「さて、と。何をやるにしても資金調達しないとね。私とレンちゃんがいるからいくつかクエストをクリアして稼いでもいいんだけどぉ。」
ピトフーイは〇〇とレンの前を歩きながら、振り向き妙案があるように人差し指を横に振る。
「やっぱり、こういう世界だから1度は体験しないとね!」
そう言って、二人を連れてきたのはGGOの中でそれなりの人気を誇るスポット、そう、カジノである。
「ピトさん、流石に初心者にこれは・・・。」
「あら?逆に初心者だから体験しておいた方がいいと思うわよ。初心者なら所持金は最低限だけど全部失っても安いし、クエストに行けばまた直ぐに同額稼げる。勝てば初期所持金の何十倍、何百倍のお金を稼げるのよ?」
「いやいや、絶対ピトさん適当なこと言ってるでしょ!そもそも────。」
──ふふ、任せてよレン。僕はこれまでの人生で1度もジャンケンで負けたこと無いんだ。
「お、ノリがいいねぇ。それじゃあ早速行こうか!」
雰囲気に当てられたのか〇〇まで変なテンションでカジノに入って行く。
ピトフーイと〇〇を止められなかったレンは仕方なく、2人の後を追うのであった。
レンとピトフーイは知っている。
このゲームのカジノはRMTがある分、換金率が無茶苦茶悪いことを。
──────────────────────
・・・結果はと言うと。
──まさか、本当に勝ってしまうとは・・・。
結果だけ言うと、勝った。
勝利、大勝利である。
香蓮から聞いた話によると、このゲームのカジノはRMTというシステムがある以上、換金率が無茶苦茶悪いらしいが、それを考慮してでも莫大なお金を手に入れるほどの大当たりである。
──これがビギナーズラックというものか・・・!
「〇〇の所持金が今の私の何倍にも・・・・。これなら私も・・・。」
「あー、レンちゃん。その考えでギャンブルをするのは止めた方がいいよ。負け越して損する落ちが見えるから。」
──ん?そう言えば、あれも景品なのかな?
〇〇が指さしたのは景品コーナーに飾られてある。某ロボットアニメに登場するビー〇マグナ〇にそっくり、と言うよりほぼそのものであった。
〇〇の疑問にピトフーイが答える。
「あれも一応景品だけど、初心者が扱える代物じゃないから辞めた方がいいと思うけど。だってあれ、完全にビ〇ム〇グナムじゃん。」
「ビームマグナムってなに?ピトさん。」
「おっと、せっかく伏字を意識してたのにレンちゃんは無視しちゃうかぁ、まぁ、それもレンちゃんのいいところだけど。」
──えー、と。確か超高威力だけど燃費が悪くて普通のロボットなら1発撃つだけで腕が壊れるようなやつだった気が・・・。
「まぁ、そんな感じ、扱い的には光学銃だから、光学銃の実銃よりも軽いからSTR値が低くても扱えるっていうメリットがあるのに、この銃はSTR値が高くないとまともに撃てないだろうし・・・。いわゆるネタ武器だね。」
──だけど、ロマン武器でもある・・・!
「・・・ふっ。分かってるじゃん彼氏君!そう、GGOはロマン溢れる世界!不利は上等!効率なんてクソ喰らえだ!まぁ、トッププレイヤーを目指すなら必要だけど。そんなもの目指してなくて、エンジョイするだけなら全然アリ!」
「・・・ピトさんと〇〇なんか仲良くない・・・?」
──レンはどう思う?一緒にプレイする君の意見も聴きたいな。
「え、あ、私!?う、うん。いいんじゃないかな?それに〇〇言ってたじゃんSTR値とVIT値を上げてるって。スキルポイントはALOで使わない分沢山あると思うから、今から振り分ければ十分に戦えるようになるんじゃない?」
「なるほど、彼氏君はコンバート勢か、あげてる数値的にも狙撃銃が向いてるわけだ。私は交換してもいいと思うよ。最悪使えなかったら売りに出して元は取れなくても少量の金になるだろうし、初期配布の狙撃銃でも最初はそこそこ戦えるからね。」
経験者の二人の言葉に、なるほど。と納得した〇〇は交換することを決めた。
──分かった。二人がそういうんだったら多分大丈夫なんだろうね。交換してくるよ!
