ONE PIECE -Stand By Me -   作:己道丸

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海賊王を目指すということ(後編)

 “影法師”は姿を消した。

 さながら水鳥が獲物を求めて水中を目指すかのように、鉄巨人の影へ飛び込んだのだ。

 後には何も残らない。ただ鉄巨人とモリアの対峙がそこにあるだけだった。

 

(本当に、上手くいくの……!?)

 

 この戦場に来る前に聞かされたモリアの秘策。

 彼の能力、カゲカゲの実の能力を用いた鉄巨人の突破策は、果たして成功するのか。

 静寂ともいうべき両者の対峙。

 ギーアは流れる汗がより冷たくなったような気さえした。これで通じなければ、きっとモリアは鉄巨人に叩き潰されてしまうだろう。あるいは全身から生える砲の群れによってハチの巣になるかもしれない。その恐怖が体を冷やすのだ。

 いけるのか、と再び思い、

 

「あ……」

 

 ギーアは気づいた。

 つい先ほどまで、耳をつんざくほどに響いていた氷の砕ける音が止んでいることに。

 

『――何だと?』

 

 鉄巨人からバレットの声。しかしそれは今まで聞いたことがない感情がこもった声だ。

 戸惑いである。

 

『何だこれは……!!』

 

 鉄巨人の体から飛び散る氷の粉塵、強引に引き抜く脚により砕けようとしていた氷塊の海。それらすべてが止まっている。それは鉄巨人が動きを止めたからに他ならない。

 しかし鉄巨人を操るバレットは氷結への抵抗を諦めたわけではない。それは彼の言葉からも明らかだ。

 つまり彼は今、氷結とは異なる第二の拘束を受けているのだ。

 

「……キシシ、動けねェだろう?」

『てめェ、おれに何をしやがった!!?』

「“影革命”と、そう言った筈だ!」

 

 傍目には鉄巨人が氷原に両脚を埋めた鉄巨人が、モリアに背を晒しているようにしか見えない。しかしそれは、モリアがその能力によって鉄巨人を縛り付けているからだ。

 聞かされていたモリアの秘策、相手の影を操る“影革命”が成功したのだ。

 

「影は実体に追従する、その鉄則に革命を起こしてやったのさ!」

「……!!」

「お前の影は今、おれの“影法師”が支配した! 影と実体は同じ形、しかしその影の形を“影法師”は操っている今、実体は影の形に添って動くしかない!!」

 

 モリアから聞いていた通りだ。

 “影法師”を鉄巨人の影に潜り込ませることができれば、影を介して鉄巨人の動きを支配できる。あの強力な拳も、強靭な鉄の体も、全身から生える銃身も封殺できる、と。

 ここに至るまでのすべては、モリアが“影革命”を成功させるための布石だったのだ。

 ギーアが囮になったのも。

 クザンに動きを止めさせたのも。

 これで鉄巨人を突破できるかもしれない、そのとば口に立つことができた。

 

「動きを止めたから何だ! 結局のところ、てめェらにおれを倒すことはできねェ!!」

 

 なおも鉄巨人は吼える。

 

「てめェの攻撃では、おれの覇気は突破できねェんだからな!!」

「あぁそうだ、たしかにてめェはとんでもねェ覇気使いさ」

 

 モリアはおごそかに頷き、しかし、

 

「――だがその覇気はどこまで及ぶかな?」

「何だと?」

「さァおれの能力とてめェの覇気、根競べといこうか!!」

 

 モリアが叫ぶと同時に、鉄巨人に変化が生じた。

 否、正しくは鉄巨人の影、“影法師”が潜り込んで操る影に変化が生じたのだ。

 

「これは……!」

「“影革命”は動きを支配するだけじゃねェ! 影の形そのものを操るのさ!!」

 

 鉄巨人の体が、影が、みるみるうちに膨張していく。

 大きく、より大きく、ただでさえ大きかったそれがまた一層に大きくなる。さながら空気を注がれた風船のように丸々と、もはや人型としての輪郭も危ういほどに体積を増していく。その変形を先導する影にいたっては、まるで大地を闇で飲み込もうとするかのようだ。

