ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ   作:ヴァルナル

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8話 鋼はロマン、男の夢

翌日、兵藤家の最上階にあるVIPルームに俺達は集まっていた。

部屋の正面にあるスクリーンには映像―――――冥界のニュースが映し出されており、部屋にいる全員がニュースキャスターの言葉に集中している。

映像のニュースキャスターがこう述べていく。

 

『―――――と、ついに発表されましたレーティングゲームの国際大会ですが、各神話勢力との話し合いはついているようでして、各地で予選大会の準備も既に始まっているとの情報も入ってきております。こうなりますと、予選を突破してくるチームの予想が―――――』

 

ニュースの字幕スーパーはこう映されている。

『各勢力に激震! レーティングゲーム国際大会、ついに発表!』、と。

 

レイヴェルがタブレットを片手に言う。

 

「ご存知かと思いますが、昨日、各勢力の首脳陣から緊急で発表会見がありました。今年、全勢力をあげてのレーティングゲームの国際大会を開催すると」

 

そう、昨日、美羽とレイヴェルが部屋に駆け込んできたのはこれが理由だった。

 

―――――レーティングゲームの国際大会。

元々は悪魔だけが行っていたものだが、それを天使、堕天使だけでなく、全ての神話勢力、全ての種族が参加出来るようにし、競い合えるようにしたんだ。

しかも、その中には神も参加できてしまうという、トンデモ大会になってしまっている。

 

そういや、前にアザゼル先生が言ってたっけな。

将来的には出来たら良いって。

今回、アザゼル先生や他の首脳陣の考えが形になったと言うことか。

 

リアスが言う。

 

「前々から話が進んでいたのは知っていたけれど、まさかこんなにも早く………しかも、このタイミングで仕掛けてくるなんてね。既に参加表明している人もいると聞くわ」

 

その言葉にレイナが頷いた。

 

もう参加を宣言する人がいるのか………。

いや、それは不思議なことではないのかもしれないな。

伝説上の存在同士が、公式にぶつかり合える場を用意してもらったんだ。

見たいと思う者はいるはずだ。

天使と悪魔、どちらが強いのか。

北欧神話の神とギリシャ神話の魔物がぶつかればどうなるのか。

想像、妄想するしかなかった組み合わせが、公式に可能になった。

その結果、昨晩に発表されたことなのにも関わらず、全世界で見たいと言う声が上がっている。

 

ゼノヴィアが冥界の新聞を読みながら言う。

 

「大会運営委員のトップがアザゼル先生にアジュカ・ベルゼブブとシヴァだ。こちらも別の意味で注目されているようだね」

 

今回の大会を運営するのは各勢力のトップ陣だ。

冥界からは四大魔王とアザゼル先生、北欧からはオーディン、ギリシャからはゼウスと主神が主催側に回っている。

その中で注目されているのはインド神話の破壊神―――――シヴァ。

今まで何があっても動かなかった破壊神が、レーティングゲームの国際大会運営に乗り出すということは、誰も予想できなかったそうだ。

 

「復興も終わっていないのに、大会を開くことに反対の声もあったんだけどね。大会で得た利益は各勢力の復興に充てるということで同意を得られたみたい。大会運営費も運営側のポケットマネーが使われてるって」

 

その言葉にモーリスのおっさんがヒュゥと口笛を吹く。

 

「そりゃあ、とんでもない額が動くことになるな。儲けも相当なものになるだろ。それを全額復興資金に回すと宣言されたんじゃ、否定もしにくいだろうよ。それに、こんな状況だからこそ、大会を開く意味があるもんさ」

 

リーシャが頷く。

 

「あの戦いでの死者数はゼロ。しかし、被害者は数えきれません。傷を負い、治療を受ける者もいれば、心に傷を負った者もいます。上手くいけば、この大会は彼らを励ますことだってできるでしょうね」

 

アセムは消滅する直前、自らに刻み込んだ術式を発動させ、あの戦いで命を落とした人達を生き返らせた。

よって、あの戦いによる死者はいない。

だが、傷を負い、今でも治療中の人は大勢いる。

 

今回のレーティングゲーム国際大会は、そんな人達を勇気づけることだってできるはずだ。

人間の世界だって、誰かが頑張る姿に、自分も頑張ろうと思える人だっているのだから。

 