意気揚々と交換所に行き、〇ームマグ〇ムを交換する〇〇。一応正式名称はハイパーメガブラスターマグナムと、同じような名前が二つ重なったなんともトンチキな名称である。
交換する〇〇を見たプレイヤー達も、まさかそんなバカなことをと言わんばかりの表情で彼を見ていたが、〇〇はそれを全く意に返さない様子で交換する。
表情があまり変わらぬ交換所のNPCでさえもこれには苦笑いしているようにも見えた・・・。
──交換してきたよ!
新しいおもちゃを得てはしゃぐ子供のようにハイパーメガブラスターマグナム(以下HMBM)を見る〇〇。
「ふふっ、こういうとこレンちゃんとそっくりだねぇ。」
「えー?私ピーちゃん買った時あんな顔してたの?でも、〇〇と同じかぁ・・・。いい。」
「・・・ツッコミはもう良いかな。ていうか、私こういうキャラじゃないんだけど・・・。」
やれやれと言った顔でため息をつくピトフーイのことなどつゆ知らず、レンは話を切り替える。
「それじゃあ早速クエストに行ってみようよ。〇〇はGGO初めてだし、最初は簡単なクエストから行かないとね。」
「あー、それならいいクエストがあるよレンちゃん。」
「本当ですか!?ピトさん!」
──やっぱり最初だから小型モンスターの討伐とかですか?
〇〇がそう聞くと、ピトフーイはイタズラをする子供のような笑を浮かべてこう言った。
「そう、(君が持っている武器を使えば多分)簡単なクエストだよ。簡単な♪」
「・・・本当?何か含みがあるように聞こえるんだけど・・・。」
「そんなことないよレンちゃん。私を信じて?今まで私が嘘ついたことあった?」
「はい、何度も。」
「ひどぉーい(棒)。まぁまぁ、最悪私とレンちゃんが二人がかりでやれば直ぐに終わるクエストだから、ね、ね?」
即答するレンに大仰な仕草で嘘泣きをするピトフーイだが、10秒もしないうちにケロッとした表情に戻り手を合わせて頼むようにするピトフーイを、レンは冷めた目で見ていた。
──レン、僕は大丈夫だよ。GGOは初めてでもVRゲーム歴はレンより長いから。それに、いざと言う時はレンが僕を守ってくると嬉しいな。
「・・・・・・・・・・・あー、もう!〇〇にそう言われちゃ断れない!いいよ、ピトさん!行くよ!〇〇がダメージを受ける前に全部ぶっ倒してやる!」
被っていたピンクの帽子を深く被り直し、なにかに悶えるようにして、少しの沈黙の後、なにかが吹っ切れたかのように叫び、愛銃であるピーちゃんことP90を右腕で持つともう片方の手で〇〇の手を引っ張ってクエストカウンタへと歩き出した。
──お、とと・・・。ふふ、レンにあんな一面があったなんて驚いたよ。新たな一面を見れて僕は嬉しいな。
「〜〜///!!いいから行くよ!///」
「ちょっと待ってよレンちゃん。クエストの内容知っているの私なんだよ!」
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「ねぇ、ピトさん。私、簡単なクエストって言ったよね。」
「うん、言ったよ。だからちゃぁんと簡単なクエストを受注したじゃない。」
「まぁ、確かに簡単だよ。・・・だけどこれは私達にとって簡単なクエスト!!GGO初心者で尚且つ1度も使ったことの無い武器を持った〇〇に相手させるエネミーじゃないから!!!」
ボスエネミーから放たれるレーザーを躱しながらピトフーイに叫ぶレン。
彼女の言う通り、レベルもそこそこ上がっており、GGOの経験をそれなりに積んだプレイヤーにとって簡単な難易度である6mほどの蜘蛛を模した機械型ボスエネミー。
だが、このボスエネミー。通称イキリ殺しとプレイヤー間で呼ばれており、少し経験を積み、それなりにプレイできるようになって調子に乗った初心者上がりプレイヤーをその硬さと攻撃力で無慈悲に返り討ちする強さを持っている。危険なボスエネミーでもある。
経験者の二人は敢えて攻撃はせず、ヘイトを集める役割を担っているが、それでもボスエネミーから放たれるレーザーとミサイル攻撃は〇〇に流れ、その攻撃を避けるのに手一杯になっており、HMBMを撃つ余裕すらない。
「〜!!ピトさん!私あいつぶっ殺したい!!」
「だーめ、それじゃあ彼氏君のためにならないよ〜。していいのはアドバイスだーけ。」
「あー!くそ!!〇〇!ミサイル攻撃は3連続しかしてこないから必死で避けて!」
──っ!了解だよ!