 膨張する鉄巨人によって氷の大地は押し開かれ、岩の割れるような轟音が生まれる。しかしそれでもまだ巨大化は止まらない。

 今や鉄巨人の大きさは最初の3倍以上、丸々としたヒトデのような形に成り果てた。

 

『こ、これは……! 負け犬、てめェ!!』

 

 しかしもたらされた変化は形態の変化だけではない。

 鉄巨人の色だ。大きくなるほどに、全身を染め上げていた黒色が薄れていくのである。

 黒色、すなわち武装色硬化。それが褪せていくことはつまり、膨張によって鉄巨人の覇気が密度を落としていることに他ならない。

 

「キシシシシシシ! おれの“影革命”で変形させられる限界に、お前の覇気が追いつけるのか……!! さぁお前はどちらに賭ける!?」

 

 攻めるなら今だ。

 

「――クザン!!」

「そういうことかよ!!」

 

 ギーアの呼びかけに即応が返された。

 クザンは袖をまくり、腕輪に備え付けられた小さい電伝虫を取り出す。

 

「――こちらクザン! バスターコール艦隊、更にデカくなったデカブツを狙えェ!!」

 

 指示には激音をもって返された。水平線に並ぶ軍艦が、今また遠雷に等しい砲声を響かせたのだ。

 数多の砲弾が飛来する。向かうは一点、膨張した鉄巨人だ。

 

(お願い、通じて……!)

 

 これが最後の策だ。

 モリアの“影革命”による拘束と耐久力の低下、そこへ軍艦の砲撃を叩き込む。それで通じなければ、もう後がない。巨大化した鉄巨人は確かに覇気の色を落とした。果たしてそれは砲撃が通用するほどまでに弱体化したのだろうか。

 願うのつもりでギーアは凝視した。

 砲弾の群れが鉄巨人へ迫る。撃ち抜けるのか、否か。

 結果は火をもって証明された。

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ――――――!!!』

 

 轟音、そして爆炎。

 大火の花が鉄巨人の左肩で吹き飛ばす。

 

「……効いた!!」

 

 砲撃を受けた左肩が、それを構成する様々な兵器群を飛び散らせる。

 左肩だけではない。砲撃を受けたあらゆる場所が、これまで砕くことができなかった鉄巨人の体を破り、それを形作っている数々の鉄器を四散させたのだ。

 その身を維持する覇気が通用しなくなった証拠だった。

 

『き、貴様ァ――――――!!!』

 

 欠けた左肩から爆煙を立ち昇らせる鉄巨人。振り返ることも許されない。

 そして、この隙を許す海兵たちではなかった。

 

「サカズキ! ボルサリーノ!」

「はっ!!」

 

 叫んだのはガープ。応えたのは2人の中将。

 初老とは思えないその声量を受け止めて、2人の体は再び光熱を発した。

 掌から放たれる閃光と両腕から溢れる溶岩。

 “自然系”による攻撃が、再び空間を埋め尽くす。

 

「“流星火山(りゅうせいかざん)”!!!」

「“八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)”」

 

 次々と撃ち出される拳型の溶岩塊と光線の雨。

 先ほどは通用しなかったそれが、しかし今度は鉄巨人を砕き散らしてく。

 

『グオオオオオ、オ、オオ、オ……!! オ……!!!』

 

 砲弾、溶岩、光線。三つの弾幕による集中砲火に鉄巨人は呑まれていく。

 炎と煙によって姿は包み隠され、何倍にも膨れ上がった姿はついに見えなくなった。

 

(やったの……!?)

