日記帳。   作:⚫︎物干竿⚫︎

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勇者。

 

 

 

▶︎月★日

 

 

私と魔王との戦いで壊れてしまったエリユ様の道具屋がようやく元通りに直りました。

それを見て子どものように喜ぶエリユ様はなんて言うか新鮮でした。

 

そうそう今日からユゥナ様も一緒に、エリユ様の道具屋で働くことになりました。まぁ、それは良いのですけれど、なぜかユゥナ様から私や魔王に対して敵意のようなものが感じられたのですがなぜでしょう?

 

 

それはともかくとして、今日も元気良く行きましょう。

 

 

『いらっしゃいませ』

 

 

 

▶︎月∀日

 

 

ユゥナ様が道具屋で働くようになってからはめっきり魔王と喧嘩をすることが減りました。

 

そして、仕事も私や魔王とは比べものにもならないほどでした。

ユゥナ様が言うには「小さい頃から、ユー君と一緒に手伝いしてたりしたから慣れてるだけだよ」だそうです。

 

幼い頃のエリユ様の話を聞いてみたいものです。昔から今のようだったのかとか色々と、

 

 

今日は道具屋にジルがやって来ました。

私もそうですが、皆この村に大分馴染んだものです。

 

ジルは村でも指折りの働き手ですし、フィーネは今や村の子ども達にとっての先生で、ルカも前々からやりたいと言っていた薬師として道具屋に様々な薬を卸していますし……本当、私達が魔王を倒すために旅立ったことを忘れそうになります。

 

 

悲しいことはあるものです。エリユ様から伝えられたことですが、教会が国の各地で異端狩りを行っているようなのです。

 

自分達の教えや考え以外を認めない。そんなのは間違っていると思います。

 

 

 

▶︎月〓日

 

 

道具屋の前に行き倒れが倒れていました。

いえ、今は行き倒れくらいそう珍しいものでもありません。都はともかく、あちこちの街

や村では行き倒れが溢れかえっていると聞きますし、

 

行き倒れの名はシドウ様言うそうで、ずっとずっと東の国から出稼ぎにこの国にやって来たそうです。別に出稼ぎは珍しくはありませんが、シドウ様ほど遠くからやって来る方はそうそう居ません。

 

出稼ぎ云々は置いておいて、シドウ様はおそらくかなりの使い手と見てまず間違いないでしょう。身に付けている鎧には尋常では無い数の戦傷が刻まれていて、鎧自体も何度も何度も補修を重ねているようでした。

 

ここまでに鎧が傷つくほどの激戦をくぐり抜けている猛者はそうそう居ません。私やジル達が束になってかかっても勝てるかどうか……上には上が居る。よく言ったものです。

 

久しぶりに魔王と喧嘩しました。理由はどうだったか思い出せませんが、とても些細なことだった気がします。当然、喧嘩の後にエリユ様に魔王共々こってりと叱られました。

 

 

▶︎月☑︎日

 

 

今日は村の重要な話し合いがあるらしく、エリユ様は道具屋に居ません。

その話し合いもあtれか、今日はあまりお客様が来ません。正直に言って暇です。

 

昼過ぎほどに帰って来たエリユ様は難しそうな顔をしていました。

理由を聞いてみると、今日の話し合いでエリユ様が次の村長に選ばれたらしいのです。

 

 

でも、エリユ様は村長にはなるつもりは無いようです。

村長になると道具屋を営んでいけなくなるそうで、それが嫌なのだそうで、本当にエリユ様はこの仕事が好きなんでしょう。

 

 

 

▶︎月➗日

 

 

なにやら傷薬ばかりが売れています。あまりにも傷薬が売れるせいで、ルカが「薬を作るのが追いつかない……」と涙目になっていました。

 

そもそも、この傷薬ばかりが売れて行く原因は、最近村の外れの方に開かれた剣術道場です。

剣術道場ならば怪我のひとつやふたつ、おかしくもなんともありませんが、それでも毎日のように怪我人がゴロゴロと出て来るのはおかしいです。普通の剣術道場ならばこんなことは無いのでしょうが、ここの道場はちょっと違います。

 

剣の握り方、振り方などの本当の基礎的なことを教えたら、後はひたすら実戦形式で稽古をやって行くだけ……

 

道場主で師範のシドウ様が言うには、剣術とは他人に教えられるものでは無く、自身で知って覚えるものなのだそうです。放任主義も良いところです。でも、理には叶って居るのかもしれません。特定の型と呼ばれるものが無いからこそ、個人個人で様々な方向へと伸びていくのですから、実際、私がそれですし。

 

 

 

▶︎月⇔日

 

 

リーツ村に教会の一団がやって来ました。

私達の姿を見つけると、明らかに上からで、こんなところで油を売らずに魔王を倒してこいとかどうとか……こういう輩が居るから教会はあまり好きじゃありません。

 

もっと気に入らないのは、エリユ様や村の方達のもてなしを貶したことですね。

質素倹約を旨とするべき聖職者の口から「こんな貧相なものを出して、我らをなんだと思っている?」と出てきた時には本当にカチンと来ましたね。ええ。

 

 

とりあえず、魔王が村に居なかったことは幸いでしたね。

 

 

 

▶︎月≦日

 

 

この前の教会の一団に対する苛立ちはまだまだ抜け切りません。それはともかくとして、魔王が久しぶりに村に来ました。

 

教会の一団のことを聞くと魔王は、魔物達の間にも神に対する信仰があることを語り、一団を嗤った上でこう言いました。

 

「人間は神と言うものを固定化してしまっている。直接見たことがあるわけでも ない相手をどうして固定出来ようか」

 

否定のしようがありません。

 

 

……エリユ様が背中に白い翼の生えた女の子を連れて来ました。




ほぼ、魔王と同じって言うね。
つまりは勇者と魔王の仲の悪さは同族嫌悪(錯乱
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