どうも、錬金術師で女の子の友達が多い転生者です 作:シュリンプ1012
年末に投稿間に合ったぜ……!
それでいてめっちゃ長くなったぜ……!!
『錬夜様、被害にあった男の子を発見しました』
「分かった、直ぐに行く」
老若男女問わずに人々が賑わっている中、彼–––ホーエンハイムは純を見つけたと黒服さんからの連絡を受けて走り出した。
蓮司が誘拐犯を探しに行ってから数十分後。流石に時間がかかり過ぎだと思った彼は黒服さんを数人連れて現場へと駆けつけようとしていた。
「……」
彼は顔に皺を寄せながらも息を切らさず走る。その姿を後ろから見ていた黒服さん達は、息子は大丈夫だと確信を得ているのだろうと思っていた。だがしかし彼はその逆。『信頼』ではなく『心配』していた。
確かに現場に向かわせたのは誰でもない、ホーエンハイムただ一人だ。この時には彼は蓮司ならば大丈夫だと『信頼』の念を抱いていた。事件が起きた、といっても相手は所詮子供一人を攫って直ぐ退散した小物。大した力も持ち合わせていない筈だ。それに、彼は事前に誘拐犯が
さらに言えば、彼は蓮司の錬成テクの事も一応は認めている。というのも、朝に蓮司を起こす為に部屋に入った時から始まる。
…………………
…………
………
……
…
彼の目にまず入ってきたのは、壁にびっしりと貼り付けられていた錬金術の構築式だった。錬金術師たる者、日々錬金術の研究に勤しむのは必要最低限の事だ。故に彼はこの光景に何の疑問も浮かんでいなかった。
そして話は進んで蓮司が黒服さん達に半ば無理やりに連れて行かれて、彼もその跡を追う為に扉に手を掛けた時の事だ。
彼の視界の隅にある二つのモノ–––彼が誘拐犯を蓮司に追わせる際に渡した錬金物が彼は気になった。なので彼は机の上に置いてあるそれを手に取った。すると何やら
『ヒロ○カ読んでたら、轟○凍の真似をしたくなったのでやってみようと思う。イェーイ』
その一文に彼は微笑する。ヒロ○カ……とは何なのかは知らない彼だったが、アニメの作品か何かだろうと納得する。それと同時にそういった作品から着想を得られるのは現代の転生者の特権だなぁとも納得していた。
下の方にも文は続いておりその先が気になった彼は、その紙と二つの錬成物を懐にしまって、急いで窓から飛び降りて車へと乗車したのだった。
「あ、窓から飛び降りるのは危険だから真似すんなよ?」
「誰に言ってんのアンタ?早く話続けてよ」
「あぁっとすまんすまん……コホン」
気を取り直して、場所は車内。彼は本を読んでいるフリをしつつ、先程手に入れた紙を読み進めた。
『個性「○冷○熱」内容としては、右から氷結を繰り出し、左からは熱を放出する→左の炎はマスタング大佐の錬金術で再現→氷はどうすればよいか→自分で作ればいいじゃない!』
そこから下は氷の錬成を行う為の構築式が描かれていた。水の結合、氷塊のできる温度、そして熱の移動……氷を作る際の知識がそこには書かれていたのだ。色々と試行錯誤したのだろう、濃く書きずきた文字を消した跡が多々残っている。
ふと、その中の一つの消し跡の横に小さく文字が書かれていた。彼は目を細めて見てみると、『シャーペンって実質炭素の塊だよな?」と書かれていた。恐らく炭素の錬成はここから派生したのだろう。
そういった細かく書かれた式の最後には、完成品として描かれた《水》と《氷》の錬成陣があった。
彼は窓の向こう側の景色に目を向ける。外にはどこまでも続く青空が見えた。
もしかしたら、
…………………
…………
………
……
…
「どうやら、ここのようだな……」
走り出して数分後、彼らは指示された場所へと着いた。その現場には、少量の粉状の何かが太陽の光に照らされてキラキラ光っていたのと、その現場の片隅にカタカタと小刻みに震えている少年が体育座りで座っていた。
「君、大丈夫か?」
彼はすぐ様少年の側に駆け寄る。彼が駆け寄ると少年はゆっくりと彼の方に顔を向ける。その顔は今にも泣きそうで、何かに怯えた表情であった。
「れ、蓮……蓮にぃが……」
「蓮にぃ……?」
少年はカタカタと怯えながらも、彼に向けて薄暗い道の先を指さした。
「……黒服さん、この子を頼む」
「分かりました」
