ウタカタノ花   作:薬來ままど

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箱の中にいた禰豆子は、外から聞こえてきた不思議な歌を聴いて目を開けた。兄と同じくらいに大好きなその歌を聴きたくて、彼女は箱の扉を押しのけ外へ出た。
だが、禰豆子の身体は勢いあまってころりと毬のように転がり落ちてしまった。

禰豆子はあたりを見回し、歌が聞こえてきた方向を探す。しかしいくら耳を澄ませてももう歌は聴こえず、禰豆子はがっかりしたように眉根を下げた。

ふと視線を移すと、そこには見知らぬ少女の首を掴む見知らぬ男性がおり、禰豆子はわけがわからず目を点にさせた。
更に視線を動かすと、そこには汗をかきながら呻く炭治郎と、同じく苦しそうに呻く汐の姿があった。

禰豆子は初めに炭治郎の羽織をぐいぐいと引っ張ってみたが、炭治郎は喘ぐばかりで反応してくれない。
気を悪くした禰豆子は、今度は汐の羽織を同じように引っ張ってみたが、やはり炭治郎と同じ反応だった。

いつもなら二人とも禰豆子を見れば頭をなでてくれたり、歌を聴かせてくれるのに、今日にいたってはそれがない。
不満に思った禰豆子は、再び炭治郎の羽織を先ほどよりも強く引っ張った。しかし反応は変わらず、ついに堪忍袋の緒が切れた禰豆子は、その頭を思い切り彼の額に打ち付けた。

しかし、禰豆子は炭治郎の頭の固さを失念していたため、その額からは血の雫が流れ落ちた。

禰豆子の両目からは涙があふれ出し、痛いやら腹立たしいやらで彼女は頭を大きく振り、その血の飛沫の一部が汐の手に付着した。
それに気づくこともなく、禰豆子は怒りのあまり自身の血鬼術・爆血を炭治郎に向かってお見舞いした。

炭治郎の身体が炎に包まれ、同時に汐についた血からも発火し、二人は真っ赤な炎に包まれた――


十五章:狂気の目覚め


番人の声を聞いた瞬間、汐の脳裏に記憶が一気によみがえった。

自分がいた場所も、何をしていたのかも、大切な仲間たちもすべて――

 

気が付けば汐は真っ暗な空間の中にいた。だが、その空間に汐は覚えがあった。

そして番人の姿にも。

 

「思い出したわ。あんた、あの時あたしに戦えって言った奴ね」

 

那田蜘蛛山で死ぬ寸前まで追い詰められた際、走馬灯を打ち消し汐を死の淵から打ち上げた者。その時に見た姿と声が、汐の目の前にあった。

 

『覚えていてくれたとは光栄だな。もっとも、私はお前に二度と会いたくはなかったが』

「それはこっちの台詞。あんたに会うってことは、あたしまた死にそうな目に遭っているってことだものね」

 

汐が少し皮肉めいたように言うと、番人は少しだけ安心したように笑った。

 

「で、あたしをこんなところに連れてきてどういうつもり?あたしは早く炭治郎の・・・みんなの所に戻らないといけないの。あたしがこんな状態だから、みんなもきっと同じような目に遭っているに決まっているわ!」

『喚くな愚図。今の今まで夢だと気づかなかった奴が何を言う。こんな精巧な幻術を生み出す奴だ。そうやすやすと目覚めさせるはずがないだろう』

 

番人の高圧的な態度に汐は腹を立たせるも、事実であるためぐうの音も出なかった。

 

「・・・だったらどうすれば夢から覚めるの?みんなの所へ戻るにはどうすればいいの?」

『人に聞くな。自分の頭で考えられないのか』

 

言葉をはねのけられ、汐は再び顔を歪ませるも仕方なく思考を巡らせた。

 

(とは言ったものの、あたし考えることって苦手なのよね・・・。第一、こいつが声をかけてくれるまでこれが夢だって気づかなかったわけだし・・・)

 

「夢から覚める・・・頬っぺたでも抓ればいいってわけ?」

 

