作者はパロディ物が大好きで、この作品にもパロディがあるよ。元ネタがどれでいくつあるかわかるかな?
その後汐は残っていた人形を手に右衛門の元へ向かった。依頼を達成することができなかった彼女は、沈痛な面持ちで扉を開けた。
右衛門は寝床に横たわっていた。が、様子がおかしい。よく見ると顔は真っ青で息も荒く一目で危ない状態だと分かる。
「おじいさん!!」
汐は叫んですぐに駆け寄った。体中からは汗が吹き出し、目の焦点もあっていない。
しかし彼は汐の姿を認識すると、荒い息のまま口を開いた。
「鬼狩り、様・・・孫は・・・孫娘は・・・」
汐は無理にしゃべるな、と言いたくなったが、彼の手に彼女の人形をそっと握らせた。
「ごめんなさい。これだけしか、助けられなかったの・・・」
汐は半分の真実を告げた。告げることができなかった。孫娘が鬼となり、多くの人間を傷つけていたことを。
せめて、彼の思い出の中の孫娘のまま逝かせてやりたいと思ったからだ。
しかし右衛門はにっこりと心の底からうれしそうに笑った。
「なにを、おっしゃいますか、鬼狩り様。あなたは救ってくださったじゃありませんか・・・私の孫を、恐ろしいものから・・・」
「!?あんた、まさか・・・!」
汐は驚愕に目を見開いた。そして彼の目をまじまじと見つめる。彼は気づいていたのだ。自分の孫が、鬼と化していたことを。
――そして、彼女を
「わたし、は、あの子に、何もしてやれません、でした。あの子を救う、ことも、ずっと、苦しんでいた、ことにも、気づくことができなかった、祖父失格の、男です・・・」
「そんなことはない。そんなことはないわ。耳をかっぽじってってよく聞いて」
汐はぎゅっと強く彼の手を握った。そしてしっかりと彼の目を見据えて口を開く。
「あんたの孫は、あんたのことをずっと思っていた。そうでなかったら、あの人形を、あんたの作品をああしてずっと持っていたわけがない。それに、あたしちゃんと聞いたのよ。あの子の、最期の言葉を・・・」
――おじいちゃん、大好きだよ
汐は彼女の
右衛門は目をこれ以上ない程大きく見開くと、その目からは大粒の涙がこぼれだす。そしてそっと両手を空へを上げながら嗚咽を漏らした。
「ありがとう、ありがとう。もうこれで、思い残すことは、ありません。本当に、あり、が、とう・・・」
その言葉を最後に、彼の腕はゆっくりと地に向かって落ちていった。どこか遠くで、鴉の鳴く声が聞こえた気がした。
* * * * *
それから。
汐はたった一人で彼の葬儀を行った。身内が誰もいなかった彼の遺骨は、町の寺に預けることにした。
もちろん、彼女の人形とともに、彼は天へと静かに旅立っていった。
空へ上る煙を見つめながら、汐はそっと目を閉じた。冷たい風が、彼女の両頬をそっと撫でていく。
――にんぎょうにんぎょうつくりましょう
あたまをつけておててをつけて
あんよもふたつつけましょう
きれいなきものもきせましょう
きれいなきれいなおにんぎょう
あなただけのおにんぎょう
透き通る歌声が、風に乗って消えていく。汐の左目からは、一筋の涙がこぼれ地面に黒い染みを作っていた。
そして汐の頭の中に、鱗滝と冨岡の言葉がよみがえる。
――人を鬼に変えることができる血を持つ鬼は、この世でたった一体のみ。
千年以上も前に、一番初めに鬼となったもの。
そして、汐の村を壊し、玄海を鬼に変えたうえ、炭治郎の家族を奪い、禰豆子を鬼に変えた張本人。
その名は・・・
――鬼舞辻 無惨――
「鬼舞辻、無惨」
そいつがこの世のすべての鬼を生み出し、多くの人間の傷つけもてあそび、悲劇を生み出した元凶。
「――反吐以下のくそったれ野郎だわ」
汐の震える言葉も、風に乗って消えていく。ふつふつと湧き上がる憎しみと殺意は、彼女の体を前へ突き動かす。
「神様。どうか、あの二人が今度生まれてきたときは、幸せになりますように・・・」
汐はそっと手を合わせる。この祈りがどうか、彼らの下へ届くように願いながら。
「カァ~カァ~。次ノ任務は・・・」
