ウタカタノ花   作:薬來ままど

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注意書き

※他作品のオリ主さんがいます。
※冨岡さんのキャラと扱いが迷子
※がっつり恋愛要素があります。

オリ主さん説明
楓→海辺暮らしで鬼になった弟を斬った過去を持つ少女。そのため似た境遇の汐とは良き友人。
汐とは正反対の控えめで芯が強い性格。光の呼吸の使い手。
冨岡が気になるようだが・・・



想い想われ波乱万丈(友人リクエスト&冨岡義勇生誕祭もどき作品)

「た、ただいま・・・」

 

任務を終え蝶屋敷に戻った善逸は、疲れ切った声で帰ってきたことを告げた。

 

「禰豆子ちゃ~ん・・・今帰ったよ~」

 

しかし禰豆子への(少し邪な)想いを口にすることは話ずれず、善逸は禰豆子の名を呼びながら玄関口へと向かった。

が、誰かの声がして善逸は足を止める。

 

そこには一組の男女がおり、女の方は善逸もよく知っている同期の少女、大海原汐。

男の方は一度だけだが遠目で見た水柱・冨岡義勇だった。

 

義勇がいること自体驚くことだが、その後彼が口にした言葉に善逸は目玉が飛び出る程驚いた。

 

「もうお前しかいない。俺と付き合ってくれ」

 

その言葉に汐は目を見開き、明らかな驚愕の表情を見せていた。そんな彼女に構うことなく義勇は汐の手を取ると、そのままこちらに向かってくる。

 

善逸は慌てて物陰に隠れると、二人は善逸に気づくことなくそのまま屋敷を出て行った。

残された善逸は真っ青な顔で、炭治郎の名を呼びながら屋敷の中へ飛び込んでいった。

 

*   *   *   *   *

 

「まったく、いきなり連れてこられたかと思ったら・・・」

 

義勇と並んで街を歩きながら、汐はしかめっ面をしながらため息をついた。

 

「楓に贈り物をしたいから選んでほしいって、最初からそう言えばいいのに。いきなりあんなこと言われたらびっくりするわよ」

「俺は最初からそう言ったはずだが?」

「言ってないけど。一字一句丸々言ってないけど?あんたが言ったのは『もうお前しか(頼める者が)いない。俺と(贈り物を選ぶのに)付き合ってくれ』だからね?楓のかの字も言ってないからね?」

 

義勇の言葉に汐は少しいらいらしながら辛辣に返す。元々何を考えているのか分からない眼をする上に、口下手で人との距離感がつかめない彼の性格が、汐は少し苦手だった。

 

が、義勇に命を救われたことがある汐は、彼の頼みも無下にはできず、何より友人の楓の名を出されては放っておくことはできなかった。

 

「で?楓への贈り物は決まってるの?決まってなくても候補ぐらいはあるんでしょ?」

 

汐がそう言うと、義勇は何も答えない。心なしか眉間に皺が少し寄っているように見える。

 

「・・・まさか・・・何も考えてないの?」

 

汐が問い詰めると、義勇は顔をしかめたまま静かにうなずいた。そんな彼を見て汐は思わず頭を抱える。

 

「あんたねぇ・・・柱だし年上だからこんなこと言うのは少し気が引けるけど・・・馬鹿じゃないの?っていうか、馬鹿じゃないの?無計画にもほどがあるわよ!」

「仕方ないだろう。俺は今まで誰かに物を贈ることなどしたことがない」

「だからって普段あれだけ慕われてるくせにお礼の一つもなし。あんたにとって楓は何なわけ?」

 

義勇は捲し立てる汐に何も答えることができず、ただただ彼女から浴びせられる罵声を一身に受けていた。

 

「はぁ・・・もういいわ。とにかく、歩きながら考えましょう。歩いていれば少しはいい案も浮かぶかもしれないわ。でも、冨岡さんもちゃんと考えてよ!?」

「・・・努力する」

 

