日記帳。   作:⚫︎物干竿⚫︎

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様々な日記作品の影響を受けて書いちまったんだぜ。反省も後悔もしている。


道具屋。

 

☆月∩日

 

店に変な客が来た。

 

ウチは元来、道具屋をやって来た。だから、色んな客を見て来た。

まだまだ年端もいかない幼児から同い年くらいの奴に、中年、初老、老人……多くを見てきたがこんな客は初めてだ。

 

どんな客かって?

 

聞いて驚くなよ? なんと、巷では魔物を操って世界制服を企む悪逆非道と恐れられてる魔王様だ。

おいおい。悲しいやつを見るような目で見ないでくれ。今、筆を取ってこうして日記書いてる俺にも信じられねーんだから。

 

で、その魔王様なんだが、これがまた美しい。こんな綺麗な女性を俺は見たことが無い。

 

黒を通り越して、漆黒の糸のように細くクセ一つ無い長髪に、燃えるように真っ赤な瞳。確かにこの人は人間じゃないんだろう。

 

 

ちなみに今日は、魔王様の後に客は来なかった。

 

 

 

☆月∋日

 

また魔王様がウチの店に来た。品定めをしていた近所のおばちゃんやらおっちゃん。旅人が皆逃げちまった。何してくれてんの?

 

ん? 魔王様が怖くないのかって? 今は恐怖よりも怒りが優ってんだよ。商人なめんなよ?

 

 

で、魔王様がなにやらあれこれと話し始めた。自分の身の上や本当は人間と戦いたくないのだと。

一介の道具屋店主の下級商人にそんなことを言われても困る。戦いたくないなら戦いなんてやめちまえばいい。

 

そう言うと、笑われた。なぜ笑った?

 

 

今日は客が来た。良かった。

 

 

☆月⇔日

 

またまた、魔王様が我が城(道具屋)にやって来た。

 

でも、今日は逃げない客が居た。近所の生意気なガキンチョだ。魔王様のこととか御構い無しに、商品棚から菓子を取って逃げようとしやがった。

 

とっ捕まえて叱ろうと思ったら、魔王様が先にとっ捕まえて説教した。

 

流石に魔王様と面と向かって相対するのは怖かったのか、ガクガクと震えながら説教受けて、首を縦にブンブンと振っていた。これに懲りたら、店の商品をチョばるなよ?

 

 

 

☆月∃日

 

今日は店に真っ黒の鎧を着た暗黒騎士がやって来た。

てか、店で殺気ばら撒くのやめてくんね? 客が逃げるってか、寄り付いてくれなくなるから。

 

え? 剣が殺気を放ってるって? じゃあ置いてこいよ。

 

少し話をすると、ウチの店でも高めの商品であるナイフを買って帰って行った。

 

 

今日、この後……と言うか、数日は客が来なかった。

 

 

☆月∬日

 

この前は散々な目にあった。店に客が来ないもんだから、ここ数日の飯は店に緊急時用に常備してる非常食に手をつけることになってしまった。

 

で、だ。

 

魔王様がやって来た。なんか妙に嬉しそうだった。

なんでも、身内の問題が片付いたらしい。侵略を推し進めていた過激派を大人しくさせたと言っていた。

 

魔物も魔王様の下で一枚岩てわけじゃないんだな。で、この前来た暗黒騎士のことを謝ってくれた。

 

まぁ、俺もそこまで根に持ってたわけでもないから、なんか商品を買ってってもらう事で話をつけた。魔王様はウチの最高額品である万能薬のエリクサーを買って行ってくれた。

 

ちなみにエリクサーは一個3万ゴールドする。一般家庭の平均月収の三倍はするが、効果は絶大。それこそ即死級の病でもな限りは全快する。

 

今日は客が来た。

 

 

 

☆月▲日

 

ハンターをやってる近所のおっちゃんが持ち込んだ、魔物の爪の買取交渉の最中に魔王様がやって来た。ちなみに最近は魔王様が来ても逃げない客が出来た。

 

その筆頭があのガキンチョなのはどうかと思うが、魔王様のおかげで改心はした。ちゃんと商品を買って行くようになった。

 

で、今日の魔王様は落ち込んでいた。なんでも、全然、人間と魔物の戦いが小さくならないらしい。

それは仕方ないんじゃなかろうか? 人間側としては、奪われた土地を取り戻すために戦ってるわけだし。

 

魔王様もそれは分かってるらしいが、納得出来るかどうかは別らしい。

 

まぁ、俺だって魔王様と同じ立ち位置だったら魔王様みたいに頭を抱え込んでただろうよ。魔物達の王なのに随分と優しい魔王様だ。

 

今日はそれなりに売り上げが上がった。と、そろそろ薬草を仕入れないとな……

 

 

 

☆月‰日

 

今日もまた魔王様ご来店だ。もう魔王様を見ても逃げる客はいなくなった。むしろ、魔王様に話しかけるのまで居る。流石に旅人は魔王様を見ると逃げて行くが、まぁ仕方ない。

 

魔王様が今日は物を売りに来たと言うので、品物の鑑定をした。ちなみに物品の鑑定は商人が覚えるべき基礎中の基礎のスキルだ。他にも話術やら何やらと色々とある。商人ってのは決して楽な仕事じゃない。

 

で、結果だがかなりの高額での買い取りになった。ウチの店では売れないが、行商人相手にでも売ればもっと凄い額がつくだろう。いい買い物をした。

 

今日はいっぱい客が来た。

 

 

 

☆月>日

 

今日もまた店に魔王様が居る。もう、当たり前の事になりつつある。

 

時折、魔王様に勝負をふっかける冒険者が居るが、全員ものの見事に返り討ちだ。ちなみに誰一人として死んじゃいない。

 

やっぱり、この女性は魔王って事だろう。

 

だってよ? 世界のどこに素手でしかも欠伸をしながら剣やら槍に魔法を止めれる奴が居る? それに人間じゃ、まず考えない事もやってのけた。体の一部に魔法を纏わせるってどうやってんだよ。

 

説明してくれたが、さっぱり分からん。言っておくが、別に俺は魔法が下手ってわけじゃないぞ? 得意でもないけど。

 

今日は飲み物と食べ物がよく売れた。

 

 

 

☆月□日

 

今日は魔王様とは別の意味であったことのない客と出会った。

 

勇者様だ。かなり美しい女性である。世の中、男よりも女が強いのは事実だったんだなーと思いつつ、笑顔で接客。

 

あれこれと買ってくれたのは嬉しいんだけどな?

 

いくら、倒すべき宿敵の魔王様が来たからって、人様の店の中で暴れるな。思わずブチ切れて二人を外に放り出しちまったよ。

 

 

今日は商売どころじゃなくなった。店が半壊した。じいちゃんの代から建て替えることもなく、村中から親しまれてきたみせなのに……じいちゃんに親父、俺が不甲斐ないばっかりにゴメン。

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