すると、不意に部屋の扉が開いた。

部屋に入ってきたのはアザゼル先生だった。

 

「珍しいですね、魔法陣で来ないなんて」

 

俺が尋ねると、アザゼル先生は肩を竦めながら言った。

 

「ああ。ちょいと所用で近くに来ていたもんでな。たまには良いかと歩いてきたのさ。そしたら、おまえのお袋さんとそこの角で会ってな。そのまま、お邪魔させてもらったのさ。おまえ達は………当然、この話題だろうな」

 

先生は視線を一度、スクリーンに向けて言う。

 

「俺は大会運営側にいることは伝わっていると思う。実はな、昨日の発表会見だが、本当なら先月に行おうと思っていた」

 

「先月に? なぜ時期をずらしたんですか?」

 

木場が疑問を口にする。

その疑問に先生は俺に視線を移して、

 

「まぁ、色々と理由はある。戦後処理もまだ終わっていないし、アセムの構築した世界の調査も進んでいないしな。だが、一番の理由はイッセー、おまえだよ」

 

「俺?」

 

俺のために発表時期をずらしたってことか?

なんで、そんなことをする必要があるんだ?

レーティングゲーム国際大会は、世界規模で行われる一大イベントだ。

それを一個人のために開催時期を変更するって………。

 

頭に疑問符を浮かべる俺にアザゼル先生は言う。

 

「今回の大会開催にあたり、運営委員の中から提案があったんだよ。兵藤一誠の回復を待ってから行ってはどうか、と」

 

「すいません、その説明だけじゃ分からないんですけど」

 

「そういうところは相変わらず鈍い奴だな、この二十代の勇者様は」

 

「喧嘩売ってる!? ねぇ、喧嘩売ってます!?」

 

二十代って言わないでくれます!?

留年の危機があったもんだから、そこのところ敏感なんですけど!?

 

先生はやれやれと息を吐く。

 

「まぁ、単純な話だ。今回の大会、おまえの出場を願う連中が多い。おっぱいドラゴンのファンもそうだが、それ以上におまえと一戦交えたいと思っている野郎がいるんだよ。心当たりはあるだろ?」

 

俺との戦いを望む人………か。

確かに心当たりはいくつもある。

というか、リベンジマッチを望んできた野郎共がいるんだよね。

ヴァーリにサイラオーグさんに、匙にライザー。

あとは―――――。

 

「………」

 

じっと視線を向けてくる木場。

瞳には熱いものが宿っていて、静かに燃えているのが分かる。

 

「そういうことだ。俺も他の運営委員も、おまえが率いるチームがどんな戦いをするのか見てみたいと思っている。だが………」

 

先生はそこで言葉を止めると、真剣な声で続けた。

 

「俺としてはおまえが参加することに半分賛成で、半分反対でもある。イッセー、現状で禁手はどれくらい維持できる?」

 

「………普通の禁手で三分。他の形態―――――天武、天撃、天翼なら一分。EXAなら補助付きでも五秒もないと思います」

 

「変革者の力は使えない。英龍化も当然無理か」

 

「使えたとしても、あの力は大会向きじゃないですよ。チートも良いところです」

 

「おまえ、チートの自覚あったのか」

 

変革者の力は簡単に言えば、他者の想いを自身に宿して、力を引き出すものだ。

大会ではそれぞれのチームに応援する人がいるし、アセムとの戦いで見せた力は出せないだろうな。

あれ程の力が出せるとすれば、本当に世界の危機って時だが………そんなにポンポン世界の危機が来てたまるか!

つーか、来るな!

 

納得した様子の先生。

リアス達はこのことを知らなかったので、非常に驚いていた。

 

「力が落ちていることは知っていたけど、そこまでだったなんて………」

 

「俺も正確に時間を計ったのがつい最近だったんだよ。まさか、禁手を維持する時間がここまで短くなっているとは思わなかった」

 

俺の魂はまだ不安定な状態だ。

それ故に、魂と直接繋がっている神器も十分に扱えない状態になってしまっている。

まぁ、通常の状態で神器を使う分には問題ないから、生身で戦うのはそこまで厳しい訳じゃない。

 

俺の情報に先生は口を開く。

 

「この大会は神仏も参加できるものだ。体力、気力共に不安定な状態で参加することを俺は勧められない。そんな甘い大会ではないことは分かっているはずだ。何も第一回で終わる訳じゃない。俺達運営も今回の結果を踏まえて、二回、三回と開催していくつもりでいる。だから、おまえは回復が進んでからの参加でも良いと思う」

 

その後、先生は「無論、おまえの意思を尊重するつもりでいるがな」と付け足した。

 

今の俺で戦いを勝ち抜けるか?

