どうも、錬金術師で女の子の友達が多い転生者です 作:シュリンプ1012
第四章、始まるよー!
別れの時はいつも唐突に来るもんですよ、えぇ
『–––14時20分発、ドイツベルリン行きが間も無く発着致します。お乗りのお客様は、2番ゲートよりお急ぎ、ご搭乗下さい』
「おっと、もうこんな時間か」
鳴り響くアナウンスを聞き入れて、彼は左腕に着けた腕時計を視認した。
「……本当に行くんだなぁ」
「お仕事、頑張ってね。アナタ」
「あぁ……蓮司の事、頼んだぞ。桜」
すると、母さんと彼はしばらく見つめ合うと互いに顔を近づけて、軽い口付けを交わした。
なんだこの熱々カップル?しかも二人とも満足そうにしちゃって……一応息子の前だという事を忘れないでほしいのだが。
「フフ!!帰ってきたら、またご馳走しなきゃ!!」
「まぁでも、どうせ肉じゃがでしょ」
「「
「あでっ」
お熱いお二人さんからチョップ食らった。まぁまぁ痛ぇ。特にこの金髪男。少し強めにチョップしたな?母さん軽めだったのに対して強めに入れたな?帰ってきた時覚えてろよ?
「お前なぁ、肉じゃがは桜の十八番なんだぞ?」
「や、やめてよアナタ//恥ずかしい//」
「……はぁ」
なんだこの熱々カップル?(二回目)あれ?この二人何歳?もう30超えてるよね?あれおかしいなぁ、二人とも若々しいような……まさか俺の記憶改竄されちゃってる?……まぁどうでもいいけど。
「……蓮司」
「ん?」
「元気にしてろよ?」
「……それはこっちの台詞」
まぁでもいい台詞ではあるな。感動的でもある……だが無意味だ。だって頭ポンポンして子供扱いしてるもん、無に帰しちゃったよ。
「じゃあ…な」
彼は名残り惜しそうに微笑むと、そこそこ大きめの鞄を軽々と持ち上げ、そのまま2番ゲートに歩み始めた。
「いってらっしゃい!」
「……いってら」
その後ろ姿を見ていた俺と母さんは、別れの言葉を告げる。もう人混みへと紛れ込んだ彼だったが、俺たちの言葉が耳に入ったのだろう、振り向かずに只、手を振ったのだった。
…………………
……………
…………
………
……
…
あの日から……きーやんの死後から約一年程が経った。
あの日から約一年、色々な事があったよ。退院した後にホーエンハイムから稽古的なモノをつけてもらって、凄い錬金術……いや、錬金術とは言わないかな?まぁ取り敢えず凄い技を教えてもらって……
あ、あと驚いた事があったんだけど、ショッピングモールで会った松原がいた事を覚えているだろうか。実はあの子、同じ学校の花咲小に通っていたことが発覚したんだよ。
いやもう廊下でぼけーっとしてたら後ろから声掛けられて、振り返ったら松原が居たんよ。ホントビックリしたわぁ。あっちも半信半疑だったらしくて声掛けるの躊躇ってたんだと。
あぁそれとベース。ホーエンハイムの稽古と同時進行で練習してたんだけど……一通り弾けるようになったわ。いやぁ母さんも「この一年でこれほど……なんて恐ろしい子ッ!!」ってやりながら凄い嬉しがってた。いやぁ、なんか親孝行してる感あって俺も嬉しかったわ、うん。
「蓮司、なんで嬉しそうにしてるの?」
「え?……あー、いや別に」
危ねぇ危ねぇ、思わず顔に出てたよ。
今さっきまで何をしていたかというと……まぁ簡単に言えば
なんでも仕事の方で急な呼び出しがあったらしく、そっちに飛んで行かなきゃいけないんだと。
しかも聞いた話によると、3年ぐらいは帰って来れないんだと。3年後って俺高校生になってるかなってないか位だよね。ワーイハナノコウコウセイダー(棒)
「……あっこら!車の中で寝っ転がっちゃいけません!」
