お待たせ
ちょっと久しぶりすぎて以前の様には行かないかもしれませんが、楽しんで頂けると幸いです。
僕には
彼女の名前は小比類巻香蓮、GGOというVRゲームに最近お熱で、神崎エルザという歌手に夢中な素敵な彼女。
今回の話は、少し恥ずかしいけれど僕と香蓮の馴れ初めの話。
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僕が大学に入って2ヶ月ほど経ち、新しい生活にやっと慣れてきたときのことだ。
高校以来の友人である七海透が、既に彼の受けている講義が終わったのか、僕のことを教室の前で待っていた。
「お、○○。そっちの講義は終わったか?」
──うん、今日ある講義は終わったかな。後は帰るだけ。
「今日はバイトとかはない感じか?ちょっと付き合って欲しいんだけど・・・。」
透は少し申し訳なさそうな表情をしながら訊ねてくる。
──え?まぁ、そうだね。バイトがあるのは明後日だし。これから特に用事は無いけど。
「マジか!なら良かった!」
──あ、その前に何に付き合わなくちゃ行けないかちゃんと教えてよ?前はそれで(金銭的に)痛い目にあったんだから。
「ああ!そうだったな、忘れてたぜ。」
前回は考え無しに付き合うって言ったら卒業旅行という名目で大阪まで行く羽目になったからな・・・。(遠い目)
まあ、楽しかったのは楽しかったけど。
僕が軽く思い出に浸っていると、透は悪い笑みを浮かべながら僕の方に腕を回してくる。
(あ、これ絶対ろくでもないやつだ)
「なぁ、○○。彼女、欲しくないか?」
──今は別に。
素っ気なく言葉を返すと、透は頭を小突かれたようなリアクションをとった。
「ええ!?なんでだよぉ!彼女だぞ"彼女"!楽しいキャンパスライフを送る上で彼女の存在は必要不可欠なものだとは思わないか!」
──えぇー、そうかな・・・。いたら楽しいだとは思うけど、必要不可欠ほどまでは無いと思うなぁ。
「でも、○○も彼女がいたら楽しいと思うんだろ?」
──・・・あー、うん。まぁそうだね。・・・はぁ、それで本題は何?大体察したけど。
このままでは一生、説き伏せられるまで続けられる(経験談)ため、一旦折れて透の話を聞くことにした。
「○○!一緒に合コンに参加してくれ!!一生のお願いだ!」
両手を合わせて頼み込んでくる透、ちなみに透の一生のお願いは少なくとも10回以上は聞いた。
──まぁ、そんなことだろうとは思った。
──人数合わせ、ということなら僕で役に立つか分からないけど。
「おっ! 助かるぜぇ。持つべきものは友だな! 実は相手の女子大の子が一人急に来れなくなっちまってさ、急遽代わりに来る子がすげぇ美人らしいんだよ。ただ、ちょっと背が高くてクールな子らしくて、俺たちじゃ手に負えないかもって話で……」
透はペラペラと事情を話しているが、要するに「数合わせ」かつ「高嶺の花の引き立て役」として僕が選ばれたということだろう。
──はいはい、期待しないで行くよ。
場所は大学近くの、個室がある少しお洒落な居酒屋。
僕と透、そして透のサークル仲間の男の三人で席に着き、相手の到着を待つ。
数分後、店員に案内されて女性陣が入ってきた。
「お待たせ~! ごめんね、ちょっと迷っちゃって」
先頭を切って入ってきたのは、明るい茶髪のいかにも女子大生といった雰囲気の子。それに続いてもう一人、少し派手めな子が続く。
そして、最後にその人が入ってきた。
個室の鴨居に頭をぶつけないよう、少し身を屈めながら入ってきた彼女を見て、僕は息を呑んだ。
黒いロングヘアに、透き通るような白い肌。
そして何より目を引くのは、その身長だ。ヒールを履いていないのに、僕よりも、いや透よりも背が高いかもしれない。
モデルのような美貌を持っているのに、彼女はどこか居心地が悪そうで、猫背気味に身体を小さく見せようとしていた。
(……綺麗な人だ)
透が言っていた「美人」とは彼女のことだろう。
けれど、僕が目を奪われたのはその美貌だけではない。彼女の瞳の奥にある、この場の喧騒を拒絶するような、どこか寂しげな色が気になったのだ。
「あ、えっと……小比類巻、香蓮です。……よろしくお願いします」
彼女は消え入りそうな声で自己紹介をすると、一番端の席──僕の目の前の席に、縮こまるようにして座った。
合コンが始まって一時間。
場の空気は、予想通り透たちの独壇場となっていた。
「えー! マジで? その教授超ウケるんだけど!」
「でしょー? だからさぁ、今度もっと面白いとこ行こうよ」
透ともう一人の友人は、香蓮以外の二人の女の子と大盛り上がりしている。
一方で、僕の目の前にいる香蓮は、最初の一杯であるカシスオレンジにほとんど口をつけず、退屈そうにグラスの水滴を指でなぞっていた。
周りの会話に入ろうともせず、かといってスマホをいじるわけでもない。ただ、この時間が過ぎ去るのを耐えているような姿。
僕もどちらかと言えば、こういう場は得意ではない。
騒がしいのは苦手だし、初対面の人と無理にテンションを合わせるのも疲れる。
ふと、店内のBGMが変わった。
──……あ。
「……っ」
僕と香蓮が、ほぼ同時に顔を上げた。
流れてきたのは、最近ネットで話題になっている『神崎エルザ』のバラード曲だ。
僕と彼女の目が合う。
彼女は慌てて目を逸らそうとしたが、僕はそのチャンスを逃さなかった。
──退屈、だよね。
周りの喧騒に紛れるくらいの声量で、僕は彼女に話しかけた。
香蓮は驚いたように目を丸くし、それから少し躊躇いがちに頷いた。
「……あ、いえ。その……こういう場に、慣れてなくて」
──奇遇だね。僕もだよ。友人に人数合わせで頼み込まれてね。君も、友達に連れられて?
