黒死牟殿の弟子   作:かいな

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演出珠世

 夏の訪れを感じさせる温かい風が吹く夜の事。

 俺はその店を訪れた。

 

「あぁ~……もっとだ! もっと酒持ってこい!」

 

「あんた、ほどほどにしときなよ?」

 

「良いって良いって! 兄貴、俺ぁまだ飲めるぜ!」

 

「おうおう、飲め飲め!」

 

「もう! やっちゃんもあんたもしょうがないんだから……」

 

 既に店内は騒がしく、酔っぱらいたちが各々楽しそうに食事をしていた。

 当たり前の幸せを、当たり前の様に享受している光景だ。

 俺はそれが何より尊いものだと思っている。

 

「……」

 

 鬼が居なくなってからは余計に、そう思う事が増えた。

 

 だからこそだろう。

 俺はそんな、目の前に広がる当たり前の幸せに……どこか強烈な違和感を覚えたのだ。

 

 ◇

 

「痛っ……なんだてめぇ」

 

「……すみません」

 

「おい待てよ!」

 

 暗い路地裏。酔っぱらいが一人の女性に絡んでいた。

 

「すみません。急いでおりますので……」

 

「あんた俺に当たりに来てただろ……ムカつくぜ。青白い顔しやがってよお。今にも死にそうじゃねぇか」

 

「……」

 

 すれ違う時にどこかぶつかったのか、三人の酔っぱらいの内の一人が喚いている。

 その内容はあまりにも一方的で、無茶苦茶な理屈だった。

 酔っぱらっている故か、女性に絡んだ彼はとても気が強くなっているようだ。

 

 一瞬即発の空気が流れる。

 

「やめなよ」

 

「……ああん?」

 

 故に──俺が割って入った。

 

「んだてめぇ……って、何だその腰の刀! 侍でも気取ってんのか!」

 

 久しく感じる事の無かった戦闘の兆し。

 全集中の呼吸により開かれた感覚が鋭敏に情報を感じ取る。

 気配は……五つ。

 

「……」

 

「……何とか言えやゴラァ!!」

 

 男の連れ添いの男女二人組は、特に俺や女性に興味を向けることなく動向を見守っていた。

 できればそのままずっと見守ってくれているとありがたい。あまり刃を振るいたくはないから。

 

 俺は喚き散らす酔っぱらいの男を傍目に、腰に差してある刀を抜き放った。

 淡い空色をした刀。それは薄暗い路地裏に差し込む月の光を反射し、妖しく光った。

 

「……お、お前マジで刀を……? あ、頭おかしいんじゃねぇか!?」

 

 そして刃を見せた瞬間、酔っぱらいの態度が急変した。

 まさか本当に刀を持っているとは思わなかったのだろう。

 今まで動向を見守っていただけの男女二人組も、酔っぱらいの男を庇う様に前に出てきた。

 

「おい……てめぇ、頭おかしいのか? ただの喧嘩に刀持ち出すなんてよ」

 

「そうだそうだ!」

 

「お、おいあんた! こんなのと関わっちゃいけないよ! やっちゃんも!」

 

「……」

 

 そんなに何度も頭おかしいとか言われると流石に傷つく。

 何時の間にか俺の方が悪者のようになっていた。

 

「……早くここから出た方が良いよ」

 

「この期に及んで脅しまでするのかてめぇ! そこ動くんじゃねぇぞ! 直ぐに警官呼んでやる!」

 

 俺の言葉をどう受け取ったのか、彼らは今までの絡みっぷりはどこへやら。さっさと表通りへと逃げていった。

 警官を呼ばれるのは困るが……まぁしょうがないか。

 

「……」

 

「……」

 

 そして彼らが去った後。

 自然残されたのは、俺と先程まで絡まれていた女性だった。

 

「あの、ありがとうございます……」

 

「気にするな」

 

「……あの、それおもちゃですよね?」

 

 女性がおずおずと俺に話しかけて来たかと思うと、伺うように俺の刀の事を尋ねてくる。

 

 さて、彼らが本当に警官を呼んだとして……後どれ程で来るだろうか。

 酔っぱらいの証言を本気にするとも思えないが……しかし一応確認のために来る可能性はある。

 そんな事を考えながら……先程まで絡まれていた女性に目を向ける。

 

 妙齢のうら若き女性だ。

 

 だが……確かにあの酔っぱらいの言う通り、肌が病的に白い。

 そして何より目だ。目の瞳孔が猫のように縦長になっている。

 

 これらの身体的特徴は鬼の特徴に近い。

 

「……」

 

「……」

 

 風が凪ぎ、嫌な沈黙が辺りを包む。空気が張り詰める。

 彼ら三人の気配が消え去り……残る気配は二つ。

 

「やはり居るな。……そこか」

 

「!?」

 

