A lot of world~全て遠き理想郷~   作:紅 幽鹿

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第10話~花と調和~

 

 温泉での一件から数時間が経ち、私はフェイトの家に来ていた。

「迷惑をかけるかもしれないが、これからよろしく頼む」

「いえいえ、こちらこそ」

「……あんた達、本当に礼儀正しいね」

 私はこれからお世話になるフェイトに対して頭を下げると、フェイトも頭を下げ、そんな私達に呆れたような声で言うアルフ。

 私がフェイトの家に来たのは至極簡単、ジュエルシード探しをすぐに行えるようにするためだ……。

「それよりも幸夜、風呂に入ってきたらどうだい?」

「む、何故だ?」

「アンタ今の姿見てみなよ」

 私はアルフに言われたように自分の姿を見る……そこまで酷くはないが土汚れがあるな……いつのまに?

「……確かに、このままでは部屋を汚してしまうな……お言葉に甘えさせて貰うとしよう」

「そうしな、そうしな」

「お風呂はそこにあるから」

 私はフェイトに風呂場まで案内され、脱衣所の扉を閉めた……。

 

~sideout~

 

~sideフェイト~

 

「良し、今のうちだよフェイト」

「で、でも~」

「何を此処で戸惑ってるんだい?幸夜の素顔を見たくないのかい?」

「それは……見たいけど」

 私は今、あることで悩んでいた……。

 それは、幸夜の素顔についてだ。

 彼は、ジュエルシード探しを手伝ってくれていて、とても頼りになる仲間……けど、いつも包帯と狐のお面を付けていて素顔が見れない……。だから、素顔が見えるようにアルフが幸夜にお風呂に入るように仕向けてくれたけど……。

「でも……やっぱり幸夜の迷惑になっちゃうだろうし……だけど、素顔は見たいし……」

 私が頭を抱えて悩んでいると、アルフが私の肩を掴んで……。

「あたしはここでフェイトを応援することしかできない。だけどフェイトには、フェイトにしかできない、フェイトならできることがあるはずだよ。誰もフェイトに強要はしない、自分で考え、自分で決めるんだよ。自分が今、何をすべきなのか。 まぁ、後悔の無いようにね」

「アルフ……」

「それに、幸夜の奴、替えの服を持っていくのを忘れてるから、フェイトが届けてあげなよ」

「う、うん」

 私はアルフから幸夜の替えの服を貰い、風呂場の方に向かう。

 わ、私はただ替えの服が無くて困っている幸夜に服を渡すだけ。うん、大丈夫。大丈夫……。

 私は自分に暗示?を掛けて、脱衣所の扉を開ける。

「幸夜、替えの服が置いてあったから持ってきた……よ」

「ああ、ありがとう」

 私は目の前の光景に言葉を失う……。

 凛とした女の子の様な顔に雪のような白い肌、首回りに切り傷、胸の辺りには撃たれた後の様な傷があり、色素が薄い金髪、左右とも色が違う眼……。

 ……あれ?幸夜って男の子だよね?

 私は目の前にいる子の性別が気になり、下の方を見てしまった……見てしまったのだ。

 私の見た場所には……。

「ブハッ?!」

「フェイト?!」

 私は生温い何かが鼻から出て行くのを感じながら、私の視界はブラックアウトした……。

 

~sideout~

 

~side幸夜~

 

「「ごめんなさい!」」

「いや別に謝らなくても良いんだが……」

 私は目の前で土下座をして謝ってくるフェイトとアルフに困る……。

「ハァ~……とりあえず土下座を止めたらどうだ?そして今回のあれは不慮の事故だ……気にするな」

「うぅ~本当にごめんね」

 フェイトがもう一度、謝ってくる……良い子だなフェイトは……。

「それにしても目の前の子が幸夜ね~」

「何か不満があるのか?」

「別に~いつも仮面で顔を隠してるからどんだけヤバい顔かと思ったらだけさ……」

 ……この犬、少しO☆HA☆NA☆SHIしてやろうか?

