A lot of world~全て遠き理想郷~ 作:紅 幽鹿
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では、第21話どうぞ!
鈴仙が危うくこの世からさよならしかけた日の翌日、私たちはなのはとフェイトの対決の観戦をしていた。
え、いろいろ早すぎないかって?……細かいことは気にするな。
まあ、それはさておき、二人の勝負はなのはの勝利という形で幕を下ろしたのだが、最後の決め方に問題があった……。
「お、おい、どうしてみんなこっちを見るんだぜ?」
「いや、絶対あの『鬼畜』魔法教えたの魔理沙だろ?」
「いやいやいや、確かに私はマスタースパーク的なものを教えたが、あんな『鬼畜』技は教えてないぜ?!」
「バインドしてあんな魔法を放つなんて『鬼畜』ね」
「えぇ、『鬼畜』ですね」
「しかもあの魔法、周囲にあった魔力まで使ってるわ」
「『鬼畜』の極みですね」
「あれ絶対『全力全開』じゃなくって、『全力全壊』じゃねえか?」
「もう、なのはは『三代目USC』で良いんじゃない?」
と、私たちで好き放題、言っていると……。
「鬼畜じゃないもん!!」
なのはの叫びが辺りに響き渡った。
「全力全壊じゃないもん、全力全開なの!それに、三代目USBって何なの?!」
「「「「「「「アルティメット・サディスティック・クリーチャーの略」」」」」」」
「そんなのいやなの!!」
ちなみに初代USCは幽香さん、二代目は……誰だろうか?
【二代目は幸夜の事ですよ】
なっ、失礼な!私はあそこまでの加虐者ではないぞ?!
【いやいや、拷問器具を好んで使う時点で……って、幸夜?!】
「チッ、しまった!」
「フェイトちゃん?!」
「クッ、クゥ……」
メアリーとの会話で意識を逸らしてしまっていた私は、気づいた時には雷の魔法がフェイトを含めた周囲へと放たれており、威力が強いのかフェイトは顔を歪め気を失い、バルディッシュも砕けていた……。
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気絶したフェイトを連れ、私たちはアースラへと戻ってきていた。
フェイトはすぐに意識を取り戻し、ある程度の治療をしてからその手に手錠を掛け、私たちと一緒にリンディさん達が居る場所に来ていた。
「お疲れ様。それからフェイトさん?初めまして」
待機状態のバルディッシュを見つめ暗い表情をしたまま、フェイトは顔を俯かせ、そんなフェイトをアルフは心配そうに見つめている……。
「フェイトちゃん、良かったら私の部屋……」
リンディさんに念話で言われたのだろう。なのはが、フェイトを自分の部屋に連れて行こうとするが、モニターに局員とフェイトの母親プレシア・テスタロッサ……そして、フェイト・テスタロッサと言う少女の存在を根元から覆すような『もの』が映し出されていた。
「えっ……」
「あっ……」
それをみたなのははとフェイトは驚きの声をあげる。画面に映し出されたそれは、液に満たされたカプセルの中にフェイトと瓜二つの少女が入ってい光景だった……。
『私のアリシアに、近寄らないで!』
「いけない、局員たちの送還を!」
「了解!」
次々とプレシアに倒されていく局員たちを見て、リンディさんはエイミィに指示をだし、エイミィは送還の準備を始める。
そんな中、モニターに映るプレシアはアリシアと呼ばれた少女が入っているカプセルの方にゆっくりと歩み寄り、少女を愛おしそうに見つめている……。
『もう駄目ね、時間が無いわ。ジュエルシードでアルハザードに辿り着けるかわからないけど……でも、もういいわ……』
プレシアは淡々と、まるで誰かに皆に聞かせるようにプレシアは話を続ける。
『この娘を失ってからの暗鬱な時間も、そして、この子の身代わりの人形を娘扱いするのも……』「ッ!?」
プレシアの言葉に、フェイトはビクッと体を震わせ、なのははそんなフェイトを心配そうに見つめている……。