「うぇーい」
まぁそう言いつつちゃんと座んないんだけどね。あと母さん、運転中は後ろ向いちゃ駄目でしょ。見るならバックミラー越しにして、事故るよ?……え?ちゃんとシートベルト締めろって?ハハハ、何を言ってる、ちゃんとしているよ。
「……いやでも暇だなぁ」
移り変わっていく建物の景色を、興味無さげに眺めつつ俺は小さく呟いた。
寝っ転がりながら外の景色眺めるのもそろそろ飽きてきた。ゲームなんて持ってきてないし……持ってる物って言ったら、いつも常備してる錬成陣とかそんぐらいだし……
「……?どしたの急に止まって?」
「う〜ん、渋滞に捕まっちゃったわ……」
「ありゃりゃ……」
本当だ、めっちゃ渋滞起きてるよ。まぁ確かに、ここら辺って空港からそこそこ近いから、起きやすいっちゃ起きやすいか。うーん、どうしようか……
「ごめんね蓮司。家に着くまで寝てても良いわよ?」
「んじゃあ、お言葉に甘えて」
起きててもあんま意味ないからね、仕方ないね。着いたら多分、母さんが起こしてくれるから寝よっと。……いやしかし、起きてもまだ渋滞の中だったらどうしよ。……まぁそん時はそん時ってことで。おやすみなさ––––……
……あ?
「っ!!」
「きゃっ!?ど、どうしたの蓮司?」
突如として俺の肌に微かな電流紛いなモノが奔った。その反動で俺は、運転席の方に身を乗り出す。
このピリピリとした感覚……
「……」
「れ、蓮司……?」
遠くで蠢く
「ちょっと!?急に飛び出して危ないわよ!?」
「いいから母さん、早く車から出てきて!!」
ドンドン近づいて来てる–––!?
「もうっ蓮司!早く戻っ「こっち!!」きゃあっ!?」
車から出てきた母さんの手を俺は掴み、そのまま後方へと走り出す。
ヤバい、非常にヤバい。早くこの場から母さんを離れさせないと……!なんか分からん
「え、何々?」
「何走ってんだあの親子?」
俺たち二人が車と車の間を駆け抜けていくのを不思議に思ったのだろう、殆どの車から人々が顔を覗かせた。
「おい!アンタらも早く車から–––」
出ろ、っと言おうとした刹那。
ザクッ、と音が鳴り響いた。
「!?」
突然、地面から無数の
俺たちのことを疑問に思っていた人々は、車と共に何が起こったのか分からないと伝えるような表情をしながら、縦状に身体を裂かれていった。
「はっ……?」
切り裂かれた身体から噴き出される血飛沫が、俺の頬に付着する。
それでも尚、俺はその状況をただ、唖然と見るしかなかった。
「……うわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
血飛沫の次は爆風。車を貫く際にモーターやら何やらも一緒に破壊したのだろう、その爆風で俺と母さんは後方に吹き飛ばされてしまった。幸い、渋滞だったとはいえ後方に走っていたので、吹き飛ばされてすぐ車に衝突……なんて事にはならなかった。
「うっ!?」
しかしながら、吹き飛ばされたのは事実。俺は地面に背中から着地し、飛ばされた勢いを残したまま転がり続け、最終的にはガードレールへと衝突してしまった。
「くぅっ…」
全身に激痛が巡る。まるで、身体が炎で焼かれているみたいだ。特に背中。地面に思いっきり打ち付けたからだろうか、ジンジンと痛む。はっきり言って、今の俺は立てるかどうかも怪しいラインだ。
「っつぅ…クソ、何がどうなったんだ……?」
少し息を整えて痛みを和らげた所で、ガードレールを支えに俺はゆっくりと立ち上がる。
ほんっとに、何が起こった?急な出来事に理解が追いついてねぇよ……取り敢えず周囲のかく…に……ん……!?