 

 一瞬、その期待がギーアの胸に湧いた。

 しかし現実は、敵はそれを素直に受け入れることはないのである。

 

「やりやがったなァ――――――――――!!!」

 

 もうもうと上がる煙を突き破る一つの人影。

 堅固で猛々しい、強固な筋肉で覆われた巨躯の男。

 ダグラス・バレット本人だ。

 

「負け犬野郎! てめェは……! ここで殺してやる……!!」

 

 左肩に巨大な傷跡を残す姿は、さながら鉄巨人が受けた傷をそのまま引き継いだようだ。やはり悪魔の実の能力によって合体しているが故に、鉄巨人はそのまま彼の体でもあったのだ。

 肩から流血の尾を引き、焼け焦げた体を滾らせてバレットは拳を構える。

 

「ついに出てきやがったなワンマン野郎! ここで決着だ!!」

 

 モリアもまた拳に応えた。

 煙の中から伸びる、崩れつつある鉄巨人の影、そこから這い出した“影法師”を呼び戻す。飛んで戻る影武者はその似姿を崩し、黒い奔流となってモリアの腕に巻きついた。

 影は形を変える。モリアの腕を取り巻く、一本の巨大な短槍へと。

 バレットの拳が。

 モリアの巨槍が。

 2人の決着を求めて、その豪腕に全身の膂力を漲らせた。

 

「おれ達の勝利だ!! ダグラス・バレット!!!」

「おれの強さにひれ伏せ!! ――ゲッコー・モリア!!!」

 

 バレットの両腕が、全身が覇気によってきらめく。

 黒金を超えた青い鋼鉄のような輝きが、決着を望むバレットの姿だ。

 さながら隕石のようになって飛来する男は、殺意と握り締めた豪腕で峻烈の拳を解き放つ!

 

「“最強の一撃(デー・ステエクステ・ストライク)”!!!」

 

 覇気の連撃が降り注ぐ。

 巨大な拳がモリアの巨躯を打ち据える。

 顔。

 頬。

 肩。

 腹。

 内に秘めた臓腑や骨にいたるまで。

 人が人を打って起きるとは思えない激音の嵐、戦意の暴風が吹き荒れる。

 モリアのありとあらゆるものを打ち負かすべく、バレットの拳がモリアを射抜く。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 雄叫び。

 勝利を望んで揺るがないバレットの咆哮までもがモリアを押し潰す。

 だが、

 

「お……! おォ……!!」

 

 それでも折れない。

 ゲッコー・モリアは倒れない。

 立ちはだかるダグラス・バレットという最強の敵を貫く、最強の一撃を練り上げるために。

 

「おおおおおおォォ……!!!」

 

 形作る影の槍がその黒さを増していく。

 乾坤一擲の覇気が、本当の黒金に勝る輝きを穂先に与える。バレットの奥義を全身に受けながら、それでもモリアは先鋭の影をゆるがせない。

 すべては自らの信念をもって敵に勝つために。

 勝利を確信するバレットの笑みを、今こそ突き破れ――!

 

「“影王の一刺し(スカーハ・ゲイボルガ)”!!!」

「!!!」

 

 閃く一打が、青く輝くバレットの胸を穿つ。

 鋼と鋼が競り合う鍔迫り合いのような音。それは男たちの覇気のせめぎ合いに他ならない。

 覇気とは意思の力。

 男たちの意思の硬さ。

 鋼鉄に勝る堅固な志が、決定的な決着を求めてせめぎ合う。

 

「おおおおおォ……!!」

 

 はたしてそれはどちらの雄叫びだったのか。

 バレットか。

 モリアか。

 そして、

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォ――――――――――!!!!」

「!!!!」

 

 叫びは疾駆した。

 バレットの屈強な体躯が、モリアの槍が向かう先へと。

 

「ォ……!!」

 

 絶句するような、ほんの僅かな絶叫。

 それがダグラス・バレットという男が敗北したことの証であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人の男が倒れ、一人の男が立っている。

 それがこの対決にもたらされた決着であった。

 

「モリア……!」

 

 バレットの連撃を受けながら覇気を練り続けた男は、今まさに倒れる寸前である。両者の戦いはそれほどまでに紙一重だったのだ。計略と助力、そしてバスターコールという突破力を重ねなければ、モリアがバレットに勝つことは出来なかっただろう。