 それは殆ど反射の領域だった。漠然と感じていた違和感をもとに腕を振るう。

 しかし刀には確かな感触が有り……何かを斬っていた。

 

「っ、珠世様!!」

 

 直後、何も無かった筈の空間から男が現れる。

 やはりいた。先ほどから感じていた気配は二つ。一つは女、もう一つは血鬼術で隠れていた。

 

 ああ、これで彼らが鬼である事が確定的になってしまった。

 

 ──お館様は鬼舞辻無惨が討たれれば、全ての鬼は滅されると予測された。

 そして事実、鬼が消滅した所を観測した鬼殺隊隊員も居る。けれど彼らは依然としてここに存在している。何故彼らは滅されていない。

 彼らを迎え撃つように、正面に構える。

 

「お前!」

 

 現れた男は女性を庇う様に立つ。彼も気配からして……鬼か? 変な感覚だ。

 消えていたのはあの女の鬼の血鬼術か? それとも男の方か? 

 

 いや、今は鬼の存在そのものを疑っている暇は無い。俺の背後には人通りの多い道が有る。ここで対処しなければ人に害が及ぶ。

 

「俺は……柱だ。二人がかりだろうと貴様たちを滅する位は訳無い」

 

「っ、珠世様……!」

 

 男の方の鬼は、牙を隠さずに俺を威嚇する。

 反応からして、俺の脅しは上手く機能しているようだ。

 

 今のところは順調だ。とは言いつつも……さて、どうしたものか……。

 

 考えを巡らしつつ、俺は()()()()()を握りしめたのだった。

 

 ◇

 

 兆候というものは、有ったと思う。

 およそ十年ほど前から私を探る目が減ったように思える。

 いや、最早減ったという話ではない。

 

 鬼の殆どが消え去った。

 

「珠世様。ご飯でも食べに行きませんか?」

 

「ご飯……ですか? ですが愈史郎、態々そんな人目につくような事は……」

 

「いえ! 最近の鬼舞辻無惨の動きを探るためにも必要だと思います! 決して珠世様とお食事がしたいという下心からでは有りません!」

 

「愈史郎? 最後のは別に言わなくても良かったのでは?」

 

 そういう風に言われても困ってしまう。彼が私に並々ならぬ感情を向けてくれているのは分かるけれど、私は一体どういう表情をすればいいのだろう。

 

 愈史郎……私が鬼にした青年。

 

 私は彼と一緒に、鬼を人に戻す研究をしている。

 

 ──私が鬼になったのはもうずっと昔の事。

 病により床に臥し、もう余命も幾ばくかと言ったころ……あの男は現れた。唯一、人を鬼にする事が出来る存在、鬼舞辻無惨。

 奴は私にこう言った。

 

『女。随分と苦しそうだ。明日にでも死んでしまいそうだ。名前は何という?』

 

『珠世か……良い名前だ。珠世、どうだ? 生き永らえたくないか?』

 

 それは、当時子供の将来を見守れないことに絶望していた私にとって、仏様が差し伸べてくれた救いの手に思えた。

 

『ああ……これは夫と……子供も食ってしまったのか。だが悔やむ事は無い、貴様は人を超えた存在に至ったのだ』

 

 しかし気付けば、私は見守る筈だった子供を食い散らかしていた。

 あの男は鬼になる事の副作用を黙っていた。私は食欲に抗えず、自身の子供と夫を食らっていたのだ。

 

 私は取り返しがつかない事をしてしまった。あのまま死んでいればよかった。

 

 差し伸べられた手は仏のものでは無く、まさしく鬼が差し伸べた手だった。

 

『何をそう怒る事が有る? 既に貴様の肉体は永遠となった。これ以上の喜びは有るまい』

 

 いけしゃあしゃあと宣うあの男に、気付けば私は逆らうことも出来なくなっていた。

 鬼舞辻無惨に逆らう事が出来なくなる。あの男が掛けた呪いだった。

 

 その後、私は我を失ったかのように人を食らった。

 何人も何人も、私は殺した。

 そうしていく内、私に血鬼術という超常の力が芽生えてくる。血を媒介として相手に幻術を見せる事が出来る血鬼術。応用の利く血鬼術に目を付けたあの男は、私を自身の側近として使うようになる。

 はっきり言って地獄の日々だった。考えは読み解かれ、逆らう事すらままならない現状。

 そんなあの男への恨みすら霞がかってきたころ。

 

『貴様……そうか、あの男の……だが、呼吸を使う剣士には()()()()()()()

 

 彼との初めての出会いは、神との対峙に近かった。

 

 彼は圧倒的な生命力に満ち溢れていた。

 太陽が発する光を彷彿とさせる青年だった。彼の放つ光が、鬼となり人を食らった私やあの男すら温かく包み込もうとしていた。

 

