『えー……かっこいいよー』
「全く、何言ってるの」
私の名前はカオル。
今、友達とある人について話をしている。
話題は、雲雀さんのことだった。
「雲雀さんって……怖くないの?」
『そんなことないよ!! かっこいいじゃん』
「ハァ……確かに、かっこいいかもしれないけど、それ以上に恐ろしい」
『むぅ』
私がかっこいいというその人は、我が学校の風紀委員長の雲雀 恭弥さん。
“かっこいい”というのに同意してくれる子は多い。
でも、そのあとには“恐ろしい”という言葉もついてくる。
確かに、雲雀さんはトンファーで人を倒してるけど……
本当は、優しい人なんだと思う。
『雲雀さんは、私を助けてくれたもん!!』
そう、助けてくれたのだ。
私が不良に絡まれているところ、雲雀さんは助けてくれた。
雲雀さんからすれば、風紀が乱れてるからとかそういう理由かもしれないけど……
あのときの雲雀さんの優しい微笑み。
そこには怖さなんかなくて、私はそんな雲雀さんを見て――
「その話、何回も聞いたわよ」
惚ける私は友人の声によって引き戻される。
『うっ……』
「叶わない恋はしないほうが良いわよ」
『ま、まだ分からないよ!!』
そう。私は雲雀さんのことが好きだ。
でも、風紀委員だということもあるし、群れるのは嫌いらしく……近づけないのだ。
まぁ、近づけても、何をすれば良いかわからないけど……
「まぁ、良いわ……ってか、カオル。ちゃんと前見て歩きなよ」
『大丈夫だよ』
いい忘れてたけど、私たちは今、昼休憩で購買に向かっている。
その途中でいつの間にかこんな会話になってしまった。
で、私は、所謂、後ろ歩きをしている。
もちろん後ろは見えない。前に居る友達を見てるからね。
「誰かとぶつかるよ」
『うーん……そう簡単に――』
〔ドンッ〕
そんなことを言っている傍から、誰かとぶつかってしまう。
「……カオル」
友達は、私の後ろを見て、青ざめている。
『?』
いったい、誰にぶつかったんだろうか?
とりあえず、謝らないといけないし……そう思いながら、私は後ろを向く。
その瞬間、私は思考が停止した。
目の前にいたのは、さっきまで私たちが話をしていた……雲雀さんだった。
「……」
雲雀さんは、私をジッと見ている。
『……』
私も言葉が出なくて、雲雀さんを見ている。
「カオル、ほら、謝らないと……!!」
『あ……ご、ごめんなさい』
友達の一言で我に返り、謝る。
「……君、何年? 名前は?」
『えっと2年のカオルって言います』
「ふぅ~ん……放課後。応接室に来て……反省文50枚」
そう言い残し、歩いていく雲雀さん。
「カオル、大丈夫?」
『うん……放課後、応接室……』
「ヤバイんじゃない……?」
『……ぶつかっちゃったのは確かだし仕方ないね……でも』
私、顔赤くないかな?
今、私喜んでる?
ぶつかったのは、もちろん悪かったけど……放課後一緒にいれる……嬉しい。
そのことを言うと、友達にデコピンをされてしまった。
〔放課後〕
私は、楽しみすぎて、HRが終わってから走って応接室へ向かう。
おかしいな。怒られるのに……雲雀さんに会えると思うと、楽しみになってしまう。
そんなことを思っていると、応接室に着く。
『スゥ……ハァ』
息を整えるため、深呼吸をし、ドアをノックする。
「入りなよ」
中から、雲雀さんの声がする。
『……失礼します』
私は出来るだけ落ち着いて中に入る。
中に入ると、机に向かって資料整理? している雲雀さん。
「そこ、置いてあるでしょ」
顔を資料に向けたまま、そう言う雲雀さん。
でも、もう一つの机に原稿用紙が置かれてあった。
「それで50枚。早く書きなよ」
『は、はい』
私は、ソファに座り、反省文を書き始めた。
数分後
『……』
「……」
全く会話がない。
まぁ、雲雀さんは仕事してるし、仕方ないけど………
邪魔はしたくないので、おとなしく書き進める。
たまにチラッと雲雀さんのほうを見る。
その度に口角が上がってしまいそうになるのを、頑張っておさえる。
会話はないけど、十分幸せだ。
一緒の部屋にいられる。
いつもより、近くで雲雀さんのことを見られる。
『……』
思わず、雲雀さんをみてしまう。
すごい集中力……ずっと、仕事してる……疲れないのかな?
たぶん、私が来る前からずっと仕事してるんだろう……
資料の枚数がおかしい……束になって、かなり置かれている。
この量を、雲雀さんは一人でやっているのだろうか……すごいな。
「……なに」
不意に、雲雀さんが顔を上げる。
『え、いや、あの……』
「ずっと見てるけど、僕の顔に何かついてる?」
『え、何もついてませんよ!』
そう言い、焦って原稿用紙に顔を向ける。
思わず、しっかり見てしまっていたようだ。
うぅ……恥ずかしい!!
「……」
さらに数分後
『……』
集中できないなぁ。
出来る限り、冷静を装っているが、すごく心臓がうるさい。
もう、反省文、何を書いているのかさえ分からなくなっている。
とりあえず、ちゃんと書いているはず……!!
「ねぇ」
『はぁえ!?』
突然、雲雀さんの声が近くで聞こえ、変な声がでてしまう。
驚いて、顔を上げると、雲雀さんが反省文を見ていた。
「……」
『あ、あの?』
てか、いつの間に私の後ろに……
「これ、何?」
そう言い、雲雀さんは原稿用紙を指す。
『何って……反省文?』
「これが?」
『え……?』
どういう意味だろうか?
ちゃんと書いているはずだけど……
「自分でちゃんと見てみなよ」
そう言われ、私は反省文を目で読む。
『あれ……』
私は、驚きの声を上げる。
途中までちゃんと書いていた反省文。
しかし、途中から明らかに反省文ではない……雲雀さんのことを書いていた。
私、心の中でおもってることそのまま書いちゃってる!?
「……」
『あ、あの、これは……あの……』
顔が熱い。
これ、雲雀さん、さっき読んだよね。
って、ことはこれ……無意識に告白したようなものでは……?
「……真面目に書きなよ」
『え……』
この文に対して何もなし!?
私には、全く興味がないってことかな……?
そう思い、内心落ち込んでいると――
「……帰らないでね」
『え?』
今、なんと……?
帰らないでって……え? どういう意味?
「君が居ないと、集中できなくなるから……傍にいなよ」
『えぇっと……?』
「ハァ……察しなよ」
そう言い、雲雀さんはまた仕事に戻ってしまう。
言葉の意味を理解してしまう数秒前
あぁ、顔がすごく熱い。
『あ、あの雲雀さん、今のって』
「……言わないよ」
『ですよね』
「……終わったら一緒に帰るよ」
『……はい!』
何がしたい私いいいいいいいいい!!
いやぁ、もう意味わかんない。
なんのドキドキもワクワクもハラハラもしないよ!!いつもだけど!!
書いてて恥ずかしくなったよ。
なんか、パッと思いつきで書いてみたんですけど………
当初の予定と違う!!
もっとこう……なんか………まぁ、良い。
見てくださったかた、ありがとうございます!!