プロローグ
さて、俺には……俺とレイファには飼っているフィロリアルが居る。
ラヴァイトだ。
ライトグレーの色をして、元がフィロリアル・アリア種の馬車を引くのが大好きな鳥……。
遠い昔の爪の勇者の遺伝子から生まれた子の末裔の一羽である鳥だ。
人懐っこくて、優しい性格をしたそいつが、何の因果かフィロリアル・キングになってしまった。
俺は四聖勇者が主人となったフィロリアルがキング・クイーンになるものと思っていたが、どうやら間違っていたらしい。
そもそも俺は投擲具の正当な所有者ではない。
波の尖兵……勇者武器の不正所持者を殺した結果手に入れただけの、勇者武器の不正所持者である。
実際、不正入手した直後のラヴァイトはフィロリアルのままであった。
それがフィロリアル・キングになったのは、俺がカースシリーズの憤怒を発現させて以降であった。
これは、俺が正式な所有者になってしまったと言うことだろうか?
黙して語らない投擲具の精霊は、一体何を考えているやら。
話の始まりは、そんなラヴァイトが人化をした時に始まった。
「ゴシュジンサマー! ソースケー!」
裸の、天使の羽を生やした筋肉ムキムキマッチョマンの変態が、ライトグレーの天使の羽を背負い、俺たちの前に姿を現したのだ!
「きゃああああああああああああ!」
「ひあああああああああああああ!」
「……」
首から下はマッスル。まるでボディビルを極めたような肉体と、キングサイズのナニをぶら下げた大男。だが顔は幼く、くらぶるっ! のビィ君を人間の顔に変化させたような感じの顔をしている。髪の毛はライトグレーだが、髪型のイメージはグランか。そして声は釘●理恵を想起させるような声質をしている。
不気味なナマモノがそこには存在していた!
「ラヴァイトか?」
俺が聴くと、そいつは首を縦に降る。
「うん、オイラ、いつまで経ってもゴシュジンサマやソースケが迎えに来てくれないから、探していたんだ! 元の姿じゃ通れない道とかあったから、この姿で探してたんだよ!」
俺の脳内でビィ君が……るっ! のビィ君が飛び回っていた。
「お、おう。とりあえず、元の姿に戻れ。二人が怯えているだろう?」
「はーい!」
ボフンっと元のフィロリアル・キングの姿に戻るラヴァイト。
「え、ら、ラヴァイト?!」
「うん、ゴシュジンサマー。オイラ、寂しくて探したんだよー?」
元の姿になったと言うのに、レイファやリノアは怯えたままだ。
「そ、ソースケ! ソースケよりデカかったわよ!」
「は? 待てリノア、何を言っているんだ?」
「お◯ん◯んが! お◯ん◯んが! おっきかったわ!」
「落ち着け!」
バシンとリノアの頭を叩く。
レイファは撫でて欲しそうに頭をスリスリしてくるラヴァイトに固まっている。
「ラヴァイト」
「なーに? ソースケ」
「とりあえず、レイファから離れようか?」
「ソースケが撫でてくれるのー?」
「ああ、撫でてやるから離れようか」
「わかったー」
ラヴァイトはそう言うと、レイファから離れる。
「リノア、レイファのケアを頼む」
「ねぇ、ソースケ! 殴るなんてひどいじゃない!」
「リノア!」
「うー、わかったわよ」
俺はラヴァイトを撫でながら、どうしようかと考えるのだった。
まあ、行き着く先は魔法屋の婆さんのところに行く事だったが。
「リノア、とりあえず、何で俺のよりデカい事を知ってるか詳しくな?」
「え、も、黙秘権を行使するわ!」
リノアは恥ずかしそうにそう言った。
いや、眠姦されたの?
アーシャは警戒しているので夜這いしてきたらすぐに起き上がれるが、リノアは盲点だった。ブラックリストにぶち込んでおく事を決めた。
さて、魔法屋に入り早速相談をする。
「あらまあ、盾の勇者様のフィーロちゃんと同じような子も居たんだね。それじゃあ魔法の糸を早速だけれど紡いじゃおうかね」
話が早くて助かる。
代金として銀貨10枚を支払い、早速ラヴァイトに糸を紡いでもらう。
ラヴァイトには、人化しないように言っている。
何故ならば、俺よりデカいので隠せるものがないのだ。
それに、ラヴァイトが人化すると、特に女性がヤバいことになる。
「オイラ、こう言うのは好きだぜー。だけどなんか力を吸われるみたーい」
「我慢しろ。とりあえずそれでお前の服を作ってもらうから」
「んー、よくわかんないけど、みんなが体を覆っている布のことー?」
「そうだ。お前用の服を作ってもらう」
「わーい。なら、かっこいいのがいいな!」
しばらく待っていると、十分な量の糸が出来上がったので、次は裁縫屋に行く。
婦女子感満載のメガネの裁縫屋に頼むのもなぁ……。
しかし、背に腹は変えられなかった。
「それじゃ、変身後の姿を見せて欲しいな!」
などと言うので、俺はどうしようかと思った。
ボフンと変身する筋肉ムキムキマッチョマンの変態。おい待て何でサイドチェストのポーズしてるの?!
「おおおおおおおおおお!! これはすごい! なにこの筋肉のアンバランスさとその上に乗っかるショタ顔!!」
と、メガネを光らせて大興奮な様子だった。
結果、服は1日待ってほしいとの事であった。
まあ、ギリギリの到着になるが仕方ないだろう。
と言うことで、俺たちはラヴァイトの服のために1日待機することになった。
もちろん、アーシャとライシェルには事情を話したし、レイファが正気に戻るまで結構時間がかかってしまった。
リノアにはお説教をしておいた。
翌日、裁縫屋からラヴァイトの服を受け取ると、早速着替えさせる。
うーん、これは……。
幼い顔にはち切れんばかりの筋肉!
それを余すところなく表現する服だった。
いや、別にタンクトップだとかオーバーホールでは無いのだがね。
普通にオシャレだし、似合っているんだけれど、やはりビィ君を……深い闇を連想させる、主人公然とした服装であった。
「どう? オイラ似合ってるか? オイラ気に入ったぜ!」
「うん、似合ってるよ、ラヴァイト!」
「やったあ! ありがとうゴシュジンサマにソースケ!」
まあ、喜んでいるようだしいいのか……?
うーん、やっぱり、何だろうこのナマモノは……。
フィロリアルは業に生きる生き物なのだと改めて思うのだった。