どうも、錬金術師で女の子の友達が多い転生者です 作:シュリンプ1012
やっとこさ、戦闘シーンがきた。
「はぁ……はぁ……」
ある者が園内を走っていた。走る速さは遅めではあるものの、その表情は必死の形相である。その足を止めたら何もかもが終わる……と、その者の顔を見ればそう思えてしまうぐらいに。
「はぁ……ふうっ…はぁ……!」
走る度に息が荒くなっていく。
しかし、その者の顔を見るものは誰一人いない。何故なら、その者はキャップ付きの帽子を深く被って走っていたからだ。服装も、身丈に合う服装である為、その者を注意深く見る者もいない。
では、
「くっ……くそっ……!」
では何故走り回るのか。それは、今その者が背負っている少年に訳がある。
その者は、後ろに背負う子供を見る。少年は静かに目を瞑って奴の背中に身体を預けている。無論、小さくではあるが呼吸はしている。
奴自身、当初の予定ではこの少年を拐うつもりなど毛頭無かった。狙っていたのはその少年の隣にいた小さな少女。少年と同じくらいの身長の子だ。
「……やっぱりあんなの受けなきゃよかったっ……!!」
奴は数日前に起きた出来事を振り返る。奴はその日、あるモノと交渉をした。交渉内容としては、《小さな子供を連れてくれば、大金を注ぎ込む》というものだった。前々から金に飢えていた奴は、直ぐ様その依頼を引き受けようとした。だがしかし、すぐに決断する事はなかった。
『これはアナタが
自分の依頼主の声が脳に反響する。
奴がすぐに引き受けなかった理由。それは依頼主が
依頼主は小さな石だった。曇りの日だろうと雨の日だろうと、いつ如何なる時でも妖しく輝く紅い石。そんな石がその者に語りかけてきたのだ。金に飢えた奴でも警戒するのも無理はないだろう。寧ろ奴はその依頼を断ろうとしていたのだ。
『別に断ってもいいけれど……その時は…』
拾い上げた石がそこまで言い放った瞬間、その者の背後から殺気が迫った。振り返ろうと奴は身体を捻る。そこには小太りの––––
–––しかしながら、そこからの記憶は奴には殆ど無い。あるのは自分が依頼を引き受けた事。ただそれだけだった。
「はぁ……あ、あれ?なんだ?
気がつくと、奴は何処かの小道に入っていた。
実はこの者、目標を取り違えた事で気が動転しており、園内のどの辺りに自分がいるのか分からなくなっていたのだ。しかもこの遊園地、作りが少々複雑になっており、パンフレットのような案内地図が無いと迷う可能性があるのだ。
この小道も迷う理由の一つである。こうした小道もいたるところにあり、何処に繋がっているのか分からないのだ。
奴は辺りを見回して何もいない事を確認すると、背負っていた子供を下ろす。
「……でもそれはそれで都合がいい。取り敢えずここら辺で……っ!?」
休憩、と言いそうになった口を慌てて止める。何故なら奴の背後で一瞬、足音が聴こえたのだ。
コツ、コツ……と段々と音が大きくなっていく。大きくなるに連れて少しずつだがその者も後ろにジリジリと後退していく。音の正体を探ろうと、奴は音のする方に目線を向けるが、生憎建物の日陰であまり良く見えていない。
コツ、と音が止まった瞬間、音を出していた者が日陰から出てくる。
「ありゃあ、こりゃあ道に迷っちまったなぁ。どうしよ」
正体を知った瞬間、奴の顔が少し緩んだ。
音の正体は、小道に迷い込んできた少年だった。
「……あ、丁度いいや。すいませーん、ちょっと聞きたい事があるんですけどー」
「あ、あぁ。何だい坊や?」
小走りで向かってくる少年に、なるべく今作れるとびっきりの笑顔で奴は彼を迎える。
(……待てよ?)