彼は少年の頭にそっと手を添えると、すぐに立ち上がって指し示された道へと駆け出した。
走る最中、彼は思った。道のど真ん中で光っていた粉は何なのか、と。
(あれは多分、蓮司が錬成した
あれが氷だと確信すると、道の先の一点に太陽の差し込めた場所を見つけた。その場所に彼は
「っ!!」
状況を理解した瞬間、彼は両手をパンっと音を立てながら合わせて、そのまま地面に両手を叩く。
叩いたその時に周りに光が迸ったと思うと、地面や壁から無数と言える程の柱が二つの影へと伸びていく。
「!!」
悠々と立っていた一つの影は、迫りくる柱に気づき床を蹴って後ろへと後退する。後退した瞬間、影が立っていた場に柱が直撃した。その直撃の衝撃により、もう一つの伏せていた影が何か液を垂らしながら吹き飛ばされる。
「う、うぅ……!」
「……こいつは」
吹き飛ばされてきた影を間近で見た彼は、驚嘆の声を上げてしまう。
顔は苦悶の表情を浮かべて、右腕で力強く左腕を抑えており、その抑えられた左腕は途中でプツンと途切れていた。
紛れもない、純を攫った誘拐犯だ。
それでは、その向こうにいる人物は一体誰なのだろうか。
彼は悶え苦しむ彼女を一瞥すると、すぐに視線を謎の人物の方に向ける。視線の先には土埃が立ち込めており、視認する事は困難な状態であったが、次第にその土埃も風によって段々と晴れていく。
そして、完全に晴れた時に彼が目にしたのは。
「……!?」
全貌が露わになった瞬間、彼は全身のが逆立ったのを感じた。その感覚は、彼が元いた世界で幾度となく感じたモノだ。
「蓮司……じゃないな、お前」
「ほう、流石に分かるようだな。ホーエンハイム……お父様の片割れよ」
彼は目線は変えずにすぐ様戦闘態勢に移る。それを見た蓮司(?)はあいも変わらず悠々と立ち尽くしていた。
「その左目……てことはお前、
「如何にも」
そう発言した蓮司の身体をした
彼の示した左目……そこには竜の紋章–––ウロボロスの紋章が刻まれていたのだ。
「我が名は《ラース》。憤怒の名を冠する
「ラース、ねぇ……?」
彼は思わず頭を掻いた。そして訪れたのは–––
–––たった一つの静寂。今この場には弱々しい風が吹いているだけ。遊園地特有の人の賑わう声も、ましてや二人の交わす会話も無い。
「……」
「……」
彼ら二人の距離は、倒れ伏した誘拐犯を中心に綺麗に保たれていた。もし二人が一斉に駆け出し衝突したら、誘拐犯はひとたまりもないだろう。
しかし、そのような出来事は起こる事はなかった。
「……ん?」
二人の距離を保つ彼女の近くに、何やら小さな黒い丸が出来ていた事に、彼は気づいた。その黒い丸は時間が経つにつれて、どんどんとその面積を拡げていた。
この時、ホーエンハイムの脳内である一つの仮説が立った。
「……まさか!?」
彼は思わず上を見上げる。その瞬間だった。
彼が見上げるよりも早く、何かが空から降り落ちてそのまま誘拐犯の側に着弾。着弾の瞬間に地面が振動し土埃が舞う。それにより、距離が保たれていた二人の視界が遮られてしまった。
「なんだ急に!?」
あまりの出来事に彼は思わず声に出して驚いた。そして、土埃が口の中に入ってしまったのか、彼は咳をしながら膝を着いてしまう。
「オンナの、肉ぅ……♪」
「い、いや……来ないで…!もうやめて!……イヤァァァァァァァ!!!」
「!?」
微かに聞こえた誰かの声。どこかで聞き覚えのある声だと思った彼は目を見開く。そしてその次に聞こえた悲鳴により、彼は立ち上がってすぐ様土埃の中心に向かう。
「なっ……!?」
しかし時既に遅く、その中心にはもう誰もいなかった。あったのは大量にぶち撒けられた血液だけだった。
「クソッ!!」
彼は悔しさのあまり、近くの壁を思いきり叩いた。
あまりに唐突な出来事に頭がついていけて無かった。だが無理もない。空から何かが降ってきたと思えば、その何かが捕まえてようとしていた誘拐犯を攫うという前代未聞の出来事が起きたのだから。
「グフォ……!」
「!!なんだ!?」
何処に行ったのか周囲を探っていると、近くで謎の呻き声が聴こえてきた。声のした方に彼は身体を向けると、そこには武器を支えにしながらも、膝を着いて蹲る蓮司の姿が。よく見てみると地面には小さな血溜まりが作られている。
