ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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久々に短期間での投稿!


7話 荷物は出来るだけ最小限に

 

境域世界の一回目の調査を終えて、帰還した俺達は報告書を作成し、冥界、サーゼクスさんに提出しておいた。

調査は今後も実施する予定だ。

ただ、流石に毎回俺達が出向くのも大変なので、そこは各勢力の調査員が派遣されることになっている。

 

今回、足を踏み入れたあの街だけでも広大だというのに、それ以外の場所もとなるとどれだけ手間と時間がかかるやら。

魔法で造られたというあのアセムのプログラムからは一応の解説はあったが………割りとテキトーだったからな。

いや、肝心な場所の説明はあったよ?

 

あの世界からアスト・アーデに門を作る方法も教えてもらったし、門の調整方法も分かった。

それと、あの境域世界は成長することも教えてくれた。

時間経過と共に環境は徐々に変化していくとのこと。

どうやら、それにより世界そのものの強度が増すらしい。

 

とは言え、まだまだ欲しい情報があってだな………。

アセムのプログラム曰く、

 

『冒険っぽくてワクワクしない? というか製作者としては冒険してほしいんだよね~』

 

とのことだ。

いつか来る脅威に立ち向かうために創ったんだよね?

時間ないんだよね?

なんで、冒険させようとしてんの?

つーか、サーキットだの地下迷宮だの完全にアトラクションじゃねーか!

必要ないじゃん!

 

と、とにかく、今後やるべきことは分かった。

 

「アリスちゃんとの子作りね!」

 

「違わないけど違うよ!?」

 

「そこは違うって言いきりなさいよ!?」

 

「あべしっ!?」

 

炸裂するアリスパンチ!

なんという理不尽!

 

アセムの爆弾発言の後、アリスの妊娠騒動(?)で色々あったんだが、結局はおめでたでもなんでもなかった。

アセムの言葉の真意は分からない。

分からないが………

 

「あの夜はお楽しみだったわね♪」

 

「ちょ、イグニスさん!?」

 

「ウフフ。アリスちゃんったら、イッセーのこと大好きって言って、それで――――」

 

「あぅぅぅ」

 

ぐっ………!

赤くした顔を覆うアリスの反応が、俺の心をくすぐってくる………!

いやホントね、うちのアリスさんは可愛いんですよ。

 

俺はアリスの両肩に手を置く。

そして、意を決して――――

 

「あ、あのさ………また………いいか?」

 

「う、うん………後でなら、いいけど」

 

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

もうずーっとこうしていてぇぇぇぇぇぇぇ!

アリスさんとイチャイチャしときてぇぇぇぇぇぇ!

 

とまぁ、アリスを愛でるのは後で思う存分やるとして。

今後やるべきことは決まっている。

アスト・アーデとの異世界間同盟だ。

しかし、俺達が行って即同盟とはいかないだろうし、各勢力のトップ陣が揃わなければ話も進まない。

俺達がやるべきことは、その下準備。

アスト・アーデの神々から、各国のお偉方に話を通して、会談がスムーズに進められるようにするのだ。

 

「神層階に行くのは、俺は当然として、アリスも行くんだよな?」

 

「そりゃ、あんたの『女王』だしね。各国の議員には私よりモーリスの方が適任でしょ」

 

アスト・アーデの元王女様より、剣聖様の方が各国に影響力があるらしい。

おっさんの方が色々とツテがあるのは確かだ。

しかも、裏の人間にも顔見知りが多いしな。

 

何度かアスト・アーデに赴く必要はあるが、初回は師匠のところに行く予定だ。

取っ掛かりとしては一番良いだろう。

 

というわけで、今度、師匠に会うためにアスト・アーデに向かう。

だが、目的は師匠との面会以外にもある。

その一つは――――。

 

思い出したようにアリスが訊ねてくる。

 

「そういえば、美羽ちゃんの準備は終わったの?」

 

「大体は済んだみたいだぞ? さっき見に行ったら、荷造りも進んでたし」

 

「早いわね。それだけ気合いが入ってるってことかしら」

 

美羽は今、自室で荷造りをしている。

大きなリュックがパンパンになるほどの荷物を詰め込んでいるところを見れば、その気合いの入れようは伝わってくる。

 

なぜ、美羽がそんなことをしているか。

それは境域世界の調査から帰還した翌日まで遡る。

 

 

 

 

境域世界の調査を終えて、その日の活動は終了になった俺達はいつもの日常に戻っていた。

軽く修業をし、風呂で汗を流し、少しばかり部屋でのんびりしてからは食卓を囲んで夕食だ。

 

その夕食の席で発言された美羽の言葉が俺を凍りつかせた。

 

「お兄ちゃん、ボクは実家に帰ろうと思うんだ」

 

「………What?」

 

言葉の意味が理解できず、英語で返してしまう俺。

 

実家に帰る?

