A lot of world~全て遠き理想郷~   作:紅 幽鹿

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第17話~空き地~

 

 高町家の一件から翌日、私と妹紅とリンディさんはのび太の家族に説明をする為に、のび太の家に向かっていた。

 他のメンバーはと言うとアースラで待機だ。それで、何故このメンバーなのかと言うと、私は聖遺物についての説明でき、リンディさんは妹紅達の上司で、妹紅は消去法で決まった。

 どのような消去法かというと、まずは管理局に属しているかどうかだ。この時点で、クロノ、鈴仙、輝夜、妹紅、エイミィしか残らず、さらに消去法で、クロノは戦闘員、エイミィはオペレーターとして削除し、鈴仙、輝夜、妹紅が残った。そこで、三人について考えると……鈴仙の場合、私が鈴仙をイジる。イジって、イジって、イジりまくって、結果に支障をきたすかもしれん……うん?なら鈴仙をイジるのを止めればいいって?それは無理だ、私は鈴仙をイジることを強いられているんだ!……まあ、そんな理由はくだらないか。そして、輝夜だが……まあ、アイツはあれだ。うん。

 それで、最終的に妹紅となったのだが……。

「妹紅?」

「何だ、幸夜?」

「ちょっと、離れてくれないか。少し歩きづらい……」

「い・や・だ」

 私は妹紅と腕を絡めながら歩いていた……。そして、妹紅に離れてくれるように頼むが、拒否されると言う現象……私が何をした?そして、リンディさん微笑むな、何とかしろ。

「……昨日、私が帰った後に母さん達に何か言われたのか。リンディさん、妹紅?」

「言われたけど、これは私がやりたくてやってるんだ」

「フフフ、内緒よ」

「………」

 母さん達、アトデオボエテクダサイマセヨ……。

「それにしても、幸夜君の髪は不思議な色ね」

 まるで、話を逸らすかのようにリンディさんが言ってきた……。

「ああ、私は劣性遺伝子持ちだからな」

「劣性遺伝子?」

「ああ、だから私の髪がこんな色なのは、染色体の数がおかしいからだし、虹彩異色(オッドアイ)なのも、生物として必要なある程度の感情や欲求が『欠落』してるのも、その他諸々も、それが原因だ」

「その、ごめんなさい……」

 私の説明を聞いたリンディさんが申し訳なさそうに謝ってきたが……。

「別に良いですよ。それに私の場合は、五感などが鋭くなってるから、まあ、プラマイ0ですから……。それに、そう言うのは私だけじゃなく、私の家族の殆どが言えますからね」

「幸夜、それってどういう事だ?」

「おじいちゃんの場合、身長が伸びない、120cm以下のまま。父さんの場合、出血した時血が固まらない、姉さんの場合、自分の体温を感じることが出来ない。その代わり、それぞれが突出した才能を持っているんだよ、妹紅」

「あ、だから美鈴さんは真冬なのにすっぽんぽんでいたり、凍った川を全裸でゆったりとした動きで泳いでも平気そうな顔をしてたんだな」

 と、妹紅は納得したかのように言った。……よく考えると姉さん、前世はどんだけ無茶な事をしていたんだ?そう言えば、全裸で冷えた姉さんの体を刻義兄さんはよく温めてたな……方法はこの場では言えないようなことでだが……。と、考えながら横を見てみると、リンディさんが考え事をしているのか、難しそうな表情を浮かべていた。

「……どうしたんですか、リンディさん?」

「え、あ、な、何でもないわ。それよりも、幸夜君は前世では奥さんがいたのよね?」

「ええ、いましたよ」

 すると、私の言葉にリンディさんは急にテンションが上がったのか……。

「前世の奥さんは、霊夢さん、魔理沙さん、咲夜さん、妖夢さん、鈴仙さん、輝夜さん、妹紅さんかしら?!」

 ……テンション上がり過ぎだろ。

「……霊夢さんですよ」

「あら意外、そうやって手を絡めてるから妹紅さんかと思ってたわ」

 なら、言うな。あんたのせいで、私の腕が現在進行形でギリギリと謎の音を鳴らしてるんだぞ……。

「ふ~ん、なら幸夜君は、霊夢さんと付き合ってるのかしら?」

「いいえ、付き合ってませんよ」

 それには妹紅も驚いたらしい、腕から鳴っていた音が消えた……。

「あら、付き合わないの?」

「付き合うもなにも、彼女が今でも私を好きでいてくれているとは限らない。それに、今は今、昔は昔ですよ。もし、彼女が他の男を好きになったのなら、私は応援しますよ」

「なら、彼女が幸夜君のことを好きでいたら、幸夜君は霊夢さんと付き合うのかしら?」

「さあ?案外、私の心も変わってるかもしれませんよ」

「……なら、私にもまだチャンスがあるのかな?」

 私とリンディさんとの会話を聞いていた妹紅は、ボソッと誰にも聞こえないであろう声量で言うが、彼女は忘れていないだろうか?私は常人より五感が鋭い事に……。

「ああ、あるかもしれんな」

「なっ?!き、聞こえてたのか?///////」

 妹紅は顔をみるみる赤くしていき、リンディさんはニヤニヤしている……おい、誰かこのニヤニヤしてる奴を止めてくれ

「それにだ、今言うのは可笑しいかもしれんが、私が霊夢さんと出会ってなかったら、私は妹紅に惚れていたと思うぞ」

「ふぇ?!///////」

「よ、良くそんな事を真顔で言えるわね。恥ずかしくないの?」

 妹紅は赤かった顔をさらに赤くし、リンディさんは呆れた表情で此方を見てくる……まあ、偶には恥ずかしくなるが、私は『欠落製品』だ。ある程度の恥ずかしさなど、最初から『欠落』してるのさ……。