冗談めいた口調でそう言った瞬間、汐は思わず口を閉じた。否、汐は本当は気づいていたのかもしれなかった。本能で。

 

「まさか、夢から覚める方法って・・・」

 

青ざめる汐に、番人は布越しに口元を大きくゆがませた。それが本当ならば、敵は相当な悪趣味であることになる。

――吐き気がするほど。

 

「だけどどうするの?あたしの手元にはそれらしきものはないし、夢から覚める方法を敵が把握していないとは思えない。まさか、それも自分で探さなきゃいけないの?」

 

勘弁してほしいと思ったその時。突然汐は身体が引っ張られるような感覚を感じた。それに気づいた番人が慌てて手を伸ばすも、その手は僅かに届かない。

 

そして、気が付けば汐は夜の村に戻っていた。

 

(ここは、夢の中。引き戻されたんだわ)

 

目の前には元気に笑う玄海が、汐に稽古をつけようと張り切っている。しかし今自分の目の前にあるものはすべて幻、存在しないただのまやかした。

 

(こんなところでもたもたしてる場合じゃない。早く目を覚まさないと。炭治郎やみんなが危ないのに!!)

 

しかし周りを見渡しても、()()()()()()()()()()()()()()ものは存在せず、ただただ時間だけが過ぎていく。そんな彼女に気づいたのか、玄海の怒鳴り声が響いた。

 

「オイ汐!てめぇ、俺のけいこ中によそ見をするとはいい度胸だなぁ。課題を肆倍に増やすかぁ?」

 

玄海はそう言って汐に近づいたその瞬間、彼女に違和感を感じて目を剥いた。汐の左手に、小さな炎のようなものが見える。

 

「お前・・・その手どうした?」

「手?」

 

汐が視線を移すと、そこには、真っ赤な炎に包まれる己の左手があった。そして炎は瞬く間に燃え上がり、汐の全身を包む。

 

ぎゃああああああああ!!!あぢゃぢゃぢゃぢゃ!!!

 

汐は思わず悲鳴を上げ、顔を思い切り引き攣らせながら暴れまわる。だが、不思議なことに思ったよりは熱くなく、むしろ温かいとすら思ってしまう。

そして、汐はその炎から禰豆子の気配を感じた。

 

(この気配は・・・禰豆子!?まさかこの炎は、あの時と同じ、禰豆子の・・・)

 

那田蜘蛛山で禰豆子が目覚めた、血を媒介にした炎の血鬼術。禰豆子の炎が汐の全身を燃やす中、彼女の身体に変化が起こった。

 

普段着だった着物が隊服へ変わり、その右腰には日輪刀が出現する。禰豆子の炎が、汐を少しずつ現実の世界へ戻しているのだ。

 

「汐!?」

 

急に姿が変わった汐に、玄海は驚きのあまり表情を引き攣らせている。やがて炎が収まり、今の姿になった汐は真剣な表情で玄海を見据えて言った。

 

「ごめんね、おやっさん。あたし、好きなのかはわからないけれど、一緒にいたい奴等ならいるの。馬鹿であほで変な奴らばかりだけど、あたしを受け入れてくれた本当に気のいい連中なの。だかあたし、行かなきゃ。みんなを助けなきゃ。だから・・・ごめん!」

 

汐はそのまま玄海に背を向け、そのまま走り出す。後ろから汐を呼ぶ声が聞こえたが、汐は歯を食いしばり走り続けた。

すると

 

「あっ、汐ちゃん!どこに行くの?」

 

途中で絹に呼び止められ、汐は思わず足を止める。そこには相も変わらず朗らかに笑う絹がいて、その後ろには村人たちの姿がある。

 

「なんだ汐?その変な格好は」

「汐姉ちゃんどこ行くんだ?俺たちと遊んでよ」

 

皆屈託のない笑顔で汐の背中に声をかける。その優しい声に、汐の体が微かに震えだした。

 

(ああ、本当ならみんなこうして、笑っていたんだろうな。あたしもここでみんなと笑って、海に潜って、何も知らずに過ごしていたんだろうな。振り返って、戻りたい。幸せの中にいたい。でも・・・)

 

――だからこそ、戻るわけにはいかない。あたしにはもう、守るべきものが既にある!

