どうも、錬金術師で女の子の友達が多い転生者です 作:シュリンプ1012
これで、ラスト。
「弦巻先生!」
「分かってるよ!……ったく、なんで急にこんな…!」
午後4時頃のある病院にて。白衣を纏う女性が汗を流して走っていた。
「ふざけんじゃないよ…!こっちは娘と久々に遊べると思ったのに!!」
「先生!愚痴愚痴言わないで下さいよ!」
「あぁもう!分かってる!!」
彼女がこうして怒りを露わにしているのにも訳があった。それは時を遡る事一時間前の事だ。
彼女は久方ぶりに、家で愛する娘と笑い合いながら過ごしていた。
仕事では味わえない開放感。娘の笑顔を見るだけこんなにも満足できるとは……と、荒んだ心を潤している時だった。
『お母様!お電話よ?」
『あらこころ。ありがと♡』
娘が家の電話を指差して教えた。気分が高揚していた彼女は娘を一度抱きしめて、電話の受話器を受け取った。
『もしもーし♡』
『先生!?先生ですか!?』
『……はぁ、なんだアンタか何用?今日私休みの筈だけど?』
電話相手は病院で共に仕事をする仲間であり、彼女の部下であった。それ故に、内容が確実に仕事に関係すると見越して気分がダダ下がってしまう。
『貴女テレビ見てないんですか!?』
『……テレビ?』
ふと言われて気がついた。確かに今日一日テレビを付けていない事に。まぁ、それ程までに娘との遊びにずっと付き合っていたのだ。無理もない(彼女から遊ぼうと話しかけたが)
『テレビ、テレビ……あ、こころ!テレビつけてくれない?』
『はーい!』
丁度娘であるこころの近くにリモコンが置いてあったので、彼女は娘にテレビを付けるように促す。
『え!?ちょっ、先生!?娘さんそこにいるんですか!?』
『あん?別に良いだろいたって舐めてんのか』
『いやそういうことじゃなくて––––』
『お母様!つけたわよ?」
『あら、ありが––』
『…あ!たった今別の救助者が運ばれてきました!』
『……なっ!?』
「本当に、うちのこころが泣くところだっただろうが!」
「いや、あれは先生がいけませんって!」
テレビの内容は、あまりにも残酷な物だった。
首都圏で起きた突然の
テレビをつけたこころは、瞬時に現れた黒服達にその報道を見ることがなかったので、珠子は心の内で良くやったと黒服を称えると同時に、部下がこのタイミングで電話をしてきた理由を理解したのだ。
「しっかし、負傷者連れ込むのはいいけど、流石に多すぎるぞ……」
「そ、そうですね……この量は流石に…」
目の前に広がる惨劇にどうしたもんかと悩む珠子。すると……
「先生!!また負傷者です!」
「ぬっ!またか……!」
別の部下がまた別の負傷者を搬送してきたのだ。
「ったく…別の病院に連れていけなかったのか…!!」
「そ、それが…あまりにも重症で……現場に近かったこの病院に……!」
「重症…?」
ここにいる奴らもそこそこの重症なのだが……と心で突っ込むも、そんな事言ったら医者の免許剥奪されるなぁと思い留めた珠子。
そして、運ばれてきた重症の子供の素顔を見ようと、自分の顔を覗かせる。
珠子はギョッと、目をひん剥いた。
「嘘……」
乱れた呼吸によって白く濁る呼吸器。包帯で止血された右肩。
「蓮司……?腕が……!」
早く助けなければ。
「早くコイツを手術室に!!」
「えっ!?ですが先に……」
「大至急だ!!コイツだけは絶対に……!」
––––珠子、アイツの事、頼んだぞ。
「コイツだけは絶対に死なせては駄目だ!!」
この時初めて、彼女は焦りを露わにした。
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「はぁ……」
時は進んで、ある冬の日の事。
寒さに負けない程の活気に溢れた商店街。その一角に営む『山吹ベーカリー』にて、少女が一つ溜息をついた。
「お姉ちゃーん?」
「……ん?どうしたの?紗南」
客のいない店内で一人頬杖をついていた彼女に、妹である紗南が声をかける。その顔は心配そうに見つめていて。
「最近のお姉ちゃん、なんだか寂しそうだよ?」
「……うーん」
妹にそう言われて考える素振りを見せながら、彼女は目線を外に向ける。外では曇り空にも関わらず、弟が友達と仲良く遊んでいた。
「別に、なんともないよ」
「でも……「紗南」」
「だいじょーぶ」
心配する妹の頭を撫でる彼女。だが、大丈夫と言った彼女の表情はとても寂しい物だった。
