少女の日記 No.1
『○月◎日
取り敢えず、今日の日記は今後どう情報収集するかを書いておこうと思う。
先ず始めに一番早いインターネットは基本的に使えないと考えておくこと。理由としては、私の年の子供がネットを使っているかまだ判断できないからだ。そもそもPCのパスワードを知らないし、仮にもし使えたとして、何処でそんな話を聞いてきたのか誤魔化せる自信がない。無断で使うのは論外だ。履歴を消し忘れることはないだろうけど、もし万が一復元されたりしてバレたら元も子もない。
今のところ思い付いたのは、地道に聞き込みをしてみること。この年の子供はお喋りなはずだし、色んな話を聞きたがる筈。子供が知りたがるであろうことを聞きつつ、本当に聞きたいことを混ぜるようにすれば違和感はない……はず。
あとは、友達に何か面白い話がないか聞いてみることだった。この年の頃の子供は神話や都市伝説に興味津々な筈だし、友達とも仲良くなれるし、割りと良い手段だと思う。幸いなことに、私はこれから小学生だ。入学式なんかで友達も作れるだろうし。
ただ、少し心配なのは純粋な子供の中に大人の記憶がある私が溶け込めるか、ということ。仮にも前世では20過ぎのいい大人だったし、つい年下への対応をしてしまわないだろうか。いっそのこと、クラスの一人はいる大人っぽい子のポジションを狙ってみるか?』
『○月◇日
早速周りの大人への聞き込みを開始した。今のところ目立った情報はない。大体が大人が子供に聞かせるような話ばかりだった。
今日は母さんに連れられて公園に行ってきた。いつも遊んでいる友達が子供に見えてしまって仕方がない……同い年なのに……なんなら自分も子供なのに……。それとやはりこの年頃の子供は元気だった。鬼ごっこやかくれんぼなんて久しぶりにやったから凄い楽しかった。結局三時くらいまで遊んだけど、まだ体力が有り余っている。子供ってすげえ。』
『○月■日
特に目立った情報なし。
そういえば、もしこの世界がバトル系の世界だったとするならば、逃げ足だけでも鍛えておいた方がいいんじゃないだろうか。そうすれば、例え何かの拍子に巻き込まれても生き残れる確率が高くなる気がする。』
『○月★日
目立った情報なし。
取り敢えず足の脚力は伸ばすことにした。今世の足の速さは普通ぐらいだし、まだ伸び代があると思う。
鍛える方法だが、友達と公園で遊ぶときに、鬼ごっこなんかには積極的に参加していくようにする。そうすれば、大人からすればただ遊んでいるように見えるだろうし、走るのが好きな子なんだなで済む。それに公園の山になっている部分とか色んな所を走るから、下手な筋トレより体力が付くと思う。
あとは腕の筋肉増加に向けて鉄棒とかうんていとかで遊ぶようにしておいた方がいいのか? 前世ではいつの間にかぶら下がれなくなってたし……』
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『◇月◯日
情報なし。
前世を思い出して一ヶ月が過ぎた。子供のフリをするのにも大分慣れてきたと思う。それにしても情報が集まらない。そろそろ行動範囲を広げてみるべきだろうか。』
『◇月☆日
ちょっとそれらしいものを聞いたので昼だけど記録。近所で仲の良くなったお婆ちゃんにお茶に呼ばれて行ってきたら、こんな話を聞いた。
昔、地上には二つの種族が暮らしていた、という話を。
お婆ちゃんもお母さんから随分昔に聞いた話らしいので確かではないけど……。そんな話は何処にだってある、と切り捨てるのは良くないので記録しておく。』
『◇月◎日
情報無し。
今年から小学生だ。情報収集の為にも友達作りは頑張らなくては。まず最低でもクラスの子で10人くらいは声をかけてみよう。そこから少しづつ友好の輪を広げていけば、中心とは言えずともそこそこの所には立てるはず。』
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『◎月○日
今日から晴れて小学生だ。それどころか滅茶苦茶懐かしかった。何回こんなことしたっけなと思ったことか。入学式が無かったのは驚いたけど。
