ウタカタノ花   作:薬來ままど

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どこかの誰かたちの話
(コミックス未購入のため、一人称、呼び方、関係性が実際とは異なる可能性があります)


???

歪んだ空間の中に琵琶の音が響き渡り、ひとりでに動く襖の向こうに彼は姿を消した。

 

そして彼が引き起こした()()を眺めていた参つの影があった。

 

「ヒィィィ!恐ろしい、恐ろしい」

 

かすれた声で震えているのは、小柄な老人のような姿をした鬼で先ほどの()()を見たせいか涙まで流し怯えている。

 

「怖ろしい怖ろしい・・・!あの御方の気分次第で儂も・・・」

 

そんなことを呟きながら震える彼の傍らでは、一つの装飾された壺が置いてありそこから生えているような不気味な鬼が笑いながら姿を現した。

 

「ヒョッヒョッヒョッ・・・いい・・・とてもいい・・・あの御方直々の制裁・・・」

 

目や口が滅茶苦茶についたような不気味な顔で、壺の鬼は恍惚とした表情で()()を眺めていた。

 

「何不細工な顔で怯えてんのよあんた。弱いんだから消されて当然じゃない。それに引き換えアタシ達は強くてすごいからあの御方にこうして気に入られていかされているのよ。ね?()()()()()

 

あちこちが露出した服を纏った女の鬼が、さも当然だと得意げに言うと、彼女の背中から「そうだよなぁぁぁ」と別の男の声が聞こえた。

それを見た二人の鬼は相も変わらずだと言いたげに表情をかえる。すると、その空気を壊すような明るい声が響いた。

 

「やあやあ。みんなここにいたのかい?なかなか面白い見世物だったねぇ」

 

何処からか現れた青年の鬼に、皆は瞬時に表情をゆがめると目を逸らした。青年の鬼は「ありゃ?」と目を丸くするも特に気にするそぶりもなく、近くにいた女の鬼に声をかけた。

 

「やあ堕姫ちゃん。相も変わらず寒そうな格好だねぇ。風邪を引いたりしないかい?」

 

堕姫と呼ばれた女の鬼は、不愉快そうに顔を歪めながら「気安く話しかけないでくれる?」とうんざりしたように言い放つ。

しかし青年の鬼はにこにことした笑みを浮かべながら、あたりをぐるりと見まわした。

 

「あ、そうだそうだ。皆に聴きたいことがあったんだよ。君たち、【ワダツミの子】って知ってるかい?」

 

青年の鬼がそう言うと、鬼たちは首を傾げたりうなずいたりと各々の反応を見せた。

 

「はあ?何それ。聞いたこともない。っていうか、アタシあんたと話すと疲れるから嫌なんだけど」

「怖ろしい怖ろしい・・・ああ・・・怖ろしい」

 

堕姫は興味がないと言いたげにそう言い、老人の鬼は答えることなくただただ震えている。

しかし壺の鬼は何かを思い出したかのように、目の位置にいある口を動かした。

 

「私が昔生まれ育った村で、噂程度だが聞いたことがある。なんでも、声に妙な力を持つ青髪の女だとか」

「ああ、やっぱり黒死牟殿の言っていたのとほとんど同じか。無惨様が妙にご執心なワダツミの子。少しだけ気になって来たかもしれないな」

 

そう言って青年の鬼は楽し気な笑みを浮かべるが、壺の鬼はそれを見て何とも言えない表情を浮かべた。

 

「ところで玉壺(ぎょっこ)。俺が預けておいた例の()()の様子はどうだい?」

 

青年の鬼は目を細めながら訪ねると、玉壺と呼ばれた鬼は一瞬だけ頭をびくりと震わせた。

 

「・・・なかなかのじゃじゃ馬のようで。しかし最近は慣れてきたのか少しばかり従順になって来たかと」

「そうか!それはよかった!何せ俺は人形に関してはからっきしだかね。お前がいてくれて本当に良かったよ」

 

青年の鬼は笑いながらひらひらと手を振るが、その動作に玉壺は身体の奥から不快なものが沸き上がってくるのを感じた。

 

その時。琵琶の音が鳴り響き、青年の鬼の前にいた鬼たちが消える。それを見た彼は特に驚く様子もなく「そろそろか」と小さく呟いた。

 

「ワダツミの子。青い髪の女の子。もしも出会えたらいったいどんな味がするんだろう。あの時喰った蝶の女の子みたいに美味しいといいなあ」

 

ニタリと笑い赤い舌をのぞかせる彼の顔は、紛れもなく人食い鬼のものであった。

この作品の肝はなんだとおもいますか?

  • オリジナル戦闘
  • 炭治郎との仲(物理含む)
  • 仲間達との絆(物理含む)
  • (下ネタを含む)寒いギャグ
  • 汐のツッコミ(という名の暴言)

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