 しかしその力はモリアのものではない。そのことの意味が、降りかかろうとしていた。

 

「……!!」

 

 軍艦が砲撃を止めないのである。

 

「モリア! 逃げるわよ!!」

「クソ海軍め……本当にこの島ごと吹き飛ばすつもりか……!」

 

 バレットという核を失い、鉄巨人はすでにその形を失っている。砲弾に混じって砲台や剣といった鉄器が降り注ぎ、今や沿岸は鉄の流星群と立ち昇る火柱の板ばさみにあう崩壊の平野と化していた。

 そんな中に2人は取り残されている。

 

「いつまでもこんなところにいられるか……! とっととずらかるぞ!!」

「異議無し! この砲撃を隠れ蓑にしましょう!!」

 

 この場にある全てを滅ぼそうとする戦禍、ここを生き延びるにはそれにまぎれるしかない。

 そうしなければ、砲撃以上の脅威が2人を追ってくるからだ。

 

「行くぞ……!」

 

 爆音に次ぐ爆音、鉄と炎が吹き荒れる巷から2人は走り出そうとして、

 

「――そういう訳にはいかないじゃない」

「!!」

 

 氷の一閃が奔り抜けた。

 2人が駆ける以上の速さでつき抜けたそれは、両者の脚へと食らいついて離さない。ギーアとモリアは、その脚を氷付けにされてしまったのだ。

 

 

「悪ィなねーちゃん」

 

 火柱と粉塵の中から一人の男が現れた。

 それはバレットを倒すため、一時の共闘を得た相手。しかし本来は敵する間柄の相手。

 

「……クザン!!」

「億越えの海賊と組んでるとあっちゃ、流石に見逃せねェよ」

 

 こちらは海賊。

 あちらは海軍。

 追われる者と追う者、共通の敵を失った今、両者は元来の姿に戻るしかない。

 

「海兵……! 中将だな!?」

「そういうお前はゲッコー・モリアだな。ダグラス・バレットを破るとは、やるじゃないの」

 

 それに、とクザンは続けて、

 

「――海賊王とは良い啖呵をきるじゃない。だったら、とっ捕まって地獄に行く覚悟は出来てんだろうな?」

「……地獄?」

「あん?」

 

 海兵が口にした言葉に、つい笑みをこぼしてしまったのはギーアだ。

 頬を吊り上げた凶暴な笑みをクザンに晒して、

 

「地獄ってのはね……こないだまで居たところのことよ!!」

 

 それは暴力と残虐によって百獣海賊団が支配する国。

 モリアは仲間を滅ぼされ、ギーアは肉を剥ぐような尋問を受ける日々を過ごした。あれを地獄といわずして何というのか。すでに自分たちは苦界を体験し、それを乗り越えてきたのだ。

 それにまた送り込まれようとしている。その事実がギーアに反骨を促した。

 両の手が赤熱する。

 

「モリア、逃げなさい!!」

「!!!」

 

 高熱を発散する掌が足元の氷を蒸発させ、2人の拘束を消失させた。

 しかしギーアは走らない。

 モリアとクザンの間を分かつように腕を伸ばし、隔たりとしてその場に立ちはだかる。

 

「こいつ相手に1人も2人も同じよ! あんただけでも逃げなさい!!」

「……ふざけんじゃねェ!!」

 

 ギーアの背にモリアの怒号が叩きつけられた。

 

「またおれに……! てめェらを見捨てて逃げろってのか!!?」

「……ふふ」

 

 見捨てられない。

 誰かにそう言われる日が来るなど、考えたこともなかった。ましてや自分が誰かのために自らの身を投げ打とうとするなど。

 認めよう。

 ゲッコー・モリアは自分の長だ。

 彼がかかげる大望の礎になることを夢見てしまったのだから。

 

「ギーア!!」

「……あんたは、海賊王になるんでしょうが!!?」

 