姉の顔を見て益々心配になった紗南だったが、その姉に半ば無理矢理に店の奥へと運ばれてしまい、渋々と母の下へと駆け寄りに行った。
店内に、また静寂が支配する。
「……あ、雪」
再度外を眺めると、空から綺麗な白玉が降ってくるのを確認した。
とても綺麗で透き通った雪。窓越しでも分かるその良さは、彼女にも理解出来た。
その上で、彼女はある人物と一緒に見たいと感じてしまった。
「……蓮司、何処行っちゃったの?」
突然と消えた、初恋の相手を。
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「モカー!待ってー!!」
「わー、ひーちゃんが追いかけてくるー」
「ひまりー、こけるなよー?」
ある公園にて。幼馴染5人が仲良く遊んでいた。
しかし、そのうちの二人はベンチに腰掛けて3人の遊ぶ様を見ている。
「モカちゃん達、楽しそう…」
「なら、つぐみも一緒に遊ぼうよ」
つぐみはそう言われたが、首を縦には振らずに下に顔を向けてしまった。
「私、今そんな気分じゃなくて……」
「……やっぱり、アイツの事まだ気にしてるの?」
アイツと言われて、今度は縦に首を振った。それを見た蘭は、眉間にシワを寄せる。
「もう、あんな奴の事忘れた方がいいって。……なにも言わずにどっか行った奴のことなんて」
「そんな事言わないであげてよ……蓮司くんが可哀想」
「つぐみ……」
つぐみは、半年前まで遊んでいた男子を思い出す。
彼女はいつも、彼のそばにずっといた。他の幼馴染と一緒にいる時も。パン屋の娘と一緒に遊ぶ時もずっと。帰る時が来るまでずっとそばにいた。
けれど、そんな彼はもう、そこにはいない。
「……蘭ちゃん。やっぱり遊ぼ?」
「えっ……?」
「……なんだか、動きたくなっちゃった」
そう言って、彼女は微笑む。
「あ!皆雪が降ってきたよ!!」
哀しむ顔を、皆に見せない為に。
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「ふぇぇ…ここどこぉ……?」
ある歩道にて。道に迷う女の子がいた。
「ど、どうしよう……他の人に聞かなきゃ…」
一人歩きながら呟いた彼女は、道を通る一般人に声をかけようとする。だが……
「……やっぱりむりぃ…」
肩を叩く直前に一歩引いてしまい、一般人はそのまま歩き去ってしまった。ガクリとその場で崩れる少女。
「……はぁ、やっぱり蓮司くんがいないと…」
そして今度は、有りもしない事を口に出した。
ずっと前まで一緒に行動を共にした一つ年下の男子。後輩ではあったものの、その勇ましさは凄まじく、彼女はいつも彼に頼っていた事が殆どだった。
「……ふぇぇ…」
だけれど、頼りなる彼は今はいない。
雪が降り積もる中、彼女は唯々、涙を流しそうになるのを堪えるしかなかった。
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「……暇だなぁ」
ある家のリビングにて。ソファにくつろぎながらテレビを見るしょがいた。片手にはお菓子を抱えて。
『……あの災害から半年。私達は数十人もの犠牲を出してしまいました』
「……そっか、あれから半年かぁ」
テレビのアナウンスを聞いて、明日香はお菓子をポリポリとかじりつきながら呟く。テレビで話された災害にて、彼女もまた、被害者の一人だった。
「結局会えなかったなぁ」
そんな災害の中、彼女は一緒に行動を共にした男の子を思い出す。
「今なにしてるんだろ……」
あの時、自分を救ってくれたヒーロー。それでいて、姉の窮地を救ってくれた恩人でもある彼の事を想う。
怪物と対面した彼に言った言葉。それだけは彼女は今も覚えている。
「蓮司……そういえば名前しか聞いてないや」
その心を感謝の気持ちで埋め尽くしながら、雪で遊ぼうとじわじわと近寄ってくる姉に気づかないまま、彼女は目蓋を落とした。
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「––!––––!!」
ある家のある部屋にて。ドラムを一心不乱に叩き続ける少女がいた。
「ハァ、ハァ……」
息を上げてもなお、その腕を止めようとはしない。
「クッ……!」
止めてしまえば、嫌でも考えてしまうから。
「うぅっ……!!」
ずっと近くいると約束してくれた、彼のことを。
「!痛っ!!」
遂に限界に達したのか、その手からスティックがこぼれ落ちてしまった。
「……あぁ」
