ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ 作:ヴァルナル
散々ツッコミをくらったヴァルスは強く咳払いして、場を改める。
「コホン! ………とまぁ、展覧会はまた後程に楽しむとして」
「おいコラ」
あれだけボケを撒き散らしといて、まだボケたいのか。
つーか、おまえ達ってお尋ね者になってもおかしくないからね?
俺達が黙ってるから、各勢力に生存を知られてないだけだからね?(各勢力のトップ陣に情報は伝わっているが)
アザゼル先生が言う。
「これだけでかい場所なんだ。おっぱいドラゴンの展示コーナーだけで終わるってことはないだろ。ここはほんの一角ってことだ」
確かにこの展示コーナーも相当な広さではあるが、外から見たあのドームの大きさを考えると、ほんの僅かな空間だろう。
東京ドーム何個分とかの規模だしな。
だから、アザゼル先生の言う通りだと思う。
というか、その通りであってくれ!
お願いだから!
いきなりズッコケてしまったが、流石に帰るわけにもいかないので、先に進むことにした。
ここまでグダグダなためか、皆の空気も緩んできている。
しかし、この空間を出た後、俺達は呆気に取られることになる。
「マジか」
ポツリと言葉が漏れた。
俺達を出迎えたのは先の部屋よりも遥かに広大な空間だ。
いや、空間というよりは一つの町と言うべきだろう。
立ち並ぶ大小様々な建造物、広場らしき開けた場所、そして中央には巨大な城が佇んでいる。
その光景はまるでアスト・アーデで見た城下町のようだ。
ヴァーリが上を見上げる。
「あれは太陽か?」
ここはあの白いドームの中だ。
本来ならドームの天井があるはずだ。
しかし、見上げた先には太陽が眩しいほどに町を照らしている。
アザゼル先生が言う。
「内側から見ると外の光景が見えるのか。それともドームに空を映し出しているのか。どちらともありえるか」
リーシャが太陽に向けて掌を翳す。
「屋内のはずですが………熱を感じますね。それに風も。これは外部から取り込めるようにしているのでしょうか? でも、そうなるとあの天蓋は? 特定のものだけを選択できるようにしているとなると――――」
「アセムのことだ、レーティングゲームの技術も活用してるのか? いや、しかしそれにしては―――そうなると、あれは――――」
「なるほど。あの神の力であれば――――と――――」
ぶつぶつと呟いて自身の中で思考を巡らせていくリーシャとアザゼル先生。
オーディリアにいた頃、リーシャは魔法学校の教師であったと同時に技術屋でもあった。
術式というソフトの面から、魔法を行使するための道具というハード面まで。
特にハード面に強く、部屋に籠っては何かしら弄っていることが多かった。
そんな気質だからかアザゼル先生とも結構気が合ってたりする。
俺達の世界に来てからは先生の研究室に入り浸ることも多々あるほどだ。
「これは調査のしがいが出てきましたね」
うん、すんごく目を輝かせてるよね。
この場所の調査は捗りそうだ。
リアスが言う。
「ひとまずはあそこを目指すということで良いのかしら?」
リアスが指差すのは町の中央に建つ巨大な城。
恐らく、あの城がこの境域世界の本当の中枢になるのだろう。
ドームはあくまでこの町を囲む城壁ってところなのかね?
いや、先程の二人の会話を聞くにあのドームにも色々と仕掛けがありそうだ。
他にも見るべきところはあるかもしれないが、リアスの言う通り、まずは目立つ城を目指すことにした。
俺達は城へと通じる大通りらしき道を進みながら周囲を見て回る。
石と木で造られた家屋に、石畳の道。
流れる川に、漂ってくるこの香り。
どこか懐かしさを感じさせるここは、見れば見るほどアスト・アーデで見た町並みにそっくりだ。
だが、町とは言ったものの、当然ながら人なんて住んでないし、そのような痕跡もない。
一言で言えばハリボテの町だ。
だけど、綺麗に整えられたこの場所は住もうと思えば問題なく暮らせるだろう。
アセムは何を思ってこんな場所を作ったのか。
俺に管理権限を渡してきてるし、ここに住めってことなのかね?