 そんな、鬼の天敵である太陽を彷彿とさせる彼に対して、あの男はあまりにも無防備に攻撃を開始した。

 鬼として……生命として、頂点に立つ実力を持つあの男が腕を振るう。まさしく必殺の一撃と言えるだろう。

 しかし彼はそれをゆるりと避けたかと思うと、瞬き一瞬の内にあの男を小間切れに斬り裂いていた。

 

 今までの鬼狩りの剣士などと、比べるまでもない実力だった。

 

 私は……私は何時になく高揚していた。

 常であればそれこそ一瞬の内に傷を癒している筈のあの男の傷が癒えない。

 あの男も自身に何が起こっているのか分からぬ様子で困惑していた。

 

 その異常事態が……もしやという気を高めさせた。

 

『何が楽しい? 何が面白い? 命を何だと思っているんだ』

 

『……』

 

 あの男はあの時、完全に敗北していた。

 陽の光を思わせるあの青年……縁壱さんに。

 

 後ほんの少しだった。

 あの男の命がもう終わろうとしたその時だ。

 アイツは……鬼舞辻無惨は全身の肉体を勢いよく弾けさせ、逃亡した。

 

 あまりの光景に呆然とした。

 どう言う事だ。頸を斬られたと言うのに。まさか……頸の弱点を克服していたと言うの? 

 

 縁壱さんは飛び散った肉片の殆どを斬り伏せたが、それでもあの男は逃げ延びた。

 私が死んでいないのがその証拠だった。

 

 私は慟哭し、倒れ込んだ。

 

『もう少し……もう少しだったのに……』

 

 怒りとあまりの喪失感から、私は禁忌を犯そうとしていた。

 

『死ねば良かったのに! 生き汚い男!! 鬼舞辻無惨……!!』

 

 鬼舞辻無惨が全ての鬼にかけた呪い。

 それは絶対服従以外にも存在する。あの男の名を口にしてはいけないのだ。口にしたが最後、鬼の細胞が暴走し、その鬼を殺すのだ。

 私はその禁忌を破った。

 しかし。

 

『……死なない……何故私は死なない?』

 

 何故か、私は死ぬことは無かった。

 どう言う事だ? 異常事態の連続に取り乱しそうになる。

 

『……落ち着いてほしい。一体何が有った?』

 

 そんな私を、当の縁壱さんが宥めてくれた。

 私は未だに混乱する頭で、ある一つの仮説にたどり着く。

 

『まさか……呪いが弱っている? 鬼舞辻無惨が死に掛けて衰弱しているから……』

 

 そうして体内を探って見ると、常とは違う感覚が有った。

 鬼の細胞の中でも特に酷く弱った細胞が有る。額の中心、脳の中央の細胞だった。

 これは……まさか、これが鬼の呪い? 

 この呪いの細胞が弱っている間は情報を漏らしても殺されないのか? 

 

 その事を確認するかのように、私は縁壱さんに鬼舞辻無惨についてのありとあらゆる情報を渡した。

 ……そして、恐らくあの男はもう、縁壱さんが死ぬまでは姿を現す事が無いであろうことも。

 

 あの男の本質は臆病者だ。常に付きまとう死の匂いから逃れる事しか考えていない。

 故に、死の間際まで追い詰められたあの男が縁壱さんの前に姿を現す事は決してない。

 

『……そうか』

 

 その事を伝えると、彼は能面の様な表情をピクリとも動かさずに私に協力を求めてきた。

 意外だった。私は今すぐにでも殺されるものだと思っていたから。

 

 けれど、それは願っても無い申し出だった。

 あの男に復讐する事が出来る。

 

 今回の事で私は鬼の呪いを解く方法の切っ掛けを掴むことが出来た。たとえ時間がかかろうと……絶対に呪いを解いていやる。

 

 そしてあの男を殺す。

 

 今まで霞がかっていたあの男への恨みが胸の内からあふれてくる。

 

 そうして彼と別れてからほどなくして、自身にかかった呪いを解除することに成功した。

 鬼の体を研究していく過程で、何度も自身の体を研究し改造し……結果として私は、人を食らわずに血のみで生きていけるようになった。

 そしてとうとう、人間を鬼にする事に成功した。

 それが愈史郎。

 彼もまた、人の血のみで生きていける鬼。

 

 私達は今、医者として生活している。貧しい人たちから少しずつ血を売ってもらいながら、鬼舞辻無惨を倒すため、鬼を人に戻す薬を開発している。

 鬼舞辻無惨に見つからないよう、場所を変え姿を隠して。

 

 ──けれどある時、ちくりとした違和感を覚えた。

 額の中央、鬼舞辻無惨の呪いが有った場所。

 

 本当に少しの違和感。けれどどこか覚えのある感覚に私は心が揺らいだ。

 鬼からの監視の目が全く無くなり。鬼狩りの方々の姿が、浅草という人が集まる街からすら消え去ったという現状。

 