麻弥は、こぼれ落ちた物を拾おうとはせず、ただ、じっと、椅子に腰掛けて息を整えている。
「……」
不意に、視線がある机の方に向く。
それは蓮司と一緒に作成した詩がしまってある机だ。
「……果たせなかった」
彼女の口から歌詞の一部が再生された。
「約束を抱いて…」
それは、たった一つ完成していた曲の歌詞。
「二人、歩き出す……」
彼女の目元から、一つの滴が溢れる。
「うっ、うぅ……!!」
それがトリガーとなったのか、次第に溢れる滴の量は膨れ上がり、遂には涙となった。
「なんで……!二人とも……!!」
自分の下から消えた、幼馴染二人を想いながら。
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「遂に、この日が来たか」
ある街のある病院にて。青年は男の子の肩を叩いて話しかける。
「ここまで長かった。いやしかし、医学の進歩にも改めて驚かされるなぁ、うん」
自分の顎に指を乗せて、ここまでの半年間の苦行を思い返す。
「まぁと言っても、辛かったのは君だろう?
蓮司と呼ばれた少年はクスリと微笑みを青年に返す。
「そうですね。やっぱ半年は早すぎだし、辛かったですよ。でも……」
「でも?」
「……早く自由に動く
「それは錬金術のためかい?」
少年の決意の台詞に、彼はあえて当たり前の質問をした。
「えぇ。早く
「おやおや、これは熱心なお子さんだ。まだまだ小さいのに」
「……先生?あとで覚えといてくださいね?義手付け終わったらすぐに殴りにこかりますから」
「おお怖い怖い。短気なのはストレス発散が出来てない証拠だぞ?」
「そりゃあずっと手術してましたもん」
「……それもそうか」
すると青年は「さて」と一言残して、部屋の奥に消えてしまった。部屋に取り残された少年は一人、窓の向こうを眺める。
「……ったく、うざったい位に輝いてんなぁ」
「確か、あっちでは今冬だったか?」
「おぉ?それが例のブツですかい?」
奥へと消えていた青年がある箱を持って再度部屋に戻ってきた。その箱を少年は嬉々として見つめる。
「はしゃぐな、子供でもあるま……あっそっか、子供か」
「あ?殴るぞ?」
危険発言と投下した少年だったが、コホンと一つ咳払いをして気を取り直した。そして、筋肉質な左腕だけでその箱の蓋を外した。
「おぉ……!」
中にある物を目にした瞬間、彼はますます目を輝かせた。
「早速、準備に取り掛かろう。蓮司、いいね?」
「勿論…!」
「では少し待っていてくれ」とまた一言残して、箱を置いて今度は階段を使って下へと下っていた。
「さて、いよいよだ」
またも一人となった少年は、息を吸って吐いての深呼吸を繰り返す。そして……
「俺は……この『眼』に見合う男になる…!」
ひだりの眼を押さえて、箱の中に収められた
義手–––––
さて、なんか前書きでラストとか何とか書いてありますが……
当然!まだ続きます!!
というのも、このまま高校生篇を始めてしまうと、自分の予想的に百話超える可能性があるんです。
そんなのどうでもいいと思う人がいるかと思いますが……自分が百話超えた作品を作るのは嫌だなぁと思いまして……。
なので区切りとしてこの作品を完結とさせまして、また別のタイトル作品で始めようと思っています。
自分勝手で申し訳ないと思います。最近お気に入り登録してくれた方々も本当に申し訳ございません!
長々と話してしまいましたが、次回の作品にも丹精込めて(?)より良い作品にして行こうと思いますので、これからも宜しくお願いします!
あ、この作品のお気に入り登録は切らないで!!完結にはしますけど要所要所にストーリーを組み込んで更新しますので!!
では!!
RASのメンバーを出したいと思っとるんだけど、誰が最初に見たい?
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レイヤ
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ロック
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マスキング
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パレオ
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チュチュ