ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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いよいよ異世界アスト・アーデへ!


8話 ノア家の使用人

 

アスト・アーデに向かう日がやってきた。

いつもなら、美羽やアリスが持つ『アスト・アーデへの指向性』とやらを利用するところだが、今回は違う。

 

アセムの残したデータを元にアザゼル先生が作り上げた二つの世界間を移動できる装置――――『門』を生成できる装置を利用する。

以前、俺が入院中に美羽と利用したやつだな。

あの時はリアス達の他にも父さんと母さんも利用していて、アスト・アーデの地に足を踏み入れている。

この『門』の使用により、錬環勁氣功や指向性といったものが不要になったんだ。

 

付け加えると、これまで転移の前後で起きていた時間のズレもなくなっている。

ここに関しては便利になったのかそうでないのか微妙なところだが。

 

それはさておき、これからアスト・アーデに向かうため、俺は数名のメンバーとアザゼル先生のラボを訪れている。

 

目の前には銀色のフレームで作られた『門』。

フレームの内側は空間が歪み、虹色に輝いている。

初めて見た時も思ったが、昔、アスト・アーデから帰還する際に使った『異界の門』に似た雰囲気を持っている。

あれもアセムが作り上げた装置らしいから、似ていて当然か。

 

「この短期間で何度も使うことになるとはな」

 

そう言うのは難しい顔をするアザゼル先生だ。

 

「なにか不味いんですか?」

 

「いや、不味いってことはない。アセムの奴が長い年月をかけた研究の成果もある。それも十分すぎるものだ。ただ、いきなり使用頻度が増えそうなんで、この装置は改良した方がいいと思っただけさ」

 

うん、これからこの装置の出番は確実に増えるだろうな。

境域世界経由で向こうに行くことも出来るみたいだけど、そのあたりはまだ上手く調整できていないからね。

そっちにはまだ時間がかかりそうだから、暫くはこの『門』を使うことになる。

 

現状、起動させるまでに必要な時間、そしてエネルギーがかかりすぎることが課題らしい。

二つの世界を繋ぐのだから、無理もない話だ。

一度、起動してしまえば、必要なエネルギーは大したことはないとのことだが。

 

問題はもう一つある。

それは向こうの世界で『門』を開く場所だ。

 

「『門』を開く場所の指定はある程度は出来るが、かなり大雑把になる上、毎回同じ場所に開ける訳でもない。更に言えば、こちらから開いた『門』は向こうで閉じることが出来ない」

 

向こうの世界の住人が誤って『門』を潜ってしまい、こちらの世界に来てしまう………なんてこともあり得るということか。

しかも、開く度に場所が変わるのなら、対策も取りづらい。

うーん、これは中々の問題だ。

 

リアスが言う。

 

「その解決策として、向こうにもこの装置を置くのでしょう?」

 

「そうだ。向こうにも装置を置き、こちらの装置と繋げれば『門』の出現位置を固定できる。幸いにも身内に場所の提供者がいたんでな。なんとかなるだろうよ」

 

アザゼル先生が視線を向けたのはモーリスのおっさんだった。

そう、この問題を聞かされた時に、手を挙げたのはおっさんだったんだ。

おっさんが提供した場所、それは向こうの世界でおっさんが暮らしていた邸宅だ。

 

「無駄に広い屋敷だ。部屋も余ってるんで好きに使ってくれや。ま、あの家と繋がってくれるなら、俺も様子を見に行きやすくなって助かるしな」

 

こういうところ、昔からちゃっかりしてるよ。

 

ということで、アスト・アーデに転移した後はモーリスのおっさんの邸宅に向かう。

そこで装置を設置し、『門』の細かい調整を行う。

 

ちなみに、調整が完了するまでの間は、向こうの世界で『門』が人目に着く状態になっているので、人払いの結界を施す他に見張り役を立てることになっている。

 

現地に向かうメンバーは俺、アリス、リーシャ、モーリスのおっさんとアザゼル先生にレイナ。

それからリアスと木場を含めた計八名だ。

 

アザゼル先生が言う。

 

「指示は俺とリーシャ、レイナーレが出す。おまえ達は手伝ってくれれば良い」

 

「ええ、わかったわ」

 

と、リアスも続く。

リアスも来るのは俺の主として視察という名目だ。

木場はリアスの護衛という立ち位置になる。

 

朱乃達残りのグレモリー眷属もアスト・アーデに向かうが、こちらはうちのワルキュリアと『門』の見張り役になる。

 

まぁ、今日は転移装置の設置が目的だ。

ぞろぞろ行っても変に目立つから、最小限の人数で向かうのが良いだろう。

 

あ、そうそう。

美羽やレイヴェル達は留守番だ。

今度、美羽は故郷のゲイルペインで修行することになる。

その間の悪魔の仕事を他のメンバーでこなしていくため、レイヴェルを中心に引き継ぎを進めてもらっているところだ。

 

アザゼル先生が言う。

 