「その次に真ん中のコアみたいなところから大きめのレーザーを撃ってくるから気をつけて!当たったら今の〇〇のステータスと装備じゃ一撃で死んじゃうから!でもそのあとは大きなチャージ動作に入るから撃つならその時だよ!」
──ありがとう!レン!
レンの言った通り、ミサイル攻撃が終わり、真ん中にある赤いコアのような物体が2、3回点滅すると、さっきまで足の先から放たれていた細いレーザーとは違い、大きく、着弾した地面が抉れるほどの威力を持った赤いレーザーを横凪に放った。
「今!前方に回避して!」
レンの言葉に素早く反応した〇〇は前方に前転するようにそのレーザー攻撃を回避すると、立ち上がらず、膝立ちの状態でHMBMを両手でがっちりと握り、バレットサークルが最も縮小した瞬間にその引き金を引いた。
その瞬間、どこかで聞き覚えのあるような効果音と共に、HMBMの銃口から激しい光と巨大な光弾が放たれ、先程の瞬間までレーザーを放っていた赤いコアを一撃で貫き。ボスエネミーの5本あったHPバーを全て0にした。
《Quest clear!》
空中に英語の文字列が並び、クエストの終了を知らせると共に参加者のストレージにクエスト報酬が入る。
システムからのファンファーレが鳴り響く中、その空間は異様な空気になっていた。
「・・・はっ?」
走り回っていた足を止め、思わず間抜けな声を出してしまうレン。
それもそのはず、いくら弱点部位に攻撃を当てたとして、SRの最高レアリティであるAMRはともかく、通常のSRであってもよっぽどのカスタマイズと強化をしても最低2発以上必要であるのに対して、HMBMは一撃でその全てHPバーを消し飛ばしたのである。
これを対人として使った場合、少なくとも対光学銃防護フィールド発生機を装備したプレイヤーでも数人まとめて一撃死させることができるだろう。
少なくとも掠めただけで、そのプレイヤーの身体は真っ二つである。
「は、ははは!馬っ鹿みたい!ノーカスタマイズで一撃!いやー、流石はビ〇ムマ〇ナムってとこね。」
──た、確かに凄い威力だ・・・。だけど、これを使いこなすには骨が折れるどころじゃ済まされない、かな・・・。
そういう〇〇のHPは敵からの攻撃を食らってもいないのに残り3割を切っており、引き金を引いた手の腕からは、赤いポリゴンエフェクトが出ており今にもちぎれてしまいそうであった。
「っ!?〇〇!」
〇〇の状態に気づいたレンはすぐさま彼の元に行くと、ストレージから回復装置を取り出し、〇〇に当てる。
──あはは・・・。ありがとう、レン。助かったよ。
「もー!〇〇はしばらくその武器使うの禁止!使っていいのはもっとレベル上げてちゃんとノーダメージで撃てるようになってから!分かった!?」
涙目で鬼気迫るように言うレンに〇〇は苦笑いしながらコクリと頷いた。
──分かってるよ。それまでは普通の狙撃銃をメインで使うことを約束するよ。
「・・・分かっているならよろしい。」
回復装置を〇〇の身体から離し、少し不服そうな表情をしながら回復を終える。
その後は最初にスポーンした街(SBCグロッケンと言うらしい)に戻り、武器をSRに切り替えてピトフーイさんとレンの3人で何クエストか行った。
まぁ、レンやピトフーイさんが僕がSRを撃つ前にほとんど倒しちゃったからあまり活躍出来なかったけど・・・。
それでも、GGOという新しい世界は色々な意味で新鮮な物や驚きがあっていいなと感じた。
こっちのレンもすごく可愛かったしね。
──────────────────────
僕がGGOからログアウトすると、先にログアウトした香蓮が僕を押し倒すような状態でこちらをじっと見ていた。
──・・・えーと、香蓮どうしたの?