「……なんか一瞬だけ寒気がしたんだけど」

「……気にするな……それで今日のジュエルシードの探索だが私に考えがある」

「「考え?」」

「ああ……フェイト、持っているジュエルシードを貸してくれ」

「うん、良いよ」

 私はフェイトからジュエルシードを貸してもらい、私が持ってきたトランクの中から海鳴市の地図を取り出し、その地図を床に広げる。

「一体何するのさ?」

「見ていれば分かる……『創造開始(クリエイト・オン)』」

 私は小さいナイフを創り、ナイフで指を斬り出血させる。

「こ、幸夜?!アルフ、救急箱どこ?!」

「確かあっちだよ!!」

「オン・ビロバクシャ・ノウギャ・ヂハタエイ・ソワカ」

 フェイトとアルフが慌てているがそれを無視して、地図に梵字の『サ』を書き、書いた梵字の上にジュエルシードを乗せ、呪文を唱えると梵字が発光し、置いてあったジュエルシードの内、二つが地図上の別々の個所に移動し、止まる。

「こ、幸夜、ば、絆創膏貼ろう!」

「フェイト落ち着け……ほら」

「あれ?傷がもう直ってる?」

 私は慌てているフェイトを落ち着かせる為に、先程斬った指を見せ、既に傷が治っている指にフェイトは驚く。

「それよりもフェイト、これを見てみろ」

「これは?」

「これは、私が『千里眼』と言う眼を持っている神様……『広目天(こうもくてん)』の力を使ってジュエルシードを探した結果だ」

「アンタって本当に規格外だね……」

 アルフの呆れた表情を私は無視をし、フェイト達に説明する。

「今回見つかったのは二つ……私達は此処から一番近いジュエルシードをいただこう」

「二つとも取らないの?」

「ああ……無茶して両方取りに行って失敗するよりも、片方を取りに行って成功した方が良いだろう?」

「うん、そうだね」

「なら、この案で決定だな……それじゃあ、移動を楽にする為にスキマを開くぞ」

 私はスキマを開き、その中にフェイトとアルフが入って行く。

 ……それとフェイト達には言っていないが、一番近いジュエルシードを選んだ理由……。

 別の方のジュエルシードでなのは達の魔力と霊力……そして……

 なのは達の近くに姉さんの魔力を感じたからだ……。

 

~sideout~

 

~side霊夢~

 

 私達はジュエルシードの魔力を感じて、ジュエルシードを探しに来たんだけど……

「貴方達、一体何をしてるんですか?」 

 私達の目の前には幸夜の姉の八雲美鈴さんが立っていて、私達に説教をしている……。

 ……どうしてこうなった?

 確か私達はジュエルシードに取り込まれて巨大化した犬と戦っていて、戦っている最中に犬の戦闘スキルが上がって、なのはがやられそうになった所に、空から美鈴さんが降ってきたんだっけ……。

「なのはさん、戦闘中はもっと集中しなくてはいけませんよ。それと……」

「美鈴さん!後ろ、後ろ!」

 と、私が思いだしている内に説教は続いており、ジュエルシードに取り込まれた犬が後ろから美鈴さんを襲おうと腕を振り上げ、なのはが慌てる……けど

「ハッ!」

 背後から襲おうとした犬を美鈴さんはアッパーで上空に吹き飛ばす……。

「ふえっ?!」

 なのはは目の前の光景のせいで、変な声を出し、目を丸くする。

上空に吹き飛ばされた犬を見ながら美鈴さんは髪に付けているリボンを解くと、リボンが白と黒が入り混じった槍に変わる……え、まさか?!

「世界調和槍(ワールド・ハーモニクス・ランス)!」

 美鈴さんは『宝具』……『世界調和槍(ワールド・ハーモニクス・ランス)』を犬に向かって投擲する。

 槍に貫かれた犬は元のサイズに戻り、美鈴さんは落ちてくるジュエルシードと犬をキャッチして、槍は美鈴さんの隣に突き刺さる……。

「ちゃんと、説明して下さいね?」

「「「「「はい……」」」」」

 私達は美鈴さんの笑顔と先程のアッパーを見て、頷くしかなかった……。

 

~sideout~

 

~side幸夜~

 

 私達はジュエルシードがある所に来たのだが……。

「あら、幸夜、久しぶりね?」

「久しぶりですね、幽香さん」

 私の目の前には、癖のある緑のショートボブに、真紅の瞳。 白のカッターシャツとチェックが入った赤のロングスカートを着用し、その上から同じくチェック柄のベストを羽織って、手には日傘を持っている女性……『風見(かざみ)幽香(ゆうか)』さんがジュエルシードを手に持ち立っていた。