義勇はそう言って汐から顔を逸らした。相変わらずの態度に汐は苦笑いを浮かべながらも、二人は並んで歩き出した。

 

(とはいえ、楓なら何を上げても喜びそうな気がするけれど、そう言うとこの人、とんでもないものを選びそうな気がするからなぁ)

 

 

どうしたものかと考えながら歩いていると、汐の目にあるものが飛び込んできた。

 

「あ、冨岡さん!」

 

汐は足を止め義勇の着物を引っ張って止めた。何事かと思い目を向けると、そこは装飾品や小物を扱う店だった。

 

「とりあえずここに入ってみない?何がいいかわからないときには基本から攻めてみましょ?」

 

汐はそう言って義勇の手を引っ張り、店の中へ足を進めた。

 

中には日常生活に使う小物や装飾品などの様々なものが所狭しと並んでいた。汐もこういう店に来るのは初めてで、知らない世界に胸が躍った。

 

(でも、あたし自身も贈り物を選ぶことってあんまりないからなぁ・・・。あたしが楓だったらもらってうれしいものは・・・)

 

「大海原。こういうのはどうだ?」

 

汐が小物を選んでいると、背後から義勇の呼ぶ声がした。汐が振り向くと、彼は真剣な表情で持っている。

だがそれは、何かの呪いで使うもののような、お世辞にも女性に贈るものとはいいがたい木彫りの人形だった。

 

「冨岡さん。あのね、いろいろ言いたいことはあるけれど。まずなんでそれを選んだのか教えてもらえる?」

「店に入って一番最初に目についた。中々に愛らしいと思うんだが・・・」

 

義勇の言葉に汐は大きなため息をついた後、鬼のような形相で彼の着物を掴んだ。

 

おのれは馬鹿かアアア!!こんなもん贈られて喜ぶと本気で思ってんのかアホンダラ!!あんた楓をいったい何だと思ってんの!?

 

捲し立てる汐に、義勇は【心外!】と言いたげに表情を歪ませた。

 

心外!じゃねーよ!心外なのはこっちだわ!こんな呪いの人形みたいなもん贈られたら、恨みがあるようにしか思えないわ!!つーかなんでこんな悪趣味な商品が置いてあんのよ!?店の雰囲気に全く合ってないでしょうが!!

 

大声で突っ込んだ汐は、ゼイゼイと息を乱しながら着物から手を放す。そんな汐を見て義勇は困ったように眉根を寄せ「すまない」とだけ答えた。

 

「俺はこうやって誰かと共に街を歩くことも買い物をするのも初めてだから勝手がわからない。だから、お前には苦労を掛けてしまっている」

 

本当に済まなさそうにする義勇に、汐は顔を伏せて「もういいわよ」とだけ答えた。

 

(ん?)

 

ふと目についたものを手に取り、汐は義勇に見せる。それは雫と貝殻をあしらった小さな髪留めだった。

自分と同じ海育ちの楓と、義勇を彷彿とさせる雫の装飾品は、まるで二人の関係を象徴しているようだった。

 

 

「これくらいの髪留めなら任務中に激しく動いても邪魔にはならないだろうし、装飾品も可愛いからいいんじゃない?」

 

汐はそう言って振り返ると、義勇は汐に顔を近づけながらまじまじと髪飾りを見つめた。

 

(こうやって見ると、冨岡さんって男前よね。普通なら町の女の人とか放っておかないと思うけれど・・・この人結構面倒くさいからなあ・・・)

 

そんなことを思っていると義勇と目が合い、汐は慌てて目を逸らす。そんな彼女を彼は怪訝そうな顔で見ていた。

 

「会計をしてくる。お前はここで待っていろ」

「はぁい」

 

汐は少しけだるそうに返事をすると、会計を待つ間店の中を見て回ることにした。すると、店の隅で根付が集まっている場所を見つけた。

 

