ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 リターンズ 作:ヴァルナル
「美羽ぅぅぅぅぅ………」
「よしよし、大丈夫だよ。まぁ、アザゼル先生だもんね」
アザゼル先生のラボから移動し、自分の事務所へと戻った俺は先に来ていた美羽に抱きついて………頭を撫で撫でしてもらっていた。
ソファに座る美羽に膝枕をしてもらい、これでもかという程に撫でてもらっている。
なんでそんなことしてるかって?
そんなもん決まってる。
美羽が俺の右手を見て苦笑する。
「これ、完全にあれだよね。マンガであったやつ。主人公が幼馴染みの技師につけてもらってたやつ」
そう、あの後、先生が男のロマンだか何だかで作ったメタリックな義手を装着して、そのまま戻っていた。
俺は作り直せと言ったのに、あの未婚オタク元総督は「今はこれしか用意してない」とか言ってきたんだ。
更には折角だから着けてみろだとか、おまえには鋼の良さが分からんのかとか、メタリックな義手について長々語り始める始末。
悪魔の仕事もあったから、渋々、装着したけど………。
とりあえず、ラボを出た直後にレイナに泣きついておいた。
あの未婚オタク元総督は今頃、レイナちゃんによるお説教タイムに突入していることだろう。
あれ………そういや、イグニスどこ行った?
まぁ、家でゴロゴロしてそうだけど。
~一方その頃、未婚オタク元総督は~
アザゼル「お、おい! これからやることがあるんだぞ!? こんなことしてる場合じゃ―――――」
朱乃「アザゼル先生、これは罰ですわ」
レイナ「そうですね。イッセー君の義手、かなり費用がかかってますね………。元々はこれの三割くらいで済んだはずでは?」
アザゼル「あー………いや、そのなんだ。作ってたら、止まらなくなってな」
レイナ「そうですか。この事はシェムハザ様に報告しておきますね」
朱乃「父様にも当然」
アザゼル「やめろぉぉぉぉぉ! あの二人に知られたら、俺の小遣いが………! 俺のロボがぁぁぁぁぁぁぁ!」
レイナ「それじゃあ、後のことはお任せしますね―――――イグニスさん」
イグニス「朱乃ちゃんの誘いで来ちゃった☆ さーてさてさーて、アザゼル君はどんなプレイがお好みかな☆ まずはダウンフォール・ロープ・プレイでいきましょう!」
アザゼル「ダウンフォール・ロープ・プレイってなんだぁ!? 長く生きてきたが、聞いたことねぇや、そんなプレイ! あっ、待て………あぁぁぁぁぁぁぁ!」
~一方その頃、未婚オタク元総督は 終~
「あ、今、アザゼル先生の断末魔が聞こえたような………」
「うん、ボクにも何か聞こえたような………」
兄妹揃って、アザゼル先生の悲鳴を拾ったと言うことか。
アザゼル先生、しっかりお仕置きを受けてくれ。
それから、もっとまともな義手をお願いします。
「アザゼル、おまえは良い奴だったよ………プッ」
煎餅をかじりながら冥界の新聞を読むモーリスのおっさんだった。
俺が美羽に頭を撫でられる光景にアリスが言う。
「あんた、美羽ちゃんには結構、甘えてるわよね」
確かに俺は基本的に甘やかす方だ。
しかしだ、たまにはこうして妹に甘えたい日もあるのだよ。
だって………美羽に撫でられるの、最高に気持ち良いんだもの!
膝枕までしてくれて………!
最近はこれを無くして、一日を過ごすことができません!
美羽が微笑みながら言う。
「ボクはこうして甘えられるのも良いかな。こうしてると、お兄ちゃん可愛いな~って」
なんだろうな………美羽がどんどんお姉ちゃんになっている気がする。
少し前までは頬を膨らませたり、頭を撫でてもらいたくて甘えてきたのに、最近の美羽は一層大人な感じがして………。
これも成長したということなんだろうな。
でも、根っこは変わらなくて、やっぱり美羽は美羽って感じがお兄ちゃんは嬉しいぞ!