「なんだ何だ!?爆発か!?」
「うぇぇぇん!!お母さぁぁぁん!!!」
「誰か、助けてくれ……助けてよぉ……!」
「……マジで、どうなってんだ…?」
俺の視界に映ったのは、地獄そのものだった。
横転してしまった多くの車台。不自然に盛り上がったコンクリートで舗装されている筈の道路。その道路から吹き飛んだと思われる瓦礫の数々。細々となったそこにあったのであろう建物達。車に関しては数台が炎に焼き尽くされていた。
さらには、その瓦礫などの下敷きになった血だらけの人々や、燃え盛る車台の中に鎮座する人間だったモノ。所々から聴こえる怨嗟の声……辺りからは血生臭いモノが漂っていた。
「……はっ!?そうだ母さん、だいじょ…」
見た事も無い光景に呆気にとられていた俺だったが、数秒のうちに我に返った。そしてすぐ側にいる筈の母さんに俺は声を掛けた–––のだが。
「……うぅ」
「……あ、あれ?」
そこには母さんではなく、下半身が瓦礫に埋れてグッタリと倒れている女の子が。見たところまだ意識はありそうである。
「だ、大丈夫か!?」
「……痛い、よ…おねえ…ちゃん……」
俺の声に反応して彼女は閉じていた瞼をゆっくり開き、アメジストの瞳を顕現させた。だが、反応した彼女の瞳はあまりにも虚で、正確に俺のことを見れていない。
……とすると大変だ。あまりにも痛いのか幻覚を見てる。取り敢えず傷を
俺は腰に巻いてあるウエストバックを漁る。バックの中には、折れてはいるがちゃんと書けるであろう白チョーク数本。そして柄の先に紐の束が巻かれた、鋼鉄製の
「ちょっとじっとしてろよ?」
俺は瓦礫の山に一つの錬成陣を描き、そのまま陣へと触れた。
すると、瓦礫の山は周囲に雷光を走らせたかと思うと粉々に分解された。それにより、少女の下半身にが露わになる。
「……おっとこれは」
露わになった少女の脚を見てみると、左太腿に小さな鉄柱が突き刺さっていた。その傷口を中心に血溜まりがどんどんと広がっている。
巻き込まれた建物の鉄骨が砕けて刺さったのか?貫通はしてないが、このままじゃ大量出血で死に至る……それに、適した治療をしても完治に相当の時間が掛かるだろう。
でも、あの技なら……
「うぅ……」
痛みに耐えているのだろう、彼女は喉の奥から血反吐を吐きながらか細い声を上げる。
考えるよりもまずは行動を起こせ、だ。
俺は先程確認したバックから、クナイを5本取り出す。そして手に持っていたチョークで綺麗な正円を描き、クナイ達をクナイ同士の幅が均等になるように……尚且つ円の上で正五角形を描くように地面へと刺していく。
次に俺は、彼女の脚に刺さる鉄柱を抜く為、ゆっくりとソレを握る。
「……ふぅ、落ち着いていけよ俺」
背筋に冷ややかな雫がゆっくりとなぞり落ちる。
……実はこの技、あの人に教わったばかりで実戦形式で試したのは数回–––ましてや医療関係で使った事なんて一、二回だ。……本当は医療で役立つ技なのに。
「いくぞ……!」
ゆっくりと、深く刺さる鉄柱を上へと抜く。すると、彼女の傷口から鉄柱と共に血が跳ね出した。
「イィ!?」
「うっ……!?」
だが、今まで感じたことのない感覚だったのだろう。俺が鉄柱を引っこ抜こうとすると彼女は身体を痙攣させ、鉄柱から俺の手を引き離してしまった。
……ダメだ、やっぱり不安だ。もし失敗したら絶対にリバウンドが返ってくる。それは別に自分の方に来るのならまだいい。
だけれど、少女の方にソレが起きたりしたらどうすれば良いのか。もしそうなったらこの子はこれ以上に酷く……下手したら死……
––––蓮司!!
