青髪
そこは、一部の者しか知らないどこかの場所のある屋敷。淡く内部を照らすのは、雲に隠れたおぼろ月。
「報告は以上で御座います」
月明かりと影を両肩にまといながら、青年冨岡義勇は落ち着いた口調でそう告げた。
「・・・そうか」
漆黒の髪を風に揺らし、鬼殺隊当主産屋敷耀哉は短く答えた。
義勇が報告した内容とは、つい先日の事。とある漁村で起こった鬼による襲撃事件。そしてその村に住む元・海柱、大海原玄海の鬼化、その弟子による討伐の事である。
「悲しいことだ。元とはいえ、柱から鬼が出てしまった・・・」
耀哉は悲しげな表情を浮かべた。表情が見えずとも、義勇もその感情を感じ取り目を伏せる。その脳裏に浮かんだのは、汐ともう一人のある少年だった。
2人とも鬼に大切なものを奪われている。そして、自分も・・・
「ところで義勇。彼を討ち倒した弟子『大海原汐』は、どんな子だったかな?」
不意に話を振られ、義勇は大きく肩を震わせる。このような厳かな場所で物思いにふけるなど、あってはならないことなのに。
だが義勇はすぐに冷静さを取り戻し、淡々と答えた。
「齢は14~5ほどの少年で御座います。大海原玄海と同じく、海の呼吸を用いておりました」
義勇の脳裏に、つい先日会ったばかりの汐の姿がよみがえる。
まだ刀を握ったばかりだというのに、粗削りながらも独自の呼吸を使いこなしていたこと。そして、年相応にはとても思えない、あの鋭い目と声。
柱である自分をああも圧倒できるものなのか。それとも、年相応に見えるだけで、実はかなりの手練れであったのか。だが、今の義勇に、それを確かめるすべはない。
「そしてとても珍しい、青い髪をしておりました」
そう告げると、今度は耀哉の肩が小さく跳ねた。
「青い髪・・・?青い髪と言ったのか」
「お館様?」
「そうか、青髪の者が・・・。ありがとう。もう下がっても良いよ」
それだけを呟くと、彼は義勇に穏やかな声で下がるように告げた。義勇は怪訝そうな表情をしたものの、その理由を尋ねることもせずに腰を上げた。
「ああ、そうだ。一つだけ言わせてほしい」
「なんでしょうか?」
「義勇。君が真直ぐで忠実な性格をしているのは心得ている。だが、流石に性別を間違えるのはどうかと思うよ」
彼のその声色には、優しさと困惑が入り時交じっていた。
義勇は再び怪訝な顔をしたものの、これ以上は何も尋ねずに部屋を後にする。
義勇が彼の言葉の意味を理解するのは、この少し後の事だった・・・
コソコソ噂話
富岡義勇はマジで汐を男だと思ってました。というよりも、この物語では、男性陣の9割はなぜか汐を男だと勘違いしています。
それに反して、女性陣は殆どが所見で女と見抜いていますが、この差はなんなんでしょうね
この作品の肝はなんだとおもいますか?
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オリジナル戦闘
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炭治郎との仲(物理含む)
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仲間達との絆(物理含む)
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(下ネタを含む)寒いギャグ
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汐のツッコミ(という名の暴言)