懸念してた友達作りだけど、拍子抜けしてしまうほど上手くいった。隣近所の子に明るく話しかけまくってみたら直ぐに仲良くなれた。思ってたより単純なものだったみたいだ。この調子なら直ぐにクラスにも馴染めるだろう。今世は外国だけど、前世の日本の小学校とは何が違うのだろう。これからが楽しみだ。』
『◎月★日
取り敢えずクラスメート全員とは自己紹介しあった。先生も良い人そうだし、当たりを引いたかもしれない。』
『◎月☆日
仲良くなってすぐに急に情報収集し出すのも不自然なので、仕方ないけど学校では一年様子を見ようと思う。自己紹介したときに、「皆の色んなお話が聞きたいから一杯お喋りしようね(意訳)」みたいなこと言っておいたから多少はいいだろうけど、突っ込んだ事を聞いて嫌われるのは避けたいし。』
『◎月▲日
今日から授業が始まったけど、びっくりする程授業が面白い。まだ読み書きとかの段階だけど、日本の教育とは違うからかもしれない。なんか新鮮。もしくは夢小説でよく見かけた体に精神が引っ張られてるということなんだろうか。授業に飽きることはないかも。
これなら学力の差とかの壁は殆んどないかもしれない。一度日本で教育を受けたとはいえ、国語や社会は内容が丸っきり違うし。理科とかは頑張ってリアクションしなきゃなんないかもしんないけど……。問題は算数だけど、これは寝る前に教科書読んだことにしちゃえばいいかな? となると、寝る前に教科書を読む癖をつけなければいけないな。』
『◎月◇日
友達が出来たし授業も面白くて学校が楽しいという事を両親に話すと、嬉しそうに笑ってくれた。二人の笑顔を見ると騙してるという罪悪感がやばい。父さんに頭を撫でられた。力が強くてちょっと首が痛くなった。』
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『★月◇日
一年が過ぎた。やっと二年生になった。友達との仲も整ったし、そろそろ情報収集を再開しようと思う。』
『★月○日
読み書きを習って本も大分読めるようになってきたので、母さんに近場の図書館に行きたいと打診した。図書館の神話やお伽噺のコーナーなら、何か良い情報の乗った本があるかもしれないと考えたからだ。去年までは流石に読み書きも出来ない年の筈なのに何故読めるのかと不審がられないか不安だったので、今年まで先延ばしにしてきた。この年ならちょっとした本なら読めるはず。』
『★月◎日
今日は図書館に行ってきた。どうやら一度に借りれる冊数は10冊までらしい。少し残念。取り敢えず最初は神話方面から調べていこうと思う。』
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『★月★日
返却期限だった今日まで隅々読んでみたけど、目ぼしい情報は手に入らなかった。次に期待しよう。』
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『■月◎日
今日で神話関連の本を漁り始めて三ヶ月になる。一向にそれらしい情報が見当たらない。古文書みたいな本にも手を出してみたいけど、この年の子供がそんなものを読むとは思えない。この世界は本当にただの自分がいた世界とは異なる平行世界なのかもしれない。望みが見えてきた。
でも油断して死ぬのは怖い。次からは方針を変えて、都市伝説方面から攻めてみることにする。』
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『■月○日
この世界が何の世界か判明した。ただの平行世界なんかじゃなかった。
今まで数人の子供が迷い込んで、そのまま帰らぬ人となった山がある、という都市伝説を見つけた。山の名前は、Ebot山。現実にはなく、とある有名なゲームで出てくる山の名前があった。
そのゲームの名前は、『Undertale』。世界中の人に愛され、派生ゲームも幾つかある、インディーズゲーム。
つまりは、この世界は、Undertaleの世界だ。』