「ぐ、ぐうぅ……」
「おい、大丈夫か!?」
彼はすぐに蓮司の側に駆け寄る。蓮司からはもう先程の殺気は感じられなかった。
「もう…時間、か……」
「あぁ?」
か細い声で蓮司は何かを発した。
「やはり『貸借』ではこれが限界か……やはり『代価』を支払わなければ……ぐっ!」
「た、貸借?何の事だ……?」
彼が疑問に思っていると、蓮司の片腕が彼の胸ぐらを掴んだ。掴んだ蓮司の顔は所々に汗をかき、吐息も途切れ途切れである。
「いいな……?この身体は貴様が守り抜け……お父様の片割れ、ホーエンハイムよ……さもなくばこの街が…
「……お、おい!?」
蓮司は謎の一言を残すと、胸ぐらを掴んでいた腕は地面へと落ち、その身体も地面に音を立てて倒れてしまった。
その時、ホーエンハイムはある事に気付いた。
蓮司が倒れる寸前、彼の左目にあったウロボロスの紋章が消えていた事に。
………………
……………
…………
………
……
…
「……ってのが、事の顛末だ」
「……な、何だそれ……」
つまり話を纏めると……俺は犯人の腕ぶった斬ったけど、その犯人は別の誰かに拐われて行方不明。そんですぐに俺は意味深な事を言って気を失った……いやいや、全然信じらんねぇ。
「てか、アンタの狙いがそもそも分からん。犯人がどんな奴なのか分かってた風だったし……」
「あぁ、それか」
彼はよっこいせ…と小言を呟きながら立ち上がると、机の上に置いてあった鞄から再度漁り始める。俺が何を取り出すのか目を細めていると、彼は一つのファイルを取り出した。
「数日前、弦巻財閥の設置した監視カメラにあの誘拐犯が映ったんだ」
そう言いながら彼はファイルの中から一枚の写真を取り出した。その写真には深く帽子を被った人物が。
間違い無い。コイツは純を攫った誘拐犯だ。
「コイツの名前は『
「は?」
そこ大事な所だろうが、何忘れとんねん。眼鏡かち割るぞ?
「まぁそんな顔しないでくれよ。…話を続けるぞ?……年齢は21歳で、高校時代からアイドルグループで活動をしていたらしい」
「あ、アイドル?」
「あぁ、アイドルだ。……だがつい半年前、所属していた事務所から突然脱退。そのまま急に行方不明になったらしい」
ほう、突然の脱退……仲間とトラブルが起きてなのか、それともアイドルとしてしてはならない事をしてしまったのか……そこら辺から今回の事件と関係している可能性が微レ存……?
だが妙だ。アイドル云々を取り除いて一つだけ妙な所がある。
「……映ってるのは犯人だけど……映ってるからってコイツをマークしてた、ってのは可笑しくない?行方不明になった人が映ってたから?」
いくら相手が元アイドルで、しかも半年間行方不明の人物だからといって、今回の事件起こす犯人だと事前に察するのはかなり無理がある。……だけど
「まぁ確かにそれもあるが……ここ、コイツの右手を見てくれ」
すると、彼は俺の疑問に答えるように写真の一点を指差した。俺はその指された一点に視線を寄せる。
見てくれったって、ただ右手を握ってるだけ……じゃ……?
「……何だ?」
俺はその握り締めていた右手から少しだけ飛び出していたソレを凝視する。
握り締められていたソレは、写真越しからでも異様さが分かるくらいに妖しく光っていた。……それはもう
「……これって、まさか」
「あぁ、紛れも無い……
……おいおい嘘だろ?何でこの世界に賢者の石があんだよ?だってこの石の材料って……うぇ、想像しただけで吐き気を催すわ……。
「驚きだろう?……でもそれだけじゃない」
えぇっと……あぁこれこれ、と彼が再度ファイルを漁って何かを取り出した。取り出されたのは先程とは別の写真。その写真は何処かの路地裏だろうか、とても薄暗い場所だ。その中に一人の人影が。
その人影の特徴としては、頭髪がスキンヘッドで、全体的に丸っこい何処ぞの暴食のホムン……
「ってこれグラトニー!?」
「あぁ。よく分かったな?」
よく分かったなって……こんなの分からない方がおかしいだろ。めっちゃ丸いし。スキンヘッドだし。それで丸いし。人差し指咥えながら立ってるし。あと丸いし。とにかく丸いし。
「この写真はあの遊園地で撮られた写真だ。……これで分かっただろう?