「……そうね、愈史郎。少し外に出ましょうか」

 

「……! はい!!」

 

 愈史郎は聡い子だ。きっと彼も感づいている。

 鬼舞辻無惨が討たれた、という事に。

 

 そして今。

 

「珠世様……!」

 

 柱であるという青年に、私達の姿を捕捉されてしまった。

 

「……」

 

 柱……鬼狩りの中でも上位の実力を持つ剣士。

 私達はそれほど鬼狩りの方々を知らないけれど、彼らの存在は知っている。

 他の鬼狩りの剣士の多くは鬼に殺されて行くばかりであるが、柱の剣士は違う。下弦程度の力を持つ鬼であれば殆ど瞬殺できるほどの実力。

 

 私達が一番出会う事を避けていた剣士。

 

「……」

 

 彼は、今まで見てきた鬼狩りの剣士とは比べ物にならない重厚な様、威厳すらある。

 恐らくは相当な使い手。怖気が止まらない。体が戦闘を拒否している。

 

 本当に、一人だけで私たちを殺しつくしてしまいそうだ。

 

「お前たち……名は何という」

 

「! ……俺は……愈史郎。お前に教えてやる名前はそれだけだ」

 

「……まさか、愈史郎!?」

 

「……貴方は早く逃げてください。最初から……食事に誘った俺が悪かったのです」

 

「……そんな!」

 

 本気だ。本気で愈史郎は……。

 彼は懐から血鬼術の媒介となる札を取り出し、私に貼り付けようとしてくる。

 

「待ちなさい! 愈史郎!!」

 

「……待て。お前たちが逃げる前に聞きたい事が有る」

 

「あんな鬼狩りの言葉に耳を傾ける必要は有りません。さあ急いで──」

 

「お前たちは何故死なない……鬼舞辻無惨は既に死したと言うのに」

 

「!?」

 

 予想はしていた。けれど、鬼狩りの剣士の口からその言葉が出てくるという事は──。

 

「──そうか。やはり存在していたのか……鬼舞辻無惨の支配から逃れた鬼が」

 

「……え?」

 

 そして立て続け様に語られた内容は、私達の思考に幾ばくかの空白を生み出した。

 

「──!?」

 

 その空隙を穿つかのように、柱の剣士はこちらへと駆け出した。

 

「──愈史郎!」

 

「っ、はい!」

 

 私は愈史郎が差し出してきた札を受け取ると、それを体に取り付ける。

 逃げるつもりは無い。そもそも、あの剣士は愈史郎の血鬼術を初見で看破していた。

 ならば──。

 

惑血・視覚夢幻の香

 

「! これは──」

 

 柱の剣士をどれだけ足止めできるかは分からない。

 けれどこれで確実に隙は作れた。

 

「……男も消えた……」

 

 その間に愈史郎も消える事が出来た。

 このまま最大出力で血鬼術を使い、術の濃度を上げ幻術の強度を上げる。

 その隙に逃げる……! 

 

「……この特殊効果……初見だ。面白い……」

 

 私達がいざその場を離れようとした、その時だった。

 

水の呼吸 陸ノ型『ねじれ渦』

 

 柱の剣士は小さく跳ねたかと思うと、その場で異様な速度で回転しだした。

 その渦は風を産み、私の惑血を飲み込んでいった。

 

「な……!?」

 

 私が血鬼術を見せたことなど殆どない。つまりは完全なる初見の技。誰であろうと十秒は確実に稼げたはずなのに。

 なのに……あまりにも対応が速い。

 侮っていた訳では無い。けれどこれが柱の剣士……! 

 

「──そこか」

 

「あっ……」

 

 回転を終え着地した柱の剣士は、見えていない筈の私達の方を確実に向いていた。

 そして──。

 

「っ、逃げ──」

 

 彼の振るう刀は、まず愈史郎の札を斬り裂いた。

 愈史郎は姿が見えようと柱の剣士に組み付こうとするが、流れるような動きで足払いされ、地面に叩きつけられる。

 

「あっ……」

 

 そして、次の瞬間には私の額の札を斬り裂いていた。

 

 現代の鬼狩りの剣士がここまで実力を付けていたなんて。

 縁壱さんには遠く及ばないだろう。けれど、当時の柱を優に凌駕する実力だ。

 

 駄目だ。私の血鬼術や身体能力では決して太刀打ちできない。

 場が騒然としている場所であればどうとでも対処できただろうが……柱の剣士たちは五感が鋭い。真正面から消えた所で何の効果も得られない。

 

 駄目だ。詰み、だ。

 私はその瞬間、生き残る事は諦めていた。どうにかして愈史郎だけでも逃してあげたい。その一心だった。

 

「……」

 

「……?」

 