 最悪だ……フェイト達も幽香さんの持つジュエルシードに気づくが、声を出さない……なにせ、幽香さんの持つ日傘には、まだ、真新しい血液が付いているのだから……。

「幽香さん……その宝石は?」

「これ?私が此処で育てている花を無茶苦茶にした奴の『身体の中』から出てきたわ」

「そうですか……幽香さん、その宝石頂けませんか?」

「そうね~……私と闘ってくれたら良いわよ!」

「チッ……普通、急に攻撃してきますか?」

 いつの間にか接近してきた幽香さんの攻撃を防ぎ、バックステップで距離を取る。

「フェイト!すぐに結界を張れ!!」

「は、はい!!」

 今の光景に驚いて固まっていたであろうフェイトに結界を張らせると同時に、私は幽香さんに向かって駆け出す。

「疾ッ!」

 私は幽香さんに向かって回し蹴りを放つが、幽香さんはそれを少しの移動だけで避け、日傘をカウンター気味に振り下ろしてくるが、私は回し蹴りの勢いを殺さず、そのまま片腕で弧を描くように幽香さんに向かって回し……。

「一喰い(イーティングワン)!」

「ッ!」

 幽香さんは日傘での攻撃を無理やり止め、地面に転がるような形で避け、避けられた攻撃は背後にあった木に直撃し……ごっそりと喰われたかのように抉り取られ、木が倒れる。

「「ッ?!」」

 フェイトとアルフが息を呑んだことが分かる。それは、当然かもしれない……私は『平手打ち』で木の幹を抉ったのだから……。

「その技は、いつ見ても凶悪ね」

「そういう技ですからね」

 幽香さんは笑顔だが、額からは汗が出ている。

 だが、闘う事は止めないようだ。瞳がギラギラと獰猛に光っている。

「創造開始(クリエイト・オン)」

 私は能力を使い、褐色の西洋剣を『創造』し、幽香さんの日傘と打ち合う。

斬り、防ぎ、弾き、突き、流し、斬る。そんな攻防を続けて数十合、余力はあるが私と幽香さんは互いに距離を取る。

 次の一手で、勝負を決める。と、互いに考えた故の行動だ。

 私は西洋剣を居合いのように構え、幽香さんは日傘の先端をこちらに向ける。

「慈悲なる氷の刃(アルマス)!!」

「マスタースパーク!!」

 『宝具・慈悲なる氷の刃(アルマス)』の『真名解放』を行い、幽香さんに向かって振うと、氷の斬撃が放たれ、幽香さんの日傘の先端からは極太レーザーが発射され、斬撃とぶつかり合う……。

「「ハァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」」

 お互いの技に力を籠め、斬撃とレーザーは膨れ上がって行き……。

 ドガァァン!!と、爆発を起こし、爆風と土煙が起こる……。

 そして……。

「私の勝ちですね……」

「そうね……」

 土煙が晴れると、ボロボロになり、体の数か所が氷っている幽香さんがいた……。

「はい、約束の宝石よ」

「ありがとうございます」

 幽香さんにジュエルシードを手渡され、私はお礼を言い、この場から少し放心状態のフェイトとアルフを連れ、去ろうとすると……。

「私、このままじゃあ仕事に行けないんだけど?」

 幽香さんは自分の氷った部分をニコニコと見せつける……分かってますよ。

「創造開始(クリエイト・オン)、創造終了(クリエイト・オフ)」

 『創造』の力でボロボロになった服を直し、その工程を終了させ、氷を無くすために新たな工程を行う。

「終焉開始(エンド・オン)、終焉終了(エンド・オフ)」

 『終焉』の力で、氷の存在を『終焉』させ、幽香さんの腕を元の状態に戻す。

「フフ、ありがとう。あと、ソウルに近々会いに行くって言っておいてね」

 幽香さんは優しく微笑みながら、この場から立ち去った。

 

~sideout~

 

~side霊夢~

 

 美鈴さんに助けて貰った後、私達はジュエルシードともう一つのグループ……フェイト達のことを説明した……。

 したのだけど……。

「フフフ……そうですか……そのフェイトと言う雌猫(おんな)が幸夜を誑かしたのですか……クスクスクス」

 黒い笑みを浮かべる美鈴さんがいた……隣でなのはが「美鈴さんのイメージが崩れて行くの」って言ってたけど……。

 美鈴さん、幸夜と自分の『彼氏』の事になると暴走するのよね……いつもは清楚で女性の中の女性って言う性格だけど、二人が絡むと……ねえ?

「み、美鈴さん?」

「何ですか、なのはさん?」

「あの~このことは内緒にしていてくれませんか?」

「……良いでしょう。ただし、私もジュエルシード探しを手伝わせて貰いますからね?」

 こうして、私達は美鈴さんと言う強力な助っ人とジュエルシードを手に入れた。

 




今回の変更点

・美鈴ちゃん、アッパーで犬を吹き飛ばす。
・幸夜君、一喰いを使う。
・幸夜君、宝具を使用する。

の三本でした。また読んでくださいね。では!
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