「……ふーむ」
……取り敢えずは誘拐犯が黄夕実だって分かっていたのは理解した。けど……。
「納得はしたけど、これ俺の質問に答えてなくない?」
「えっ?」
「いやだからさ、アンタの狙い。アンタはこの世界で何してんのって話」
「……あー」
いやあー、じゃないよ。まさか質問の内容よく解ってなかった感じなの?酷いわぁ……え?俺にも語弊があった?知らん知らんそんなの。
「すまんな、勘違いしてた。……で、俺の目的ってヤツを知りたいってのか?」
「イエス」
それ最初から言ってます。早く答えて下さいよ(ハイバーせっかち)
「……こうして面と向かって話すのはちょっとあれだが、まぁいいか」
彼はそう言いながら、取り出した二枚の写真をファイルにしまい、そのファイルを丁寧に鞄へと戻した。
「さっきも話した通り、この街に
「……ある事ってどんな事よ?」
「それは教えん」
「えぇ?」
そこは普通話すでしょぉ?気になるじゃ〜ん、教えて欲しいよ〜。教えて教えて〜(過去最高のかまってちゃん)
「そんな顔されても教えないからな?」
「……チッ」
「おい今舌打ちしただろ?」
……はて、何の事だろうか?別に俺は、凄い勿体振らせておいて返ってきたのがよく分からん答えだったから舌打ち、なんて事はしてないぞ?するもしたらとんでもないクズだな、HAHAHA。
「……っと、もうこんな時間か」
「あれ、もう帰るの?」
ふと気になったのか、右腕に付けていた腕時計を確認した彼は、慌てるまでとはいかないが早々と帰る支度を進め始めた。
「少し寄るところがあってな。……ちなみにお前はあと数日は入院だからな?」
「ハァ!?ウッソだ……っつう……」
ヤッベェ、暴れそうになると身体に激痛走るの忘れてた。いってぇ。
てか俺まだ入院してんのかよ。夏休み終わりそうな勢いな気がするぞ?
「おっとぉ、その状態じゃまともにテレビもつけられないか。……ほい」
俺の激痛に悶え苦しむ様を見兼ねてか、机に置いてあったリモコンを手に取りテレビの電源ボタンを押してくれた。
「じゃあ安静にな」
「ういー……あ、ちょっま」
俺がある事に気づき彼を呼び止めようとしたが、時既にお寿司。……じゃなくて遅し。彼はとっくに扉を閉めてこの部屋から居なくなってしまった。
……せめてニュース番組じゃなくてアニメ見せてよ。……あ、でもお昼時だからアニメなんもやってないのか。しゃあねぇ、ヒルナン○ス観るか。……ハァ。
…………………
……………
…………
………
……
…
正直に言おう。テレビ見飽きた。
あれから2時間ぐらい経ってもう番組がヒルナン○スからミヤ○屋になっているのだが……。いかんせん面白くねぇ。最近の事故とかもうどうでもいいよ。
『それでは次のニュースです』
「はぁ、またニュースかい」
そろそろ夏の特番!みたいなのにしてくんねぇかな?何度も言ってやるよ。ニュースは見飽きた!
『今日未明、山沿いの道路で車が謎の事故を起こしました。車は綺麗に三等分に切られており……』
「……?」
と思っていたら、何やら面白そうなニュースが。
なになに?車が三等分?ほうほう、それは奇妙なり。どれ、拝見してみようかい?
『……死者は車の運転手である女性一人。女性はお盆による帰省により実家へと戻っており、その実家から帰宅中に事故遭われた模様』
「ほえー、お盆で実家に……か」
確かきーやんがお盆で親戚の集まりがあるとか言ってたっけ。ふぇ〜、世の中は怖いねぇ。
『実家に住まわれている女性のお母さんによると、子供を連れてこちらに来ていたと証言しており、警察は子供の行方を追っています』
あらら、子供も連れてたのか。でも何処に消えたんだ?その子供。謎だなぁ。
『ちょいちょいミヤタさん。被害者の名前とか出てないの?』
『あっ、すんません今言いますね』
すると番組内で誰かが名前が出ていない事に気づいて、司会のミヤタにその事を伝えていた。
あ、確かに。普通被害者の名前とか出すもんなぁ。……あれ?これ情報番組として駄目じゃね?ネットで荒れそうな予感()
『えっと、被害者の名前は––––』
–––俺は、この次に司会が発した名前を聴いた途端、先程までの余裕が一瞬にして無と化すこととなる–––
『如月 智子さん、42歳。そしてお子さんの方が
「……え?」
この時の俺は酷く動揺していた。
出された名前が、何とも不思議な事に親友の名前だったから。
「……うそだ」
それでも俺は、全く別の……名前が一緒なだけの赤の他人だと自分に言い聞かせた。
だってそうしないと、俺が壊れてしまいそうだから。
「違う、だってアイツは……」
けど、現実は甘くは無かった。
「あんな元気してたじゃ……!?」
次の瞬間、画面に写し出されたのが–––
「……ぁ」
親友の……きーやんだったのだから。
おいおい、大晦日に7000字以上の文章書くヤツがいるらしいぜ←
あ、あと報告です。最近Twitter始めました。ユーザー情報欄のとこにTwitterアカウント貼っとくと思うんでフォロー宜しくお願いしやす!!
それでは、良いお年を。
RASのメンバーを出したいと思っとるんだけど、誰が最初に見たい?
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