 

汐はそのまま止まっていた足を動かし、みんなから離れるように走り出す。

 

「行かないで汐ちゃん!!私を一人にしないで!!」

 

後ろから絹の泣き叫ぶ声が聞こえ、汐の心に突き刺さった。汐の目から涙があふれ出し、頬を濡らしていく。

 

(ありがとう、ごめんね、絹。あんたが、あんたが()()()()()()()()()()()()()も、あたしはあんたが大好きだよ・・・)

 

汐は涙をぬぐうと、そのまま全速力で浜辺を駆け抜けた。すると、先ほどまでには感じなかった鬼の気配が微かだがする。

そして視線の先には、番人の姿があった。

 

『吹っ切れたのか?』

 

番人は少しだけ侮蔑を込めた言葉を汐に投げかける。汐は自嘲的な笑みを浮かべると、番人の目の前に立って言った。

 

「・・・こんなことを頼むのは何だけど、死にきれなかったら介錯をお願い」

『・・・本当にいいんだな?』

「ええ。何せ、ここには()()()()()()()()()んでしょう?」

 

そう言う汐の顔には、これ以上ない程の歪んだ笑みが浮かび、それを見た番人の顔も心なしか歪んでいた。

そして汐は徐に刀を抜くと、その刃を自分の頸に押し当てた。

 

(本当に悪趣味。夢から覚める方法が命を絶つ。自害することなんてね!!)

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

汐はそのまま雄たけびを上げながら、その刃を己の頸に食い込ませた。真っ赤な血飛沫が上がり、みるみるうちに汐の体を染めていく。

そして、汐の意識は真っ暗な闇に沈んだ。

 

 

*   *   *   *   *

 

 

「あああああああああああああ!!!!!」

 

悲鳴に近い声と共に、汐は目を開けた。体中から汗が拭き出し、心臓は早鐘のように打ち鳴らされている。

しかし、眼前に広がる景色は、先ほどまでも村ではなく、列車のようだ。

 

汐はすぐさま、自分の頸に手を当てる。血も傷も一切なく、生きていることを確信する。

 

(やった・・・目が覚めれたわ・・・本当に、吐き気がするほど悪趣味な奴)

 

「うーーー」

 

傍らで小さな声が聞こえて顔を動かすと、汐の大声で驚いたのか、怯えた様子の禰豆子が隠れながらこちらを見ていた。

 

「禰豆子!?」

 

汐が禰豆子の名を呼ぶと、禰豆子は安心したのかぴょんと飛び跳ね汐に抱き着く。額にはもう塞がってい入るものの、血が流れた後があった。

 

「禰豆子ありがとう!あんたのお陰で助かったわ。他に怪我はしていない?変な事されてない?」

 

汐は慌てて禰豆子の身体をまさぐると、禰豆子はくすぐったいのか身体をよじって汐から逃れた。

 

「大丈夫そうね。それより、これはいったいどういう状況なの?」

 

目の前には少女の首を絞めたまま動かない煉獄と、のんきに鼻提灯を出して寝ている善逸と伊之助。そして煉獄の隣には――

 

「炭治郎!炭治郎起きて!!目を覚ますのよ!!あんた達もいつまでも寝腐ってんじゃないわよ!!」

 

汐は炭治郎を起こそうと身体を動かしたとき、ふと自分の手に縄のようなものが結ばれていることに気づいた。

だがそれは途中で焼ききれ、少し焦げ付いた匂いがしていた。

そして、少しだが鬼の気配がする。

 

(もしかして、これが夢のからくり。鬼の血鬼術・・・?だとしたら・・・)

 

汐が考えをまとめようとしたその時だった。

 

「うわああああああああああああ!!!」

 

突然目の前の炭治郎が悲鳴を上げながら体を起こす。その大声に禰豆子だけではなく汐もびっくりしてしまい、思わず炭治郎の頬をひっぱたいた。

 