(あ、これ・・・)

 

その中に埋もれるようにして陳列されていたある根付に、汐は目を奪われた。せっかく買い物に来たのに、何も買わずに店を出ることもない。

幸い、値段も汐の所持金内に収まりそうだ。

 

汐はその根付をとると、義勇とは反対の会計所へ持っていき会計を済ませた。包装を希望するか聞かれると、汐は市松模様に似た包装紙を選んで包んでもらった。

義勇の方は何やら包装の種類が多く、少し悩んでいるようだったが、こういうのは本人が選んだ方がいいだろうと思い汐はそのまま外で待っていた。

 

「すまない、待たせたな。ん?お前も何か買ったのか?」

「うん。何も買わないっていうのもなんだか悪いし、それに・・・あたしも贈りたい人がいるのよ」

 

そう言って汐は包みを見ながら少しだけ頬を染めた。そんな彼女に義勇は口元に笑みを浮かべたが、ふと汐の青い髪に塵が付いているのが見えた。

 

「大海原。そのまま動くな」

「え?な、なに?」

「いいから。そのままじっとしていろ」

 

義勇はそう言って汐の髪に手を伸ばし、汐は驚いて瞳を震わせる。

その時だった。

 

「汐!!」

 

空気を切り裂くような鋭い声と共に、汐の左腕を突如誰かがつかんだ。

何事かと思い反射的に顔を向けると。

 

「お前っ・・・。いったいどういうつもりなんだ!?」

 

顔に青筋を浮かべた炭治郎が、怒りを孕んだ声を汐に投げつけた。

 

「炭治郎!?あんたなんでここに・・・それに、楓まで!?」

 

炭治郎の後ろには、目に涙を浮かべた楓が青ざめた顔でこちらを見ていた。

 

周りにいた人々は、何事かと足を止めて汐達を見ている。しかし、炭治郎はそんな民衆の視線など目もくれず、汐の手を掴んだまま睨みつけた。

 

炭治郎の眼からは怒りが、楓の眼には悲しみと悔しさが宿っている。何故二人がそんな眼をするのか分からず、汐は瞳を揺るがせた。

 

「どういうつもりって、何のこと?」

「とぼけるな!楓を悲しませるなんて、それでも友達なのか!?」

 

炭治郎の怒りはとどまることを知らず、掴んでいる手に力が入る。微かに走る痛みに汐が顔をしかめていると、

 

「・・・もういいよ、炭治郎」

「楓?」

「もういいの。汐ちゃんの手を放してあげて」

 

楓は静かな声でそう言うと、伏せていた顔を上げた。その両目からは涙が頬を伝い、地面に吸い込まれていく。

 

「冨岡さんが選んだ人なら、私が何かを言う権利なんて無いもの。でもありがとう。私を心配してくれて」

「え?ちょっと、楓?」

 

話が全く見えない汐に、楓は涙を流しながら笑顔を向けて言った。

 

「私と友達でいてくれてありがとう。冨岡さんとお幸せに」

 

それだけを言うと、楓は踵を返し人ごみの中へ消えていく。それを見た汐は瞬時に悟った。

 

「冨岡さん!今すぐ楓を追って!!」

「大海原?それはどういう・・・」

「つべこべ言わずにさっさと行く!!駆け足!!」

 

汐の怒声に義勇は大きく肩を震わせると、慌てて楓の後を追った。それを見届けた汐は、今度は炭治郎の腕を掴むとそのまま人気のないところに移動した。

 

*   *   *   *   *

 

「ぶわはははははは!!!」

 

町はずれの公園で炭治郎から話を聞いた汐は、思わず笑い声をあげた。あまりにもおかしすぎて汐は腹を抱えてのたうち回るほどだ。

 