 けれど、柱の剣士は何故か私に止めを刺す事は無かった。

 ただ一言。彼は呟いた。

 

「その能力……壇上で生かしてみないか?」

 

「……え?」

 

 何を言っているのか、さっぱり分からなかった。

 

 ◇

 

「へいらっしゃい! ご注文は!?」

 

「……」

 

「……」

 

「鮭大根一つ」

 

「鮭大根一つね!!」

 

 俺は先程捕らえた鬼たちを連れ、先程の飯屋に戻っていた。

 

「おい! お前どういうつもりだ……!」

 

「どうもこうも無い。お前たちの血鬼術を是非舞台の上で使って欲しいのだ」

 

「だから! 何故そうなる!」

 

 席に着くなり、男の方……愈史郎と言ったか。彼がまくしたてる様に俺に問いかけた来た。

 

「簡単な事。お前たちに危険性が無いと判断したからだ」

 

「……お前、もしかして俺とこの御方を馬鹿にしているのか?」

 

「……先の言はお前が思っているような意味で言った訳では無い。すまない」

 

「……」

 

 やはり、意識していても人の神経を逆撫でるような言葉が出て来てしまう。

 俺はやはり、黙った方が良いのだろうか。

 最近は胡蝶もいつもうんざり顔で俺の話を聞いている。

 

「先の言葉の意味は単純明快。お前たちは人を襲わないと、そう判断したという意味だ」

 

「……なに?」

 

「『この国一番の侍』を、知っているか?」

 

「……何故いきなりそんな噂話を──」

 

「待ちなさい愈史郎。ここからは私が話します」

 

 と、彼の名前を口に出した瞬間、女の方の鬼の態度が変わった。

 

「っ、で、ですが……!」

 

「私を気遣ってくれてありがとう、愈史郎。でも大丈夫です」

 

「……はい」

 

 女の鬼の方がそう言うと、すぐに愈史郎は引っ込んだ。

 やはり鬼としては異質だ。鬼同士でここまで交流しているなど。

 

「……申し遅れました。私、珠世と申します」

 

「元鬼殺隊、冨岡義勇です……」

 

 そして何より、鬼と言うには理性的だ。

 やはり……鬼舞辻無惨の支配から脱して自己を確立した個体なのだろうか。

 

「冨岡さん。先ほどおっしゃっていた侍というのは……本当に存在していたのですか?」

 

「ああ。ちなみに、その噂というのはどこまで知っている?」

 

「……そう、ですね。私達が知っている範囲だと……鬼に育てられた少年が、鬼の遺言によって鬼狩りを始め、鬼達を追い詰めている、という話です」

 

「なるほど。概ねその認識で正しい。彼は上弦の壱、黒死牟に弟子入りし、その黒死牟が死した後に国中の鬼を狩り始めた」

 

「……」

 

 上弦の壱、という単語と黒死牟という名を聞いた瞬間、珠世の目が大きく見開いた。

 

「上弦の壱……黒死牟? あの剣士はそこまで至っていたの……?」

 

「? 何を言っている」

 

「……いえ。私は過去、黒死牟が鬼となった瞬間に立ち会っていましたので」

 

「何?」

 

「当時……何百年も前の事ですが、鬼舞辻無惨の側近として仕えさせられてましたから」

 

「なる……ほど」

 

「すみません。話の腰を折ってしまって。お話を続けてください」

 

 衝撃の事実だった。

 黒死牟が鬼となった時から鬼舞辻無惨に仕えていただと? 

 戦国時代からは生きているという訳か? 

 俺は言葉を失いつつも、話を続ける。

 

「……そして、彼は鬼を狩り続け……遂には成し遂げたのだ。鬼舞辻無惨の討伐を」

 

「……そう、ですか」

 

 珠世殿は、鬼舞辻無惨が斃されたと聞くと何とも言えない表情となった。

 

「……恨んでいたか? 鬼舞辻無惨を」

 

「……はい。とても。……殺したいくらいに」

 

「……」

 

 やはり、か。

 鬼舞辻無惨の支配から解き放たれると言うのは、やはり並大抵の事では無いのだろう。

 少なくとも鬼殺隊の方で前例を確認したことは無い。皆例外なく鬼舞辻の奴隷だ。

 

「お前もやはり、鬼舞辻を恨んでいたのか?」

 

「あ? 俺か? 何で貴様の質問に答えねばならない!」

 

「……」

 

「だがまぁ……珠世様の表情を曇らせ続けているという一点では果てしなく憎い。殺してやりたいくらいだ」

 

「……なる、ほど?」

 

 その何とも言えない理由に思わず首を傾げる。

 つまりは……珠世への愛の力で鬼舞辻の支配から逃れたという事か……? 