「いきなり何すんのよ!びっくりするじゃない!」

「痛っ!って、痛みが・・・あれ?汐?」

 

炭治郎は汐の顔を見て驚いた顔をしたが、慌てて自分の頸を手で押さえた。その様子から、炭治郎も夢の中で自決したことが見て取れた。

 

「あんたも、気づいていたのね。この悪趣味極まりない覚醒方法」

「あんたもってことは、汐も・・・。俺たちやっぱり鬼の術にかかっていたんだな」

 

炭治郎はゆっくりと体を起こすと、汐同様自分の手に繋がれた縄を見た。そして彼も、縄から鬼の匂いがすることに気づく。

 

「汐、切符だ!切符を出すんだ!」

「え?切符?」

「いいから早く!」

 

炭治郎に言われるがまま、汐は懐から切符を取り出した。すると、縄と同じく微かだが鬼の気配がした。

 

「なるほど。これも鬼が作った代物で、切った時に眠らされたのね。これだけの気配で、こんな強い血鬼術・・・とんでもない奴だわ。色んな意味で」

 

汐は小さく舌打ちをすると、炭治郎と共に他の者を何とかして起こそうと体を起こした。

 

すると、煉獄たちの手にも同じように縄が繋がれ、その先は見知らぬ者達の手に繋がれていた。

 

「誰よこいつら。それよりこの縄が鬼の血鬼術で出来ていることはわかったわ。だったらこれをぶった切れば・・・」

 

汐はすぐさま刀を抜き、縄に向かって振り上げようとした。だが、炭治郎は何か不穏なものを感じ、慌てて汐を制止させた。

 

「待ってくれ。何だか嫌な予感がするんだ。この縄を断ち切るとよくない気がする」

「じゃあどうするのよ?」

「禰豆子頼む。俺たちのように縄を燃やしてくれ」

 

炭治郎の言葉に禰豆子は小さくうなずくと、爪で自分の手のひらを傷つけその血を縄に付着させた。

瞬く間に縄が燃え上がり、炭化して崩れていく。しかも燃えているのは縄だけで、人や服は一切燃えていなかった。

 

「すごいわ禰豆子。あんたって器用なのね」

 

感心した汐は禰豆子の頭を優しくなでると、禰豆子は嬉しそうに目を細めた。

 

この時の炭治郎の勘は正しかった。日輪刀で縄を断ち切っていた場合、夢の主ではない他の者の意識は永遠に戻ることはなかった。

そのような危険性を魘夢は一切説明をしていなかった。彼にとって人間は使い捨てのものであり、そもそもただの食い物でしかないのだ。

 

「善逸!伊之助!起きろ!!」

「いつまで寝てんのよこのぼんくら共!とっとと起きなさい!!」

 

炭治郎が頬を叩いても、汐が脛を蹴っても、二人は全く目を覚まさない。煉獄ですら、ぐったりしたまま動かない。

 

「駄目だ汐。みんな起きない。煉獄さ・・・」

「炭治郎、危ない!!」

 

炭治郎が煉獄の方へ顔を向けた瞬間、汐の金切り声が響いた。それと同時に、炭治郎の眼前を鋭いものが通り過ぎた。

炭治郎が目を瞬かせると、そこには鬼のような形相で錐を構える少女の姿があった。

 

(なんだ!?鬼に操られているのか!?)

「邪魔しないでよ!あんたたちが来たせいで、夢を見せてもらえないじゃない!」

(こいつ・・・自分の意思で炭治郎に攻撃してきたっていうの!?)