神仏を相手に戦い抜けるのか?

普通に考えれば、そんな体の状態じゃないことくらいは事情を知る者には明らかだ。

先生は俺の意思を尊重すると言った。

参加するか否かは俺の気持ち次第と言うことだ。

それじゃあ、俺は………どうしたいんだろう?

いや、違うか。

自分の気持ちなんて分かりきっている。

俺が悩むとすれば―――――。

 

「エントリー締切まではまだ日がある。ゆっくり考えてみてくれ。………っと、おまえに知らせることがあったんだった」

 

先生は笑みを浮かべて、こう続けた。

 

「待たせたな、おまえの義手、ついに完成したぜ」

 

「おおっ!」

 

それは待ちに待った知らせだった!

 

 

 

 

場所を移して、俺は駒王町にあるアザゼル先生のラボを訪れていた。

室内は整理されているが、相変わらず訳のわからない機材やら道具やらが並べられている。

 

「前よりも物が増えましたね」

 

「まぁな。新しい機材も入ってきたんだが、それ以上に失敗作とかお試し品が多くてな。この間はタケコプターを作ってみたが失敗した」

 

「それいりますか!? あんた、空飛べるでしょ!?」

 

「そうなんだが、テレビのチャンネルを変えたらちょうどやっててな。なんとなく作ってみたんだよ。だが、作ってみると以外に難しくてな。何度かやってみたんだが、回転が強すぎて首がネジ切れそうになるんだよ。ありゃ、タケコプターというよりはクビモゲターだな」

 

「どんな名前!? 首は大丈夫なんですか!?」

 

「問題ない。首をやられたのはサハリエルだ。俺じゃない」

 

「あんた、完全に他人事じゃねーか! サハリエルさんは無事なのか!?」

 

「それも問題ない。アーシアに治してもらったからな」

 

「何度か昼休みにアーシアがいなくなることがあったけど、それが原因か! あんた、どんなタイミングでアーシアを呼び出してるの!?」

 

「しょうがねぇだろ、サハリエルの奴が泡吹いてたんだから」

 

えぇい、やはり、この人は悪人だ!

マッドサイエンティストだ!

だって、向こうの棚にタケコプターが一号から八号まであるんだもの!

少なくとも数人は首やられてるよ!

つーか、この人、大会の運営委員だよね!?

そんなアイテム作る暇あるの!?

 

俺のツッコミを軽くスルーして、アザゼル先生が部屋の奥から何かを持ってきた。

それは白い布にくるまれていて、

 

「それが俺の義手ですか?」

 

「そうだ。サイズは問題ないはずだが………一度、取り付けてみるか。フッフッフッ、期待していいぞ。こいつは過去最高の出来だと自負している」

 

そう言って、先生は布を巻いて、中身を露にしていく。

 

義手とはいえ、ようやく腕二本ある生活に戻れるのか。

アーシアや美羽からのあーんが減ってしまうのは少し寂しい気もするが、流石にこれ以上、手間をかけさせるわけにはいかないだろう。

特に美羽には服を着せてもらったりして、日常生活の面で世話をかけてばかりだ。

義手は今日中に取り付けることが出来るみたいだし、これで、以前のような生活を―――――。

 

「先生、これ………なんですか?」

 

布の中から姿を見せたそれを指さしながら、俺は訊ねた。

俺の問いに先生は静かな口調で、

 

「義手だが?」

 

そうか、義手なのか。

確かに形はちゃんとした腕だ。

でもね―――――

 

 

なんか、メタリックなんですけど。

 

 

鈍く光る鋼色!

細かく別れたパネルライン!

関節の部位を覗けば見えるコードらしきもの!

少し動かすだけでガシャガシャ聞こえる金属音!

 

「どこの錬金術師ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

「どうだ、カッチョ良いだろ!」

 

「なに、子供みたいな笑顔してんだ! やり直せぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

 




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