『聞いていて?あなたのことよフェイト。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ……役立たずでちっとも使えない、私のお人形』
自身の存在を否定されるような言葉を言われた為か、フェイトは辛そうに顔を俯かせている。
ふむ……まあ、先ほどからあのようなことを言われ続けていれば、辛いだろうが……くだらないな。
「おい、露出癖BBA、形から入ってるようなBBA、歳を考えろ歳を」
『ハァ?!』
「こ、幸夜君?!」
「プッ!」
私の言葉にプレシアは過剰に反応し、なのはがオロオロとし始め、霊夢さんが噴出す……この時、プレシアに青筋が浮かんでいることについては気にしなくていいだろう……。
「BBA、何時までそんな三文芝居を見せるつもりだ……正直言って、くだらなさ過ぎて欠伸が出そうになったよ」
『何を言っているの?これは私の本心よ』
本心……本心ね……。
「BBA、私に嘘は意味がないぞ?私は嘘には敏感なんだ、貴様が本心でフェイトのことを貶してないことくらいわかる。それと、フェイト……」
「幸夜……」
私は、いまだに顔を俯かせているフェイトの肩に手を置き、フェイトは顔をこちらに向け、そんなフェイトに安心させるように微笑みながら……。
「フンッ!!」
「イタァァァァァァァイィィ!!!!!」
「「「「「「『えぇぇぇぇぇぇ?!』」」」」」」
フェイトに慧音さん直伝の頭突きを喰らわし、あまりの痛さの為かフェイトは絶叫しながらその場に蹲り、今の光景を見たプレシアを含め全員は驚きの声をあげる。
「こ、幸夜、い、一体何するの?!」
フェイトが頭を擦りながら、涙目で私に詰め寄ってくるが……。
「もう一発!!」
「ヒウッ!!」
「「「「「「『酷い!!』」」」」」」
今度は威力低めの頭突きを喰らわし、フェイトは可愛い声をあげ、全員からは非難の声が上がる。
「フェイト、今頭突きをされて痛いのは誰だ?」
「え、わ、私だけど?」
「なら、アルフの主は誰だ?バルディッシュの主は誰だ?私と一緒にジュエルシードを集めていた少女は誰だ?母親のことを思って頑張っていたのは誰だ?」
「え、そ、それは……」
「お前だろ、フェイト・テスタロッサ?アリシア・テスタロッサじゃない。幼いころの記憶は確かにアリシアと言う少女のものかもしれない……だが、私たちとの出会いや、今の記憶は、共に一瞬一瞬を生きた記憶はお前の物だ……お前自身の物だ」
「幸夜……」
「安心しろフェイト、あのBBAがもしも本心からお前を否定していたとしても、少なくともアルフやなのはや私やメアリーやプライミッツや……ここにいる全員はお前を……アリシア・テスタロッサと言う少女ではなく、フェイト・テスタロッサと言う少女として見ている……と、言うわけだBBA」
私はモニターに映るBBAを睨み付け……。
「アリシア・テスタロッサ、誰だそいつは?そんな奴は知らんし、見えんし、聞こえん……私たちが、知っているのは、見えているのは、聞こえているのは、フェイト・テスタロッサと言う少女だ!分かったか、クソババア!」
私はフェイトを抱き寄せながらババアに向かって言い放つ……この時、殺気交じりの視線が複数来たが……気にしないでおこう。
画面の向こうのババアは先程までの表情とは違い、どこか淋しそうに、どこか愛おしそうにフェイトを見つめていた……。
そして、プレシアが何かを伝えようと、口を開こうとした瞬間……。
『駄目じゃないですか、プレシア。あなたの正直な気持ちを伝えようとしては』
プレシアとは違う声が聞こえると同時にプレシアの身体から腕が生え、その手にはプレシアの物であろう臓器が握られていた……。
突然のことで周りは呆然とするが、事態を把握したと同時に、こういうことに慣れていないであろう、なのは、フェイト、アルフ、ユーノ、アリサ、クロノの達の顔は真っ青になっており、画面の方に視線を戻すと、プレシアが崩れ落ち、抜き取った臓器を持っている仮面を付け道化師の様な姿をした男が立っていた……。