え、どゆこと?

美羽の家はここだろう?

 

皆の反応を見ても首を傾げて頭に疑問符を浮かべていたので、俺の反応は間違っていない。

 

美羽とは以心伝心できる仲だと思っていたけど、流石に今のは理解できない。

言葉に出されても脳の処理が追い付かない。

 

すると、アリスがポンと手を叩いた。

 

「あっ、ゲイルペインに帰るってことね。そういえば、美羽ちゃんの実家ってあそこだったわ」

 

アリスの言葉に事情を知る皆は一様に「あーそういえば」と何度か頷いていた。

 

リアスも思い出したように言う。

 

「知ってはいたけど、イッセーの妹って認識が強かったから、私も忘れていたわ」

 

ゲイルペイン。

それは魔族の国であり、美羽――――ミュウの生まれ故郷。

確かにこの場合の実家と言えば、ここ兵藤家ではなくゲイルペインが正しい。

 

って、ことは美羽はゲイルペインに帰るってこと?

ということは………え………は?

ん………ん?

ん、んんんんん?

 

「イッセーさん!? 頭から煙が出てますよ!?」

 

聞こえてくるアーシアの悲鳴。

混乱する頭で俺は美羽に訊ねる。

 

「えっと………ゲイルペインに帰るってこと、だよな?」

 

「うん。今度、アスト・アーデに行くでしょ? それを機に帰ろうかなと」

 

俺の問いにそう返す美羽。

 

なん………だと………っ!?

 

帰る?

ゲイルペインに?

嘘だよな?

嘘だと言ってよ、バーニー。

 

俺の聞き間違いだよな?

聞き違いなんだよな?

 

そうだ、アセムとの戦いで俺は耳もやられたんだった。

すっかり忘れてたぜ。

うん、これは聞き間違いだな。

もー、しっかりしてくれよな、俺の耳。

 

納得できた俺はうんうんと頷く。

 

「えーと、なんの話だっけ? 今日の唐揚げも美味いってところまで話したっけ?」

 

「ありがとう。でも、その話じゃないよ?」

 

「あっ、今度のショーの話だっけ? 次の予定いつだっけ?」

 

「来月ですが、その話でもありませんわ」

 

「そっか、アリスのブラが一段大きくなったって話―――――」

 

「その話でもないんですけど!? というかこんなところで言わないでくれる!?」

 

「ガフッッ!?」

 

恥ずかしアリスパンチが頬にめり込み、吹き飛ばされる俺。

流れる鼻血を抑える俺にアリスが言う。

 

「美羽ちゃんがゲイルペインに帰るって話よ! あんた、どんだけ現実逃避したいのよ?」

 

聞き違いじゃない。

つまり、やっぱり、そういうことで――――

俺は立ち上がり、今一度、愛しの妹に問いかける。

 

「ゲイルペインに帰る………のか?」

 

俺の問いに美羽は、

 

「うん」

 

「………」

 

 

 

 

 

サァァァァァァァァァァァ………

 

 

 

 

「イッセー君!? 灰になってる!? 体が崩れてるわ!?」

 

「イッセーさん、落ち着いて下さい!? イッセーさん!?」

 

「ちょっと、イッセー!? 私を置いて逝かないでちょうだい! イッセー!?」

 

体が粒子と化して消えそうになる俺を見て慌てるレイナ、アーシア、リアス。

 

「なんだろう、体がフワフワしてきた………」

 

「いや、それ本当に消滅しかかってるやつ!? しっかりなさい!」

 

消滅しそうになる俺。

一方、父さんと母さんも頭が混乱しているようで、美羽の肩を掴んでいた。

 

「み、みみみみみみ美羽!? どうした!? 何かあったのか!?」

 

「嫌なことがあったら何でも言ってちょうだい! だから、私達の娘でいてちょうだい………! お願い、だから………ッ!」

 

「ちょっ、お父さん!? お母さん!? おちおちおおおおお落ち着いて!?」

 

号泣しながら、止めようとする二人。

更には―――――

 

「ねぇね………」

 

「サラちゃん、良いところに! 二人を止めるの手伝って――――」

 

と、美羽が助けを求めようとする。

しかし、サラは美羽が言い終える前に美羽の袖をギュッと握っていた。

俯き、目元を伏せるサラに、美羽は恐る恐る声をかける。

 

「えっと、サラちゃん?」

 

声をかけられ、顔を上げたサラの瞳からはポロポロと涙がこぼれ落ちていて、

 

「嫌………行かないで、ねぇね。私を置いて、行かないで………ねぇねがいなくなったら………グスッ………」

 

「あわわわわわ!? だ、だだた大丈夫! 大丈夫だから、泣かないで、サラちゃん!?」

 