瞬間、奴の頭の中である疑問が浮かんだ。
(なんでコイツ、
奴の背筋に冷や汗が垂れる。
奴の考えはこうだ。大抵の子供は親がすぐ側にいるはず。現に、誘拐したとはいえど、こうして少年と、大人である自分は一緒にいるのだから。
何処かで親と逸れたとは考え難い。もしそうなら、こんな悠長に人に道を尋ねたりしない筈だ。
ここで奴の脳内で最大級の警報が鳴り響いた。このガキは何かヤバイ。このガキに対しては油断してはならないと。
–––だがしかし遅かった。奴と少年の間合いは、既に手を伸ばせば当たる範囲まで迫っていたのだ。
「ふんっ!!」
「うわっぶ!?」
突然、少年が持っていたパンフレットを宙に投げた。そしてそのまま、自分の右手を大きく広げて誘拐犯の顔面を掴むように襲いかかったのだ。奴は彼を警戒していたので既の所で避けれる事ができたが、何も考えずに対面していたら、そこで終わっていただろう。
「……っち、避けられた」
少年は舌打ちをしながらも、自分の手に填めていた手袋をきっちりと付け直す。
「……っ!!クソが!!」
誘拐犯は堪らず叫んだ。ここまで、誘拐犯は散々な目に遭ってきた。それにより、とうとう怒りのボルテージが頂点に達したのだろう。奴は懐に隠し持っていた小型ナイフを取り出し、そのまま平然と立つ少年に突きつける。
「……おいおい、ナイフ隠し持ってたのかよ」
「ど、どうだ!怖いだろう!?お前みたいなガキなんて相手じゃないんだ!!だからさっさと……」
–––コツン、と靴が地面についた音が鳴り響く。
「なっ……!?」
「おいおいどうした?俺みたいなガキは相手じゃないんだろう?……だったらそのビビリ腰をシャキっとしろよ、このクソ野郎」
少年が一歩、奴の下に向かう為に踏み出した。そしてそのまま少年はゆっくりと、そして着実に奴を追い詰めていく。
奴は恐怖した。ナイフを持って威圧しても全く動じず、寧ろそれをトリガーとして段々と近づいてくる彼に、奴は怯えたのだ。
「……な、何なんだよお前……お前何者なんだよ!?」
奴はまたも堪らず叫んだ。突然現れたと思ったら、こちらの顔を鷲掴みにしようとして。そしてナイフで脅しても全く動じず、挙げ句の果てには脅してきた相手を恐怖させた彼の正体を探る為に。
「俺?そうだなぁ俺は……」
彼は目線を逸らし、考える素振りをする。
「っ!!」
その瞬間、奴は下ろしていた子供を拾い上げて直ぐ様少年のいる方向の逆の道に走り出した。
所詮相手はガキだ。こちらの体力も少しは取り戻してはいる。だから相手が油断した隙に逃げ出そう……と、奴は思っていたのだろう。
だがその考えは浅はかだった。
「なっ!?」
突然、
「いっつ……あ、あれ!?」
奴は滑り倒れた拍子に打ち付けた頭を抑えるが、今まで背負っていた男の子がいなくなっている事に奴は気づいた。別に依頼主からは傷をつけるなとは言われていないが、万が一という事もある。だからこうして奴は男の子の心配をしているのだ。
「おいおい、勝手に逃げ出そうとするなよ……っと。ナイスキャッチ、俺」
しかしながら、その心配ひ無用のようだった。どうやら奴がこけた拍子に男の子は宙を舞っていたようで、それを少年が自画自賛しながらキャッチしたのだから。
「……さて?さっきの続きをしようか」
少年はまたも、奴に向かって歩き出した。
「俺って色々と独学で学んできたから、他人に異名とか名付けられた事ないけど……そうだな、今日あえて言うなら……」
奴はもう殆どの戦意を失っていた。それ故に口から空気が「はう、はう……」と声を鳴らしながら漏れる。それでもなお、少年は奴の前に立ち、こう言い放った。
「
……………………
………………
…………
………
……
…
よし、言えた!!
