ちゃんはある方向をじっと見ていて、

 

「レイヴェル、知ってる? スーパーマ○オではキノコを食べると大きくなれる」

 

「っ! まさか、あのキノコは!」

 

「そのまさか。あれを食せば私達は大きくなれる可能性がある」

 

いやいやいや、ちょっと待とうか二人とも!

ゲームではそうだったけども!

あんなキノコ拾い食いしちゃダメだって!

きっと腹壊すよ!?

 

すると、美羽が、

 

「火を通せばいけるかもよ?」

 

「美羽はなんでフライパン持ってるの!?」

 

「お兄ちゃんの醤油もあるし」

 

「さっさとまともな義手作ってくれませんかね、アザゼル先生!」

 

醤油が絡むシーンになるといじられるのもう嫌なんですけど!

醤油でいじられる赤龍帝って歴代で初じゃないの!?

 

アザゼル先生が言う。

 

「乳でパワーアップする赤龍帝なんだし、義手から醤油を出す赤龍帝も良いだろ。なーに心配するな。今度は波動砲が撃てる義手を作ってやる」

 

「そんな無駄機能はいらん!」

 

「乳首からビーム撃つスイッチ姫もいるし、義手からビーム出すおっぱいドラゴンがいても良くね?」

 

「全然良くないんですけど!?」

 

先生がそんなこと言うもんだから、リアスもアリスも顔伏せちゃったよ!

まともに前見られなくなってるよ!

お願いだから、チクビームの件は触れないであげて!

 

俺が二人のフォローに回ろうとしていると、探索メンバーの誰かが声をあげた。

 

「あれはなんでしょう? ドーム……?」

 

その声に皆がある方向に視線を向ける。

視線の先には白いドームのような建物が一つだけあった。

建造物には特にこれといった装飾はなく、シンプルな形状をしている。

ただ………

 

「でけぇ………何メートルとかで済むか、あれ?」

 

匙の言うようにただただ大きい。

今、俺達がいる場所から建造物まではかなりの距離がある。

それなのに目の前にあるかのような錯覚を起こすほど、それは巨大だった。

 

アザゼル先生が言う。

 

「あれがこの世界の中心、俺達が目指す場所ってことで良いのか? あの神様のことだ、何かしらの機能はあるんだろう?」

 

ヴァルスがその意見を肯定する。

 

「恐らくは。詳細は実際に見てみないと分かりませんが、私の考えが正しければ、あれは――――」

 

なにか心当たりがあるようだな。

これまでの流れで、もう帰りたくなっていたメンバーも真剣な顔つきになる。

 

「行こう」

 

俺達は互いに頷くと、ドームを目指して歩き始めた。

 

ここまではスーパーマ○オの世界だったが、これからが本番。

あそこにはあるはずだ。

俺達の世界とアスト・アーデを守るため、いつか来る敵を迎え撃つために用意したなにかが。

アセムが俺達に託したものが―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

《おっぱいドラゴン、はっじまるよー!》

 

《おっぱーい!》

 

 

 

白いドームに入った俺達を迎え入れたのは「おっぱいドラゴンの歌」だった。

高い天井を見上げると、そこには巨大なモニターがあり、おっぱいドラゴンになった俺が子供達と踊るシーンが流れている。

 

「「「………」」」

 

無言のまま右手側を見ると、おっぱいドラゴンの等身大フィギュアが並んでおり、テレビで放送されていた幾つかの形態(今のところ天武、天撃まで)もあった。

向こうにはジオラマがあり、木場が演じる敵役『ダークネスナイト・ファング』との激戦をこれまでかと再現していた。

爆炎から火花といったエフェクト、鎧や剣についた汚し表現も見事なものだ。

左手を見るとおっぱいドラゴン関連のグッズがあり、綺麗に飾られていた。

 

「「「………」」」

 

皆の顔を見ると目が点になっていて、ヴァーリだけが「ほぅ」と辺りを見渡していた。

 

うん、分かるよ皆。

言いたいことは凄く良く分かる。

だけど、ここは俺に任せてほしい。

ここは俺が責任を持ってツッコミをしよう。

俺は深く息を吸って――――――

 

「おっぱいドラゴンの展覧会じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!」

 

ここまで来てなんで、おっぱいドラゴンの展覧会!?

なんで、おっぱいドラゴンが流れてんの!?

なんで、グッズが並べられてんの!?