「……はい。断りきれなくて。……私みたいなデカいのがいても、場が盛り下がるだけなのに」
彼女は自嘲気味に笑い、自分の膝元に視線を落とした。
長い手足を持て余すように、窮屈そうに座っている姿が痛々しい。
──そんなことないと思うよ。
「……え?」
──さっき入ってきた時、すごく綺麗な人だなって思ったから。それに……無理に笑って合わせているよりも、今の君の方が自然で素敵だと思う。
「……っ!?」
彼女の白い頬が、一瞬で朱に染まるのが分かった。
口説くつもりで言ったわけじゃない。ただ、思ったことを口にしただけだ。でも、彼女の反応を見て、少し言いすぎたかと反省する。
「か、からかわないでください。私、自分が可愛くないことくらい知ってますから……」
──からかってなんてないよ。……あ、今の曲。
僕は話題を変えるように、天井のスピーカーを指差した。
──神崎エルザ、好きなの? さっき反応してたから。
すると、彼女の表情が一変した。
先ほどまでの警戒心が解け、瞳にパァっと輝きが宿る。
「……知ってるんですか? 神崎エルザ」
──うん、最近よく聴いてるよ。歌詞が深くて、声が心に刺さるんだよね。
「そう! そうなんです! 特にこの曲のサビ前のブレスとか、絶望の中にある希望を歌ってる感じがすごく良くて……! あ、ご、ごめんなさい。急に早口になって……」
──ふふ、謝らないで。もっと聞かせてよ。僕の周りには語れる人がいなくて寂しかったんだ。
「……本当、に?」
──もちろん。ここ(合コン)の話より、ずっと興味がある。
僕が微笑みかけると、香蓮はおずおずと、しかし嬉しそうに口元を綻ばせた。
「……実は、私。彼女の曲に救われたことがあって……」
そこからの時間は、あっという間だった。
周りの男女が恋愛トークやサークルの話で盛り上がる中、僕たちは二人だけの世界で、好きな音楽のこと、好きな本のこと、そしてお互いの「居場所のなさ」について語り合った。
彼女、小比類巻香蓮は、見た目のクールな印象とは裏腹に、とても話しやすくて、感受性の豊かな女性だった。
話していると、時折見せる無防備な笑顔や、照れたように髪を耳にかける仕草に、僕の視線は釘付けになっていく。
(……可愛いな)
心の中で、明確にそう思った。
宴もたけなわとなり、そろそろお開きという空気になった頃。
「じゃあさー、連絡先交換しようよ~!」
透の提案で、全員でLINEを交換することになった。
香蓮は少し迷っているようだったが、僕がスマホを取り出すと、そっと自分の画面を僕に見せてきた。
「……あの。〇〇さん、ですよね」
──うん。香蓮ちゃん、でいいかな?
「は、はい。……もしよかったら、また……お話、してくれますか? 神崎エルザのこととか……その、もっと」
上目遣いで見つめてくるその瞳は、最初に出会った時の寂しげな色ではなく、微かな熱と期待を帯びていた。
──喜んで。僕も、もっと香蓮ちゃんと話したいと思ってた。
僕がQRコードを読み取ると、彼女はふわりと花が咲くように笑った。
「嬉しい……。あ、あのね、〇〇さん」
──ん?
「私、今日の合コン……来てよかったって、今は思ってます。……〇〇さんに、会えたから」
その言葉と笑顔に、僕の心臓が大きく跳ねたのは言うまでもない。
こうして、僕と少し変わった素敵な彼女との物語は、幕を開けたのだった。
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……とまぁ、これが僕たちの出会いだ。
今思い出しても、あの時の香蓮は初々しくて可愛かったなぁ。
「ん? なにニヤニヤしてるの、〇〇」
──うわっ!?
いつの間にか、VRアミュスフィアを外した香蓮が、僕の顔を覗き込んでいた。
「ねぇ、私の顔見てニヤニヤするなんて……何か隠し事? もしかして、他の女のこと考えてたとか……?」
香蓮の目がすぅっと細められ、部屋の空気が少し重くなる。
付き合い始めてから知ったことだが、彼女は僕のことになると少し(かなり)心配性になるのだ。
──違うよ。僕たちの出会った頃のことを思い出してたんだ。あの頃の香蓮も素敵だったなって。
「……え///」
僕の言葉に、香蓮は一瞬で毒気を抜かれ、顔を真っ赤にして狼狽える。
「な、なに急に……! もう、〇〇のばか。……そういうこと言うなら、覚悟してよね?」
──覚悟?
「うん。……あの頃よりも、今の私の方が〇〇のこと大好きだし、今の私の方が〇〇をドキドキさせられるって、証明してあげるから」
そう言って、彼女は妖艶な笑みを浮かべながら、僕をベッドへと押し倒した。
やれやれ。
どうやら今日の思い出話の続きは、また今度になりそうだ。
また見てくれるひとがいるか分かりませんが
ゆっくり書いていきますのでよろしくお願いします。