 凄いなそれは。

 

「ともかく、だ。珠世殿の危険性の無さは、その彼が教えてくれた」

 

「!? どう言う事ですか? 『この国一番の侍』と私が……会った事が有ると?」

 

「そうだ」

 

 そう言って、俺は書物を差し出す。

 これは彼の数少ない私物の一つ、対峙した鬼の特徴を書き留めた日記帳だ。

 

「これは……」

 

「これは日記帳だ。彼が出会った鬼の事を書き留めてある。それの最後のページを見て欲しい」

 

「……」

 

 珠世殿は、俺が渡した日記を開いた。

 

 ◇

 

 一人。私が出会った鬼の中でも特異な鬼が居た事を記しておく。

 私が何時も通り鬼の匂いを辿り、鬼を狩ろうとした時に彼女と出会った。

 彼女は医者として人の中に潜伏していた鬼だった。

 この様に人の職業を模して潜伏している鬼は非常に多かった。中でも医者という職業は人と密室で接触する機会が多いため、これもまた捕食に適している職業と言える。

 彼女もまたその様な鬼だと思い、私は怪我をしたふりをしてその院に潜入した。

 彼女と正面切って出会ってすぐに気づいた。彼女から鬼特有の匂いが薄いという事に。

 血の匂いもするが、それもまた薄い。違和感を覚える中、彼女の診察を受けているとまた一つ気付く。

 匂いが薄すぎて見落としてしまいそうになるほどの鬼の気配。彼女と、そのもう一体の鬼が診療所に居たのだ。

 しかし彼女達はあまりにも血の気を感じさせなかった。それこそ医者というのは血の匂いが付きまとう職であるが、彼女が漂わせる血の匂いは、そこから少々匂いが濃くなった程度。もう一人に限って言えば、診療所に入る瞬間まで一切気が付かない程度の鬼の匂い。

 大きな違和感を覚え、彼女を斬る前に、暫く彼女の下に通うことにした。

 そして何日か周辺の鬼を狩りながら彼女達の動向を探ってみたが、一向に人を襲う事は無く、至って普通の医者として生活を続けていた。

 更に何日か経ち、遊郭に居た上弦の陸を討伐した後も特に動きが無く、そろそろ彼女達を倒すかどうか決めなければならなくなってきた時。痺れを切らした私は直接彼女に接触することにした。

 方法は簡単だ。彼女の前に血まみれかつ刀も何も持たずに会うのだ。運が良い事に、上弦の陸戦で上空から叩き落とされそうになった時の傷が有るため、偽装をする必要は無かった。

 そして、彼女の前に立った。

 

 ◇

 

「! だ、大丈夫ですか……!?」

 

「……いたいです」

 

「すぐに応急処置をしなければ……まだ歩けますか? 無理なら背負っていきますから。私の診療所まで頑張って耐えてください」

 

 彼女は、一も二もなく私を助けようとした。

 私は鼻が利く。彼女の行動が善から来るものか、悪から来るものか、嘘をついているのかも分かる。

 彼女は……。

 

「愈史郎! いますか!?」

 

「──はい珠世様!! 俺はここに!」

 

「すぐに治療の準備を。急患です」

 

「はい!!」

 

 彼女からは、とても優しい匂いがした。

 優しくて……どこか姉に似た匂いがした。

 

 結局、傷だらけの私をそばにおいて一日経っても、私を食べようとする素振りなど一度だって見せなかった。

 普通の鬼であれば、一も二もなく食いつくと言うのに。

 

「……目が覚めたみたいですね。でも無理をしてはいけませんよ。酷い傷ばかりでしたから」

 

「……」

 

「……何か、酷い事が有ったの?」

 

「……」

 

「……辛いなら、幾らでもいてくれて大丈夫ですからね?」

 

 久々に入った布団の中は、とても暖かかった。

 

「……ちっ。早く傷を治してけよ。俺と珠世様の二人の時間が少なくなる」

 

 もう一人の、鬼の匂いがとても薄い彼は、文句を言いながらも決して私を追い出そうとはしなかった。

 裏も表もなく、私を介抱してくれた。

 彼女達は。

 

「今日はゆっくり、休んでくださいね?」

 

 彼女達は……鬼なんかじゃない。

 

 人間だった。

 

 ◇

 

「覚えているか? 彼の事を……」

 

「……」

 

 覚えている。

 確かに覚えている。一度目は普通に私の診療所を訪れて、暫くしたら傷だらけの血だらけで現れた()()の事は。

 怪我が治っていないと言うのに、明日の朝にはどこかに消えてしまっていた。

 お金と一緒に置かれていた手紙には、もう大丈夫だと書いてあったけれど、あの怪我で動けるわけがないからととても心配していた。

 

「あのいけ好かない女ですか。確かに居たなそんな奴」

 

「愈史郎!」

 

 何故彼はこう、酷い言い方をしてしまうのだろう。

 私は愈史郎をたしなめつつ、冨岡さんと話を続ける。

 

