▶︎月★日
ふっふっふー。これでもう、魔王さんや勇者様には遅れを取らないよ!
ユー君に頼んで、今日から道具屋で働くことになったんだ。
それで喜んでくれるのは良いんだけどユー君……「あれこれ教えなくてもきちんと仕事が出来る店員が出来た」って、魔王さんや勇者様の前で言っちゃダメだからね?
まぁ、流石のユー君でもそれ位のことは分かってるんだけどね。
あ、そう言えば、ユー君の道具屋の修理も今日終わって、今日からはこっちに戻っての仕事だね。
さて、と張り切って行こう!
『いらっしゃいませ』
▶︎月日
本当に勇者様と魔王さんって仲が悪いのか良いのか分からないなぁ。
普通にお喋りしてたりするときもあれば、今日みたいにちょっとした事で喧嘩しそうになることもある。
まぁ、喧嘩する程仲が良いって言うし、たぶん魔王さんと勇者様もそうなんだと思う。
……お店の中での喧嘩だけは何があろうとも絶対阻止だけどね。そんなことになったらユー君が怒る。
そう言えば、魔王さんと勇者様に仕事の手際が良いとか言われたけど、ただ慣れてるだけで本職のユー君の足下にも及ばないんだけどね。品物の管理から帳簿管理の何から何までを1人でやってたんだから、ユー君って凄いなぁ。でも、ユー君は「これ位は普通だ普通。むしろ楽な方だ」としか言わないんだけどね。
勇者様のお仲間さんの1人で戦士のジル君が道具屋にやって来た。勇者様もそうだけど、ジル君も見た目によらず、私やユー君よりも年下で結構びっくりしたなぁ……
教会ってなんなんだろうね? ううん、教会と言うより宗教かな? ユー君と村に定期的にやって来る行商人の人から色々と品物を仕入れるときに聞いたんだけど、教会があちこちで異端狩りって言うのをしてるんだって、何をもって異端だとしてるのか分からないけど、自分たちの教えにそぐわないって言うだけの理由で弾圧するのはおかしいと思う。
……て言うか、リーツ村かなり危ないねこれ。
まぁ、なんとかなるよね。勇者様だって居るんだしね。
▶︎月〓日
道具屋の前に行き倒れが居た。
何を書いてるのか自分でもよく分からないけど、とにかくお店の前に行き倒れが居た。
開店準備中だったから本当に驚いたよ……
その行き倒れの人の名前はシドウって言って、シドウさんが言うには出稼ぎで遠い故郷の国からはるばるここまでやって来たんだけど、リーツ村までの道中で全財産を納めた財布を盗まれちゃって文無しになっちゃったんだって。まぁ、いくらリーツ村の周辺は比較的平和で平穏だって言っても、道端で寝たりしてたらそりゃあ盗まれるよ。
シドウさんは魔法は使えないらしいんだけど、ユー君達は口を揃えて強いって言ってた。でも、私には気の良さそうな人にしか見えなかった。
今日は久しぶりに魔王さんと勇者様が喧嘩をしていた。
原因は対したことじゃなかったんだけど、口喧嘩だったのが止める間も無く殴る蹴るに変わるのに時間はそうかかってなかった。それでも、なけなしの理性が働いたのかお店から出てやってた。ちなみこの魔王さんと勇者様の喧嘩はリーツ村の数少ない娯楽の一つとして定着しつつある……なんでこうなるかなぁ。
結局、2人ともユー君にこってりと怒られたって言うオチ。
▶︎月☑︎日
今日は村のとても大切な話し合いがあるから、村長の家、つまりは私の家にリーツ村の中心人物達が集まってて、そのメンバーの中にはユー君も入ってるから、今日は朝からユー君は道具屋に居ない。
話し合いの内容は気になるところだけど、仕事しないとね。お客さんだって来てるんだしね。
昼過ぎのお客さんが減ってきた頃位にユー君が帰って来た。なんだか、落ち込んでるように見えたけどどうしたんだろうと思って、魔王さんや勇者様達と一緒に話を聞くと、今日の話し合いの内容は次の村長をどうするかと言う物だった。確かに、お祖父ちゃんももうそろそろ引退って言うか、普通はお祖父ちゃんくらいの年で村長をやってるところなんてほとんど無い。それで、その次の村長にユー君が推挙されたらしくて、それで落ち込んでるみたい。
ユー君は「絶対、村長なんてやらないからな。村長になったら道具屋の仕事が出来ないだろ」って言って、今も現在進行でいじけてる。
▶︎月➗日
最近は傷薬の売れる数がかなり多い。専属の薬師状態の魔法使いのルカちゃんが「……作っても作っても、追いつかないって涙目で作業してるし、念のための既製品を売ることでなんとか繋いでる状態。
なんでこんな状況になっているのかと言えば、結局、リーツ村に居着いたシドウさんが村の外れの方に開いた剣術道場が大体の原因。
村の男の子達がこぞってこの道場に入門してるんだけど、とにかく連日のように怪我人が出てる。
……噂をすればなんとやら、傷薬を買いにやって来たね。
▶︎月⇔日
リーツ村に教会の一団がやって来た。たぶん、この前の異端狩りのだと思うんだけど、態度が気に食わない。とにかく偉そう。
そんな気にしなくても、皆ちゃんと神様は信じてるよ? だから、村の教会もしっかりと手入れとかしてるしお祈りを捧げたりもしてる。神父さんとかが居ないのは、私達に言われてもどうしようもない。修道女はともかく、神父さんは都の教会からの派遣なんだからね。
……確かにリーツ村は辺境の田舎だから、都のお料理屋さんみたいな物が出せるわけが無いけど、それでも精一杯のもてなしとして用意した料理を「こんな貧相なもの」って言われたときは本当に一発殴ってやろうかと思った。勇者様達にも高圧的に命令するし、教会ってそんなに偉いの?
まぁ、なんにせよ魔王さんが居ないときだったのは幸いだったかな?
▶︎月≦日
この前、教会の一団が来てからと言うものの、村全体の雰囲気が何処と無く悪い。皆、この前のことで怒ってる。
そんな中で今日は久しぶりに魔王さんが村にやって来た。
魔王さんにこの前のことで愚痴を零しちゃった。魔王さんも別に怒ってなかったし、大丈夫だよね? それにしても、魔物達も神様を信じてるんだ。ちょっと驚いた。
「人間は神と言うものを固定化してしまっている。直接見たことがあるわけでもない相手をどうして固定出来ようか」
魔王さんのこのセリフはなんて言うか説得力がある。
ところでさ?
ユー君、どこでどこで拾って来たの? その、羽の生えた女の子。