と、そんな感じで美羽に甘えていると、ニーナがソファの前でしゃがみこんで、顔を覗いてきた。
ニーナは少しふてくされた表情で言う。
「妹に甘えたいのなら、私もいるのに」
「ニーナの場合は甘えたいと言うより、ひたすら撫で撫でしたいと言うか」
「むー」
あ、ニーナちゃんが更に不機嫌に………。
「………今度、甘えさせてください」
「うん!」
俺の言葉に機嫌を戻してくれたのか、美羽と揃って俺の頭を撫でてくるニーナ。
ニーナの手もまた良きものなり………という感想もあるのだが、それ以上に気になるのは胸元。
広く開いた胸元から見えるおっぱいがまた刺激的で………!
というか、さっきからメッチャ揺れてるんですけど!?
もしかして、ノーブラだったりする!?
えぇい、お兄さんは元気になってしまうではないか!
そこへ―――――。
「にぃにの………エッチ」
「ガフゥッ!」
サラちゃんのトドメの一撃!
サラちゃんは俺の視線がニーナのおっぱいに向けられていたことに気づいていたらしい!
ゴメンね、エッチなにぃにで!
でもね、今の言葉で逆に元気出たよ、にぃには!
モーリスのおっさんが新聞を畳んであくびをする。
「シスターズトライアングルに沈んでるところ悪いが、そろそろ本題に入ろうや。イッセー、おまえは大会に出るのか?」
ストレートな質問に皆の視線が俺に集まる。
事務所に集まったのは、今夜の仕事のためだけではなく、レーティングゲーム国際大会に参加するか否かを話し合うためだ。
俺は上半身を起こすとレイヴェルに視線を向ける。
レイヴェルが言う。
「私としてはアザゼル先生の意見に賛成ですわ。それは出場に反対側の意見として。イッセー様のカルテ見させていただきました。正直、神クラスが参戦する中、今のイッセー様ではかなり厳しい戦いになるでしょう。おっぱいドラゴンの参加は大勢の人達が望んでいます。ですが………」
「下手な試合を見せるくらいなら、今回は見送る方が良いってことか?」
俺の問いにレイヴェルは苦しげに頷く。
「はい。もちろん、イッセー様のお体も大事です。私としても今は治療に専念してほしいと思っています」
レイヴェルに続き、アリスが言う。
「私も同じ意見よ、イッセー。あの戦いの傷が残る以上、しばらくは安静にしておくのがベストよ」
二人の意見を受けて、美羽、リーシャ、サラに視線を向けてみるが、三人も同じ意見のようだ。
今回の大会は絶対に参加しないといけないものじゃない。
あくまでも個人の自由であり、ここに冥界の未来だとか、世界の運命だとかは全く関係ないものだ。
アザゼル先生が言っていたことだが、俺の状態は既に色々な人達に伝わっている。
だから、棄権したところで、仕方がないと納得してくれるだろう、と。
レイヴェルやアリスが言う通り、下手な試合を見せるくらいなら、今回は見送って、次回に備えるというのも一つの手だ。
すると、ニーナがこう聞いてきた。
「お兄さんはどうしたいの? 体の状態とか、そんなのは関係なしにして、お兄さんの気持ちはどうなのかな?」
「えっ………」
「だって、葛藤しているように見えるから。自分の気持ちと周囲の気持ちの間ですごく悩んでるよね? だから、お兄さん自身の気持ちはどうなのかな?」
俺の気持ち、か………。
それは―――――。
俺は顔を上げて、内にある気持ちを皆に告げた。
「俺は出場したいと思ってる。今の俺がどこまで戦えるか分からないけど………それでも、やれるところまでやってみたい。だけど………それで良いのかって思ってしまうんだ」
「どういうこと?」
「大会にはヴァーリもサイラオーグさんも、曹操も参加すると思う。あいつらは………俺をライバルと呼んでくれる奴らは俺を待ってると思うんだ。だからこそ、考えてしまう。―――――今の俺はあいつらが待ち望む俺なのかなって」
あいつらは常に最高の俺を求めてきた。
初めて戦った時も、レーティングゲームで戦った時も。
最高の俺と戦うことを心から楽しんでくれた。
じゃあ、今の俺は?
最高の状態とは程遠い。
そんな俺と戦うことをあいつらは望むのか?
心から楽しめるのか?