しんみりする余裕も与えず、ソラノタユウがゆっくりと鳴く。せめて余韻には浸らせてほしいと思ったが、悲しい想いを抱える暇などない。
汐はもう一度空を見上げると、拳を握りしめて歩き出した。
* * * * *
「そ、そんな・・・私の鏡が・・・ああああ!!!」
顔から血を流して狼狽する鬼に、汐は冷酷な眼差しのまま刀を突き付ける。
「あんたをぶっ殺す前に聞きたいことがある。正直なところ、あんたみたいな腐った目をいつまでも見ていたくないから単刀直入に言うわね」
――鬼舞辻無惨について、知っていることを吐いてもらうわ
すると鬼は突然、締め上げられた鶏のような声を上げた。顔は青ざめ、汗は吹き出し、口からは泡を吹いている。
「い、い、言えない。言えないのおおおお!あのお方のことは、何があろうと絶対にいいいいい!!!」
発狂しながら鬼が爪を汐の目に突き立てようと襲い掛かってきた。汐は冷静にその頸を斬り落とすと、刀を鞘に納め小さく息をついた。
(またか・・・どの鬼も、奴のことを聞こうとするとみんな同じ反応をする・・・炭治郎、ごめん)
塵になっていく鬼を見つめながら、汐は張り裂けそうな思いで彼に謝罪の言葉を口にした。
今頃彼らはどうしているだろうか。別れてから数日たっている。さすがにこれだけ離れていると、僅かながら寂しさを感じ始めてきた。
そんな時だった。
「次ノ行先ハァ~。浅草ァ~。東京府浅草デスヨォ~。鬼ガ潜伏シテイルトノ情報デス~」
浅草。東京府の中でも都会と呼べるほどの大きな町。そんな場所に鬼が潜んでいる。それを見逃せば大惨事になることは確実だ。
「ったく。こっちはほぼ休みなしで仕事しているっていうのに。鬼も少しは空気読みなさいよね」
「カァ~。空気ハ~吸ウモノデハナイデショウカ~」
「そういう意味で言ったんじゃないのよ。あんたって時々変なことを言うのね。でも浅草か。話には聞いていたけど、どんなところか少し楽しみかも」
そんな小さな期待を胸に抱きながら、汐は浅草に向けて足を進める。そんな中、汐は大きなくしゃみを一つした。
「誰かがあたしの噂でもしてるのかも・・・」
だがこの時は
――運命が大きく動くことを、彼女たちはまだ知る由もなかった
おまけCS
炭「おはよう禰豆子。体の具合はどうだ?」
禰「・・・!」(大丈夫というように首を振る)
炭「そうか。でも無理は絶対にするなよ。兄ちゃんが必ず守ってやるからな」
禰「・・・♪」(うれしそうに笑う)
炭「そういえば、汐は今頃どうしているだろうな。覚えてるだろ?青い髪の歌が上手な女の子」
禰「・・・!」(何度もうなずく)
炭「離れてからずいぶん経つけど。大丈夫かな。怪我をして居たりはしないかな」
禰「・・・・」(ただ黙って炭治郎を見ている)
炭「ご飯はちゃんと食べてるかな。きちんと眠れているかな。風呂にはちゃんと入っているかな。歯をきちんと磨いているかな」
禰「・・・」(困った顔をしている)
炭「顔洗っているかな。誰かを困らせていないかな。風邪をひいたりしていないかな。まずいな、気になりだしたら止まらなくなってきたぞ」
禰「・・・・」(ただ黙って炭治郎を見ている)
炭「と、とにかく。次の行き先は浅草だ。気を引き締めていこう」
この作品の肝はなんだとおもいますか?
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オリジナル戦闘
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炭治郎との仲(物理含む)
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仲間達との絆(物理含む)
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(下ネタを含む)寒いギャグ
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汐のツッコミ(という名の暴言)