とある人物らが死んで“ONE PIECE”の世界に転生する時、その人物らはいわゆる転生特典なるものを望んだ。

 ただし、そいつらは人間に転生する程度では満足できない“エキセントリック”なやつらだった。

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case:1 “排撃貝(リジェクトダイアル)”

 

 

【空島スカイピア──雲隠れの村】

 

 

 ある日、シャンディアの戦士であるワイパーは奪われた故郷を取り戻す戦いに備えてテントの中で“排撃貝(リジェクトダイアル)”を装備した。

 

 しかし、その“排撃貝”はエキセントリックな魂が転生した存在だった。

 

 

 

 

 case:1 “排撃貝(リジェクトダイアル)

 

 

 

 

「♪デロデロデロデロデロデロ、デンデロン♪」

 

 

 突如、頭上で鳴り響く何とも呪われそうな暗い音楽とともにワイパーの目の前にシステムウィンドウなるものが開かれる。

 

 

わいぱー は リジェクトダイアル を そうび した

リジェクトダイアル は のろわれている

わいぱー は のろわれてしまった 

 

 

 突然、現れたその物体にワイパーは思わず不機嫌な面構えで目視し口にする。何だ? これは? ──と……

 

 なんのことだか分からないが、とりあえず、この(ダイアル)を外そうと試みるワイパー。早速、(ダイアル)に手をかけて外そうとするもまるで強力な接着剤でもくっつけたかのように取れない、外せない、離れない。そして再びシステムウィンドウが現れ、さっきとは別の言葉がつらつらと記されていく。

 

 

リジェクトダイアル は のろわれているので はずせない

 

 

 これには堪らず額に青筋を立てつつ「ふざけるな!!!!」と右手の掌に引っ付いている“排撃貝”ごと柱に掌底を叩きつけるも衝撃は起こらず「ぽふっ」と軽い音が立つだけにとどまる。

 

 その反応にさらにキレるワイパー。何度も何度も柱や地面に叩きつけるも、やはし同じように「ぽふっ、ぽふっ」とリズミカルな音がなるだけで一向に外れる気配はない。

 

 やがて諦めたのか叩くのをやめるワイパー。そういや一応これも“衝撃貝(インパクトダイアル)”の一種だったなあ、と今さらながら思い出し無言になる。

 

 そして、どうしたものか、とじっと掌にある(ダイアル)を見つめるワイパーにウィンドウが開かれる。

 

 

RD「ドーモ ワイパーさん 

  いし(意志) の ある リジェクトダイアル で RD です

  こんご(今後)とも よろしく

 

 

 その後、ワイパーはありとあらゆる方法で外そうと試みるも、その掌にある(ダイアル)を外すことはできず、この日を境にワイパーは自称RDを名乗る(ダイアル)との奇妙な共同生活を送ることとなる。

 

 

 

 

 そして時間が流れて「スカイピア」に4人の神官を引き連れたエネルが現れ、当時のスカイピアの代表者であるガン・フォールを追放。エネルが新たな神となり、空の者とシャンディアとの争いが激化する。

 

 ワイパーもまた例の(ダイアル)を着けたまま戦場を駆け巡る。(ただし使わない)

 

 ある時は強制労働を強いられる場所から逃げ出そうとするスカイピアの住民を乗せた船を襲撃しようとするワイパー。

 

 

RD「それいじょう(以上) は いけない

 

 

 ……と、他の(ダイアル)を強制的に機能を静止させて、ワイパーの行動を妨害。

 

 またある時は何も知らない地上の船が、のほほーんとのんきにエネルが支配するスカイピアを目指そうと雲の海を進んでいる時も……

 

 

RD「それいじょう(以上) は いけない

 

 

 ……と、ワイパーのバズーカにつけられている(ダイアル)を制御して使用不能にさせて、ワイパーの行動を妨害。さらに親切丁寧、事細かく事情を説明して帰らせた。

 

 その一方でRDがワイパーの行動を妨害するだけかと思いきや……

 

 

RD「ゴロゴロ の てんてき(天敵) は ゴムゴム

 

 

 ……と、さりげなくアドバイスを送ったり、敵の(ダイアル)を強制停止させるなどの活躍を見せる。その代わり、事あるごとにウィンドウが開き、そのたびにワイパーのストレスが溜まっていく。無理矢理、取り外そうとするも……

 

 

リジェクトダイアル は のろわれているので はずせない

 

 

 

 

 そんなこんなで故郷奪還のために空の者と戦い続けるワイパー。やがてスカイピアに“ゴムゴムの実の能力者”である「ルフィ」が到来。やって来たその日のうちに神の島(アッパーヤード)で神官の一人を打ち倒す。その翌日に生き残りをかけたサバイバルが始まった。

 

 戦闘は熾烈化を極まり、さしものワイパーも神官やエネル相手にRDを使わざるを得ず神官の一人を撃破、続くエネル相手に使用するが、その反動で重傷を負う。しかし、それでもエネルを完全に倒すことはできず、エネルの反撃の雷を受けてワイパーは倒れた。

 

 それから、しばらくしてワイパーは意識を取り戻す。空には暗雲が漂い、落雷が降り注いでいる。周囲にはルフィの仲間たちがおり、ルフィはエネルが乗っている空飛ぶ船に乗り込むため、巨大な豆の木を上へ上へとよじ登っている。

 

 しかし、頂に登ったところで船との距離があるために近づけないでいる。そこで上にいるルフィたちは豆の木を切り倒すことを思いつき、下にいるルフィの仲間たちが木を切り倒しにかかる。……が、あと一手が足りないらしく木が倒れないでいる。

 

 ワイパーは彼らが何故そこまで執着するのか不思議に思い、一味の考古学者だという女海賊に尋ね、そこでワイパーは理由と今もなお生きているモンブラン・ノーランドの子孫の存在を知る。

 

 

RD「わいぱー ()ぬぞ?

 

 

 巨大なツルに(ダイアル)を当てるワイパーにウインドウが開かれた。それに対してワイパーは答える。

 

 

「──知ったことか……」

 

 

 ツルに大きな穴が穿たれて、巨大なツルが方舟のある方向へと倒れていった。

 

 

 しかし、(ダイアル)による反動が一切こない。

 

 

 不思議に思ったワイパーは右手の掌、そこに仕込んであったはずの自称RDを名乗る(ダイアル)を見た。

 

 

 そこには砕けた(ダイアル)の残骸だけがあった。

 

 

 ウインドウが開くことはもう二度となかった。

 

  




ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…

■ひさびさの短編よん。
 
■活動報告にあったやつよん。

■リクエストなどは活動報告よん。
 └やるか、やらないかは本人のやる気次第よん。


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