「今の俺はあいつらの求める俺なのか………そんなことを考えちまう」
天井を見上げて呟くように言う俺。
その言葉を聞いて、アリス達もしんと静まり返る。
すると―――――
「んだよ、そんな理由で悩んでたのか」
馬鹿らしいと、首を振るモーリスのおっさん。
おっさんは俺に指を突きつけて言う。
「おまえなぁ、そんな理由で悩むくらいなら、嫁さんを手玉に取る方法とかで悩めよ。その方がよっぽど有意義だぞ」
「えっ、そんな方法あるの!?」
大体が女性陣のペースに持っていかれる俺にとっては、ものすごい情報なんですけど!
そんな方法があるなら是非とも教えてほしい!
「教えるか、馬鹿。そこは経験を積んでなんぼだろうが」
「おっさんのケチ! 今、結構期待したんだぞ!?」
「おまえは永遠に嫁の尻に敷かれる運命なのだ! ファーハッハッハッハッ!」
悪人のように笑うおっさん!
やはりこのおっさんもアザゼル先生と同類か!
良いもん、自分で見つけてやるもん!
俺だって成長するんだぞ!?
『しかし、相棒はどう足掻いても尻に敷かれる運命だった』
ドライグ、おまえもボケに回るのか!?
おまえはツッコミ側だったはずだ!
つーか、悲しいこと言わないでくれます!?
あり得そうで怖いわ!
モーリスのおっさんはひとしきり笑ったところで話を戻す。
「イッセー、おまえの力ってのはおまえ個人だけのものか? 違うだろう? おまえの力は、俺達を含めた仲間も含めてのものじゃないのか?」
「………っ」
言葉を詰まらせる俺。
おっさんは俺の表情を見ながら続ける。
「万全の力が出せない? それがどうした。おまえが十の内、一の力しか出せないと言うなら、俺達が残りの九を補ってやる。互いに補い合うことができる、それが仲間だと教えたはずだ」
モーリスのおっさんは俺から視線を移し、アリス、美羽、レイヴェル、リーシャ、サラ、ニーナと他の眷属メンバーを順に見ていく。
「おまえ達もなーに消極的なこと言ってんだ。そこは『主の分まで私達が!』くらい言ってみせろよ。確かにこいつは万全には程遠いし、ガチで神クラスとやり合える力なんてないかもしれん。だが、忘れてないか? おまえ達の主が何者なのか。今まで何を成してきたのか。―――――兵藤一誠は不可能を可能にしてきた勇者様だろう?」
おっさんはそこで一拍置いて、静かに語りかける。
「おまえ達はこいつを信じて着いていくと決めたんだろう? なら、こいつの意思を組んでやれ。主のために、眷属である自分達が成せることを最大限に考えろ。おまえ達がいれば、こいつは神だろうが魔王だろうが倒してみせるさ」
それからもう一つとおっさんは付け加える。
「イッセー。おまえをライバルと呼ぶ奴は、そんなことを気にする奴と思うか? そいつらは寧ろ期待しているはずだ。絶対的に不利な状況下でおまえがどう戦うのか。大会運営側がおまえの回復を待ったのは、その辺りも含まれると思うがね」
最後におっさんはフッと笑んでこう言った。
「難しいことは気にするな。おまえはおまえの心のままにやれば良い。先も言った通り、ここにあるもの全てがおまえの全てだ。やれるだけやってみろ」
そう言うと、おっさんは煙管に火をつけて、煙を吹かした。
「おっさん、あのさ………」
輪のような煙が昇っていくのを見つめて、俺は―――――
「………ここ、禁煙なんですけど」
ジリリリリリリリリッ!
激しく鳴る鐘の音と共に発動するスプリンクラー!
天井から降ってきたスプリンクラーの水がおっさんへと降り注ぐ!
「うわっぷ!? 冷てぇ!? ここ禁煙だったのかよ!?」
「そりゃあ、うちの眷属、おっさん以外は吸わないし」
「もっと早く言えよ! 見ろ、せっかくおじさんが渋く決めてたのに、全部台無しじゃねーか!」
この後、盛大にくしゃみをするおっさんだった。
「ぶえっっっくしょぃぃぃぃぃ!」