『初めまして、皆様。私は、アルバート・ゴート。よろしくお願いします』
男……アルバートは薄気味悪い笑みを浮かべながら、挨拶をする。
『いやはや、危うく私の計画……私が出ている時点で失敗しているようなものですが……まあ、良いでしょう。取り敢えず、別の案が浮かんだわけですし』
アルバートは先程と同じような笑みを浮かべながら、自身の足元にいるプレシアを見る。
『言ったはずですよ、プレシア?フェイトに対して、大嫌いと言いなさい、絶望を与えなさい、と……あなたは私との約束を破りました』
『お願い……フェイトには手を出さないで……』
弱弱しい声だったが、プレシアの言葉はここにいる全員に聞こえていた。さっきまでフェイトを貶していたプレシアとの違い、フェイトとアルフは戸惑っている。
『聞きましたか、フェイト・テスタロッサ?プレシア・テスタロッサの今までの行動は全て貴女を守るためだったのですよ』
アルバートはプレシアから視線を外し、こちらに視線を戻しながら話し続ける。
『プレシアは貴女のことを心底、愛していたのですよ。一人の大事な娘としてね』
「母さん……」
フェイトの瞳には涙が溜まっていく……親が自分の事を愛してくれていた……子供にとってこれ以上嬉しいことはないだろう。
『良かったですね、フェイト・テスタロッサ……では、プレシアを殺しますか』
「えっ……」
アルバートの言葉にフェイトの表情が固まり、そんなフェイトを見てアルバートは愉快そうに笑う……。
『フェイト・テスタロッサ、私は貴女に絶望して欲しいのですよ。ですから、貴女の目の前でプレシアを殺します……さあ、どんな殺され方を見れば絶望しますか?断頭?縦に半分?横に半分?達磨?串刺し?それとも、殺されその遺体を蹂躙される様を見れば絶望しますか?』
「お願い、止めて……」
懇願するフェイトの表情を見て、アルバートは表情を歪めていく……。
『良いですねぇ、良いですねぇ。その表情、サイコォですよぉ……その表情が、プレシアを殺したらどうなるか……考えただけでイッちゃいそうですぅ』
「変態ね」
霊夢さんが、この場にいるほとんどの人達が思ったであろう素直な感想を述べると、アルバートは心外だとでも言いたそうな表情に変わる。
『何を言ってるのですか?性癖なんて人それぞれですよ。脚が好きな人がいれば、手が好きな人がいる。胸が好きな人がいれば、尻が好きな人がいる。髪が好きな人がいる。目が好きな人がいる。首が好きな人がいる。唇が好きな人がいる。においが好きな人がいる。人を痛めつけることが好きな人がいる。痛めつけられる事が好きな人がいる。死体を好む人がいる。……私だってそれらと一緒ですよ。絶望に沈んでいく女の肉体を貪るのが、凌辱の限りを尽くすのが好きなだけですよ……では、殺しますね』
アルバートはプレシアを殺すために、視線をプレシアが倒れていた場所に向けると……。
『へっ?』
『サラダバーじゃ!』
手ぬぐいを被って唐草模様の風呂敷包みを背負うと言う、大昔の泥棒の格好をしたムルムルがプレシアを抱えた状態で、私が開いていたスキマに沈んでいく光景があった……。
「ただいま~なのじゃ」
「お帰り……それじゃあプレシアを置いて、お前があの変態(サイコ)野郎の相手してこい」
「だが断るのじゃ!」
私の言葉でドヤ顔で胸を張りながら言うムルムル……ふむ
「セイッ!」
「バルスッ?!」
とりあえずドヤ顔にイラッとしたからパイルドライバーを喰らわした……後悔はしてない。
『き、貴様ぁ!!』
モニターを見ると、アルバートが怒りによって顔を歪めていた……ふん、自分の趣味を妨害されてそんなに怒るのか
『殺してやる、殺してやるぞ、クソガキィィィィ』
殺す、殺すか……
「それは無理だな……」
『何だと?』
私は狐面を付け……。
「私が貴様を殺すからな」
さらに顔を歪めたアルバートを映したのを最後に、映像は砂嵐に変わった……。