本格的に泣き始めるサラにパニックになる美羽。

あまりの出来事に今度は美羽が泣きそうになっていた。

 

号泣する父、母、妹。

そして、消滅しそうになる兄。

 

いつもの光景が見られるはずだった食卓は、長女の発した言葉を機に、混迷を深めていった――――。

 

 

 

 

「と、というわけで、皆が考えてるようなことじゃないからね?」

 

疲労困憊の様子で俺達に言う。

実家に帰ると言ったのは、この家を出ていくという意味ではなかった。

美羽があんなことを言ったのは相応の目的があったからだった。

 

「この間のゲームでボクは不甲斐ないところを見せちゃったよね。バラキエルさんとのゲームでもそう。モーリスさんが来てくれなかったらリタイアしていたかもしれない」

 

「そんなことは――――」

 

アリスが言うのを遮るように美羽は首を横に振る。

 

「ありがとう、アリスさん。でもね、ゲームだけじゃないんだよ? 神姫化が使えなくなってから考えてたんだ。自分が強くなる方法を。モーリスさんに修行をつけてもらったりもしてたけど、多分、今のままじゃダメなんだ」

 

美羽の言うことも一理ある。

おっさんに修行をつけてもらっているとはいえ、魔法がメインの美羽では、体捌き勝負の勘を養うところで止まってしまう。

リーシャやレイヴェル、ルフェイとも魔法の運用方法を相談しているみたいだが、それでも大きな成長には繋がらない。

 

「だから、ゲイルペインに戻って修行すると。シリウスの軌跡を辿るんだな?」

 

「そうだね」

 

歴代最強とも呼ばれた魔王シリウス。

最後の決闘。

あれから俺はかなり腕を上げた。

だけど、もう一度、シリウスと戦ったとして、勝てるかと言われると怪しいところだ。

それ程に魔王シリウスは強い。

美羽はそのシリウスと同じ修行をしようと言うのだ。

 

「もしかしたら、ゲイルペインに籠るかもしれない。けどね、それだけの時間を費やす価値はあると思うんだ」

 

美羽は俺の目を真っ直ぐ見据える。

 

「ボクは行くよ。強くなって必ず帰ってくるから」

 

 

 

 

ということがあり、現在、美羽は荷造りに勤しんでいる。

美羽としばらく離れるのは寂し……悲し……辛……ぐはぁぁぁぁっ!

 

『おぉい!? どうせ数日離れるだけだろう!? ダメージ大きすぎるだろう!?』

 

だってよ、ドライグ………美羽と離れ離れになるんだぞ?

しばらく、「お兄ちゃん」って呼んでもらえなくなるんだぞ?

そんなの………そんなのって………!

 

「世界の終わりだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

『やかましいわ!』

 

「うっさい、このシスコン!」

 

「ぐはぁっ!?」

 

炸裂するドライグのツッコミ&アリスパンチ!

俺は床に突っ伏した状態で言う。

 

「ま、まぁ、美羽に続くって訳じゃないけど、俺も修行するからな………。こっちも準備しないと………」

 

デュリオ率いる『天界の切り札』チームとの一戦。

勝てはしたものの、チームメンバー各自の課題も見えてきた。

俺もデュリオと拳を交える中で、無意識にアレ(・・)を使ってしまっていたようだが、完成には程遠い。

禁手がまともに使えない今、あの力をものにしたい。

小猫ちゃんと百鬼にも手伝ってもらってるが、どうにも上手くコツが掴めない。

だが、師匠なら何か助言をくれるかもしれない。

くれるかも――――

 

『なんじゃ、そんなもん自分で考えんかい』

 

『それよりもっとプリチーなギャルが載ってる本を持ってくるんじゃ。うひょー! このボインはたまらんのぅ!』

 

なんて光景が想像できてしまうが、大丈夫だよな?

いや、前に行った時も稽古はつけてくれたし、今回も期待しておこう。

………一応、お宝は持っていっておくか。

 

などと考えながらリビングに向かうと、美羽が紅茶を飲んで寛いでいた。

隣に背中くらいまである大きなリュックサックを置いて。

 

アリスが目元をヒクつかせて言う。

 

「荷物、多くない?」

 

「うーん、結構な数の本入れたからかな」

 

「魔術書とか?」

 

「それもあるけど、アルバムとかもね」

 

「………それ必要?」

 

「もちろん! これがないと、ボクは生きていけないよ! お兄ちゃんともサラちゃんとも何日も離れ離れになるかもしれないんだもん! アルバムは必須!」

 

「わかるぞ、美羽! 俺もアルバムは持っていくからな!」

 

「置いていきなさい、このシスコンブラコン兄妹」

 

美羽と俺の荷物は没収されることになった。

 

 




次回はいよいよ、アストアーデに行く……かも!
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