 

汐はすぐさま炭治郎を庇うように立ち、少女と睨みあった。しかし、そこにいたのは彼女だけではなく、伊之助、善逸と繋がっていたものも同じように錐を構えて汐達ににじり寄ってきた。

 

「何してんのよ!あんたらも起きたら加勢しなさいよ!結核だか父親から虐待を受けてただか知らないけど、ちゃんと働かないなら“あの人”に言って夢見せてもらえないようにするからね!」

 

少女の声に、ゆっくりと起き上がったのは涙を流す青年と、呆然とした様子の少年の二人。

 

(まだいたのか。俺と汐と繋がっていた人たちだろうか)

 

炭治郎は二人から、悲しみと後悔の匂いを感じた。二人が夢の中で何を見たのかはわからないが、二人からはもう敵意の匂いは一切なかった。

 

「ふざけるな・・・」

 

だが、汐の口からこぼれた声に、炭治郎の意識はそちらに向いた。

 

「辛い現実から逃げたいのが、幸せな夢の中にいたいのが、お前等だけだと思うな!あたしだって、あたしだって・・・!みんなと一緒にいたかったわよ!!」

 

そう言う汐の口から、弦をはじくような高い音が漏れ出す。炭治郎は慌てて汐を止めようと手を伸ばした。

 

――ウタカタ・参ノ旋律――

――束縛歌(そくばくか)!!!

 

ピシリという音と共に、汐に躍りかかった者達の動きが突如止まる。皆手足を震わせ、驚愕した表情を張り付けていた。

そんな彼らに汐は静かに近づき、手刀を入れ気絶させると、手放した錐を窓の外から投げ捨てた。

 

「ごめんね、手荒な真似をして。だけど、あたし達はここで立ち止まるわけにはいかないの。大事なもの守るために、戦いに行かなくちゃ」

 

そう言って顔を上げた汐の前には炭治郎と、二人と繋がっていた者たちの姿があった。

 

「大丈夫ですか?」

「見苦しいものを見せてごめんね」

 

二人が声をかけると、二人は驚いたように肩を震わせる。先ほど二人の命を狙う同然のことをしたというのに、二人からは敵意は一切感じられなかった。

 

「俺は、大丈夫」

「ありがとう。気を付けて」

 

少年と青年はそう言って力なくほほ笑む。そんな二人を見て汐と炭治郎の胸に、改めて決意の炎が宿った。

 

「行くわよ、炭治郎」

「ああ」

 

二人は頷きあうと、禰豆子を連れて先頭車両へ向かって足を進めた。

 

そんな二人を見て、少年は心から精神の核を壊さなくてよかったと思うのであった。




車両をつなぐ扉を開けた瞬間、まとわりつくような気配と匂いが二人を包んだ。汐は思わず口を、炭治郎は鼻を抑えうつむいた。

(とんでもない気配だわ。こんな中あたしたちは眠ってたのね・・・)
(客車が密閉されてたとはいえ、信じられない。不甲斐ない!)

しかし後悔している時間はない。炭治郎は天井の縁を掴み、遠心力を利用して屋根へと上り、汐も同じようにして後に続いた。

「禰豆子は来るな。危ないから待ってろ」
「みんなを起こしてくれる?あたし達じゃ力不足みたいだから」

二人の言葉に禰豆子は頷くと、客車内へと戻っていった。

鬼の気配は先頭車両からする。二人は互いを支えあいながら、先頭へ向かって足を進める。

そしてついに。二人の目が列車の先で佇む黒い影を捕らえた。

「あれぇ、二人も起きたの?おはよう。まだ寝ててよかったのに」

ねっとりとした声が風に乗り、二人の耳にまとわりつく。振り返ったその顔には、気味の悪い血管がいくつも浮かんでおり、左目には【下壱】と刻まれている。

「二人ともいい夢は見られたのかな?」

魘夢の言葉に怒りに震える炭治郎をしり目に、汐は静かな声で告げた。

「ええとっても。吐き気がするほど素敵な夢を見せてくれてありがとう。たっぷりとお返しをしてあげるわ」

そう言って目を見開く汐には、炭治郎以上の怒りが宿っていた。

この作品の肝はなんだとおもいますか?

  • オリジナル戦闘
  • 炭治郎との仲(物理含む)
  • 仲間達との絆(物理含む)
  • (下ネタを含む)寒いギャグ
  • 汐のツッコミ(という名の暴言)

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