ヴァルスが言う。
「これは………父上の趣味ですね」
「趣味にしては気合い入れすぎじゃね!?」
「凝り性でしたので」
「聞いてねーよ!?」
確かにそういう奴だったけどな!
アザゼル先生が言う。
「ここが二つの世界間の中間地点というのなら、拠点として、生活可能な機能を付与したと言うのはあり得る話だ。いずれ来るだろう連中との戦いが長期に渡るなら尚更な。トライヘキサとの戦いだって、元々は数百年以上かかると踏んでいた。だから、隔離結界領域に入った後は物資を送ってもらう手筈だったんだよ」
隔離結界領域、か。
アセムがトライヘキサを取り込んだことで、使うことがなかったけど、本来ならアザゼル先生達はそこに入ってトライヘキサが消滅するまで戦い続ける予定だったんだ。
外部から物資を送ってもらわないと戦おうにも戦えないか。
アセムは長期戦を見据えて、こんな場所を作ったかもしれないと。
考えたくもないが、備えは必要ってことだな。
境域世界もかなり広大だし、この場所以外にも似たような場所を作るのもありだろう。
「………?」
違和感を感じた俺は足元にふと視線をやる。
気になり、石畳に手を置いて違和感の正体を探ってみた。
境域世界に踏み込んでから感じていたが、何かが地中を動いている。
この場所に来てからは特にだ。
ここは流れているといった方が良いのか?
魔法的な何かではなく、もっと自然な感じ。
俺達の世界で言うならこいつは――――。
俺の思考に続くようにヴァルスが言う。
「龍脈ですね。父上のことです。ただ場所を用意しただけでなく、土地自体に何かしらの力を持たせているのでしょう」
龍脈は大地における力の流れだ。
巨大なエネルギーを有しており、大小あれど流れる土地には様々な恵みがあったりする。
更に龍脈を利用して凄まじい効果を発揮する技や術式なんてものも存在する。
かく言う俺が使う錬環勁氣功だって、自然の気を取り込んで爆発させて自身の力に変えていたりする。
自然の力ってのはそれだけに大きく、強い。
で、アセムはそんな力を作りやがったと。
龍脈そのものを作るとかどういうこと?
いやね、世界創造なんてしてるから、出来るんだろうけども、ホントに無茶苦茶な奴だよ。
チートだよチート。
だけど、そんなチートっぷりを楽しんでる男もいてだな、
「レーティングゲームのようにただフィールドを作るだけに止まっていないか。とことん規格外の神だな。なんとか復活させられないだろうか? また戦ってみたいものだな」
好戦的な笑みを見せるヴァーリ。
「どれだけバトルマニアなんだよ、おまえは。あの戦いで散々やりあったじゃん」
「美味しいところは君が持っていっただろう? もし、叶うなら今度は俺一人で倒してみたいのさ。あれほどの高みだ。やりがいはあるだろう」
こいつも変わらないもんだね。
俺は嫌だからな、あいつと戦うの。
だって、すぐボケ空間が始まるじゃん。
『そこなのか』
ドライグさんよ、俺がどんだけツッコミしたと思ってるの?