「!!」
突然、俺の頭の中で一人の男の子の声が鳴り響いた。
とても聴き慣れた声。それでいて、もう聞く事は絶対に無いであろう悲しい声。
……そうだよ。何寝ぼけた事考えてんだ俺は。俺はあの日決意したんだろ?
きーやんの死を聞いて
麻弥ちゃんの涙に濡れる顔を見て
俺は決心したんだろう?
俺は、錬金術という特別な力を神様から授かった。
それで俺は浮かれたのだ。誰でもなんでも、いつ如何なる時でも助ける事が出来るって。
でもそれは違った。そんな戯言を垂れていたのに、遠く離れた場所で消えた幼馴染を助ける事が出来なかったから。
だから俺は考え直して、そして決めたんだ。
幾万もの人々を助けられないなら
遠くで泣き叫ぶ悲痛な人々を救えないのなら
ただ一つ……
「我慢してくれ…!ふんっ!!」
「アァ!?イィィァァッ…!!」
俺は再度鉄柱を握り、筋肉で締め付けられるソレを力強く上へと引き抜いていく。彼女も再び訪れた激痛に逃れようと、またも身体を揺らした。
痛いだろう、そうだろう……!俺だってこんな事したくない……けどここは俺も心を鬼にしなければならない。
我慢だ。
俺も。この子も。
どちらも、助かる為に。
「アァァァアアアッ!?」
「ふぅらァァァァッ!!」
ズシャ、と傷口から抜けた音がした。
「よしっ抜けた!あとはこのまま」
出血で塗り潰される前に陣に触れ…て……?
待てよ?引っこ抜く時にも大量に血だしてたよな?……あっ!
「まさか…!?」
鉄柱を引き抜いた反動で後ろへと体勢が崩れる中、俺は彼女の下に設置してある筈の陣へと目を向けた。
……良かった、奇跡的に汚れてない。もし一滴でも血が混じると術が発動できなくなるからな。
けど、不味い。このまま俺が尻餅ついてタイムロスになったら、傷口から血が大量に噴き出すことに……そうなりゃ陣も使い物にならなくなるし、何より本当に彼女があの世行きだよ。……クソ、何も考えずにそのまま陣に触れていればよかった……!
「…まだぁ!」
しかしながら、こんなところで終われまいと叫ぶ俺の心が俺の右脚を一歩引かせ、倒れ込みそうな姿勢からの脱却を試みた。
「……いっ!?」
だがここで連続して不幸な事が起きた。なんと右脚が地面に接触した際、その右脚から激しい痛みが生じたのだ。
クッソ痛ぇけど、チャンスだ。ここから踏ん張りつつ……!
「……ウラァァァ!!」
俺の身体が突然、前のめりになる。それも当然、俺は
俺の眼前には、今まさに溢れんとする大量の血液が傷口から滲み出ていた。その前に、血が溢れる前に……と願いながら俺は前傾姿勢のまま手を伸ばす。
目指すは、彼女の下の錬成陣。
「あああああああっ!!」
「ぬぅぅおーーっ!!」
悲鳴と雄叫びが交差する。
その中で俺は、遂に指先で陣へと触れる事ができた。
そして、俺は心の中で感じ取る。
彼女の中で流れる
–––錬丹術を発動させた。
正直迷ったよ?主人公に錬丹術を使わせるの。
別に原作みたいにマルコーさんみたいな医療系錬金術師がいるんだから、錬丹術いらんくね?とは思ったよ。
けどそこは浪漫で押し切った(語彙力)
RASのメンバーを出したいと思っとるんだけど、誰が最初に見たい?
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レイヤ
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ロック
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マスキング
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パレオ
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チュチュ