「まあ、その話は置いておいて……リンディさん、のび太の家が分かりますか?」

「ええ、このまま真っ直ぐ行けば、のび太君の家に着くはずよ」

「そうですか……うん?」

 私はリンディさんと会話をしながら、ふと、通り過ぎようとした空き地の方を見ると、私達と同年齢位の人間が複数人で何かを取り囲んでおり、その取り囲まれている物を良く見ると……。

「のび太?」

 服がボロボロになったのび太がいた……。

 

~sideout~

 

~sideのび太~

 

「のび太、何で今日の野球に参加しなかったんだ!!」

「そうだ、そうだ!!」

 僕は友達である『ジャイアン』と『スネ夫』に理不尽な怒りをぶつけられ、近くにいる『しずかちゃん』と『出来杉』は助けてくれない……。

 普段なら試合には行っていたかもしれない……。だけど、昨日から僕の身体能力は『異常』になった。

 いつもの僕なら、この身体能力に喜んでいたと思う……。だけど、この身体能力は異常過ぎたんだ……。どんなに攻撃されても痛みを感じない……。その証拠に、さっきからジャイアンに殴られても痛くも痒くもない……。だから、僕は『喜び』よりも『恐怖』をおぼえた。

「の~び~太~、さっきから無視とはいい度胸じゃねえか!!」

「のび太のくせに生意気だぞ!!」

 まあ、だけど、この痛みを感じないのは良いのかもしれない。だって、今まさに振り下ろされようとしているジャイアンが持つ木製バットで、痛みを感じる事が無いのだから……。

 けど、ジャイアンの木製バットが僕に届くことはなかった。

 何故なら……

「貴様らは、一体何をしている?」

 昨日会ったばかりだけど、ぼくと友達になってくれた狐面を被った幸夜が、ジャイアンの持つ木製バットを止めていたからだ……。

 

~sideout~

 

~side幸夜~

 

「貴様らは、一体何をしている?」

 本当にこいつらは何をしてるんだ、人に木製バットを振り下ろそうとするとは……まあ、聖遺物の使徒であるのび太には痛くも痒くもないと思うが……正気を疑う。

「な、何だよお前は!?それよりもバットを放しやがれ!!」

 この中で一番体格が良い少年が、木製バットを放せと叫び始める。この少年、所謂ガキ大将と言う奴か?

「私か?私はのび太の友人だ。そして、バットは放さん」

 私は逆にバットを強く握りしめ……。

「ば、バットが折れた?!」

「折れたぐらいで驚くな……フンッ!」

「ブゲッ?!」

「じゃ、ジャイアン?!」

 持っていたバットを圧し折った後、グーで1割2割ぐらいの力で少年を殴り、殴られた少年は変な声を上げ、地面に膝をつく。

 ちなみに、平手打ちではなくグーで殴った理由は、平手で殴った場合、少年の体の肉が抉れていたかもしれない……。いや、確実に抉れていたな……。

「さて、文句がありそうだな。そこの少年」

 私がガキ大将君を殴った事が気に入らなかったのか、頭が良さそうな少年が此方を睨んでいた……。

「文句もなにも、どうして武(たけし)君を殴ったんだい?!キミに武君を殴る理由なんてないだろう!!」

 少年は激昂した。今現在、自分の抱いている怒りを全て吐き出すかのように言った……。ふむ、理由か……。理由ならあるんだがな……。

「のび太が私の友人だからだ」

「それだけかい?」

「それだけかい?とは、随分な言い方だな?むしろ、それ以外の理由がいるか?」

「キミの言っている事は理不尽だ。キミは理不尽な理由で武君を殴ったんだ!!」

「ふん、くだらんな。理不尽な理由だと?それなら、のび太は何故、服がボロボロなんだ?何故、木製バットで殴られかけていたんだ?何故、貴様らは助けようとはしなかったんだ?それこそ、私も納得できるような理由だろうな?」

「そ、それは……」

 先程まで激昂していた少年が、黙り込む……。

「ふん、その様子から見るに、貴様の言葉で言うなら、のび太は理不尽な理由で暴力を受けていたらしいな」

 黙り込む少年を無視して、私は茫然としていたのび太に近づき立ち上がらせる。

「のび太、キミの家まで道案内してくれないか?」

「う、うん」

 私達は空き地から離れ、のび太の案内で家の方に向かって行った。

 

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