「……では、冨岡さんはこれを見て……」

 

「そうだ。彼が出会った者の中でも異例な存在だったため、特に記憶していた」

 

「……あの、少し良いですか?」

 

「なんだ」

 

「何故彼女の事を、彼と呼んでるんですか……?」

 

 そうだ。さっきから気になっていた。冨岡さんが彼、とばかり言うものだから、『この国一番の侍』は男性とばかり思っていた。

 本当にあの少女が『この国一番の侍』だと言うのなら、彼、ではなく彼女、と言わなければおかしい。

 

「……? いや、『この国一番の侍』は男だからそう言っているだけだが……」

 

「? いえ、私は彼女の体を診療しましたが、あの子は女性ですよ?」

 

「えっ」

 

 冨岡さんは本当に知らなかったとばかりに気の抜けた声を上げた。

 ……けど、それも仕方ないのかもしれない。

 

「確かに、彼女の体は……」

 

 そこまで言いかけた所で、はたと気付く。

 

「……いえ、何でも有りません」

 

 患者の体の事をおいそれと他人に漏らしてどうするというのだ。

 彼女は……彼女は、私の事を人間の医者と、認めてくれたと言うのに。

 医者失格だ、これでは。

 

「……そうか」

 

 冨岡さんも、私の重い雰囲気を察してか、それ以上追及してくることは無かった。

 

「話を戻そう。俺は彼……彼女の手記にその鬼についての記載を見つけた時、お館様に直ぐに尋ねに行った。するとお館様は、鬼舞辻無惨の支配を逃れた鬼ならば無惨が死んでも死なず、生きているかもしれぬとおっしゃった」

 

「……お館、様?」

 

「鬼殺隊を指揮していた御方だ。お館様の勘はよく当たる」

 

「……」

 

 冨岡さんは、しかし何より自信をもってそうおっしゃった。

 それは尊敬の念から来るもの。

 お館様……一体どのような方なのだろう。彼ほどの実力者にこれ程慕われているとは。

 

「今回、お前たちを確認した時より……彼女が言っていた人を食わぬ鬼の影がちらついていた。そして俺と戦う間も常に俺に殺意が向く事は無かった。故に、彼女が言っていた鬼だと断定した」

 

「……あの」

 

「鮭大根お待ち!」

 

「ああ、こっちです」

 

 繁盛しているからだろう。彼が頼んだ鮭大根が出てくるのは随分と遅かった。

 

「……それでも、危ないとは思わなかったのですか?」

 

 そうだ。

 この店は先程も、そして今も同じように繁盛している。

 

 今もすぐ後ろから楽しそうな声が聞こえてくる。

 

「くぅ~、やっぱ浅草はふぐが食えて良いなぁ!」

 

「天元様! あんまりふぐ食べてると毒当たっちゃう!」

 

「当たる! 良いじゃねぇか響きが派手だぜ! ド派手に当たろうぜ!!」

 

「いや、駄目ですって!?」

 

 ……いや、大丈夫なのだろうか。

 ちょっと耳を傾けた時に聞こえてきた言葉が医者として非常に不安だ。ふぐ毒は厄介だから。

 ともかく、ここは人であふれている。

 鬼狩りの剣士は民間人に危険が及ばないように戦うと聞いていたが……。

 

「俺が傍に付いている限りはその心配もない。血鬼術も殺傷能力は低い。保険も有る。万一が有れば斬るだけだ」

 

 斬る、という単語を聞いたとたん黙っていた愈史郎が反応するが、それを手で制する。

 

「では、もう一つ質問を良いですか?」

 

「ああ」

 

「何故舞台なんですか……?」

 

 今まで話を聞いていて、一切舞台の話が出てこなかった。

 何がどうなったら私の血鬼術を舞台に使うという話になるのだろう。

 

「……彼女の、最期の願いだからだ」

 

「……え?」

 

「彼女は鬼舞辻無惨を倒した直後、糸が切れる様に亡くなった。本人や鬼舞辻無惨の弁では寿命らしい」

 

「……まさ、か」

 

 そんな。寿命? 私が見た時にはそんな事には……。

 

「……彼女が亡くなる直前に、俺は立ち会えた。そして遺言として……彼女の師匠である黒死牟の名誉回復を任された」

 

「……名誉回復……」

 

「その方法として、彼女の物語を広めることにした。その方法として、劇をする事になった」

 

 あの少女が、黒死牟の名誉回復……。

 

「……」

 

 いたたまれない。

 黒死牟という男が何をしたのかちゃんと知っているのか? 