「あたしが、冨岡さんと、想いあってるって・・・ひひひ・・・苦しい・・・!」

「笑い事じゃないだろ!?あんなふうに二人で歩いて買い物をしていたら、逢引をしているなんて思ってしまうじゃないか」

「まああたしも最初に冨岡さんに言われた言葉に、死ぬほど驚いたのは確かだしね」

 

あの後炭治郎は汐と義勇が付き合っていると勘違いして、楓と共に二人を尾行していたことを話した。

最初は何かの間違いだと思ったのだが、汐が義勇の手を引いて店に入ったことや、汐から感じた果実のような甘い匂いのことや、義勇が汐の髪の塵をとろうとしたところが口づけをするように見えてしまい、思わず飛び出してしまったことを言った。

 

それを聞いた汐も、義勇が楓の為に贈り物をしたいということで、一緒に選んでいただけだということを説明した。

 

「そう、だったのか。全部俺の勘違いだったんだ。本当にごめん・・・」

「いいのよ、もう。勘違いさせたあたしも悪いし、あんたにも不快な思いをさせちゃったわね。それに、楓にも」

 

嫌われちゃったかな。と悲しそうに目を伏せる汐に、炭治郎は首を横に振った。

 

「俺も一緒に誤解を解くよ。だから、そんな顔をするな」

「炭治郎。ありがとう。あ、そうだ」

 

汐は思い出したように顔を上げると、先ほど買った包みを炭治郎の前に出した。

 

「楓への贈り物を選んでいたら、その。偶然見つけて。ほ、ほら。あんたにはいろいろ世話になってるし・・・」

きょとんとする炭治郎に、汐はしどろもどろになりながらも言葉をつなぐ。

 

「だ、だから!これあんたにあげる!!」

 

顔を真っ赤にして包みを押し付けると、炭治郎の眼が輝きを増した。

 

「これ、俺に?」

「そう言ってるじゃない!」

「ありがとう、汐。開けてみてもいいか?」

 

汐が頷くと、炭治郎はすぐさま包みを開けると、そこに入っていたものを見て目を丸くした。

 

それは、太陽を見上げる一匹のねずみが形取られた根付だった。

 

「これを見た瞬間、あんたと禰豆子の顔が思い浮かんだの。で、気が付いたら手に取ってた。気に入ってくれるといいんだけど・・・」

「すごくいいな、この根付!まるで俺と禰豆子と汐みたいだ!」

 

嬉しそうに根付を眺める炭治郎の言葉に、汐の肩が大きく跳ねた。

 

「え?あたしも?なんで?」

「だってこのねずみがいる場所、海辺だろ?俺と汐が禰豆子を守っているみたいですごく素敵だ」

 

そう言ってにっこりと笑う炭治郎に、汐の胸はドキドキと音を立てる。この笑顔が見られたことが何よりもうれしく、汐の顔も自然とほころんだ。

 

「あ、そうだ!冨岡さんはどうしただろう。楓とちゃんと仲直りしたかしら」

「大丈夫じゃないか?冨岡さんだし」

「冨岡さんだから心配なのよ!こうしちゃいられない、様子を見に行くわよ!」

 

汐はパッと立ち上がり、炭治郎の手を引いて走り出す。炭治郎は一瞬だけ面食らうが、すぐさま汐の手を握り返して走った。

 

走る二人の顔には、この上ない程の幸せな笑顔が浮かんでいた。

 

*   *   *   *   *

 

その後、誤解が解けた楓は汐に平謝りをし、汐も誤解させてしまったことを深く謝罪した。

そして仲直りの証として、楓は義勇が贈った髪飾りを肌身離さずつけていた。

 

そして、この騒ぎの発端となった善逸は――

 

後日ぼろ雑巾のような姿で発見されたそうな。

この作品の肝はなんだとおもいますか?

  • オリジナル戦闘
  • 炭治郎との仲(物理含む)
  • 仲間達との絆(物理含む)
  • (下ネタを含む)寒いギャグ
  • 汐のツッコミ(という名の暴言)
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