「準備も整ったし、アスト・アーデに行くぞ。装置の設置は恐らく一日仕事になるだろうから、そのつもりでな」

 

その言葉に頷き、俺達は『門』を潜る。

 

『門』を潜った先に広がるのは虹色の空間。

周囲は歪み、捻れ、不規則な動きを見せていた。

そんな場所に足を踏み入れた瞬間、体をぐんっと前に引っ張られた。

 

前回もそうだった。

この『門』を使うと、向こう側の世界に引き寄せられる。

歩かなくても目的地まで連れていってくれる、異世界を繋ぐエレベーターといったところか。

 

進んでいくと、向こう側に光が見えてきた。

あれがアスト・アーデへの出口になる。

光は次第に大きくなり、俺達を包み込んでいった――――。

 

 

 

 

「眩しっ」

 

手で庇を作りながらアリスが言う。

俺達が出た場所は太陽の光が降り注ぐ広大な草原だった。

 

リアスが言う。

 

「人里に出なくてよかったわね。というより、毎回、人里離れた場所に出るのは何か理由があるのかしら?」

 

その問いにリーシャが答える。

 

「どうでしょう? こちらの世界の人口はリアスさん達が住まう世界よりも少ないようですし。未開拓の地も多い世界ですので」

 

「今回はある程度、場所を指定できたからな。比較的、人が住んでいない土地を選んだってのもある。だが、次は人前に『門』が出るかもしれないし、早めにモーリスの家に装置を置かせてもらおうか」

 

アザゼル先生が肩をすくめながらそう続いた。

 

下手すりゃ、誰かの家に『門』が出たりするのかな?

その時は大事だぞ。

 

『夜の部屋に出たらすんごいことになりそうね』

 

イグニスがこんなことを言ってくるが、それがあり得るんだよなぁ。

もしだよ?

その部屋で男女が~なんてことがあってみろ。

とんでもないトラウマ植え付けちゃうよ。

うん、早く装置を設置しないとえらいことになるわ。

 

モーリスのおっさんが辺りを見渡す。

 

「さて、ここは………。あー、なるほど、ここに出たってことか」

 

「うん? 現在地が分かったのか?」

 

「まぁな。向こうに馬鹿デカい木があるだろ。それと、その後ろに白い山が見える。この光景が見えるってことは、ここはトルーヤだ」

 

おっさんが指差した方を見ると、ビルかと思うくらいの高い木がそびえ立っている。

あんな木はオーディリアの中じゃ一ヶ所しか見られない。

それがトルーヤ、オーディリアの北に位置する大草原だ。

 

ちなみに向こうにある白い山は隣国との国境を跨ぐ大山ナライア。

白く見えるのは雪だ。

日差しは強いが、あの山の方では一気に気温が下がる。

冷え性のアリスが行きたくない場所上位にくい込む場所だな。

今回、行くとこはないけどね。

 

アリスが懐かしむように言う。

 

「トルーヤの大樹。久し振りに見たわね」

 

「ええ。数年振りでしょうか。子供の頃はモーリスに連れられて皆でよくここに遊びに来ていましたね」

 

そう言って微笑むリーシャ。

 

そういやそんな話を聞いたことあるな。

オーディリアの王様、つまりはアリスの父親になるが、モーリスのおっさんとは昔から仲が良かったらしい。

アリス達が子供の頃は家族でここまでピクニックに来ていたとか。

まぁ、王族なんでバッチリ護衛はついていたみたいだけどね。

 

モーリスのおっさんが言う。

 

「おまえらにガキが出来たら、またあの時みたいにここに来たらいいさ。今度は護衛もいらんだろ」

 

「………そ、そうね」

 

アリスが顔を赤くして俺の服を摘まんで来るんだが。

アセムのプログラムがあんなこと言い残すもんだから、なんか意識しちゃって、あの調査以降こんな感じになってる。

美羽やリアス達もそうだけど、アリスは特に意識してて………。

 

正直に言おう。

最近、アリスさんの可愛さがレベルアップしてて、俺も悶えてしまっていると………!

いや、俺も子供は欲しいし、両親からも孫孫言われてるし、なにより嫁さん達が可愛いし。

こう色んな気持ちが重なると我慢もできなくなると言いますか。

境域世界から帰還した後もアリスとはたっぷりイチャイチャさせていただきましたよ。

つーか、周囲に誰もいなかったら、もうここで押し倒しちゃってるよ!

押し倒して良いかな!?

 

「………流石にそれは嫌よ」

 

流石に外は嫌だったらしいので、帰って押し倒すことにします!