 上弦の壱だ。

 あの鬼舞辻無惨に一番評価されている男だ。

 その立場に上り詰める間にどれだけの殺戮が有った。

 

「……貴方は、それで良いのですか? 名誉回復の相手は、上弦の壱ですよ?」

 

「ああ。理解した上での行動だ」

 

「……」

 

「それに彼女も……その点きちんと理解した上で、その上で自分を救ってくれた黒死牟を救いたいと思っている」

 

「それは……」

 

「彼女の手記だ。もはや彼女の意思を知るにはそれしかないが……だが、彼女は確かに、最期の瞬間まで黒死牟を想っていた」

 

「……」

 

「俺は、その想いを汲んでやりたい」

 

 冨岡さんのその表情に一点の曇りもなかった。

 彼はどこまでも本気なのだろう。

 

 ……いや、鬼である私を、その劇のために引き込もうと言うのだ

 鬼殺隊の柱という最強の剣士まで上り詰めたこの青年が、そこまでしようと言うのだ。

 

「……分かりました」

 

「珠世様!?」

 

「良いのです愈史郎。そも、ここで断っても彼は私達を野放しにはしないでしょう。なら……鬼舞辻無惨を討ってくれた彼女に報いる為、動いたほうが良いでしょう」

 

「……です、が……」

 

「けれど冨岡さん。一つ良いでしょうか」

 

「なんだ」

 

「彼は……愈史郎だけは見逃してください」

 

 私は、冨岡さんに深く頭を下げた。

 

 ◇

 

「なッ、珠世様!?」

 

「彼は私が鬼にしました。少量の血を飲むだけで生きていけます。今まで人を食らった事は有りません。ですからどうか、彼は捕らえないでください」

 

「……」

 

 俺はちらりと愈史郎の方を見て、深く考える様に目を瞑った。

 

「……即答は出来ない。その話が本当かどうかも疑わしい。それにもし本当だった場合だろうと、柱相手でも戦える鬼をまるっきり野放しには出来ない」

 

「……そう、ですか」

 

「だが、お館様には進言しておく。上手く通れば、今まで通りの生活が出来るやも──」

 

「待て! 勝手に話を進めるな柱の剣士!」

 

「……」

 

「愈史郎……?」

 

 愈史郎。彼は出会って当初よりずっと気が強かったが、今の彼は今までよりもずっと息が荒い。

 激昂しかけている。

 

「珠世様! 俺は貴女と二人で過ごす時を邪魔する物が大嫌いだ!」

 

「愈史郎……」

 

「柱の剣士! その劇には俺も協力してやる! その代わりに約束しろ!! そして俺と珠世様の二人の時間を必ず取り戻すとな!!」

 

「……」

 

 俺は思わず目を見張った。その様な物を要求されるとは思わなかったから。

 けれど、愈史郎の今までの言動を見るに……余程珠世殿の事が大事なのだろう。

 自分よりも生きていて欲しいと思う相手が居る。俺はどこか、彼に共感を覚えていた。

 

「……分かった。俺の命を懸けてでも、その願いを叶えよう」

 

「ふん、本当だろうな」

 

「ああ。だが、少しやって欲しい事が出来た」

 

 そう言って俺は鮭大根をかきこんで、すぐに席を立ち上がる。

 

「俺はすぐに発つとする」

 

「……何?」

 

「予定が変わった。貴方達には……追って連絡を入れる」

 

「はぁ? お前何言ってるんだ?」

 

「愈史郎殿と珠世殿の二人の時間を作るため、その他諸々の処理をするため、必要な仕事が出来た」

 

「……」

 

「俺はこれから動くので、その間の連絡はこの鴉を使って行う」

 

 俺は外に待機させておいた鎹鴉を彼らに付ける。

 これで連絡もすぐに出来るし……何より、彼らが何か鬼としての動きを見せても即対応できる。

 そして極秘に、むきむきとしたねずみも少々。

 

「では、俺はこれで失礼する」

 

 そうして俺は店を出た。

 

 ◇

 

「その帰り際の書店で買った本が、この『火星の王』だ」

 

「……」

 

 懐から取り出した本を取り出しつつ話を続ける。

 しかしそれを聞くしのぶの視線は、極々シラーっとしたものだった。

 

「そして俺は彼らを舞台の演出として加える為、劇団を作る事になった」

 

「……」

 

「劇団を作る理由として一つ。規模を大きくするためだ。劇団として立ち上げればお館様も支援しやすいというのでな」

 

「はぁ……」

 

「また、彼らを劇団で監視する……という名目で柱の皆を引き込める。その為に三日後、柱の皆を集める手はずだ。上手い事皆引き込めれば凄い劇が出来る」

 

 むふふ、と口の端だけ微妙に吊り上げて笑うという器用な事をしながら、今までの長い話を締めくくった。

 

「これが劇団を作るに至った理由だ」

 

「……」

 

 しのぶは──。

 

「……はぁ」

 

 自分が彼の独特なノリに慣れて来てしまった事に、深く。深ーく、ため息を吐いた。

 


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