 振り返らない。

 追っ手を見据えて揺るがず、救うべき相手に背を見せる。

 

「良いわ、のってあげる! ここまで来たら見届けてやるわ、あんたが海賊王になるところ! あんたが言う、あんたを海賊王にする戦力の一つになってやるわよ!!!」

 

 言って、ギーアは自らの小指の爪を引き剥がした。

 もうこの程度の痛みでは動じようもない。血がこびりつくその一片をモリアに押し付け、

 

「持ってきなさい! それで私のビブルカードを作るの!!」

「!!」

「絶対に! 絶対に!! 私は死なないから!! それが動き出すのを待っていなさい!! 絶対、あんたのところに戻ってくるから!!!」

 

 息を呑むような間があった。

 2人は依然として視線を交わさず、しかしそこには強い疎通が確かに交わされる。

 

「……絶対だ」

 

 やがて男は口を開いた。

 

「絶対だぞ……! 絶対生きて戻って来い!!」

「上等……!! やったろうじゃない!!」

 

 だから行け。

 走れ、未来の海賊王。

 音に乗らないその言葉を送り、そして受け取ったモリアは疾走する。

 

「逃がすか……!!」

「追わせるかっての!!」

 

 その腕を氷に変えて駆け出すクザンを、ギーアの赤熱する腕が取り押さえた。光輝を伴う熱量によって氷が沸騰し、幾筋もの水蒸気を立ち昇らせる。

 ギーアとクザン、敵対を決定的にした2人の視線が交錯する。

 

「悪いんだけど付き合ってもらうわよ!」

「ねーちゃん、まさかおれに勝つつもりか?」

「まさか。でも……あいつが逃げ切るまで、ここから先には行かせない!!」

 

 輝く腕は氷の腕を溶かし、ギーアは飛び退いてクザンと距離をとった。腕を失ったクザンであるが、しかし氷がそれを補い、当然のように本来の腕となって復活する。

 勝てるはずはない。分かりきったことだった。

 相手は中将、しかも今はバレットとやりあって疲労困憊だ。

 しかし勝てないと分かっていても、こうして足止めできる幸いに感謝した。光熱を発する力を身に秘めていなければ、こうして足止めすることも叶わなかっただろう。まるで今この時、モリアを逃がすためにこの力を得ていたのではないかと思ってしまう。

 幻想だ。

 妄想だ。

 しかしそれほどまでに、彼に夢を見たのだ。

 ギーアをはじめとする最強の兵力を率いて海賊王になる、そう豪語した彼に。

 

(大丈夫……! 私は絶対に、あいつが海賊王になるのを見届ける……!!)

 

 だから死なない。

 クザンを相手取っても。

 大将が出てきたとしても。

 彼が生き延びるまで一歩も譲らない。

 それがゲッコー・モリアに付き合うと決めた、自分の強さだから。

 

「うああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――!!!」

 

 女の叫びは、爆音の中にかき消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、海軍は生きていたダグラス・バレットを大監獄インペル・ダウンに投獄した。

 収監されるのは、その存在を知る者の少ない最重要監獄Lv.6。

 世に公表するのもはばかられるほどの凶悪な犯罪者や海賊が収容される、無数にある階層の中でもっとも深い場所にある牢獄。獄卒や囚人たちは時にそれを無間地獄とも称する。

 彼の常軌を逸した強さを考慮して、またバスターコール発動を隠匿するための処置だった。 そしてそれゆえにもう1人、Lv.6に投獄された人物がいた。

 その名はギーア。

 バレットに向けられたバスターコールに巻き込まれた彼女は、同作戦に出撃した海軍将校によって捕らえられ、それを間近に見た海賊として投獄された。

 海の底、悪意と罪悪が澱となって沈むその場所に、ギーアは封じられたのである。




これでバレット編の終了。次からはインペルダウン編が始まります。

それにしても、やはり多人数が入り乱れる戦闘を描写するのはとても大変。上手く書ける気がしないです。

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