 

アザゼル先生がおっさんに訊ねた。

 

「それで、ここからセントラルに行くにはどうするんだ? 歩きか、それともどこかで馬車でも捕まえるか?」

 

「いや、今回は転移魔方陣での移動だ。イッセーの眷属になるってんで、一度こっち戻ってきていただろ。あの時についでだからと、転移魔方陣を俺の家に設置してもらっていたのさ。リーシャ」

 

「皆さん、こちらに乗ってください」

 

おっさんに促され、リーシャが転移魔方陣を展開する。

それに乗って、俺達はおっさんの邸宅に直接転移することになった。

 

 

 

 

転移魔方陣で転移した俺達一行。

転移した先は木造の建物の中だった。

周囲は棚がズラリと綺麗に並べられており、書物から骨董品、武具が納められている。

 

辺りを見渡しながら、アザゼル先生は言う。

 

「ここは?」

 

「離れだよ。物置として使っていてな。じい様よりも前の代からの物があるんで、多少は価値のあるものもあるが………ちとカビ臭いのが傷だな」

 

「その割には埃一つないようだが、何か仕掛けが?」

 

「いんや。ただ、普通に掃除がされているだけさ」

 

「おまえが不在の間、誰かが管理していたのか?」

 

「まぁ、そうだな………使用人的なのはいるにはいるが………」

 

「?」

 

珍しく歯切れが悪いおっさんの言葉に、アザゼルとリアス、木場が疑問符を浮かべている。 

事情を知っている者からすれば、おっさんの考えていることは分かる。

 

俺達はおっさんに続いて、離れから出る。

離れは庭の隅にあったため、少し歩いて正面へと移動した。

 

ノア家の邸宅は大きい。

地上二階建てで、地下室もある。

庭は広く、先ほどの離れも持っている。

グレモリー家が所有する別荘や改築された今の兵藤家と比べると流石に劣るが、日本の庶民出身の俺からすれば豪邸と言っても良い大きさだ。

おっさんの家は代々、オーディリア王家に仕える騎士の家系で、おっさんも含め過去にも騎士団長を排出している名家。

そのため、邸宅も立派なものだ。

そんな大きな邸宅もおっさんからすれば「持て余すから無駄」とのことだが。

 

玄関前に着くと、おっさんはドアノックで扉を叩く。

すると、扉の向こうから反応があった。

 

「今開けまーす」

 

と、軽い口調と共に玄関の扉が開く。

扉を開けたのは褐色の肌に長い茶髪をした少女だった。

ただ、その少女は人族ではなく――――魔族。

犬のような耳をはやした獣人の女の子だった。

その少女はメイド服に身を包み、腰のあたりからモフモフの尻尾が出ている。

 

おっさんは少女を見ると手を上げて言う。

 

「よう、タリア。元気にやってるか?」

 

まるで久し振りに再会した娘に声をかけるように、優しい表情で言うおっさん。

獣人の少女、タリアがおっさんを認識した、その瞬間―――――

 

「ご………」

 

「ん?」

 

「ご主人んんんんんんんんんッッッッッ!!!!」

 

「ぐおぁっ!?」

 

ロケットの如き突進を受け、おっさんは吹き飛ばされた!

石畳をバウンドし、門に頭をぶつけて止まるおっさん。

そんなおっさんにタリアは抱きついて、もうこれでもかと顔を埋めスリスリさせていた。

尻尾なんてもう、竜巻でも起こそうかというくらいブンブン振り回している。

 

「ご主人ご主人ご主人ご主人ご主人ご主人んんんんんんんんん!!!!!」

 

「だぁぁぁぁっ!? 分かった! もう分かった! おっちゃんが悪かったから! 落ち着けっての!」

 

「ご主人ご主人ご主人ご主人ご主人ご主人ご主人んんんんんんんんん!!!!」

 

「相変わらず話聞かねぇ犬娘だなっ!? 相方はどうした!? とりあえず、相方呼んでこい!」

 

門のところでギャーギャーと騒ぐおっさんとタリア。

アザゼル先生達は呆気にとられているが………。

 

と、ここでもう一つの人影が邸宅の中から現れる。

現れたのはタリアと同じく褐色の肌に茶髪をした少年の獣人。

こちらは執事の格好をしており、長い茶髪を後ろで纏め、片眼鏡をかけている。

幼さは残るが大人っぽさも持ち合わせた、いかにもデキる執事さんって感じだ。

 

少年は落ち着いた口調で言う。

 

「お帰りなさいませ、モーリス様。そして、いらっしゃいませ、勇者様」

 

「久し振りだな、ゾル。元気してたか?」

 

俺がそう尋ねると、少年――――ゾルことゾルレオは微笑む。

 

「はい、お陰さまで。私もタリアもこの通りです」

 

「あー………うん。タリアはもう元気一杯なのは十分伝わったよ」

 

俺は門の方に視線をやる。

そこでは未だおっさんに抱きついて、猛烈なスリスリアタックを仕掛けてるタリアがいて………。

 

ゾルはこめかみを押さえながら、深く息を吐く。

 

「はぁ………。少々お待ちください。すぐに黙らせて来ますので」

 

「ほ、ほどほどにな?」

 

ゾルが門の方へと向かったすぐ後だった。

 

 

「ぎゃーーーーーんッ!」

 

 

鈍い拳骨の音と共にタリアの悲鳴が聞こえてきた。

 




新キャラ登場回でした~
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