隻狼の世界を自由に作れるソフトがあったら、という話です。
弦一郎弄りが激しいのでファンの方は見ない方がいいと思います。


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スーパー蘆名メーカー2

「Switchじゃあ!」

 

 

 

「狼よ、一心様がSwitchを買って下さったぞ!」

 

蘆名城天守閣、伝統的な日の本の和室に置かれた、なんとも場違いな任天堂Switch。九郎はそれに嬉々として電源を入れながら、狼の方に顔を向ける。

 

 

「ソフトは、今日発売のスーパー蘆名メーカー2を買ったぞ。共に遊ぼう、狼よ」

 

「しかし、九郎様...」

 

そのゲームは一人用だったはず。そう告げようと狼の口が動く前に、九郎はSwitch本体からJoy-Conを外し、狼に手渡す。

 

 

そう、なんと蘆名メーカーは本作からJoy-Conをおすそ分けする事で二人で遊ぶことが可能なのだ。

これはステージを作る、遊ぶ。どちらに関わらず二人プレイが出来る。

 

「さあ、遠慮は要らぬ、好きに作ってみよ」

 

「......御意!」

 

 

 

しかしながら、好きに作れと言われても狼はこのゲームに関する知識は殆んど無い。複雑なギミックや精巧なステージは作れないだろう。ならば、完成度や品質よりも、わかりやすい面白さ、一発芸に特化するべきだ。忍びはそう考える。

 

 

 

 

「出来ました...」

 

 

15分後、その完成したステージを一言で表すのなら"クソステ"だろう。

 

スタート直後に、忍び凧から降ってくる寄鷹集による初見殺し。

 

乱雑に配置され、大手門を仙峰寺と言い張る謎の老婆。

 

極め付けにススキ野原を埋め尽くす、数えるのも馬鹿らしい程の弦一郎達。

 

 

「早速、オンラインで公開しようと思います...」

 

「しかし、狼よ...このコースをクリア出来るのか?」

 

 

作成したコースをオンラインで公開する場合、当然クリア不可能のステージを公開されては問題だ。その為、作成者自身がそのコースをクリアする事が条件となっている。

 

 

「...こちらの掛け軸から、ゴールに直通で行けます故...」

 

(初見では到底見つけられないような位置に簡易ルート...これは...)

 

 

稀にだが、作成者が楽にクリアするための簡易ルートが存在することもある。この場合、正規ルートでクリア可能か確認していない為、ゲームバランスが著しく悪い場合が多い。

 

「...このコースを公開しても良い評価は得られぬと思うぞ?」

 

「......っ!」

 

遠回しにダメ出しされ、狼は大きく動揺する。かなりの自信作であった故に。

 

「その様子だと、何が不味かったのか理解していないようだな......仕方ない。そなたにコースの作り方を教えてやろう」

 

「はっ!」

 

 

 

 

「狼のステージは難しい、というよりは理不尽寄りだと思う。もっとプレイヤーに親切にしてみるぞ」

 

 

そう言うと九郎は案内老婆を、各所に配置し次どこに行くべきかを明確にしていった。

「あっちじゃああああ!」

 

 

 

 

 

「ふむ...見たところ、そなたは普通の敵しか使っていない様だが...何か理由があるのか?」

 

「...?ありませぬ...」

 

狼は質問の意図が分からず困惑する。

 

「普通ではない敵がいるのですか...?」

 

「狼よ、これを見るのじゃ」

 

そう言うと、九郎は一人の男をコースに設置する。そう、みんなのアイドル弦一郎だ。そして、弦一郎に黒の不死切りを近づける、すると...

 

「俺が蘆名を生かす!」

 

鎧が爆ぜ、半裸となった。

 

「フフッ...このゲームは敵やアイテムを組み合わせることが出来るのじゃ!」

 

そう、弦一郎に不死切り。佐野甚助に赤成り玉、などなど特定のアイテムを敵に与えることで全く別の存在に変えることが出来るのだ。

 

「これだけではないぞ!」

 

九郎は勢いのまま、新たな弦一郎を掴み、半裸一郎の上に設置する。

そして、その上に弦一郎を...弦一郎を...積み重ねて行く...!

 

そして、9人からなる弦一郎タワーが完成した。

 

この様にマリオメーカーでは原作にいないキャラですら設置することが可能なのだ。

 

「テストプレイ...してみるか?」

 

「勿論っ...!」

 

マリオメーカーでは瞬時にテストプレイをする事が出来る。これにより、コース制作が非常に捗る。

 

「「「「俺が蘆名を生かす!」」」」

 

総勢9人による連続雷攻撃、しかし瞬時に雷返しされ、弦ちゃんタワーがプルプルと痙攣し出す。

これには堪らず狼もニッコリ。

「では、ここらで"オトアソビ"を使ってみるか」

 

「それは一体...」

 

オトアソビとは、コースの様々は場所に音を仕掛けることが可能というもので、ゲームプレイには一切の影響を起こさない為、大抵の場合大量に配置されるわ、クソ喧しいわ、と...必要性を感じない死に要素である。

 

「例えば、こう落下しやすい箇所に...」

 

ロバアァーーート!!

 

これには、狼は無表情。不評だった様だ。

 

 

「......まず、そなたが注意すべき事は初見殺しや安易に敵を大量配置するのを止めることじゃ。不要な不快感を与えたり、雑だと思われるような配置は良い評価を得られぬからな」

 

「御意」

 

「作り手の自己満足で終わらぬ様に、"プレイしていて楽しいか" に注視するのが大事だと思うぞ。高評価を貰えると、やはり嬉しいからな」

 

「御意...必ずや九郎様にご納得頂けるステージを作って見せまする...!」

 

「その意気だぞ、狼!」

 

 

 

しかし、その後投稿したコースに弦一郎率いる蘆名集が低評価爆撃を入れたことにより、狼は僅か2週間でコース職人を辞めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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