いやぁ、実際こうやって堂々と言うと結構恥ずかしいもんだねこれ。なんでラノベの主人公とかってあんなカッコいい台詞サラッと吐けるのかな?ボクワカラナイ。
「……ん?ちょっと待てよ?アンタ……」
この人、帽子被ってて分からなかったけど……。
「まさかの女の人?」
「アッ……ァァァァァアアアアアアア!!!」
「えっちょっ!?」
俺の発言がトリガーだったのか、誘拐犯である女の人は落としたナイフを拾い上げてこちらに走ってきた。足場が凍っていて不安定なはずなのにそれをもろともせず、そのまま俺の身体をズタズタにする為にナイフを突き出した。
「あっぶね!?」
「クッ!ウラァぁぁぁ!!!」
難なく俺は躱したものの、相手はまたも突きに行こうと身体を捻り、そのまま再度突いてきた。
「ふっ!」
「ガッ!?」
しかし俺はその勢いを利用する。ナイフを躱し、そしてそのまま差し出された腕を両手で掴む。
「とぉりゃあぁ!!!」
「!!グボァ!?」
そんでもって勢いよく壁に向かって投げた。いわゆる背負い投げである。あれ、一本背負いだっけ?まぁどっちでも良いや。取り敢えず投げた。
「グフっ……ウウ……っ!」
「おっと、ナイフはもう掴ませないぞ」
投げつけられた衝撃で落としたナイフを拾うのを、俺は見逃さなかった。その行為を妨害すべく、俺は地面に両手をつける。
さて、ここで諸君に質問だ。水を作りだすには何が必要だと思う?……ちょっと今、最高にハイってやつなのでテンポよくいこうと思う。
水ってのは、大まかに言えば水素原子二個と、酸素原子一個でできている。そんでもって大気中にはその二つ原子がわんさかとあるのだが……まぁ何が言いたいかっていうと、錬金術で水は作り出せるって事を言いたい。これで水不足は解決だね。ヤッタァ。
それじゃああともう一つ質問。
まず氷ってのは、水がマイナス0°以下にならないと作り出せない。冬に雪が降る時に気温が0°以下なのはそーゆー事。
それでは周囲の気温を0°以下にするにはどうすればいいのか。そう、ここで錬金術の出番だ。
人間の感じる[暑さ]や[寒さ]は、全て熱の吸収及び発熱で感じる事が出来る。つまるところ、
そう、その熱の移動を錬金術で行い、氷を錬成するのだ。考えた俺ってすごいね。
手順としてはこうだ。まず左手の手袋に描かれた連載陣で水を錬成する。そしてその水の周囲の気温を右手の手袋に描かれた錬成陣で熱の移動を行い、氷を錬成するのだ。先程の地面が凍ったのはこうゆう原理。俺って凄い(二回目)
とまぁ長くなったけど、これからする事。それは!
「!!」
「あっぶねー、ギリギリだった」
地面に落ちたナイフを氷で覆わせることだ。これでもう、数分の間はナイフは使えない。時期が冬だったらもうちょい長く凍らせられたのに、残念。
「クソがっ……!?」
「はい、暴れないでねー」
ナイフを使えなくなったせいで、そのまま拳で抵抗しようとしたが、俺はそれを難なく阻止し、そのまま壁に頭を優しく打ち付けた。
「やめっ、離せっ!」
「無理に決まってるでしょそんなの?」
「なっ……あぁっ!?」
左腕に異常を感じたのか、そちらに目を向ける女性。それもその筈。その腕はなんと
「くそっ何だこれ!?離れないっ!?」
「あんま無理剥がそうとすると皮膚剥がれるからなぁ……っと」
「あああ!?」
左腕を壁から剥がそうとしているところに警告を話しておきつつ、俺は彼女の両足を凍らせる。多少は寒気はするが……まぁ誘拐犯だもんね、それぐらいは我慢しておかないと。
「あぁ、ああぁ……」
「さて、純は大丈夫か?」
取り敢えずは拘束が完了したので、俺は純の元に向かう。純は未だに目を閉じていた。
「おーい純、生きてっかー?」
「……ん、んん?……あれ、蓮司兄?なんでこんな所に……ってあれ、ここ何処?」
俺の呼びかけに純は目を覚まして辺りを見渡した。そんな彼を見て俺は心の中で安堵した。このまま覚めなかったら俺が終わってたぜ……。
「……!れ、蓮兄!!後ろ!!」
「へっ?後ろ?」
突然、純が切羽詰まった声で俺に後ろを向けと促してきた。後ろには拘束した筈の奴が……。
……待てよ?確か俺、左腕と両足は凍らせたけど、
–––瞬間、俺の脳内で早く後ろを向けと警告が鳴り響いた。それに従い、俺は勢いよく後ろに振り向く。そこには–––
「ガキが……舐めるなよ……私…を……」
「!!」
右手に、
「死ね」
––ー辺り一帯に一発の銃声が鳴り響いた。
如何だったでしょうか。今回出た錬金術、蓮司くんは俺が作ったわーい俺てんさーいみたいな事言ってましたけど……似てるような事してる人いたの、原作にいたの知ってましたか?
アイザックもそうだけど、自分は映画のミロスの聖なる星に出てくる錬金術から発想をいただいた感じですね(語彙力損失)
RASのメンバーを出したいと思っとるんだけど、誰が最初に見たい?
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レイヤ
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ロック
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マスキング
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パレオ
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チュチュ