「ねぇ、〇〇。私ね、〇〇のこと大好きよ。それこそこの世界の全てお金持ちやイケメンに告白されても絶対になびかないくらい。」
──それは嬉しいな。大好きな人にそこまで言って貰えるなんて。でも急にどうしたの?
「〇〇があのビームマグナムとかいう変な銃を撃って死にかけたとき、私、ね、怖くなったんだ。本当に死ぬわけじゃないのに、HPが0になってもあのSAOみたいに死ぬわけじゃないのに・・・。」
──香蓮・・・。ごめんね、僕も香蓮が心配性だって分かってたはずなのに配慮が出来なかったよ・・・。
僕がそう言うと香蓮はゆっくりと首を横に振り、僕の言葉を否定する。
「ううん、〇〇は悪くないよ。私だってGGOはそういう世界だって知ってたはずだし、そもそも薦めたのは私。でも、でも・・・。やっぱり私、例えゲームの中であっても〇〇が私の目の前から消えちゃうなんて嫌だよ・・・。」
──なるほどね。大丈夫、僕はずっと香蓮の傍にいるから。
「・・・本当に?」
──うん、本当に。
「ずっと一緒?」
──ずっと一緒だよ。
「死ぬまで?」
──もちろんさ。
「それなら・・・。良かった・・・。」
僕に乗るようにくっついて来る香蓮の頭をゆっくりと撫でながら。愛おしい気持ちを実感していると。急に香蓮が僕に跨るような姿勢になる。
「良いこと考えた・・・。」
──?いい事って?
「〇〇は今日からGGOで1デスする度に私とエッチすること♪」
──・・・へ?
「もちろん、する時はゴム無しでね♪」
──いや、それだといつか妊娠しちゃうんじゃ・・・。
「何か問題でもある?私は〇〇のことが大好きで、〇〇も私が大好き。そして、さっき死ぬまで一緒っていうことは、結婚してくれるってことでしょ?どこも問題がないじゃない。」
──いや、僕達まだ学生だし、それに、香蓮だって学生のうちに妊娠しちゃったら大学を退学しなきゃならないよ・・・?
「そうなったらそうなった時よ。最悪お姉ちゃんやお兄ちゃんのコネがあるから働き口はなんとでもなるし。」
部屋が暗くてよく見えないが、恐らく今の香蓮は何を言っても聞いてくれない状態だろう。僕的にはまだまだ学生の内に香蓮と楽しみたいことがあるけど、それが香蓮の選択ならできる限り尊重してあげたい。
──・・・はぁ、分かったよ。
「やったぁ!〇〇大好き♡それじゃあ早速・・・。」
そう言って香蓮は僕のズボンを脱がそうとしてくる。
僕は必死に脱がされまいとズボンを死守しようとするが、抵抗虚しく脱がされてしまう。
──ちょ、ちょっと香蓮!?
「ん?どうしたの何か問題でも?」
──今日は1デスもしてないはずだよ!?
「うん、知ってる。だからちゃんとゴムは使って上げるから安心して?」
──いや、そう言う意味だけどちょっと違うような・・・!
「それとも、〇〇は私とエッチするの嫌・・・?」
香蓮は少し涙目になりながら僕の胸元にひっつきながらそう行ってくる。
僕は香蓮の弱いところを色々知っているが、香蓮も僕の弱いところをたくさん知っているからかそれを上手く使ってきた。
──う、・・・分かったよ。でも、1度シャワー浴びよう?もしかしたら僕汗臭いかもしれないから。
「いーや♪それに私は〇〇の匂い大好きだから問題ないよー♡ん・・・。」
そう言うと香蓮は僕の口を塞ぐ。
僕の口の中を侵略するように香蓮の舌が中に入ってきて、こうなった香蓮はもう止まらないと、経験上で分かってしまった。
その夜は結局、香蓮が持ってきていたゴムを全部使い切るまで寝させて貰えなかった。
うおぉぉ!ガンプラ作るのたのしぃぃぃ!
ごめんなさぁぁぁあい!!
いや、本当に早くだす詐欺してすみません、はい・・・。
次はまた日常回になります!
追記。
この話を投稿した後にお気に入りを確認したら、な、な、ななんと!
お気に入りが1000を突破していました!!
皆さん本当にありがとうございます!!
これから頑張らせて頂きますのでよろしくお願いします!!