アセムはボケるは、モーリスのおっさんもボケるは、あげくイグニスもボケて大変だっただろ。
『………そう、だな。相棒も
マジで勘弁してください。
ヴァーリがアザゼル先生に言う。
「それにアザゼルもあの神とは話したいことがあるだろう」
不敵に言うヴァーリとは対照的にアザゼル先生は少し嫌そうな表情を浮かべる。
「あいつの持ってる技術には興味はあるが………。復活したらしたで、厄介なことになりそうだ」
オーフィスを匿う時も苦労してたっけ。
仮にアセムが復活したとして、戦うことはなさそうだけど、その時は―――――
~アセムが復活した世界~
アセム「やっほー! 皆大好き、アセム君でーす! あっ、レーティングゲーム国際大会? 面白そうじゃん、僕も混ぜてもらおっかな~♪」
イッセー「えっ、ちょ待っ!?」
アセム「アセム、ガン○ムいっきまーす!」
イッセー「そのロボなに!? どっから持ってきた!?」
アセム「まだだ! たかがメインカメラをやられただけさ!」
イッセー「おいぃぃぃぃぃ! 話を聞けぇぇぇぇぇ! つーか、その台詞どっかで聞いた覚えあるよ!? パクったろ!?」
~以上、アセムが復活した世界をお送りしました~
あー………うん。
ハチャメチャになるのが容易に想像できるわ。
アザゼル先生に匿われてるのを忘れて、大会に出て大暴れしそうだ。
町を探索しつつ、俺達は城に辿り着いた。
アスト・アーデで見てきた城と似たような造りだ。
向こうで長く見てきたせいか、親しみすら感じる。
正面に立つ巨大な城門。
門は俺達を迎え入れるように開き始めた。
アリスが言う。
「何が待っているやら。流石にもうツッコミ疲れたわよ」
「それ、俺の台詞な」
おまえ、今回ほとんどツッコミしてないじゃん。
俺がどんだけツッコミしてると思ってるの?
誰か頑張ってる俺を労ってくれよ。
などと思っていると頭に誰かが手を置いてきた。
振り向くとサラが俺の頭を撫でていて、
「にぃに………ファイト」
「ガッハァァァァァァァッ!」
盛大に血を吐き出す俺!
ここに来て『にぃに』をいただいてしまったぜ!
ちくしょう、その少し照れてるような表情はズルいだろぅ!?
さてはにぃにを悶死させようとしているな!?
「サラちゃん可愛いィィイイイイイイイアッ!」
「みんなー、イッセーを放置して先に進むわよー」
自らの血溜まりの中で悶える俺を放置して、皆は先を進むのだった。
▽
場内は至って普通の造りだった。
冥府の時にはあちこちに罠が仕掛けられていて、進むのにだいぶ苦労をさせられたが、今回はそういうことはないようだ。
あの時は巨大球体が転がってくるわ、上から聖剣だの魔剣だのが降ってきて命がけだったっけ。
まぁ、アセムのことだ。
おふざけでなにかしらの仕掛けはしているだろう。
あいつはそういう奴だよ。
アリスが言う。
「どうせ上からタライとか落ちてくるんじゃないの?」
「紐を見つけても絶対引くなよ? フリじゃないからな? マジで引くなよ?」
前回みたく、巨大球体に追い回されるのはごめんだぞ。
なんてことを考えていたが、特にそれらしきものは見当たらなかったので少し拍子抜けしてしまった。
城門を潜ってただまっすぐに長い廊下を進んだ先にあったのは装飾が施された扉。
扉の向こうからは何かの気配を感じることができる。
「ここだな」
この気配………魔法?
いや、それにしてはどこか神が放つような独特の波動すらも感じる。
どうやら今度こそ当たりのようだ。
俺は扉に触れて、ゆっくりと力を籠める。
重たい音と共に扉が開いていき――――
「やぁ、随分遅かったじゃないか」
聞き覚えのある声が扉の内側から聞こえてきた。
「ここに来るまで楽しんでもらえたかな?」
俺は目を見開く。
俺だけじゃなく、アザゼル先生や皆、ヴァルス達ですら驚いていた。
だってそうだろう?
こいつがここにいるなんて思わないじゃないか。
「なんで、おまえがここにいるんだよ………ッ!?」
驚く俺達を笑みを浮かべながら迎えたのは――――アセムだった。
あとがき
アセム「久しぶりの出番! ここからはずっと僕のターンさ!」
ヴァーリ「面白い。ならば付き合ってもらうぞ、異世界の神よ!」
イグニス「異世界の神っていうなら、私も付き合わなきゃ♪ ヴァーリ君、お姉さんとも遊ぼ~♪」
イッセー「逃げてぇぇぇぇぇぇ! ヴァーリ、超逃げてぇぇぇぇぇぇ!」