なんで、販売されてない等身大フィギュアが飾られてんだぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

俺はヴァルスのこめかみを掴み、ドスの効いた声音で言う。

 

「おい、マジいい加減にしろよ? 俺達、この世界の調査に来たんだぞ? 展覧会に来たわけじゃないんだけど? つーか、なんだこの品数は? おっぱいドラゴン関連グッズコンプリートしてるじゃねーか」

 

「いやいやいやいやいや、それは私に聞かれても困ります! 父上の趣味ですからね、これ! 私無実無関係! 冤罪ですよ!?」

 

無実を主張するヴァルス。

すると、横にいたアリスがとある物を指差した。

 

「へぇ、じゃああれなに?」

 

アリスが指差したのは1/1ジオラマの一つ。

敵と戦うおっぱいドラゴンのワンシーンを切り取ったものだ。

その作品カードを読んでみると、

 

『爆煙の表現に拘りました! 製作者:ヴァルス』

 

なんてコメントが書いてあった。

 

「どう見ても有罪だろ」

 

「いえいえいえいえ! 作っていたことは認めますが、ここに展示したのは父上ですよ!?」

 

作っていたこと認めやがったぞこいつ。

俺達がテロ対策だの、異世界関連の資料作りだので忙しいときに渾身の一作を製作してたってか。

 

「………ふざけないでください」

 

低い声音で言葉を発したのはレイヴェルだった。

レイヴェルは肩をワナワナと震わせながら、ヴァルスにゆっくり詰め寄る。

あまりの迫力にあのヴァルスでさえ気圧されそうになっていて、

 

「マネージャーたる私に無許可で展覧会を開くなんて許せませんわッ!」

 

「いや、そっちぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

レイヴェルの言葉に続いて、俺のツッコミがドームに響く!

レイヴェルが怒ってるのそこ!?

 

レイヴェルは鋭い視線をヴァルスに向ける。

 

「だいたいなんですの、あのフィギュアは? あのような商品はまだ販売されていないというのに、どうしてここにあるのですか? まさか海賊版として販売しようとしていた、なんて仰るつもりではないでしょうね?」

 

海賊版!?

レイヴェルの口からそんな単語が飛び出てくるなんて!?

 

レイヴェルの身体から魔力が吹き出し、彼女の背後に炎を纏う不死鳥が現れる。

そんな彼女の横にもう一人、物騒な魔力を纏う者がいて、

 

「全くね。おっぱいドラゴンの版権はグレモリーにあるの。こんなこと、お母様に知れたらどうなるか」

 

リアスまでこんなことを言い出しちゃったよ!

確かにそうなんですけど!

ヴェネラナさんに知れたらえらいことになりそうだけども!

 

並び立つ版権元の関係者に睨まれ、ヴァルスは真っ青な顔で手を振った。

 

「ち、違います誤解です! あれはあくまで趣味の範疇で製作したものでして! 決して、営利目的のものではございません!」

 

「それともう一つになることが。これだけの商品を、しかも同じ物を買い込んだりして………。もしや、今、人間界で流行している転売をしようとしているのでは!」

 

リアスが言う。

 

「そういえば、そんなことをやっている人達もいるようね。お母様も冥界で同じことが起きないように対策はすると言っていたわ」

 

転売!?

おっぱいドラゴングッズで転売が危惧されるようになるなんて思ってもなかったよ!

 

「そ、そのような事は一切考えていません! ヤ○オクだのメ○カリにも出品したことも、することもありません! ファンとしての矜持………私のおっぱいドラゴン愛に誓いましょう!」

 

どこに誓ってるんだよ!?

おまえら、ホンット自由奔放だな!?

 

ヴァルスの言葉にレイヴェルは小さく息を吐く。

そして、

 

「その言葉が偽りであった場合―――――」

 

レイヴェルの眼光が光り、

 

「版権元として、あなたを徹底的に業界から葬りますわ」

 

「ひっ!?」

 

どうしよう、なんか俺まで怖くなってきたんですけど!

うちのマネージャー半端ねぇ!

あの悪神の眷属が震えるほどのプレッシャーを放ってるんだもん!

 

「………」

 

不意に後ろを見ると、アザゼル先生が滝のような汗を流していた。

 

「先生、まさかと思いますが」

 

「やってないやってない! おっぱいドラゴン商品で個人的に儲けようとか一切考えてないって!」

 

その後、レイヴェルの追及はアザゼル先生にまで及んだ。

 

 

 




~あとがき~

木場「モーリスさん、時代劇にはまってるんですか?」

モーリス「リアスに薦められてな。最近はよく見てるんだよ。ああいう台詞は言ってみたいもんだ」

木場「台詞? それってどういうのです?」 

モーリス「――――安心せい、袈裟斬りじゃ」

木場「安心できる要素ないんですが!? 峰打ちの間違いですよね!?」

モーリス「角さん、助さん、滅多打ちにしてあげなさい」

木場「御老公、そんな物騒な台詞言いませんが!?」

ゼノヴィア「この聖剣エクスカリバーが目に入らぬかー」

木場「ゼノヴィアもボケる、だと…!?」
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